ミュータント少女 vs ニンジャ【R18】

ヒルナギ

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第一話

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 いつの頃からか、この街には色々なものが流れついてくるようになった。

 もともと移民の国であるから様々なひとがいて当然ではあるが。

 東の大洋を越えてA10弾道弾が2発飛来して、反応兵器と呼ばれる爆弾を炸裂させた結果、首都が崩壊してからは。

 ひととも獣ともつかぬ、様々なものが流れてくるようになったのではあるが。

 今、彼女の目の前に座っている死神のような漆黒の長衣を纏ったおとこは別格であった。

 彼女は、カウンターの後ろにある棚から得体の知れぬ安いウイスキーを取り出すと、おとこの前にあるグラスへと注ぐ。

 彼女は、無表情のままグラスを傾けるおとこの顔を、猛禽のように鋭い瞳でみつめる。

 彼女は美しくはあったが、その鋭い瞳と顔に深く刻まれたいくつもの皺が近寄りがたい印象を与えていた。

 おとこは、そんなことには一切気にかけたようすもなく、さして旨くもなさそうに酒を飲み干す。

 眼差しで求められるまま、彼女は酒をつぎたした。

 そのおとこの無表情な顔は、東洋人のようだ。

 腰には、ひとふりの刀をさしている。

 何年か前に映画で見た、東洋の島国でサムライと呼ばれる騎士が帯びる剣と似ていた。

 彼女もまた、腰には45口径という物騒な銃弾を装填した軍用拳銃をさしていたが、そのおとこが腰にさしている刀はもっと違う忌まわしいものを帯びているようだ。

 それは、あたかもひとの血を見るために産み出されたものであるというかのような。

 何か狂おしい呻きが聞こえてくるような。

 そんな剣である。

 そして、そのような刀を身に付けているそのおとこが、彼女には魔かもののけの類いのようにも思えたのだが。

 グラスを傾けるその姿は、どこにでもいる平凡な東洋人のようでもある。

 おとこは突然、ふと眼差しをあげた。

 それとほぼ同時に、銃声がした。

 おそらく、拳銃弾を撃ったおと。

 おとこは、影のような黒い姿でゆらりと立ち上がった。

 彼女は思わず、声をかける。

「やめときな、かかわり合いにならないほうがいい」

 おとこは、不思議なものを見るような瞳で一瞬彼女のほうを見たのだが。

 何も口にせず、店の外へと向かう。

 彼女はカウンターから出ると、おとこの後に続いた。

 彼女は、灰色の空から降る日差しに少し目をしかめる。
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