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第四部
帰宅◆
大型の馬車がゆっくりと王都の道を進む。車内にはアベルが控えるのみ。まだ日が高い時分は往来が多く、おのずと速度も控え目になる。王都の門から屋敷の敷地は隣接しているが、王宮の馬車乗り場から普段使う屋敷の東門まではそれなりの距離がある。目を閉じてこれからのことに思いを馳せる。
爵位をフレディに譲る話は王によって邪魔された。ゾルガー侯爵夫人の座を望み俺に直談判したあれだったが、この話をすると意外にも乗り気になっていた。その地位が欲しかったのではないかと尋ねると、誰にも侮られない立場が欲しかったけれどもう十分だと言う。それを言葉通りに受け取っていいのだろうか。俺は心の機微とやらがよくわからない。あの言葉の中に違う思いが隠れていないか気になる。
「アベル」
「はい?」
「イルーゼは、俺が隠居しても構わないと言っていた。あれは本心だと思うか?」
一瞬、アベルの動きが止まった。俺がそんなことを尋ねるのは意外だと思ったか? 今までこの手の質問はティオかスージーの役目だった。だが、ティオもスージーも年を取った。そろそろ後進に道を譲る頃合いだと言うようになった。だったら質問する相手も変えねばなるまい。
「奥様、ですか……どうでしょうか……」
口元に手を当てて考え込んでしまった。相手が悪かったか? アベルはよく女心がわからないと言っていたな。マルガと喧嘩するたびに『女心がわからないんだから』と責められると。イルーゼとマルガは別人だが同じ女、考え方も似通っている部分はあるはず。
「あの奥様ですか? いや、正直、何とも……」
「わからんか?」
「はぁ……なんせ奥様は、いつも私の想像の遥か上を行かれますので……」
「そうか、すまなかった」
どうやらアベルに聞くのは時間の無駄のようだな。マルガとは婚姻したが、未だに夫婦らしい生活には程遠いと嘆いているとブレンが言っていた。こいつらはよくわからん夫婦だ。参考にはならないか。仕方がない。本人に聞くしかなさそうだ。
「ヴォルフ様」
玄関の扉を潜るとイルーゼの姿があった。その両手にはアンゼルとエリーゼが繋がっていた。庭に出ていたのか。
「おかえりなさいませ」
「とーしゃま、おかりなちゃませ!」
「とおさま、おかえりなさい」
エリーゼが足にぶつかる勢いで駆けてきた。両手を上げるので望むまま軽い身を抱き上げると歓声を上げた。アンゼルはイルーゼから手を放さない。こいつは母親が好きらしい。
「戻った」
「ふふ、思ったよりもお早いお帰りでしたのね」
「ああ」
さすがに子の前で会議の内容を話すわけにもいかないか。スージーが子どもたちに湯浴みを促すと、子らは手を繋いでその後をついていった。イルーゼと共に部屋へと向かいながら暑く重い上着を脱ぎ、首元を緩めた。正装は窮屈だ。暑くなると余計に鬱陶しい。
執務室のいつもの席に腰を下ろす。ティオが冷たい水を満たしたグラスを出したのでそれを一気に煽った。少しだけ身体の中に籠った熱が発散された気がした。
「ヴォルフ様、お話しせねばならないことがあるのですが……」
隣に座したイルーゼが躊躇いがちにそう声をかけてきた。
「そうか。俺もだ」
そう告げると僅かに怪訝そうに俺を見上げたが、すぐに何かを得心したような顔をした。
「……もしかして、陛下に反対されましたか?」
「ああ。お前もか?」
「はい。ザーラが、どうしてもと……」
「そうか」
どうやらどちらも予想通りの結果になったらしい。まぁ、すんなりと要求が通るとは思っていなかったが。
「すまない。約束を守れなかった」
「ふふっ、構いませんわ。簡単ではないことはわかっていましたから」
困ったような笑みを浮かべたが、互いに思った通りになったということか。王や五侯爵家の当主たち、フレディとザーラの反対は予想していたから落胆はないが、これとの自由な時間は惜しく思う。
