歩く死者

夏枯 つきひ

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番外 護衛官※

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 ※18禁には届かないと思いますが、性的シーンがあります。ご注意ください



           第三期オーサーマラナ王朝

        昔、栄えたと言われている王国
        「古代文明の華」とも「蜃気楼の王国」とも伝承され
        今では失われた魔法技術が頂点に栄えていたと言われている
        その力は世界のほとんどを手に入れると言われたが、
        第3末期で突然、瓦解し魔法技術は失われた

        オーサーマラナ王朝が
        幻話や単なる言い伝えと言い切れないのは、
        未だ解明できない道具が発見される為だ。
  
  
  
 カハ・ナスラは王宮の近衛兵で、腕は5本の指に入る。
 近接戦は素手でナイフの敵に立ち向かう勇気の持ち主だ。
 腕と忠誠を見込まれ、王宮警護の近衛兵に抜擢された。
 一晩寝ずに侵入者を見張る仕事だ。王の寝所は渡り廊下。橋に一人、ドアに一人
  
 風と月の無い夜だった。寝所の警備としてドアの前に立つ彼は、暗がりから歩いてくる美しい女を見た。
 衛兵カハ・ナスラの前でピタリと止まりマントを落とした。
 現れたガウンは透けて見える程薄い。体から、匂い立つ香水が鼻をくすぐる。
  
 カハ・ナスラは、冷静なふりをして息を整えた。
 愛妾の一人だろう。と、形式的に誰何した。
「何者だ」
 女は答える。
「マファルターン」抑揚のないのに、やけに耳に残るハスキーな声だ。
 ガウンの下の姿態には殆ど布地がない。砂丘のような優美な胸が見えた。
 胸の先端には、真珠のピアスが輝いていた。
 ベールから覗く髪は滑らかな青い絹の光沢だ。
 カハ・ナスラは息をするのを忘れてしまい、真っ赤になった。
  
 女はニコリともせず、じっと満月の金色の瞳でカハ・ナスラを見つめた。
  
「陛下、マファルターンと、名のる女が参りました」
 自分の声とは思えないうわずった声だ。
「通せ」
  
 主君の声がして、女はスルリとドアの向こうに消えた。
  
 暫くして、聞こえる睦ごとはカハ・ナスラの体を熱くした。
 胸が痛くなるような。
  
 朝、渡り廊下の向こうの警備担当に聞いて見る
 昨日の美人、見たか?
 しかし、仲間は知らないと首を降った。
  
 次の夜の側使えの親衛隊に聞いてみた。
「昨日すごい美人が王宮にきたか?」
「ああ、黒曜石のような瞳。キャスタラ」
 仲間は答える。
「美しい笛の音が聞こえた」
 次の日にも仲間に聞く
「凄い美女が来なかったか?
「来たとも。異国の黒い肌のルタラ・ゼルタ。美しい声の歌姫」
 次の仲間は「素晴らしい詩の朗読」
「華やかな舞を踊る美女」
 その次、夜の護衛警護はカハ・ナスラだった。
 月がうっすら出て来た頃、闇から湧き出たように突然女が現れる
 夜の花が開くようだと彼は思った。
 女はやはりカハ・ナスラの目の前でガウンを落とし、同じように金の目で彼を見る
「誰だ」
「マファルターン」
 ドアの向こうから主君が言う。
「こちらに来い、マファルターン。我が春の月姫」
  
  
 マファルターンが来るのはカハ・ナスラの当番と同じ日らしかった。
  
 毎回、彼の目の前で、マントを落とし、金色の視線で見つめた後は
 主君との秘めた声をドア越し聞かせる。
  
  
 どんな風に彼女を楽しむおつもりか?わが君
 彼女はどんな顔であなたを見る?微笑んでいるのか?
 長い脚は?唇の柔らかさは?髪の一本にまで、マファルターンの全てを貪り尽くすだろう
  
