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第三部
侍女の懇願
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主とその客の会話に口を挟んだゲルハー夫人に私は舌打ちしたくなった。というのもこの夫人は曰く付きの人物だったからだ。
ゲルハー前伯爵夫人クラウディア様。年相応の落ち着きと品を感じさせる穏やかな美貌を持つ彼女は、前イステル侯爵の実妹で先王様の婚約者候補の一人、そして恋人だと噂されていた方。先々王様がアーレントからの申し出を受けて王太后様を先王様の妃にされたため、その後ゲルハー伯爵に嫁がれたけれど子が出来ず、その後世継ぎを欲したゲルハー伯爵が第二夫人を迎えて二男二女を設けるとその立場は厳しいものになった。幸いにも夫人の実家を憚った伯爵は冷遇することはなかったけれど、子を産めなかった第一夫人の立場は察するに余りある。
三年前、夫が亡くなると伯爵家は第二夫人の産んだ嫡男が後を継いだため夫人は婚家を出たけれど、実家との折り合いがよくなかったため王宮の侍女の職に就かれたという。最初は前王太后様の侍女を務めていたけれど、亡くなられた後はロジーナ様の侍女に、そして今は……
「ああ、ヴォルフ、イルーゼちゃん、紹介するわ。ゲルハー前伯爵夫人のクラウディア様よ。陛下とは古くからの知り合いで半年ほど前に専属になったの」
王太后様からは彼女への悪感情は感じられなかった。むしろ仲のいい友人として遇しているようにも見られる。だけど、世間はただの侍女だなんて思っていない。
「侍女が主と客人の会話に口を挟むとはどういうことだ」
明るい室内の軽やかな空気をぶった切ったのは隣に座る威圧感満載の夫だった。一瞬で空気が重く冷たいものへと変じ、季節が三月ほど戻ったような気がした。
「ヴォ、ヴォルフ……」
負い目が多々ある息子の冷たい指摘に王太后様が顔を青褪めさせて名を呼んだけれど、空気を読んだりしないヴォルフ様は容赦なかった。
「恋人だったと言われた者を側に置いて何をするつもりだ? 譲位すれば世間の目が向かないと思ったのか?」
ヴォルフ様の淡々とした問いが向けられた先は先王陛下だった。そう、即位式典の前後から上がった先王様に関する噂――譲位すると決まった途端に昔の恋人を呼び寄せてよろしくやっているらしい――そんな噂が王宮の内外で実しやかに囁かれていた。譲位するといっても陛下から当面は補佐をと望まれているだけに、ルタ国との関係を疑われているイステルを生家に持つゲルハー夫人の存在は貴族家の間で様々な憶測を呼んでいる。中には夫人が先王様を篭絡して操ろうとしていると言う者まで出てきている。
「ヴォルフ、クラウディア様はそんな方ではないわ。この方は……」
「その言い訳が貴族家に通じると?」
「それは……」
王太后様はそれ以上を口に出来なかった。聡明な方だからヴォルフ様の意図を察してくださったらしい。
「代替わりした今が好機だと様々な者どもが様々な手を使って動いている。実子に余計な手間をかけさせて楽しいか?」
「ヴォルフ!」
先王様が腰を浮かせて抗議の声をあげたけれど、それを王太后様がその手を取って制された。
「陛下……」
王太后は左右に頭を振り、それを見た先王様は気持ちを整えるかのように二、三度息を吐くと腰を下ろした。
「……ヴォルフの言う通りだな。すまなかった……」
先王様が深く息を吐いた。よかったわ、ヴォルフ様の思いをわかって下さって。
「そう思うのならその侍女を遠ざけろ。少なくとも王族から外せ」
「そ、そんな……」
声をあげたのはゲルハー夫人だった。凛とした王太后様に対し、年をとってもどこか儚げな雰囲気を持つ彼女が困惑する様は庇護欲を招くわね。
「ヴォ、ヴォルフ様、私は他に行く場所が……」
「名呼びを妻以外に許した覚えはない」
ピシャリと音がしそうな勢いでヴォルフ様が夫人の声を遮った。ヴォルフ様、そこで妻と入れる必要は……って、やだ、こんな場面なのに私ったら……
「働き口を望むなら紹介する。何なら縁談でもいい。ここを去れ」
「そ、そんな……」
「余計な詮索を既に生んでいる。それを払拭するには縁談が手っ取り早い」
手っ取り早いって……ヴォルフ様、それで人様の人生を変えるのは……いえ、この方の場合、それが一番なのだけど。容赦がないわ。ずっとこの手の問題に忙殺されていたから気が立っていらっしゃるのかもしれないけれど……それとも、暗示が薄れているせいかしら?
