【R18】存在の耐えられない軽さ

ヒルナギ

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第三話

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 おれも、車の操作に没入し、意識をシャットアウトした。

 おれは機械。

 世界はうすっぺらくでたらめで、ひとを容赦なくただのものへと貶めたりもするけれど。

 おれは今機械であり、なにも形を作れない渦巻く闇と影たちを切り裂き引き裂き砕いて散らして、道を造り出してゆく。

 そう。

 おれは、自分の道を造り出していた。

 おれはおれの中で完結し、より深くおれの中に沈み込んでゆく。

 そのため、おれは自分自身の追憶に飲み込まれていった。

 そう、あれは一年前のことだったか。



 おれはようやく、アジトのひとつに辿り着く。

 滴る血が床を濡らしてゆくが、気にしている余裕は無い。

 おれは殺風景で作業用の机と金属のベッドがあるきりの部屋で、血に塗れ傷だらけになった革のジャケットを脱ぎ去る。

 はっ、と気配を感じ腰につけたコンシールドホルスターからデトニクス四五コンバットマスターを抜いて、ベッドに向けた。

 迂闊だった。

 ベッドにひとがいることに、気が付かないとは。

 おれは、片手でセフティを外したデトニクスを構えたまま、ベッドのシーツを剥ぎ取る。

 中から出てきたのは、おんなだった。

 雪のように白い肌ををして、流れる水で作ったというかのように滑らかで流線形の裸体をもつおんなは、眠気まなこをひらく。

 不機嫌な猫のように眉間に皺をよせたおんなが、呟いた。

「え、何? 眠いんだけど」

 おれは、苦笑しデトニクスにセフティをかけると作業机に放り出す。

 おんなは眠たげな目を瞬かせて、おれを見ている。

 そう、昨夜拾ってここに来るようにいったおんなだ。

 おれは血に塗れ、あちこちを切り裂かれ襤褸布のようになった服を脱ぎ捨ててゆく。

「なんか随分、賑やかな身体になってるね」

 おんなは寝ぼけた声をだし、おれは苦笑する。

 傷口からは血が流れ続けているが、とりあえず放っておいておれは冷蔵庫からバドワイザーを出しそれでモルヒネの錠剤を胃へ流し込む。

「あんたは、裁縫は得意か?」

 おれの問いに、おんなは目を瞬かせる。

「え、苦手かな?」

 おれは、薄く笑う。

「そうか、だったらいい」

 おんなは不思議そうな顔をして、問を発する。

「まさか、そこの服を縫うわけじゃないよね」

 おれはミネラルウォーターで傷口を洗うと、消毒してベッドに座る。

「ああ。服じゃあ無くて傷を縫うんだ」

 おんなは、目を瞬かせる。

「いや、それは裁縫得意でも無理かな」

 おれは傷口を縫いながら、無理やり笑みを浮かべる。

「簡単さ、あんたでもやればできるよ」

 おんなは、むうっとうなる。

「じゃあ、こんどやってみるわ」

「ま、やるなら自分のをな」
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