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君じゃなきゃダメなんだ!
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しおりを挟むなんとか終電には間に合って、それからマンションに着くまで私はドキドキしながら類くんの隣に立っていた。
ちらっと類くんを見上げても、彼はいつも通り通常運転ですまし顔。
私はと言うと、さっきからドキドキしすぎてほっぺが熱い。
「ん」
「あ、ありがと」
玄関のドアを開けてもらい中に入る。
廊下を抜けてリビングに着くと、類くんはシャワーを浴びに風呂場に行ってしまった。
何か一言くらい声かけてよ…とも思うが、いつも通りの類くんになんだか笑みが溢れる。
その間ソファに座っていたが、なんだかここにいると類くんのキレ散らかした顔が思い浮かんできてしまって私はふるふると首を横に振ってかき消した。
「シャワー、浴びる?」
「あ、うん」
いつの間にか上がっていた類くんに声をかけられて脱衣所に足を踏み入れる。
類くんが出た後の湿った温かい空気にドキッとした。
「シャンプーとか勝手に使っていいから。あと何か着る?」
「で、出来れば…」
「じゃあ出しとく」
「じぃー…っ」
「…なんだよその目は」
「…類くんが優しすぎる」
「…着替えいらないって事だな」
ぴしゃんっとドアを閉められて嘘だよー!と私は嘆いた。
うん、嘘。
やっぱり類くんは優しくない。
でもシャワーを浴びて風呂場を出ると、結局ちゃんと大きな類くんのTシャツを出してくれていて私は思わずにんまりしてしまった。
その類くんのTシャツの匂いを盛大に堪能してから着る。
しばし鼻と肺を潤してから寝室に行くと、類くんはベットの上で本を読んで待ってくれていた。
「着替え、ありがと」
「ん」
ぱたん、と類くんは本を閉じる。
私は鞄に入れていたクリームとリップを塗って、肌を応急処置しておく。
そしてベットに上がると早速類くんにぺろっと服の下を捲られた。
「ギャッ!何すんの?!」
「下履いてねえの」
「…だって、汗で汚れてたし、Tシャツおっきいから短いワンピースだと思えばいいかなって」
「ふーん」
と彼はまた真顔でTシャツの上から胸をもにゅっと揉んだ。
いろいろ忙しいな!と私は咄嗟に胸を手で隠した。
「何すんのよさっきから!おもむろに!」
「俺の部屋で俺の服着て俺のベットの上にいるんだから触ったっていいだろ」
なんだその超俺様理論は!
そう文句を言ってやろうと口を開くと類くんは私を抱き寄せた。
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