「クラウディア様、今は下がってくださる?」
「ですが……」
王太后様の要請にゲルハー夫人が異議を唱えた。見た目は儚げでも主に言い返すなんて中々に我は強いのね。
「ゲルハー夫人、決して夫人の不利になることはせぬと私が保証する。だから今は……」
「いいえ! いいえ! 私は陛下の側を離れたくありません。やっと……やっとお側に侍ることが出来るようになったのに……!」
綺麗に結い上げた髪がほどけそうな勢いで夫人が頭を左右に振って声を荒げた。その必死な態度に先王様も王太后様も驚きの表情を露わにしていた。もしかして、ゲルハー夫人、本当に先王様のことを?
「夫人、何を言って……」
「陛下! どうかどうか! 私をお側に置いて下さいませ。私の心は昔から少しも変わっておりません! ゲルハー家に嫁いでからもお慕いするのは陛下お一人でした!!」
思いがけない告白に陛下が一層目を丸くした。王太后様は落ち着いていらっしゃるからもしかしてご存じだったのかしら。いえ、聡い王太后様なら何かを感じていた可能性はあるわね。もしかしたらご存じの上でお側に置かれていた?
「私は家のために耐えるしか出来ませんでした。急に王太子妃候補ではなくなった私には好条件の縁談も既になく、格下のゲルハー家に嫁ぐしかなかった。でも、そこでも侮られ、子が産めないと第二夫人を迎えられて……夫が亡くなった後も婚家にも実家にも居場所はなかった。やっと心安らかに過ごせる場所を見つけたのです。どうか、どうか、このままここに置いて下さい!」
必死に懇願しはらはらと涙を流すさまはずっと年上なのに可憐に見えたけれど、そこに慕っていると言う先王様やその妃である王太后様への配慮は見えなかった。
「お前ひとりのために国を乱しても構わないと?」
「そ、そんなつもりはありません。私は……」
「既に多くの思惑を生み、動き始めている者がいる。何か事が起きた時、その責任を負えるのか?」
「責任など……私はただ陛下のお側で……」
「それが無理だと、既に事が進み始めていると言っている」
ヴォルフ様は夫人が泣いても懇願しても動じなかった。ただ事実だけを淡々と言葉にされるだけ。とても冷たく見えるけれど、それは先王ご夫妻や即位された陛下、更には我が国を守ることになる。ガーゲルンやイステルがルタ国のアデライデ様に何かを吹き込まれているのなら、コルネリア様を悩ませているガールゲン嬢はその手の者とも考えられなくもなく、事が進んでいると仰るのも考え過ぎとは言い難い。それに気付く人はどれだけいらっしゃるのかしら……
「へ、陛下! どうか私を見捨てないでください。私はずっと陛下だけを……」
とうとう夫人は陛下の足元に跪いて両手で陛下の服を掴み、その膝に頬を寄せて懇願し始めた。なりふり構わぬ様子は夫人の本心からのものだと感じられるけれど、やっぱりご自身のことばかり……よね? 夫人の要求はどう大目に見ても不貞の誘いだし、それを妻の王太后様や実子のヴォルフ様がどう感じるかなんて少しも考えていないように見える。
いえ、恋すればなりふり構わなくなる心情も居場所がなくて必死になる気持ちもわからなくはないわ。私だって後先考えずにヴォルフ様の妻にしてほしいと懇願したから。だけどヴォルフ様に婚約者がいたり既婚だったりしたらそんなこと絶対に言わなかったわ。不貞なんて自らの品位を損なう真似も、相手を貶めることも出来ないもの。そんなことを思いながら、私は他の方々と共に陛下が何と答えられるのかを待った。
ゲルハー前伯爵夫人クラウディア様。年相応の落ち着きと品を感じさせる穏やかな美貌を持つ彼女は、前イステル侯爵の実妹で先王様の婚約者候補の一人、そして恋人だと噂されていた方。先々王様がアーレントからの申し出を受けて王太后様を先王様の妃にされたため、その後ゲルハー伯爵に嫁がれたけれど子が出来ず、その後世継ぎを欲したゲルハー伯爵が第二夫人を迎えて二男二女を設けるとその立場は厳しいものになった。幸いにも夫人の実家を憚った伯爵は冷遇することはなかったけれど、子を産めなかった第一夫人の立場は察するに余りある。