 朝方にやはりカハ・ナスラの心の底を拐うようにじっと見て、
 床に落ちたマントを拾い上げ、何も言わず帰っていく。
  
 美しい髪も、優美な双丘も、夜の花の芯も主君のモノだ。
 マファルターンの微笑みさえ、カハ・ナスラは貰えない。
  
 3ヶ月の間、カハ・ナスラは5日ごとに夜の警備をこなして、マファルターンに会った。
 焦がれて焦れて、日中も彼女の事がいつも頭から離れなかった。
 気をそらすためにも彼は激しい訓練をこなし、練習試合で仲間を負かし、汗をかいた。
「見事だ、また腕を上げたな。カハ・ナスラ。明日は王の狩の共につけ」隊長が命令した。
  
「畏まりました」彼は敬礼して頭を垂れる
  
 王のためにカハ・ナスラは斥候を行なって、獲物を追い出した。
 王は立派な鴨を何羽も弓で射落とし笑った。
  
  
 その日、夜営を張った。
 王は、獲物に満足し、酒を堪能した。
 カハ・ナスラは、勿論、素面で王の警備をした。マファルターンに会えないのが寂しかった。
  
 どうかしている。俺は単なる護衛、親衛隊でしかない。
 親衛隊とは、どんな時も王を裏切らないからこその武器帯刀。
 誇りがある。その俺が王の愛娼に心を奪われるとは。
  
 王の愛人に言い寄ろうなどとは思わない。が、笑顔を見たいぐらいは考えても良いだろう。
  
 ネコだって、王を見ても良い。と、言う事だ。
 しかし、マファルターンは、何故思わせ振りに俺を見つめるのか?
 毎回マントを落として身体を見せつけるような挑発的な行為は?誘っている?とも取れるが…
  
 カハ・ナスラは苦笑いを浮かべた
  
 自分か何も出来ないと考えて彼女はからかっているのだろう。
 甘やかな…果物のような体を撫で上げ…感触は絹のごとく、彼女の唇は
  
 止めとけ、高嶺の仇花だ。
  
 彼は、頭を振って、周りを見回す。
 辺りは藪もなく、なだらかな草原だ。誰も居ない。
  
 二つ目の月が昇ろうとしていた。
 カハ・ナスラは少しうとうとした。
  
 天幕の影が松明でユラユラしたかと思うと、そこから人形に変わる。
 夢幻か。カハ・ナスラは瞬きした。
  
 気が付くと目の前に人影があり、天幕を伺っている。
  
「何奴!」
 カハ・ナスラは鋭く誰何すると
 侵入者に飛びかかった
  
 二人は地面を転がって、容易く組伏せた。
 カハ・ナスラは、相手が全くの素人だと、すぐ分かった。受け身さえ取ろうとしなかった。
 身体は華奢で柔らかい、女だ
  
 フードとベールを剥ぎ取り、露になった顔に、彼は息を飲んだ。
  
「マファルターン…何故…?」
  
 彼女は、後宮から出られない筈だ。
 満月のような金の瞳。マントの下、身に付けていたのは、腕輪と胸の宝石だけだった。
  
 光沢のある髪が滝のように地面にこぼれて広がる。
  
 彼女は、何も言わずじっと彼を見上げた。
 何の喜怒哀楽も無かった。
  
 マファルターン…マファルターン…俺は…
  
 カハ・ナスラは自分が何をしているのか全くわからなかった。
  
 気がつくと仲間の兵士に取り押さえられて、王に殴られていた。
  
「おのれ!!許さん」
  
 王は、激昂して刀を抜いた。カハ・ナスラは呆然自失で主人を見上げた。
 立ちふさがる主人の後ろに庇われ
 マファルターンは身体をマントで隠していた。

  
  
 王の怒りはそのまま手打ち寸前だったが、
 マファルターンが、王に何かしら耳打ちした。王はしばらく荒い息を吐いて、カハ・ナスラを睨みつけていた。
  
「分かった、お前が言うなら、そのように。…マファルターン、マファルターン、怖かっただろう?」
 王は、彼女を抱き寄せた。その光景を見て、カハ・ナスラは目を伏せた。
  
