Eternal Rain ~僕と彼の場合~

勇黄

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プロローグ

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思えばその出逢いは最悪だった。






あるバーの片隅。








「す、すみません、すみません…。
申し訳ありません…。」













今にも掴みかかろうとする
人相の悪い男に僕は必死で
頭を下げ続けていた。








あろうことか新入りバーテンの
僕、栗山星斗くりやませいと
客にぶつかってハイボールを
浴びせてしまい激しく
怒鳴られている。








(あぁ…せっかく決まった
仕事もこれでクビか…)

そう思いながら謝る。










店長が来て平謝りで
クリーニング代とタクシー代を
出してなんとか客は
怒りながらも帰っていった。









栗山くりやまくん。今日限りだね。
2週間働いた分は今の
クリーニング代とタクシー代に
消えたから払わないよ。

制服も脱いで。クビ!」









ぴしゃり、と言われ僕は
泣きながら制服を脱ぎ
店を出た。







こんな風にミスをして
クビになるのは何度目だろうか…







数えたくない気がした。
(数えられない、のほうが合ってるか…。)













店を出ると雨。








(僕はついてない…
いつもそうだ…どうして僕の人生
うまくいかないことばかりなんだろう…)









店の前の道で雨に打たれて
泣きながらしゃがみこんだ。








どれぐらいそうしていただろう。







ふと、雨が体に当たる
感覚がなくなる。









『おい?大丈夫か?風邪ひくぞ?』












傘をさしかけられて顔を
覗きこまれた僕はひどい顔を
していたと思う。









「や…。見ないで…。」









『おい…倒れても知らないよ?』









「ほっといてください…。」









手をグッと掴んでくる相手に
僕は思いきり抵抗する。









どさぁっ!










バランスを崩して倒れこんでしまった
僕は強かに頭を打ち付けて
気を失ってしまったのだった。





















気がつくと見慣れぬ天井の
模様にドキリとした星斗せいと
体を起こそうとしたが
頭がズキリ、と痛んで
いうことをきかない。










「っ、つうぅぅ…」







痛みに思わず唸り声をあげる。







『あ、起きた?』








その声の主はすぐ横にいた。
しかも………裸…?。











「!?」










『ひどく体が冷えていてさ。
震えていたから俺が
抱きしめて眠ったんだ。

あ、頭は心配ないよ。
CT撮ったけど大丈夫だった。』












そういってすり寄り
抱きしめてくる見知らぬ男に
僕は恐れおののいた。








「な、な、な…!?」








『名前、何?』








「だ、だ、だ、誰?ってか
どういう…な、何?
なにがどうなってる、の?」










『俺?俺は咲鞍栄醐さきくらえいご
どう、って…。覚えてないの?』










「…昨日、店をクビになって…
雨に打たれて…そこまでは
覚えているんだけど…」









『じゃあ、俺に抱きついて
泣いたことも覚えてないの?』








「抱きつ…!!!」
 








『頭を打ったからなぁ…
まぁ、でも、ここは病院で
俺は医者で夜中にCTとれて
なんともなくて…。

まぁよかった。
鎮静剤を打ったから
朦朧としていたのかもな。
でも可愛かったよ。』







「可愛い、って!僕、男です、よ?」








『知ってる。見たし、触った。』








「見っ!…さわっ!な!
なんて、こと、を!」
















『いやいや、ごめん。

語弊があった。濡れた服を
脱がせるときに見て
ちょっと触れてしまっただけ。』








頭がまたズキズキと痛んだ。








「うう…」








僕は頭を抱えうずくまる。








『もう少しここで寝ているといい。
トイレもシャワーも部屋に
あるから使っていいよ。 
服もあるやつ適当に着てくれていい。

ゆっくりしてて?
頭、あまり痛いようだったら
これが痛み止め。

俺、仕事してくるから。


なお、この部屋は外から鍵かけるから
中からは開かないよ。じゃ。』








まくしたてながら素早く服を着て
白衣をはおり咲鞍さきくら
名乗った男は出ていった。









「こ、こ。病院?ってか…
中から開かない、って…な、に?え?」









ドアに走りより開けようとするも
本当にまったくドアは
動く気配すらない。









「は!はだか!」








ふと見ると自分は真っ裸で…









慌ててベッドに戻り
先ほどまで自分の上に
かけてあった毛布にくるまる。










「あ、いてててて…」








苦痛に顔を歪める星斗せいと










(なにがおこっているんだ…
僕なんか悪いことした?
これって監禁?軟禁?だよね?) 









自分の体に何かされたわけでは
ないことはわかる。








だけど…なんかヤバいことだけは
ズキズキする頭の中で認識した。
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