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第四部
懐かしい人
「まぁ、ディルク様?」
お義姉様が珍しく声を上げたけれど、私も息も忘れて声の主を見上げてしまったわ。私よりも少し暗めの金の髪には僅かな癖を含み、温かみのある茶の瞳は垂れた眦で一層優しく映る。最後に会ったのは十年くらい前。その頃の面影を残しながらも年を重ねた落ち着きが見えて、その歳月の長さを感じさせたけれど……
「ディ、ディルク兄様? ほ、本物?」
「何だイルーゼ、幽霊にでも会ったような顔して」
砕けた物言いと少し高めの声、そして柔らかな笑顔は昔と変わらなかった。
「戻ってきていらしたの? いつの間に?」
逸る気持ちを抑えてゆっくりと歩み寄れば、あの頃にはなかった目じりの皺が深く刻まれた。忘れようったって忘れるわけないわ。父の弟のルーク叔父様の次男で、家族や兄姉からぞんざいに扱われていつも一人だった私を何かと気にかけてくれて、実の兄よりも兄らしかった従兄。ハリマン様と婚約する少し前にサザール大使の従者の一人として彼の国に渡ったきりで、婚約してからは外聞を憚って手紙のやり取りも途絶えていたけれど……
「上司のバーデン侯爵が一時帰国されてね。俺も久しく国に帰っていないから、たまには実家に顔を出してくるようにって言われたんだ」
「そうだったのね。それにしても……懐かしいわ。お元気そうでよかった」
他国に駐在している大使に同行となると安全とは言い難い。何かが起きれば人質にもなり得るから。そりゃあ、兄様がサザールにいて恙なく過ごしているのはヴォルフ様からも聞いていたけれど。
「二人とも綺麗になって見違えたよ。立派な貴婦人になったね」
目を細め僅かに首を右に傾けて私を見下ろす兄様だけど、そんな仕草も変わらないわね。
「兄様こそ、貫禄がついてすっかり大人の男性って感じだわ」
「ははっ、見違えてくれたか?」
「ええ。素敵になったわ」
最後に別れた時、兄様は二十歳を過ぎたくらいだった。あの頃はとても大人に見えていたけれど、今ならまだ幼さが残っていたのだとわかる。
「しかし、まさか君があのゾルガー侯爵の夫人になるとは思わなかったよ」
「ふふっ、私もよ」
「それで、何があったんだ? 父上に聞いても詳しいことはわからないと言うばかりだし。そもそもゾルガー家と縁を結ぶのはフィリーネの予定だっただろ?」
兄様がちらっと後方を気にして囁いた。その方角にはフィリーネ様が夫の隣で大人しく挨拶を繰り返している。色々あったけれど二年前に再婚し、昨年には男児も産んで順調そうだけど、昔のフィリーネ様しか知らない兄様には奇異に映ったかもしれないわね。
「ええ、まぁ、色々あったのよ。その話はまた今度ね」
叔父様は何も仰らなかったのね。ガウス家の醜聞でもあるし、善良な叔父様は人を悪く言うようなことは好まれないから。兄様になら話してもいいかしら? でも、それでもさすがにここでは憚られるわ。きっとこの会話だって聞き耳を立てている人はいるでしょうから。
「そうだな、確かにここは目と耳が多過ぎる。ああ、外に出ないか? ちょっと暑くなってきたし」
兄様が示したのは少し離れた先にあるバルコニーだった。確かに会場は人の熱気で汗ばむくらいだけど……お義姉様も一緒だから問題ないわよね。ヴォルフ様は……アルトナー侯爵に捕まっているわ。わざわざ知らせる必要はないし、フローラや護衛をみればわかるわよね。
バルコニーに出ると僅かに冬の名残を含んだ風が溜まった熱を連れて行ってくれた。フローラと護衛が静かに入口に佇み、私たちは手摺のところまで進む。兄様とほとんど面識のないお義姉様は少しだけ距離を取っている。気を使ってくださったのね。涼しいと感じられるのは日差しのせいね。夜会と違って中盤になってもまだ日が高い。庭では散策している姿があちこちに見えるわ。
「すっかり侯爵夫人なんだな」
「ふふ、もう六年にもなりますもの。さすがに慣れましたわ」
まだまだ戸惑うことはたくさんあるけれど、王族の御前でも緊張して頭が真っ白になることはなくなったわよ。
「そうか。時間が経つのは早いものだなぁ。立派な淑女になったよ。よくレイモンドに腹を立ててクッションに八つ当たりしていたのになぁ」
「もう、そんな昔のことは言わないで」
そんな昔のことをここで出すなんて。お義姉様も聞いているのに。そりゃあ、あの頃はまだロッテもいなくて愚痴を言う相手もいなかったからそうするしかなかったのだけれど。
「ははっ、そんなところは昔のままだな。けど、本当に……」
「イルーゼ」
兄様の声にかぶせるように聞きなれた声が私を呼んだ。声のする方に視線を向けるとヴォルフ様がゆっくりとこちらに向かっていた。明るい陽の下で見ると正装の濃緑の艶のある糸が煌めいて一層夫を引き立てているわ。お義姉様が視界の端で頭を下げているのが見える。
「ヴォルフ様。もうお話は終わりましたの?」
姿が見えないと探してくださったのかしら? だったら伝えておくべきだったわね。傍に来た夫の腕が腰に絡まる。
「ああ。王妃が呼んでいる」
「コルネリア様が?」
そういえば近々お茶会のお誘いを受けていたわね。その件かしら?
