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第四十九話【新宿編】
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そこは青い光に満たされていた。
青い空間。
静かで儚げな色に満たされている。
薄暗く、そして透明な世界。
満たされているのは、水だった。巨大な水槽が壁面のひとつに嵌め込まれている。
その巨大な水槽の中に白い影があった。
まるで湖の底であるかのような、静寂に満ちた空間だ。私は自分の頭の中が、青い波動に埋め尽くされていくのを感じる。
これはいつもの白昼夢だった。私は自分が幻覚の中にいるのか、現実にいるのか区別がつかなくなっている。全てはこの瞬間のために用意されていたことのようだ。
青い光。
それは無数の微粒子となり、あたりを漂う。
きらきらと。
私の心の中もそれで満たされていく。
白い影。それは巨大だった。およそ、4メートルくらいはあるだろうか。何か大きな海獣を思わせる。
しかし、それは違った。青い闇の中から浮き上がってくるその白いもの。それはまぎれもなく、人間の形をしている。
青い空間を遊弋する白い人影。その巨人は、黄金の髪を持ち、金色の瞳を持つ。その青い瞳、仄暗い空間の中でサファイアの輝きを放つその瞳がゆっくりと、私のほうを、向く。
私がその瞳に映る。
そして、その巨人の顔は、私だった。
私が私を見つめている。
私は青い闇を漂う。
浮遊。
無数の青い微粒子が轟音となって私の体を覆ってゆく。世界が揺らいでいた。私は私を見つめる。バーレットを構え水槽を凝視している私を見つめていた。
青い。
轟音が。
世界を覆い尽くす。
「ここは、一体なんや」
唐突に発せられた莫邪の声が私を現実に引き戻す。私たちが兎の耳を持つロボットによって導かれたその部屋には巨大な水槽がある。そして、そこに漂うのは全長4メートルの巨人。
私たちのいる部屋は、ちょっとしたホールくらいの広さはある。水槽の大きさは、奥行きはよく判らないが、私たちに見えている部分は映画館のスクリーンくらいはあるだろうか。
巨人は生きているのだろうか。ここから見ただけでは、判らない。ただ死体の持つ淀んだ雰囲気は無い。むしろ眠っているように見えた。瞳を開いたまま、白昼夢の虜となっているかのように思える。
莫邪はブラックソウルを見ていった。
「おまえは、これを知っていてここへきたんやな。どういうことか説明してくれ」
ブラックソウルは薄く笑っている。その笑みを頬に貼り付けたまま、呟いた。
「それはおれの仕事じゃない」
ブラックソウルの眼差しの先には、兎の耳をしたロボットがある。ロボットは方向を転換し、私たちのほうを向いた。突然、そのロボットの前面装甲が開く。
中から小さな人間が姿を現す。身長は1メートル以下だろうか。6歳子程度の大きさだ。
ただ、いわゆる小人や子供と大きく違うのは、その身体を構成する比率だった。普通、小さな人間は頭の大きさが身体に対して大きくなるものだ。しかし、その小さな人間は、普通のサイズの人間をそのまま縮小したような比率の身体を持っている。
いうなれば、人間を縮小コピーしたような身体とでもいえばいいだろうか。
その縮小された人間は笑みを浮かべていった。
「ようこそ、グランドゼロ・アンダーワールドの中心へ。私が、クライン・ユーベルシュタインだ」
青い空間。
静かで儚げな色に満たされている。
薄暗く、そして透明な世界。
満たされているのは、水だった。巨大な水槽が壁面のひとつに嵌め込まれている。
その巨大な水槽の中に白い影があった。
まるで湖の底であるかのような、静寂に満ちた空間だ。私は自分の頭の中が、青い波動に埋め尽くされていくのを感じる。
これはいつもの白昼夢だった。私は自分が幻覚の中にいるのか、現実にいるのか区別がつかなくなっている。全てはこの瞬間のために用意されていたことのようだ。
青い光。
それは無数の微粒子となり、あたりを漂う。
きらきらと。
私の心の中もそれで満たされていく。
白い影。それは巨大だった。およそ、4メートルくらいはあるだろうか。何か大きな海獣を思わせる。
しかし、それは違った。青い闇の中から浮き上がってくるその白いもの。それはまぎれもなく、人間の形をしている。
青い空間を遊弋する白い人影。その巨人は、黄金の髪を持ち、金色の瞳を持つ。その青い瞳、仄暗い空間の中でサファイアの輝きを放つその瞳がゆっくりと、私のほうを、向く。
私がその瞳に映る。
そして、その巨人の顔は、私だった。
私が私を見つめている。
私は青い闇を漂う。
浮遊。
無数の青い微粒子が轟音となって私の体を覆ってゆく。世界が揺らいでいた。私は私を見つめる。バーレットを構え水槽を凝視している私を見つめていた。
青い。
轟音が。
世界を覆い尽くす。
「ここは、一体なんや」
唐突に発せられた莫邪の声が私を現実に引き戻す。私たちが兎の耳を持つロボットによって導かれたその部屋には巨大な水槽がある。そして、そこに漂うのは全長4メートルの巨人。
私たちのいる部屋は、ちょっとしたホールくらいの広さはある。水槽の大きさは、奥行きはよく判らないが、私たちに見えている部分は映画館のスクリーンくらいはあるだろうか。
巨人は生きているのだろうか。ここから見ただけでは、判らない。ただ死体の持つ淀んだ雰囲気は無い。むしろ眠っているように見えた。瞳を開いたまま、白昼夢の虜となっているかのように思える。
莫邪はブラックソウルを見ていった。
「おまえは、これを知っていてここへきたんやな。どういうことか説明してくれ」
ブラックソウルは薄く笑っている。その笑みを頬に貼り付けたまま、呟いた。
「それはおれの仕事じゃない」
ブラックソウルの眼差しの先には、兎の耳をしたロボットがある。ロボットは方向を転換し、私たちのほうを向いた。突然、そのロボットの前面装甲が開く。
中から小さな人間が姿を現す。身長は1メートル以下だろうか。6歳子程度の大きさだ。
ただ、いわゆる小人や子供と大きく違うのは、その身体を構成する比率だった。普通、小さな人間は頭の大きさが身体に対して大きくなるものだ。しかし、その小さな人間は、普通のサイズの人間をそのまま縮小したような比率の身体を持っている。
いうなれば、人間を縮小コピーしたような身体とでもいえばいいだろうか。
その縮小された人間は笑みを浮かべていった。
「ようこそ、グランドゼロ・アンダーワールドの中心へ。私が、クライン・ユーベルシュタインだ」
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