「ソイツを牢に繋いでおけ」
  
 言い捨てると、主人はテントに戻っていった。
  
「俺は何をした?」
  
 彼の問い掛けに仲間は呆れたようだった。
「陛下のお気に入りを襲ってたんだ」
 言われても覚えていない。
 思い出そうと頭を振ってみる。
  
「あれがオマエが言ったすごい美人か?
 成る程ゾッとする程の美人だったな。」
「急に現れたんだ。気がつくと陛下のテントを窺っていた。俺は、…てっきり暗殺者かと」
  
  
「俺たちが見たのは、裸の美人を押さえつけて、お楽しみ。って、風に見えたぞ。
 手は腰に回ってたし、キスしようとしてた」
  
「おれが?本当か?」
  
「皆で引き剥がしたら、急に陛下が外にお出ましになり、オマエ達を見てご立腹されたのだ。大変なお怒りだぞ。
 まさか、あの美人が陛下の一番のお気に入りとはな」
  
「オマエ、本当に覚えていないのか?」
 力なく首をふるカハ・ナスラを見て仲間は当惑した。こんな様子の彼は珍しい。
「…俺は、どうなるんだろう?」
  
「降格は間違いないが、あのお怒り様だと、それだけじゃすまないかもな」
  
「人の気配は無かった。誰か来たらすぐ分かる所を選んでる。なのに、闇から沸きだすように現れたんだ」
  
 独りごとのように呟く彼の主張を、仲間は半信半疑で聞いていた。
  
  
「それが本当なら、彼女は人間ではないな」
  
「ああ、確かにあれは魔性の美しさ。男を虜にする妖魔か、女神か」
  
「月下で忘我、裸の美女か、久々に良いもの見たな。」
「今の陛下はお怒りだが、頭が冷えたらなんとか取り直しを切り出してみる」
  
「それまでに、腕を磨いておけ」
  
  
 カハ・ナスラは一週間ほど牢に繋がれた
 それから、神殿に連れて行かれアズレイル・アズルーの研鑽所に身柄を引き渡すと告知された。
 彼は近衛兵を首になったのだ。仕方ないことだ。王の寵愛する女に無体を働いたのではただではすまない。
 噂に聞いた大神官がいる居城は森の中にあった。
  
 意外にこじんまりしているな。と彼は思った。なぜ自分はこんな所に連れてこられたのか?
  
 後ろを縛られたまま、複雑な装置が並ぶ部屋に入る
 その端にマントを着た男達が立って居た。
  
「お前は何人も人を殺めたそうだな?カハ・ナスラ」
 アズレイル-アズルーは楽しそうだった。
 初めて見る、大賢者と言われる神官は醜い小男で、左手だけ手袋をしていた。
 彼はクスクスと嫌な笑い声をあげながら手袋を外した。

 手にはイボが一つ。
 じくじくと膿を出していた。
「お前が恋したマファルターンはな。…私の奴隷だ」

「嘘だ。何を言う!」
 カハ・ナスラは首をふった。彼女は奴隷ではない。もっと…そう、高位な存在だ。
「なぜ嘘だと?」アズレイ・アズルーは首を傾げニヤニヤ笑いながら、手を横に差し出した。
「舐めろ」
  
 闇の中から金の瞳のマファルターンが滲みだすように進み出て、マントを落とす。
 薄絹も付けぬ体を折って、丁重に舐め出した。魔術師の手のイボから垂れる膿を。
  
 カハ・ナスラは見て居られなくて、顔を背けて泣き出した。
  
「良くやった。マファルターン。この男を手に入れたぞ。素晴らしい材料になるだろうて」
  
「はい、愛しいお方」
 マファルターンは神官の手を執拗に舐めている。濡れた舌先が見え隠れして
 彼女がホッと息をついて、恍惚の笑みを浮かべるのをカハ・ナスラは初めて見た。
  
 彼がずっと求めて居た笑みが、他の男に注がれるのは耐え難かった。

 魔術師は己の腕にまとわりつく女を面白そうに見下ろした。
「わかったか。こいつは身も心も私の奴隷だ。来い、マファルターン、私の仕事を手伝え。
 後でたっぷり褒美をやる」
「畏まりました」
  
 酔うような薬を打たれ、朦朧となりよろめきながら、容器に閉じ込められ
 彼はたくさんの装置が並ぶ場所でぐったりと座っていた。
  
 目の前には長椅子に座った魔術師と後ろに控える美しいマファルターン。
 まっすぐな長い髪は滝のように顔を縁取り、透き通る肌が朦朧とした彼をいくらか正気に戻す。
 名前を呼ぼうとして口を開きかけた彼を、アズレイル・アズルーは見下ろした。