「わかりましたわ。あ、ヴォルフ様。こちらは従兄のディルク殿です。父の弟の次男ですの」
ヴォルフ様に兄様を紹介した。兄様は私の数少ない味方だったから、帰国したらヴォルフ様に引き合わせたいと思っていたのよね。
「ディルク=フローエにございます。イルーゼ嬢とは幼い頃より懇意にしていただきました」
兄様が深々と頭を下げるけれど、ヴォルフ様はいつもと変わらず無表情で見下ろしていた。
「兄様には両親や兄姉からよく庇っていただきましたの。あの家では数少ない味方だったのです」
「そうか。礼を言う」
「いえ、恐れ多いことにございます」
兄様が深く頭を下げた。子爵家の次男となると直接言葉を交わすことも憚られるほど立場が違う。私の従兄なら問題ないけれど、公の場で話をするのは兄様にとってよくなかったかもしれないわね。コルネリア様が呼んでいるし、今日はここまでね。
「ふふ、兄様、またね。お義姉様も」
「ええ」
「近々レイモンドの見舞いに行くよ」
「お兄様の? だったら私も実家に顔を出そうかしら。久しぶりに兄様とゆっくりお喋りもしたいし。サザールのこともお聞きしたいわ」
そう言ってヴォルフ様を見上げると頷かれた。だったら行ってもいいわよね。
「じゃ、カサンドラお義姉様と相談して日を決めてくださる? お義姉様、お願いしても?」
「ええ、構わないわ。レイモンド様もきっと喜ぶわ」
「ああ。じゃ、その時にまた」
「ええ、また」
二人を残してバルコニーを出た。思いがけない再会に心が躍るわ。兄様だけじゃない。最近はお義姉様にもエドゼルにも会えなかったから。
コルネリア様のもとに伺うと、予想通りお茶会のお誘いだった。しかも今回はちょっと趣向を変えたものにするという。詳しいことは内緒だと教えてくださらないけれど、コルネリア様のお茶会はいつも隅々まで気配りが行き届いていて嫌な思いをすることがないから楽しみだわ。どんなお茶会なのかしら?
