【R18】モンスター・プリンス

ヒルナギ

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第四話

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 その瞬間、黒衣のおんなは闇の中へと解けて消える。

 フランケンシュタインは、刺青に彩られた顔を横へ向けた。

 その空間が、歪みはじめる。

 フランケンシュタインがパイファー・ツェリスカを向けた空間が、陽炎が立ち昇る形にゆらりと揺れた。

 そして、その中から黒い僧衣を纏う美しいおんなが姿をあらわす。

 エイレシアで、ある。

 彼女は、巨大なパイルバンカーを肩に担ぐとそれをフランケンシュタインのほうへと向けていた。

 一方、エンハウンスは剣を退き、憑神から距離をとる。

 ドラキュラは、闇の中に蹲り回復を待っているようだ。

 フランケンシュタインが、エイレシアに笑みを投げる。

「死すと同時に、平行して存在する宇宙から生きた身体を取り出して蘇るか。さすがヴァチカンの造った戦闘機械だけあってたちが悪い」

 エイレシアは、花のような笑みで答える。

「狂った科学の産み落とした、迷い子よ。第七聖典が、お前を導いてくれるだろう」

 フランケンシュタインは、大笑する。

「レトロウィルスで幹細胞に遺伝子をコピーして造った人造人間に、聖書から作り出した呪が通用すると思っているなら、おめでたすぎるぞエイレシア」

 フランケンシュタインは、優しく囁く。

「今宵は一旦退くことだ、ヴァチカンの殺し屋たち。夜は、今宵が最後ではないぞ」

 エイレシアは、鼻で笑う。

「フランケンシュタイン、お前は北極海の氷河で眠っていたかと思ったが、一体なぜこんなところへきたんだ?」

 フランケンシュタインは、整った死者の顔に遠くを見る眼差しを浮かべる。

「おれは生まれ落ちた時から、理解できぬ怒りと憎しみにこころを蝕まれていた。その嵐のような感情から解き放ってくれたのが、氷河の底で出会ったあの方なのだ」

 エイレシアは、詠唱するように呟く。

「また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。その尾は天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地になげ落とした。龍は子を産もうとしている女の前にたち、生まれたなら、その子を食い尽くそうとかまえていた」

 エイレシアの瞳が、冷たく輝いた。

「では、明けの明星が今宵蘇ると言うのか」

 フランケンシュタインは、静かに首を振る。

「蘇るのは、あの方の息子」

 その瞬間、フランケンシュタインは頭を撃ち抜かれ言葉を止める。

 赤い血が、夜に花がひらくように飛び散った。

 一同は、一斉に月が輝く夜空を見上げる。

 巨大な鉄の塊がふたつ、空中に浮いていた。

 ジェットパックを装備した外骨格アーマーが、ホバリンクしている。

 手にした重機関銃が火を吹き、憑神の身体を貫く。

 憑神は獣の唸り声をあげながら、血だまりの中を後退する。

 外骨格アーマーはそれぞれ、エイレシアとエンハウンスのそばに着地した。
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