三年前、夫が亡くなると伯爵家は第二夫人の産んだ嫡男が後を継いだため夫人は婚家を出たけれど、実家との折り合いがよくなかったため王宮の侍女の職に就かれたという。最初は前王太后様の侍女を務めていたけれど、亡くなられた後はロジーナ様の侍女に、そして今は……
「ああ、ヴォルフ、イルーゼちゃん、紹介するわ。ゲルハー前伯爵夫人のクラウディア様よ。陛下とは古くからの知り合いで半年ほど前に専属になったの」
王太后様からは彼女への悪感情は感じられなかった。むしろ仲のいい友人として遇しているようにも見られる。だけど、世間はただの侍女だなんて思っていない。
「侍女が主と客人の会話に口を挟むとはどういうことだ」
明るい室内の軽やかな空気をぶった切ったのは隣に座る威圧感満載の夫だった。一瞬で空気が重く冷たいものへと変じ、季節が三月ほど戻ったような気がした。
「ヴォ、ヴォルフ……」
負い目が多々ある息子の冷たい指摘に王太后様が顔を青褪めさせて名を呼んだけれど、空気を読んだりしないヴォルフ様は容赦なかった。
「恋人だったと言われた者を側に置いて何をするつもりだ? 譲位すれば世間の目が向かないと思ったのか?」
ヴォルフ様の淡々とした問いが向けられた先は先王陛下だった。そう、即位式典の前後から上がった先王様に関する噂――譲位すると決まった途端に昔の恋人を呼び寄せてよろしくやっているらしい――そんな噂が王宮の内外で実しやかに囁かれていた。譲位するといっても陛下から当面は補佐をと望まれているだけに、ルタ国との関係を疑われているイステルを生家に持つゲルハー夫人の存在は貴族家の間で様々な憶測を呼んでいる。中には夫人が先王様を篭絡して操ろうとしていると言う者まで出てきている。
「ヴォルフ、クラウディア様はそんな方ではないわ。この方は……」
「その言い訳が貴族家に通じると?」
「それは……」
王太后様はそれ以上を口に出来なかった。聡明な方だからヴォルフ様の意図を察してくださったらしい。
「代替わりした今が好機だと様々な者どもが様々な手を使って動いている。実子に余計な手間をかけさせて楽しいか?」
「ヴォルフ!」
先王様が腰を浮かせて抗議の声をあげたけれど、それを王太后様がその手を取って制された。
「陛下……」
王太后は左右に頭を振り、それを見た先王様は気持ちを整えるかのように二、三度息を吐くと腰を下ろした。
「……ヴォルフの言う通りだな。すまなかった……」
先王様が深く息を吐いた。よかったわ、ヴォルフ様の思いをわかって下さって。
「そう思うのならその侍女を遠ざけろ。少なくとも王族から外せ」
「そ、そんな……」
声をあげたのはゲルハー夫人だった。凛とした王太后様に対し、年をとってもどこか儚げな雰囲気を持つ彼女が困惑する様は庇護欲を招くわね。
「ヴォ、ヴォルフ様、私は他に行く場所が……」
「名呼びを妻以外に許した覚えはない」
ピシャリと音がしそうな勢いでヴォルフ様が夫人の声を遮った。ヴォルフ様、そこで妻と入れる必要は……って、やだ、こんな場面なのに私ったら……
「働き口を望むなら紹介する。何なら縁談でもいい。ここを去れ」
「そ、そんな……」
「余計な詮索を既に生んでいる。それを払拭するには縁談が手っ取り早い」
手っ取り早いって……ヴォルフ様、それで人様の人生を変えるのは……いえ、この方の場合、それが一番なのだけど。容赦がないわ。ずっとこの手の問題に忙殺されていたから気が立っていらっしゃるのかもしれないけれど……それとも、暗示が薄れているせいかしら?