コルネリア様のもとを辞した後も挨拶が続いた。エルマ様やリーゼ様と会う約束も出来たし、それ以外でも久しく会わなかった方々に変わりはなさそうに見えたわ。
アルビーナ様ともお茶をと思ったけれど、こちらは素っ気なく断られたわ。彼女もフィリーネ様と同じく一昨年に婚姻し、昨年女児を産んでいる。彼女は私やゾルガー家を気に入らない女性をまとめ暴走しないよう見張る立場にあるから馴れ合うわけにはいかないのだけど、本音で話せるし会話も小気味がよくて楽しいのよね。残念だけど仕方ない、手紙だけで我慢するわ。
「疲れただろう? そろそろ帰るか」
「よろしいのですか?」
確かにちょっと疲れたわね、このような華やかな場は久しぶりだから。だけど兄様に再会出来たし、次の約束をいくつか得られたわ。それに、屋敷には愛おしい子どもたちが待っている。この時間ならまだ起きているわよね。だったら早く帰って顔を見たいわ。
♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢
更新が遅くなって申し訳ありません。
頭の中が先日連載を終えた別作品から抜け出せなかったため、最初から読み直してイルーゼ&ヴォルフモードに戻していました。
そうしたら最初に考えていたプロットが気に入らずそこも見直しになり…で時間がかかりました。
朝7時の更新を目指しますので、最後までお付き合いくださると嬉しいです。
お義姉様が珍しく声を上げたけれど、私も息も忘れて声の主を見上げてしまったわ。私よりも少し暗めの金の髪には僅かな癖を含み、温かみのある茶の瞳は垂れた眦で一層優しく映る。最後に会ったのは十年くらい前。その頃の面影を残しながらも年を重ねた落ち着きが見えて、その歳月の長さを感じさせたけれど……
「ディ、ディルク兄様? ほ、本物?」
「何だイルーゼ、幽霊にでも会ったような顔して」
砕けた物言いと少し高めの声、そして柔らかな笑顔は昔と変わらなかった。
「戻ってきていらしたの? いつの間に?」
逸る気持ちを抑えてゆっくりと歩み寄れば、あの頃にはなかった目じりの皺が深く刻まれた。忘れようったって忘れるわけないわ。父の弟のルーク叔父様の次男で、家族や兄姉からぞんざいに扱われていつも一人だった私を何かと気にかけてくれて、実の兄よりも兄らしかった従兄。ハリマン様と婚約する少し前にサザール大使の従者の一人として彼の国に渡ったきりで、婚約してからは外聞を憚って手紙のやり取りも途絶えていたけれど……
「上司のバーデン侯爵が一時帰国されてね。俺も久しく国に帰っていないから、たまには実家に顔を出してくるようにって言われたんだ」
「そうだったのね。それにしても……懐かしいわ。お元気そうでよかった」
他国に駐在している大使に同行となると安全とは言い難い。何かが起きれば人質にもなり得るから。そりゃあ、兄様がサザールにいて恙なく過ごしているのはヴォルフ様からも聞いていたけれど。
「二人とも綺麗になって見違えたよ。立派な貴婦人になったね」
目を細め僅かに首を右に傾けて私を見下ろす兄様だけど、そんな仕草も変わらないわね。
「兄様こそ、貫禄がついてすっかり大人の男性って感じだわ」
「ははっ、見違えてくれたか?」
「ええ。素敵になったわ」
最後に別れた時、兄様は二十歳を過ぎたくらいだった。あの頃はとても大人に見えていたけれど、今ならまだ幼さが残っていたのだとわかる。
「しかし、まさか君があのゾルガー侯爵の夫人になるとは思わなかったよ」
「ふふっ、私もよ」
「それで、何があったんだ? 父上に聞いても詳しいことはわからないと言うばかりだし。そもそもゾルガー家と縁を結ぶのはフィリーネの予定だっただろ?」
兄様がちらっと後方を気にして囁いた。その方角にはフィリーネ様が夫の隣で大人しく挨拶を繰り返している。色々あったけれど二年前に再婚し、昨年には男児も産んで順調そうだけど、昔のフィリーネ様しか知らない兄様には奇異に映ったかもしれないわね。
「ええ、まぁ、色々あったのよ。その話はまた今度ね」
叔父様は何も仰らなかったのね。ガウス家の醜聞でもあるし、善良な叔父様は人を悪く言うようなことは好まれないから。兄様になら話してもいいかしら? でも、それでもさすがにここでは憚られるわ。きっとこの会話だって聞き耳を立てている人はいるでしょうから。
「そうだな、確かにここは目と耳が多過ぎる。ああ、外に出ないか? ちょっと暑くなってきたし」
兄様が示したのは少し離れた先にあるバルコニーだった。確かに会場は人の熱気で汗ばむくらいだけど……お義姉様も一緒だから問題ないわよね。ヴォルフ様は……アルトナー侯爵に捕まっているわ。わざわざ知らせる必要はないし、フローラや護衛をみればわかるわよね。
バルコニーに出ると僅かに冬の名残を含んだ風が溜まった熱を連れて行ってくれた。フローラと護衛が静かに入口に佇み、私たちは手摺のところまで進む。兄様とほとんど面識のないお義姉様は少しだけ距離を取っている。気を使ってくださったのね。涼しいと感じられるのは日差しのせいね。夜会と違って中盤になってもまだ日が高い。庭では散策している姿があちこちに見えるわ。
「すっかり侯爵夫人なんだな」
「ふふ、もう六年にもなりますもの。さすがに慣れましたわ」
まだまだ戸惑うことはたくさんあるけれど、王族の御前でも緊張して頭が真っ白になることはなくなったわよ。
「そうか。時間が経つのは早いものだなぁ。立派な淑女になったよ。よくレイモンドに腹を立ててクッションに八つ当たりしていたのになぁ」
「もう、そんな昔のことは言わないで」
そんな昔のことをここで出すなんて。お義姉様も聞いているのに。そりゃあ、あの頃はまだロッテもいなくて愚痴を言う相手もいなかったからそうするしかなかったのだけれど。
「ははっ、そんなところは昔のままだな。けど、本当に……」
「イルーゼ」
兄様の声にかぶせるように聞きなれた声が私を呼んだ。声のする方に視線を向けるとヴォルフ様がゆっくりとこちらに向かっていた。明るい陽の下で見ると正装の濃緑の艶のある糸が煌めいて一層夫を引き立てているわ。お義姉様が視界の端で頭を下げているのが見える。
「ヴォルフ様。もうお話は終わりましたの?」
姿が見えないと探してくださったのかしら? だったら伝えておくべきだったわね。傍に来た夫の腕が腰に絡まる。
「ああ。王妃が呼んでいる」
「コルネリア様が?」
そういえば近々お茶会のお誘いを受けていたわね。その件かしら?
