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第十一話
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その日は酷い雨だった。ずぶぬれになったMAYAが走ってくる。おれはランドローバーディスカバリーの助手席のドアを開けた。MAYAが入ってくる。
「これがおまえの車なの、しぶいじゃない」
おれはMAYAにタオルを渡すと無言のまま、車を発進させる。
「それにしても学校まできて呼び出すなんて、驚いたよ。一体何があったのか説明してくれるんでしょう?」
「人類を救うため戦ってほしい、といったらどうする?」
MAYAは苦笑した。
「本気なわけ?」
「80%くらいは」
MAYAはため息をつく。
「この間のゼロの件が関係しているの?」
「まあそうだ」
雨の中、おれは車を高速に乗せると、全速でとばす。
「ゼロは宗教団体プルシャ・スークタに関係している。プルシャ・スークタはこの間おまえとゼロが対戦したあのシステム、通称GARDAシステムを使ってF15を一機手中に納めた。経緯をいえば太平洋上で行方不明になったF15が、一機あったことを知ってるだろう」
MAYAは、冷笑を浮かべているようだ。
「ニュースで見たよ」
「それだ。まだメディアには、正確な情報は流されていない。プルシャ・スークタはタンカーを改造した疑似航空母艦を持っている。船籍はロシア。現在は太平洋の領域外を航行中。F15はそこにあった。今朝までね」
「今朝まで?」
「1時間ほど前プルシャ・スークタと思われる組織から日本政府へ声明があった。ミーシャウィルスを積んだF15が太平洋上日本に向かっていると」
「ミーシャウィルス?」
「インフルエンザ並の感染力を持つエボラウィルスだと思ってくれればいい。1000万ドルをプルシャ・スークタは要求している。米ドルだよもちろん」
MAYAは苦笑した。
「そのF15を国防隊が撃ち落とせばいいのでしょう。簡単じゃない。私の行く理由が判らないな」
「国防隊機が接近してくれば、手近な島へウィルスを積んだミサイルを打ち込むといっている。その島民は全身が腐敗して死ぬことになる」
「じゃ私が行ってもおなじだな。1000万ドル支払うことだね」
「おそらくゼロがそのF15をコントロールしているはずだ。ナミがゼロを押さえるために公安と機動隊を動かしているが、時間が足りない。というかリスクが高い。やつがソビエト空軍を除籍された理由は、精神分裂病と診断されたためだ。ソビエトの精神科医の診断が持つ信憑性に疑いはあるが、やつはまともじゃない。プルシャ・スークタにコントロールされているとは信じられない」
MAYAは肩を竦める。
「いっとくけど私は一介の女子高生だよ」
「もちろん」
雨の中、おれのディスカバリィは凄まじい速度で走っている。パトカーの先導を頼むべきだったかなと少し後悔していた。
「いやならいい。今なら戻れる。引き受ける理由は何もないはずだ。時間が少ない。決断するなら早くしてくれ」
「行くよ」
MAYAは穏やかな笑みを見せた。
「私は生まれてからこのかた、誰からも必要とされていないと思っていたよ」
「馬鹿いえ」
おれはMAYAに笑いかける。
「これはリベンジのチャンスだよ。おまえが、世界に対する」
MAYAは不思議そうにおれを見る。
「行くなら勝て。そして世界を自分の足下に跪かせろ」
「当然だね」
MAYAは初めて楽しそうな笑みを浮かべた。
「これがおまえの車なの、しぶいじゃない」
おれはMAYAにタオルを渡すと無言のまま、車を発進させる。
「それにしても学校まできて呼び出すなんて、驚いたよ。一体何があったのか説明してくれるんでしょう?」
「人類を救うため戦ってほしい、といったらどうする?」
MAYAは苦笑した。
「本気なわけ?」
「80%くらいは」
MAYAはため息をつく。
「この間のゼロの件が関係しているの?」
「まあそうだ」
雨の中、おれは車を高速に乗せると、全速でとばす。
「ゼロは宗教団体プルシャ・スークタに関係している。プルシャ・スークタはこの間おまえとゼロが対戦したあのシステム、通称GARDAシステムを使ってF15を一機手中に納めた。経緯をいえば太平洋上で行方不明になったF15が、一機あったことを知ってるだろう」
MAYAは、冷笑を浮かべているようだ。
「ニュースで見たよ」
「それだ。まだメディアには、正確な情報は流されていない。プルシャ・スークタはタンカーを改造した疑似航空母艦を持っている。船籍はロシア。現在は太平洋の領域外を航行中。F15はそこにあった。今朝までね」
「今朝まで?」
「1時間ほど前プルシャ・スークタと思われる組織から日本政府へ声明があった。ミーシャウィルスを積んだF15が太平洋上日本に向かっていると」
「ミーシャウィルス?」
「インフルエンザ並の感染力を持つエボラウィルスだと思ってくれればいい。1000万ドルをプルシャ・スークタは要求している。米ドルだよもちろん」
MAYAは苦笑した。
「そのF15を国防隊が撃ち落とせばいいのでしょう。簡単じゃない。私の行く理由が判らないな」
「国防隊機が接近してくれば、手近な島へウィルスを積んだミサイルを打ち込むといっている。その島民は全身が腐敗して死ぬことになる」
「じゃ私が行ってもおなじだな。1000万ドル支払うことだね」
「おそらくゼロがそのF15をコントロールしているはずだ。ナミがゼロを押さえるために公安と機動隊を動かしているが、時間が足りない。というかリスクが高い。やつがソビエト空軍を除籍された理由は、精神分裂病と診断されたためだ。ソビエトの精神科医の診断が持つ信憑性に疑いはあるが、やつはまともじゃない。プルシャ・スークタにコントロールされているとは信じられない」
MAYAは肩を竦める。
「いっとくけど私は一介の女子高生だよ」
「もちろん」
雨の中、おれのディスカバリィは凄まじい速度で走っている。パトカーの先導を頼むべきだったかなと少し後悔していた。
「いやならいい。今なら戻れる。引き受ける理由は何もないはずだ。時間が少ない。決断するなら早くしてくれ」
「行くよ」
MAYAは穏やかな笑みを見せた。
「私は生まれてからこのかた、誰からも必要とされていないと思っていたよ」
「馬鹿いえ」
おれはMAYAに笑いかける。
「これはリベンジのチャンスだよ。おまえが、世界に対する」
MAYAは不思議そうにおれを見る。
「行くなら勝て。そして世界を自分の足下に跪かせろ」
「当然だね」
MAYAは初めて楽しそうな笑みを浮かべた。
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