「王には三日以内に簒奪の噂への対策を考えるように言ってきた」
「三日以内ですか? それは、さすがに……」
「無理だと思うか?」
「え、ええ」
「俺もだ」
そう言うとふっと噴き出した後、声を立てて笑った。ああ、お前は笑っている方がいい。落ち込むかと案じていたが、そうだな、お前はそういう奴だ。
「ふふっ、仕方ありませんわね」
ひとしきり笑いが収まった後、少し呆れたようにそう言った。
「怒らないのか?」
「ええ、こうなるだろうなと思っていましたから。残念ですけれど、陛下がしっかり対策をしてくださるのであれば、もう少し様子を見てもいいかと」
「あれにどれほどのことが出来るかわからんがな」
そう言うとまた笑いが戻ってきた。お前からも王がそう見えるのならやはり鍛えねばならんな。
「王に俺以上に優秀になれと言ってきた」
「ヴォルフ様以上にですか?」
「ああ。そうなれば簒奪されるなどと言う者もいなくなるからな」
「それは、確かにそうですけれど……」
困ったような笑みに変わったな。あいつにそれは無理だと思っているのか。俺もそう思うが、三年……せめて五年後に賭けるしかないだろうな。俺も今までのように口を出すことは控えるが。
「またしばらく苦労を掛ける」
「ヴォルフ様と一緒にいるなら、苦労なんかじゃありませんわ」
お前は簡単にそう言うのだな。フレディですら俺と共にいると緊張するとオリスにぼやいているというのに。
「お前に話しておくことがある」
言いたくはないが他から耳に入るよりは俺から話しておきたい。
「どうなさいましたの?」
「ルタ国の王太女のことだ」
「王太女って……アデライデ様のお子の?」
「ああ。以前、女王から俺を娘の王配にとの話があった」
「…………え?」
さっきまで口元に残っていた笑みが消え、目を丸くして俺を見ていた。お前の春の淡い空のような瞳に俺が映る。
「お、王配に、って……そんな、の……」
「女王の戯言だ。あの女が王の即位式でこの国に来た時、雑談の中で俺のような王配が娘に欲しいと言った」
「そ、そうですか……」
そう言いながらもまだ笑みは戻ってこない。やはり気にしたか。俺がお前以外の女を抱くわけがないのに。
「その話はそれで終わったと思っていたが、王がルタを訪れた時、またそんなことを言ったらしい。もし俺が隠棲したら声がかかるかもしれないと。俺は断ったし、王も俺を手放す気はないが、正式に要請があれば断るのも面倒だ。だから引くのはもう少し時間が要る」
「そう、ですか……ヴォルフ様は優秀で、凛々しいですもの……他国であれば悪逆王の話も関係ありませんし……王太女様は、お淑やかで品があると……」
俯いて何やら呟いているが、何を気にしている? 大人しい女が俺と一緒にいられるはずもないだろうに。お前のように真っ直ぐにぶつかってくる女でなければ会話もままならん。
「イルーゼ」
名を呼ぶとハッと気づいたように俺を見た。どこか戸惑っているように見える。どうした? 何も憂いることはない。手を伸ばして頬に手を当てる。
「俺の妻はお前だけだ。第二夫人を迎えることもない。他から耳にすれば気にするかと思い俺から話した。それだけのことだ」
話さないと余計な疑念を生むかもしれない。俺とお前との間にそんなものは不要だ。屋敷に囲って満足する女なら耳に入れなければ済むが、お前はそれを良しとせず俺と並び立ちたいと願う。だったら話さない選択肢はない。
「大丈夫、なのですね?」
「ああ。俺はお前以外を妻にしない。そう言ったのを忘れたか?」
そう告げると一層目を丸くした後、顔から緊張が抜けて幼子のように笑った。俺の手を取って頬をさらに摺り寄せてきた。抱きしめようかとも思ったが、今日は汗をかいた。
「少し待て。湯を浴びてくる」
「ふふっ、わかりました。では私も」
少し早いが今日くらいはゆっくりするのもいいか。フレディたちも気を揉んでいるだろう。
