ミュータント少女 vs ニンジャ【R18】

ヒルナギ

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第三話

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 黒衣のおとこは、地を這うものを立たせる。

 ぼろ布の間から垣間見えたのは、おんなの身体であった。

 それもひどく艶めかしい、成熟した身体である。

 おとこは、荷物を担ぐようにそのおんなの身体を肩にかつぐ。

「判っているのか」

 彼女は、苛立った声でおとこに言う。

「それは多分ひとの姿をしているが、ひとではない。前の大戦で使用された反応兵器が生んだミュータントだ」

 おとこは、遠いところから聞こえてくるような声でこたえる。

「ひとの姿をしていれば、おれには十分だ」

 おとこは歩き出すと、背中で彼女に言った。

「ひとの姿をしたものは、ひとの理に縛られるのだからな。二階の部屋を借りるぞ」

 彼女はおとこを、見送るしかなかった。



 おとこは、荷物のようにシャンブロウと呼ばれるおんなをベッドに投げ出す。

 そして、無造作にその身を覆っていた布を剥ぎとる。

 おんなの姿が、顕になった。

 身に付けているものは下着だけで、それもあちこち破れて肌が露出している。

 陶器のように白く輝き、爬虫類を思わせるぬめりをもった肌だ。

 妖艶、といってもいい身体だった。

 そしてその身体には全く毛が生えているように見えないのだが、ただ頭髪だけは。

 赤く燃え盛るような髪が、渦巻いている。

 まるで、濡れているように艶があり血を啜ってきたかのように鮮やかな真紅を放つ髪がおんなの頭を覆っていた。

 おとこは一瞬その赤い髪が意思あるもののように、おんなの頭で蠢いた気がしたが。

 気の所為であろうと苦笑を放つだけで、放置する。

 おとこはうつむいた顔をよく見るために、顎に手をかけると前を向かせる。

 おとこは、はっと息を飲んだ。

 赤い髪の下から覗くその瞳のある部分には、ひとの目はない。

 変わりにあるものといえば、水晶のような輝きをもった球体である。

 その奥で、七色の光が火花を散らしていた。
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