「もう、お前は体は動かせぬ。
 お前は優秀な護衛官だったな。鋭利な刃物で子供さえ切り捨てた。
 子殺し、と言われたな」
  
 カハ・ナスラは確かに無慈悲に子供を殺した。
 子供が王に石を投げつけたからだ。
 石は彼が叩き落とし、返す刀で切った。12歳の少年を。
  
  
  
「お前にふさわしい役目を与えよう。この館を守るのだ。
 一本の美しい樹となって側で寝ずの番をせよ。
 この館にはお前が大事に想っているマファルターンが居る。
 彼女は私無しでは生きられぬ。私を守れ。されば、マファルターンも生きのびる。

 腕の代わりに気根をつけよう。美しい花も、艶やかな葉も、魅惑の香りも。
 前から練って居たアイデアだ。この館を守る忠実で強力な妖魔が必要だとな」

 彼は「リストを」そう言って目の前に突き出した。
「オマエに授ける力だ」


 美しい花 
 素晴らしい香りの幹
 強力な幻想の気根
 睡眠をもたらす実
 食虫植物の葉
  
「ただ、陛下より注文を受けている。できるだけ苦しませて欲しい。とのことだ」
  
  
「樹は動けない、虫や鳥が体をついばむ。雷や嵐にも耐えるその全ての苦痛を一身に受けるのだ。
 葉が落ちる時も激痛が走るぞ。
 お前は苦痛だけを受け持つ。そして樹の寿命が尽きるまで苦痛は続く。眠りもない。
 私の名前を忘れるな。
 アズレイル・アズルーだ。お前はカハ・ナスラ。
 お前を解放できるのは、お前のように沢山の人を殺した男だけだ」

 彼は楽しそうに書類を確かめている。
「多分、大樹になる。何百年も生きるだろうて。
 情けをかけず、子供まで殺すような男に出会ったら、その任を渡してもよい。
 代替わりの時は私の名前を次の奴に告げるのだ。しっかりと魂に刻め
 私の名を忘れるなよ、アズレイル アズルーだ。
 樹は、お前を内包して恋をする。お前のような男に惹かれるのだ」
  
  
  
「ここに来い、マファルターン」
 歩み寄る彼女は期待に目を輝かせて、小男ににじり寄った。待ちきれないといった風だ。
  
 彼女は長椅子の側で神官に跪いた。アズレイ・アズルーは無造作に頭をなでている。
  
  
「陛下は既に彼女に夢中だ。骨抜きだぞ。ぞっこんだ。
 彼女は今、公爵夫人にのし上がっだ。そして陛下と結婚して、やがて、女王になる。
  
 だが、彼女は私の奴隷だ。
 私抜きでは彼女は存在できないのだからな。
 彼女の虜になっているという点では、お前も陛下も同じだな。
 さて、美しい毒の壺。褒美を取れ」

 醜い小男は立ち上がると服を脱ぎ、服が床に落ちる前にマファルターンが神官に絡みついた。
  
「舌を。キスしてください。もっと激しく、ください。もっと私に、愛しいお方」
  
 熱に浮かされマファルターンが言う。
 神官の身体を舐めすすりマファルターンは喉を鳴らす
「存分に私を味わうが良い、毒の壺よ、」
  
 カハ・ナスラは叫んで居たはずだった。止めてくれ、マファルターン。
 お願いだ、何度も叫んだはずだったが、声は出て居ないようだ
 目の前で、嘲笑をする小男に、白い腕を絡ませ、嬌声を上げる魔性の美女。
 醜男に腰を落とし完璧な美しい胸が上下に揺れ、
 白い肌にイボのついた黒いシミだらけの手が這い回る。
 彼女の唇が男の手を追い求める。

 苦渋しかない甘美な光景はいつまで彼の心を焼き続ける。
  
  
 カハ・ナスラは美しい苗木になった。
 肉体は艶やかな葉とカーテンのように揺れる錦糸の気根に変わり、
 物は言わないが沢山の葉をあらゆる方向を向け全てを監視する。
 そんな樹に生まれ変わった。
 あんなに恋い焦がれたマファルターンが初めて微笑みかけ、彼を腕に抱き、沼のほとりに植え付けた。

 けれども今、彼が感じるのは苦痛だけ。

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