「今日は子やフレディらと夕食を取るか」
「久しぶりですわね。子どもたちも喜びますわ」
王らとの話し合いの結果はフレディらにも伝えねばならん。だったらちょうどいいだろう。皆が集まるとお前が喜ぶ。そうやっていつも笑っていてくれ。それだけで俺も安心する。
爵位をフレディに譲る話は王によって邪魔された。ゾルガー侯爵夫人の座を望み俺に直談判したあれだったが、この話をすると意外にも乗り気になっていた。その地位が欲しかったのではないかと尋ねると、誰にも侮られない立場が欲しかったけれどもう十分だと言う。それを言葉通りに受け取っていいのだろうか。俺は心の機微とやらがよくわからない。あの言葉の中に違う思いが隠れていないか気になる。
「アベル」
「はい?」
「イルーゼは、俺が隠居しても構わないと言っていた。あれは本心だと思うか?」
一瞬、アベルの動きが止まった。俺がそんなことを尋ねるのは意外だと思ったか? 今までこの手の質問はティオかスージーの役目だった。だが、ティオもスージーも年を取った。そろそろ後進に道を譲る頃合いだと言うようになった。だったら質問する相手も変えねばなるまい。
「奥様、ですか……どうでしょうか……」
口元に手を当てて考え込んでしまった。相手が悪かったか? アベルはよく女心がわからないと言っていたな。マルガと喧嘩するたびに『女心がわからないんだから』と責められると。イルーゼとマルガは別人だが同じ女、考え方も似通っている部分はあるはず。
「あの奥様ですか? いや、正直、何とも……」
「わからんか?」
「はぁ……なんせ奥様は、いつも私の想像の遥か上を行かれますので……」
「そうか、すまなかった」
どうやらアベルに聞くのは時間の無駄のようだな。マルガとは婚姻したが、未だに夫婦らしい生活には程遠いと嘆いているとブレンが言っていた。こいつらはよくわからん夫婦だ。参考にはならないか。仕方がない。本人に聞くしかなさそうだ。
「ヴォルフ様」
玄関の扉を潜るとイルーゼの姿があった。その両手にはアンゼルとエリーゼが繋がっていた。庭に出ていたのか。
「おかえりなさいませ」
「とーしゃま、おかりなちゃませ!」
「とおさま、おかえりなさい」
エリーゼが足にぶつかる勢いで駆けてきた。両手を上げるので望むまま軽い身を抱き上げると歓声を上げた。アンゼルはイルーゼから手を放さない。こいつは母親が好きらしい。
「戻った」
「ふふ、思ったよりもお早いお帰りでしたのね」
「ああ」
さすがに子の前で会議の内容を話すわけにもいかないか。スージーが子どもたちに湯浴みを促すと、子らは手を繋いでその後をついていった。イルーゼと共に部屋へと向かいながら暑く重い上着を脱ぎ、首元を緩めた。正装は窮屈だ。暑くなると余計に鬱陶しい。
執務室のいつもの席に腰を下ろす。ティオが冷たい水を満たしたグラスを出したのでそれを一気に煽った。少しだけ身体の中に籠った熱が発散された気がした。
「ヴォルフ様、お話しせねばならないことがあるのですが……」
隣に座したイルーゼが躊躇いがちにそう声をかけてきた。
「そうか。俺もだ」
そう告げると僅かに怪訝そうに俺を見上げたが、すぐに何かを得心したような顔をした。
「……もしかして、陛下に反対されましたか?」
「ああ。お前もか?」
「はい。ザーラが、どうしてもと……」
「そうか」
どうやらどちらも予想通りの結果になったらしい。まぁ、すんなりと要求が通るとは思っていなかったが。
「すまない。約束を守れなかった」
「ふふっ、構いませんわ。簡単ではないことはわかっていましたから」
困ったような笑みを浮かべたが、互いに思った通りになったということか。王や五侯爵家の当主たち、フレディとザーラの反対は予想していたから落胆はないが、これとの自由な時間は惜しく思う。
「王には三日以内に簒奪の噂への対策を考えるように言ってきた」
「三日以内ですか? それは、さすがに……」