「クラウディア様、今は下がってくださる?」
「ですが……」
王太后様の要請にゲルハー夫人が異議を唱えた。見た目は儚げでも主に言い返すなんて中々に我は強いのね。
「ゲルハー夫人、決して夫人の不利になることはせぬと私が保証する。だから今は……」
「いいえ! いいえ! 私は陛下の側を離れたくありません。やっと……やっとお側に侍ることが出来るようになったのに……!」
綺麗に結い上げた髪がほどけそうな勢いで夫人が頭を左右に振って声を荒げた。その必死な態度に先王様も王太后様も驚きの表情を露わにしていた。もしかして、ゲルハー夫人、本当に先王様のことを?
「夫人、何を言って……」
「陛下! どうかどうか! 私をお側に置いて下さいませ。私の心は昔から少しも変わっておりません! ゲルハー家に嫁いでからもお慕いするのは陛下お一人でした!!」
思いがけない告白に陛下が一層目を丸くした。王太后様は落ち着いていらっしゃるからもしかしてご存じだったのかしら。いえ、聡い王太后様なら何かを感じていた可能性はあるわね。もしかしたらご存じの上でお側に置かれていた?
「私は家のために耐えるしか出来ませんでした。急に王太子妃候補ではなくなった私には好条件の縁談も既になく、格下のゲルハー家に嫁ぐしかなかった。でも、そこでも侮られ、子が産めないと第二夫人を迎えられて……夫が亡くなった後も婚家にも実家にも居場所はなかった。やっと心安らかに過ごせる場所を見つけたのです。どうか、どうか、このままここに置いて下さい!」
必死に懇願しはらはらと涙を流すさまはずっと年上なのに可憐に見えたけれど、そこに慕っていると言う先王様やその妃である王太后様への配慮は見えなかった。
「お前ひとりのために国を乱しても構わないと?」
「そ、そんなつもりはありません。私は……」
「既に多くの思惑を生み、動き始めている者がいる。何か事が起きた時、その責任を負えるのか?」
「責任など……私はただ陛下のお側で……」
「それが無理だと、既に事が進み始めていると言っている」
ヴォルフ様は夫人が泣いても懇願しても動じなかった。ただ事実だけを淡々と言葉にされるだけ。とても冷たく見えるけれど、それは先王ご夫妻や即位された陛下、更には我が国を守ることになる。ガーゲルンやイステルがルタ国のアデライデ様に何かを吹き込まれているのなら、コルネリア様を悩ませているガールゲン嬢はその手の者とも考えられなくもなく、事が進んでいると仰るのも考え過ぎとは言い難い。それに気付く人はどれだけいらっしゃるのかしら……
「へ、陛下! どうか私を見捨てないでください。私はずっと陛下だけを……」
とうとう夫人は陛下の足元に跪いて両手で陛下の服を掴み、その膝に頬を寄せて懇願し始めた。なりふり構わぬ様子は夫人の本心からのものだと感じられるけれど、やっぱりご自身のことばかり……よね? 夫人の要求はどう大目に見ても不貞の誘いだし、それを妻の王太后様や実子のヴォルフ様がどう感じるかなんて少しも考えていないように見える。
いえ、恋すればなりふり構わなくなる心情も居場所がなくて必死になる気持ちもわからなくはないわ。私だって後先考えずにヴォルフ様の妻にしてほしいと懇願したから。だけどヴォルフ様に婚約者がいたり既婚だったりしたらそんなこと絶対に言わなかったわ。不貞なんて自らの品位を損なう真似も、相手を貶めることも出来ないもの。そんなことを思いながら、私は他の方々と共に陛下が何と答えられるのかを待った。
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