上 下
60 / 155
君じゃなきゃダメなんだ!

7

しおりを挟む

なんとか終電には間に合って、それからマンションに着くまで私はドキドキしながら類くんの隣に立っていた。

ちらっと類くんを見上げても、彼はいつも通り通常運転ですまし顔。

私はと言うと、さっきからドキドキしすぎてほっぺが熱い。


「ん」

「あ、ありがと」


玄関のドアを開けてもらい中に入る。

廊下を抜けてリビングに着くと、類くんはシャワーを浴びに風呂場に行ってしまった。

何か一言くらい声かけてよ…とも思うが、いつも通りの類くんになんだか笑みが溢れる。


その間ソファに座っていたが、なんだかここにいると類くんのキレ散らかした顔が思い浮かんできてしまって私はふるふると首を横に振ってかき消した。


「シャワー、浴びる?」

「あ、うん」


いつの間にか上がっていた類くんに声をかけられて脱衣所に足を踏み入れる。

類くんが出た後の湿った温かい空気にドキッとした。


「シャンプーとか勝手に使っていいから。あと何か着る?」

「で、出来れば…」

「じゃあ出しとく」

「じぃー…っ」

「…なんだよその目は」

「…類くんが優しすぎる」

「…着替えいらないって事だな」


ぴしゃんっとドアを閉められて嘘だよー!と私は嘆いた。

うん、嘘。
やっぱり類くんは優しくない。

でもシャワーを浴びて風呂場を出ると、結局ちゃんと大きな類くんのTシャツを出してくれていて私は思わずにんまりしてしまった。

その類くんのTシャツの匂いを盛大に堪能してから着る。

しばし鼻と肺を潤してから寝室に行くと、類くんはベットの上で本を読んで待ってくれていた。


「着替え、ありがと」

「ん」


ぱたん、と類くんは本を閉じる。

私は鞄に入れていたクリームとリップを塗って、肌を応急処置しておく。

そしてベットに上がると早速類くんにぺろっと服の下を捲られた。


「ギャッ!何すんの?!」

「下履いてねえの」

「…だって、汗で汚れてたし、Tシャツおっきいから短いワンピースだと思えばいいかなって」

「ふーん」


と彼はまた真顔でTシャツの上から胸をもにゅっと揉んだ。

いろいろ忙しいな!と私は咄嗟に胸を手で隠した。


「何すんのよさっきから!おもむろに!」

「俺の部屋で俺の服着て俺のベットの上にいるんだから触ったっていいだろ」


なんだその超俺様理論は!

そう文句を言ってやろうと口を開くと類くんは私を抱き寄せた。
 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私の婚約者は、いつも誰かの想い人

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:67,056pt お気に入り:4,230

終R18 気弱なサンタは、クリプレガチャをお届け中!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:61

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:6,177pt お気に入り:1,363

オ・ト・ナの、お仕事♪~俺様御曹司社長の甘い溺愛~【完結】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:560pt お気に入り:658

さげわたし

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,534pt お気に入り:1,234

生徒会×幼馴染み=下克上!?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:284pt お気に入り:37

愛魂aitama~月の寵辱~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:759pt お気に入り:217

【R18】愚かな旦那様~やり直しの初夜は遠い夢~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,313pt お気に入り:2,495

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:8,416pt お気に入り:301

潔癖の公爵と政略結婚したけど、なんだか私に触ってほしそうです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:38,006pt お気に入り:771

処理中です...