「無理だと思うか?」
「え、ええ」
「俺もだ」
そう言うとふっと噴き出した後、声を立てて笑った。ああ、お前は笑っている方がいい。落ち込むかと案じていたが、そうだな、お前はそういう奴だ。
「ふふっ、仕方ありませんわね」
ひとしきり笑いが収まった後、少し呆れたようにそう言った。
「怒らないのか?」
「ええ、こうなるだろうなと思っていましたから。残念ですけれど、陛下がしっかり対策をしてくださるのであれば、もう少し様子を見てもいいかと」
「あれにどれほどのことが出来るかわからんがな」
そう言うとまた笑いが戻ってきた。お前からも王がそう見えるのならやはり鍛えねばならんな。
「王に俺以上に優秀になれと言ってきた」
「ヴォルフ様以上にですか?」
「ああ。そうなれば簒奪されるなどと言う者もいなくなるからな」
「それは、確かにそうですけれど……」
困ったような笑みに変わったな。あいつにそれは無理だと思っているのか。俺もそう思うが、三年……せめて五年後に賭けるしかないだろうな。俺も今までのように口を出すことは控えるが。
「またしばらく苦労を掛ける」
「ヴォルフ様と一緒にいるなら、苦労なんかじゃありませんわ」
お前は簡単にそう言うのだな。フレディですら俺と共にいると緊張するとオリスにぼやいているというのに。
「お前に話しておくことがある」
言いたくはないが他から耳に入るよりは俺から話しておきたい。
「どうなさいましたの?」
「ルタ国の王太女のことだ」
「王太女って……アデライデ様のお子の?」
「ああ。以前、女王から俺を娘の王配にとの話があった」
「…………え?」
さっきまで口元に残っていた笑みが消え、目を丸くして俺を見ていた。お前の春の淡い空のような瞳に俺が映る。
「お、王配に、って……そんな、の……」
「女王の戯言だ。あの女が王の即位式でこの国に来た時、雑談の中で俺のような王配が娘に欲しいと言った」
「そ、そうですか……」
そう言いながらもまだ笑みは戻ってこない。やはり気にしたか。俺がお前以外の女を抱くわけがないのに。
「その話はそれで終わったと思っていたが、王がルタを訪れた時、またそんなことを言ったらしい。もし俺が隠棲したら声がかかるかもしれないと。俺は断ったし、王も俺を手放す気はないが、正式に要請があれば断るのも面倒だ。だから引くのはもう少し時間が要る」
「そう、ですか……ヴォルフ様は優秀で、凛々しいですもの……他国であれば悪逆王の話も関係ありませんし……王太女様は、お淑やかで品があると……」
俯いて何やら呟いているが、何を気にしている? 大人しい女が俺と一緒にいられるはずもないだろうに。お前のように真っ直ぐにぶつかってくる女でなければ会話もままならん。
「イルーゼ」
名を呼ぶとハッと気づいたように俺を見た。どこか戸惑っているように見える。どうした? 何も憂いることはない。手を伸ばして頬に手を当てる。
「俺の妻はお前だけだ。第二夫人を迎えることもない。他から耳にすれば気にするかと思い俺から話した。それだけのことだ」
話さないと余計な疑念を生むかもしれない。俺とお前との間にそんなものは不要だ。屋敷に囲って満足する女なら耳に入れなければ済むが、お前はそれを良しとせず俺と並び立ちたいと願う。だったら話さない選択肢はない。
「大丈夫、なのですね?」
「ああ。俺はお前以外を妻にしない。そう言ったのを忘れたか?」
そう告げると一層目を丸くした後、顔から緊張が抜けて幼子のように笑った。俺の手を取って頬をさらに摺り寄せてきた。抱きしめようかとも思ったが、今日は汗をかいた。
「少し待て。湯を浴びてくる」
「ふふっ、わかりました。では私も」
少し早いが今日くらいはゆっくりするのもいいか。フレディたちも気を揉んでいるだろう。
「今日は子やフレディらと夕食を取るか」
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