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第五話
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赤い瞳のものは、残忍な笑みを見せた。
「さあ、続けましょう」
少女たちは姿を変えてゆく。
男に。
女に。
そして、万華鏡のように彼女の記憶から淫猥な映像が溢れ出しあたりに展開されてゆく。彼女は堕ちた。自分のより深いところにある欲情の中に。
彼女の身体は別の生き物になってしまったかのようだ。
彼女は自分の身体から溢れて行く欲情と疼きを制御できなくなっていた。
赤い瞳のものは、涙を流しながら快感にもだえ苦しむ彼女を見て、満足げにうなずく。
「姉さん、それではあなたの欲したものをあたえる」
伝承ではこう語られている。
遠い昔、天空より暗黒神が落ちてきた。
一人の少女が暗黒神と出会い、くちづけをうける。暗黒神はくちづけの際、自らの卵を少女の身体へと植え付けた。
少女の身体の中で卵は溶けていく。そして、それは何世代にも渡って伝えられていった。少女の子から子へと。
そして赤い瞳のものは、彼女にくちづけを与えた。
彼女は自分の身体奥深くに、何か異質の存在が落ちてゆくのを感じる。
彼女は気がつくと、蒼い月の光がさす礼拝堂に立っていた。全ては夢であったような気もする。しかし、自分の身体を炎のように包んでいる欲情は、紛れもない現実であった。そしてまた、下腹の中に潜む異質な存在もまた現実である。
彼女は老いた司祭が自分の前に立っているのに気がつく。司祭は堪えきれない欲情で瞳を濡らした彼女を、冷酷といってもいい瞳で見つめるとそっとため息をついた。
「なるほど、あなたはやりとげたようだ。そのことは賞賛に値するといえましょう」
下半身で渦巻いている強い快感と戦っている彼女は、その言葉を理解できていない。
司祭はそれを気にすることもなく、彼女の手をそっととると再び秘密の通路へと戻っていった。
彼女は血まみれの花嫁衣裳に包まれた熱い身体を抱きしめ、地下牢で夜明けを待つ。
彼女の意識を連れ去ろうとする欲情の大波と戦いながら。
❖
彼女は追憶から戻る。
目を開くと、そこは寝室だった。彼女は花嫁衣裳のままベッドに横たえられている。
彼女の上にまたがった蛮族の男は、彼女の服を剥ぎ取ろうとしていた。
彼女はそっと呟く。
「お願い、まずくちづけを」
蛮族の戦士は、頷くと彼女の顎を手で掴む。舌を噛み切られるのを用心しているようだ。そして、蛮族の男は強引に彼女の唇を奪った。
闇が落ちてくる。
伝承ではこう語られている。
暗黒神のくちづけを受けた少女の子孫に、ときおり赤い瞳のものが生まれる。そのものは、体内に暗黒神の卵を持つ。しかし、生命力の弱い赤い瞳のものは、その卵を孵化させることができない。
赤い瞳のものは、そこで欲情した女の身体へと卵を植え付ける。卵は女の精神から発せられる快楽の波動を受けながら成長してゆく。体内に植え付けられた卵は、赤子が母親の乳房から母乳を吸い出すように効果的に女の心と身体から快楽を引き出してゆく。
そして卵は孵化する。
ただ、孵化するときには男の身体が必要だ。
卵から孵化した幼生は男の身体へと入り込み、目覚める。新たな暗黒神として。
彼女はかつて蛮族の男だったその物体を見下ろしていた。もう彼女を責め苛んでいた欲情は去っている。しかし、変わりに恐怖が彼女を捕らえていた。
復讐はなった。
しかし、本当に拷問がはじまるのはこれからだ。
暗黒神は目を開いた。自分の身体をかつて支配していた男が精神の奥底で、恐怖と絶望の絶叫をあげるのを聞きながら。
「さあ、続けましょう」
少女たちは姿を変えてゆく。
男に。
女に。
そして、万華鏡のように彼女の記憶から淫猥な映像が溢れ出しあたりに展開されてゆく。彼女は堕ちた。自分のより深いところにある欲情の中に。
彼女の身体は別の生き物になってしまったかのようだ。
彼女は自分の身体から溢れて行く欲情と疼きを制御できなくなっていた。
赤い瞳のものは、涙を流しながら快感にもだえ苦しむ彼女を見て、満足げにうなずく。
「姉さん、それではあなたの欲したものをあたえる」
伝承ではこう語られている。
遠い昔、天空より暗黒神が落ちてきた。
一人の少女が暗黒神と出会い、くちづけをうける。暗黒神はくちづけの際、自らの卵を少女の身体へと植え付けた。
少女の身体の中で卵は溶けていく。そして、それは何世代にも渡って伝えられていった。少女の子から子へと。
そして赤い瞳のものは、彼女にくちづけを与えた。
彼女は自分の身体奥深くに、何か異質の存在が落ちてゆくのを感じる。
彼女は気がつくと、蒼い月の光がさす礼拝堂に立っていた。全ては夢であったような気もする。しかし、自分の身体を炎のように包んでいる欲情は、紛れもない現実であった。そしてまた、下腹の中に潜む異質な存在もまた現実である。
彼女は老いた司祭が自分の前に立っているのに気がつく。司祭は堪えきれない欲情で瞳を濡らした彼女を、冷酷といってもいい瞳で見つめるとそっとため息をついた。
「なるほど、あなたはやりとげたようだ。そのことは賞賛に値するといえましょう」
下半身で渦巻いている強い快感と戦っている彼女は、その言葉を理解できていない。
司祭はそれを気にすることもなく、彼女の手をそっととると再び秘密の通路へと戻っていった。
彼女は血まみれの花嫁衣裳に包まれた熱い身体を抱きしめ、地下牢で夜明けを待つ。
彼女の意識を連れ去ろうとする欲情の大波と戦いながら。
❖
彼女は追憶から戻る。
目を開くと、そこは寝室だった。彼女は花嫁衣裳のままベッドに横たえられている。
彼女の上にまたがった蛮族の男は、彼女の服を剥ぎ取ろうとしていた。
彼女はそっと呟く。
「お願い、まずくちづけを」
蛮族の戦士は、頷くと彼女の顎を手で掴む。舌を噛み切られるのを用心しているようだ。そして、蛮族の男は強引に彼女の唇を奪った。
闇が落ちてくる。
伝承ではこう語られている。
暗黒神のくちづけを受けた少女の子孫に、ときおり赤い瞳のものが生まれる。そのものは、体内に暗黒神の卵を持つ。しかし、生命力の弱い赤い瞳のものは、その卵を孵化させることができない。
赤い瞳のものは、そこで欲情した女の身体へと卵を植え付ける。卵は女の精神から発せられる快楽の波動を受けながら成長してゆく。体内に植え付けられた卵は、赤子が母親の乳房から母乳を吸い出すように効果的に女の心と身体から快楽を引き出してゆく。
そして卵は孵化する。
ただ、孵化するときには男の身体が必要だ。
卵から孵化した幼生は男の身体へと入り込み、目覚める。新たな暗黒神として。
彼女はかつて蛮族の男だったその物体を見下ろしていた。もう彼女を責め苛んでいた欲情は去っている。しかし、変わりに恐怖が彼女を捕らえていた。
復讐はなった。
しかし、本当に拷問がはじまるのはこれからだ。
暗黒神は目を開いた。自分の身体をかつて支配していた男が精神の奥底で、恐怖と絶望の絶叫をあげるのを聞きながら。
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