世界を救ったゲーマー・ファントムMAYAは、一対一で決闘する

ヒルナギ

文字の大きさ
13 / 14

第十三話

しおりを挟む
 交渉の終了を見て、ナミは深々とため息をついた。

「恭平、あんた人生なめすぎよ」

「いいじゃねぇか、それで生きてこれたんだし」

 その時部屋へ入り込んできたおっさんたちに、ナミが言った。

「ゼロはこちらの申し出に、一対一だけを条件に応じました。MAYAの機体はブリーフィングが完了すると同時に出発します」

 おっさんたちのどよめき。後はばらばらの私語。
 甲賀がおれたちのそばに来た。

「でるよ、MAYAが」

 おれたちは、ヘッドギアをつけようとしているMAYAのそばにいく。ナミ囁きかけた。

「MAYAさん、5分。5分だけゼロの意識を戦闘に集中させて。その間に機動隊が展開して突入をかけるから」

「OK、5分だね」

 おれはMAYAの肩を叩く。

「勝てよ、MAYA」

「当たり前だ。ゼロなんか相手に負けるはずがないじゃない」

 おれは、MAYAの言葉に安心し、その場を離れる。プロジェクターにMAYAのF4EJが空母から離陸する様が映し出された。ゼロとの接触まで10分ほどのはずだ。

「どう思う、恭平?」

 ナミの顔は、こちらが思わずぞっとするほど不安に満ちたものだった。むろんおっさんたちから見えない角度に顔を向けているが。

「判らんね。本当に飛行している戦闘機に接続した戦闘は初めてだからな。シミュレータとの差は色々でるだろうさ」

「だから私の聞きたいのは」

「いや、判るよ。5分ならなんとかもたせてくれるよ。天才だからなMAYAは」

 ナミは頷く。しかし、顔から不安は消え去らない。
 しばらく沈黙が続く。おっさんたちも黙ったままだ。コンソールを見つめていた甲賀が呟く。

「ゼロと接触した。始まるぞ」

 戦闘空域全体に量子リンク式ECMで通信妨害が行われているため、レーダーも通信機器も役に立たない。ただ、GARDAシステムは量子テレポートを利用して通信するためECMの影響は受けないので映像は全てMAYAが見ているものになった。
 MAYAの見ている映像は、プロジェクターでスクリーンに投影されている。量子リンク式ECM影響化では、ミサイルが使用出来ない。大昔のようにドッグファイトで戦闘機は戦うしかなくなる。MAYAのF4EJはドッグファイトに突入し映像が大きく歪み目まぐるしく回転した。見入っていると吐き気を催しそうなほど激しい動きだ。

「やばいな、頭を押さえられた」

 甲賀が呟く。別のスクリーンには、ゼロの見ているであろう映像も写されている。そこには確かにF4EJの姿があった。最初のポジションどりを制したのはゼロのF15らしい。
 機動隊への展開の指示を終えたナミが、呟く。

「やっぱりMAYAには、F35を使わせるべきだったんじゃないの?」

「ばかいえ、量子リンクECM影響化でステルス戦闘機のメリットは無いぜ」

 おれはナミの肩を叩く。

「信じてやれよ、ここまで来たんだから」

 ナミは頷く。腹が決まったのか、嘘のように不安の色が表情から消えている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます! 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。

処理中です...