世界を救ったゲーマー・ファントムMAYAは、一対一で決闘する

ヒルナギ

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第三話

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 ふと目がさめる。
 ナミの部屋の馬鹿でかいベッドの上だった。高層ビルのペントハウスであるナミの部屋は、片側の天井と壁がガラス張りである。月明かりがおれの身体を蒼く染めていた。
 おれはベッドの脇のテーブルからピタースターブザンドのエクストラマイルドを一本とると、火を点ける。ナミの姿は見えない。おれはぼんやりと壮観ともいえる夜景を眺めていた。
 まだ真夜中を少し回ったくらいの時間だ。おれはニコチンが身体に行き渡ると同時に次第に意識が覚醒していくのを感じた。

「見つけたわよ」

 突然、ナミの声が上から降ってくる。
 ナミの部屋は片側は壁に面しているが、ガラス張りになっている側は二階まで吹き抜けになっていた。おれは、上に声をかける。

「何が見つかったって?」

「あなたの恋人、MAYAちんよ」

 おれは苦笑する。立ち上がるとバスローブを羽織った。
 おれは、カルヴァドスに氷をぶちこんだグラスを二つもって螺旋状になった階段を昇り、ナミのいる二階へゆく。ナミは、下着姿のままMACのパソコンの前に座っている。
 ディスプレイの明かりに照らし出されたナミは、ショウウィンドウの中のマネキンを思わせた。彼女の整った顔はレプリカントのように美しい。
 おれはナミの分のグラスを手渡すと、苦笑しながらディスプレイをのぞき込む。

「おまえさぁ、何やってんだよ、ったく」

「結構あるのよね、スーパードッグファイト関連のサイトって。あちこち回っているうちに、MAYAちんがチャットに出てきたのよ」

「へえ」

 おれは興味を持って画面をのぞき込む。

「どんな感じだよ、MAYAの野郎は」

「もぉたぁーいへん。ちょー人気ものって感じ」

「へぇ」

 おれは感心した。

「人気ものなの?」

「うっそぴょーん」

 ナミはくすくす笑う。

「まあ人気あるっつーか、アンチヒーロー?袋叩き状態ね。ばりぞうごんのオンパレードだわさ」

 おれは興味を持って画面を読み出す。スーパードッグファイト系のサイトは何度か見たことがあるし、掲示板の書き込みも多少は知っていた。MAYAの書き込みは何度か掲示板で読んだことがあるが、結構論理的でクールな書き込みだったように思う。チャットで見かけたことは無かった。ただ、おれ自身チャットに参加することがあまりなかったせいかもしれない。

ルーデル>MAYAさん、あんたがうまくて強いのは認めるが、人間としてその態度はどうかと思うよ。
サポノフ>MAYAよ、おまえなんざ、ゲームの世界でしか相手にされない所詮可哀想なやつさ。
オールズ>おまえはさ、戦闘機フェチの変態野郎だろ、結局。
ルーデル>とりあえず、謝罪したらどうだい、さっきの言葉に対して。
MAYA>その必要は認めないね。大体なぜ私のことを変態呼ばわりするやつらに謝罪なんかする必要があるんだ?
ルーデル>あなたが、人のことを馬鹿呼ばわりするからだよ。
ブダノワ>MAYAよ、おまえがランカーとの対戦で無敗なのは知ってるけど、負けたやつを屑よばわりするのはいただけないな。
サポノフ>思考回路が壊れてんだろ。現実世界で人間関係破綻してっから、ゲームに浸りきってんだよ。あーきもちわりぃ、やだやだ。
MAYA>弱いやつは弱いし、負けたやつに気を遣うつもりもない。大体それのほうが失礼だろ。おまえらの私に対する言葉のほうが、どうかしてるね。
MAYA>負けて馬鹿にされるのがいやなら勝てばいい。勝てないなら初めからゲームをしなけりゃいい。違うか?
ルーデル>それは違うだろ。
MAYA>とにかく私に文句があるならまず私に勝てよ。そうしたら好きなだけ謝ってやるさ。

 おれは苦笑する。議論はループしているようだ。感情的になっているのはMAYA以外の連中らしい。MAYA自身はあきれるばかりに毅然としている。まあ、それがかえって反感をかってるようだが。
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