「わかりましたわ。あ、ヴォルフ様。こちらは従兄のディルク殿です。父の弟の次男ですの」
ヴォルフ様に兄様を紹介した。兄様は私の数少ない味方だったから、帰国したらヴォルフ様に引き合わせたいと思っていたのよね。
「ディルク=フローエにございます。イルーゼ嬢とは幼い頃より懇意にしていただきました」
兄様が深々と頭を下げるけれど、ヴォルフ様はいつもと変わらず無表情で見下ろしていた。
「兄様には両親や兄姉からよく庇っていただきましたの。あの家では数少ない味方だったのです」
「そうか。礼を言う」
「いえ、恐れ多いことにございます」
兄様が深く頭を下げた。子爵家の次男となると直接言葉を交わすことも憚られるほど立場が違う。私の従兄なら問題ないけれど、公の場で話をするのは兄様にとってよくなかったかもしれないわね。コルネリア様が呼んでいるし、今日はここまでね。
「ふふ、兄様、またね。お義姉様も」
「ええ」
「近々レイモンドの見舞いに行くよ」
「お兄様の? だったら私も実家に顔を出そうかしら。久しぶりに兄様とゆっくりお喋りもしたいし。サザールのこともお聞きしたいわ」
そう言ってヴォルフ様を見上げると頷かれた。だったら行ってもいいわよね。
「じゃ、カサンドラお義姉様と相談して日を決めてくださる? お義姉様、お願いしても?」
「ええ、構わないわ。レイモンド様もきっと喜ぶわ」
「ああ。じゃ、その時にまた」
「ええ、また」
二人を残してバルコニーを出た。思いがけない再会に心が躍るわ。兄様だけじゃない。最近はお義姉様にもエドゼルにも会えなかったから。
コルネリア様のもとに伺うと、予想通りお茶会のお誘いだった。しかも今回はちょっと趣向を変えたものにするという。詳しいことは内緒だと教えてくださらないけれど、コルネリア様のお茶会はいつも隅々まで気配りが行き届いていて嫌な思いをすることがないから楽しみだわ。どんなお茶会なのかしら?
コルネリア様のもとを辞した後も挨拶が続いた。エルマ様やリーゼ様と会う約束も出来たし、それ以外でも久しく会わなかった方々に変わりはなさそうに見えたわ。
アルビーナ様ともお茶をと思ったけれど、こちらは素っ気なく断られたわ。彼女もフィリーネ様と同じく一昨年に婚姻し、昨年女児を産んでいる。彼女は私やゾルガー家を気に入らない女性をまとめ暴走しないよう見張る立場にあるから馴れ合うわけにはいかないのだけど、本音で話せるし会話も小気味がよくて楽しいのよね。残念だけど仕方ない、手紙だけで我慢するわ。
「疲れただろう? そろそろ帰るか」
「よろしいのですか?」
確かにちょっと疲れたわね、このような華やかな場は久しぶりだから。だけど兄様に再会出来たし、次の約束をいくつか得られたわ。それに、屋敷には愛おしい子どもたちが待っている。この時間ならまだ起きているわよね。だったら早く帰って顔を見たいわ。
♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢
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頭の中が先日連載を終えた別作品から抜け出せなかったため、最初から読み直してイルーゼ&ヴォルフモードに戻していました。
そうしたら最初に考えていたプロットが気に入らずそこも見直しになり…で時間がかかりました。
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