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第三部
ザーラの出産
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窓から見える庭の木々がその濃さを増し、空からは肌を刺すような日差しが降る注ぐ中、ゾルガー邸は緊張感に包まれていた。
「もう、フレディ、ちょっとは落ち着いて」
産室に近い客間のソファに腰かけながら、茶器をソーサーに戻した。先ほどから室内をうろうろと歩き回るフレディにこっちが落ち着かない。もう直ぐ父親になる青年は緊張と不安と焦りをまき散らしていた。ヴォルフ様は急な案件が出来て今は執務室で、この部屋には私とフレディ、ティオ、オリス、ロッテだけ。マルガとスージーはザーラに付き添っている。
「イルーゼ、だが……」
「フレディが焦っても何も変わらないわよ」
「そ、そうだけど……」
精悍になったと見直していたけれど、心配性なのは変わらないのね。いえ、ザーラ限定なのかもしれないけれど。
「父親になるのだからもっとどんと構えていないと。そんなんじゃ何かあった時に対応できないわよ」
「な、何かあった時って……」
今の一言で青ざめてしまったわ。そんな気弱でどうするのよ。ザーラは痛みと戦っているのに。
「ほら、座って。お茶を飲んで落ち着いてちょうだい」
ロッテに目配せすると頷いてお茶を淹れ始めてくれた。すっきりした香りが室内に広がる。フレディがザーラに関しては抑えが利かないのは知っていたけれ、どここまでとは思わなかったわ。
「……イルーゼは強いな……」
「そりゃあ、私も子を産んでいるもの。何が起きるかわかっているから」
「そ、そうか……」
向かい側に座り、苦笑しながらお茶を口に含んだ。日焼けした分以前よりも雰囲気が険しくなったけれど、ヴォルフ様に比べたらまだまだ可愛らしく見える。
「ザーラが頑張っているのよ。フレディが狼狽えてどうするのよ」
「……面目ない」
どうやら落ち着いてくれたみたいね。お産が始まってから既に半日、万が一の事態がないとは限らないから不安になるのはわかるけれど、初産だから時間がかかるのは仕方がない。
「お菓子はいかが? フレディの好きな焼き菓子よ」
「い、いや、今は……食欲がわかないから」
こういう時、彼にはゾルガーを継ぐのは難しかったと思ってしまう。そういえば私の出産の時のヴォルフ様はどうだったのかしら?
「はぁ、叔父上には敵わないな……」
「ヴォルフ様がどうかなさったの?」
「いや、イルーゼが出産した時、叔父上はいつも通り仕事をしていたから」
やっぱり変わらなかったのね。それは……ちょっと寂しいかしら? でもヴォルフ様らしくなくてかえって不安になってしまいそうね。
「あ……お、叔父上は感情を隠すのが上手いって意味で。その、イルーゼの心配をしていなかったわけじゃ……」
フレディが慌てて取り成すようにそう言った。嫌だわ、顔に出てしまっていたかしら。
「ふふ、わかっていますわ。それに、私たちは政略だから仕方がないわよ」
そう言うとフレディが眉間に皴を刻んだけれど、これは紛れもない事実。互いに利用し合った婚姻で、愛だの恋だのは私たちの間にはないわ。いえ、私の一方通行の想いはあるけれど、それをヴォルフ様に求めるつもりはない。最初からその条件だったし、それでも十分幸せを貰っている。
今だってお腹にはヴォルフ様の二人目のお子がいるわ。少し膨らんだお腹を撫でると奥から衝撃を感じた。先日胎動を感じて、それからは元気にお腹を蹴ってくる。活発な子みたいね。男の子かしら? 悪阻も前回のあれは何だったのかと想うほどに軽く短く済み、少し前から食欲が増して今度は食べ過ぎに気を遣う毎日。アンゼルと一緒に庭の散歩をするのが最近の日課になっているわ。
「な、何だ?」
廊下で靴音が響いた。ということはそろそろ生まれるのかしら? フレディが情けないほどに動揺した。彼の場合最悪の事態を想像していそうに見える。今にも飛び出していきそうだけど、彼の気性では産室に入るのは避けた方がよさそうね。
ぱたぱたと行き交う靴音と微かに聞こえる人の声。室内にいる皆が息を殺して外の音を拾おうと耳を澄ましている。大丈夫よ、ルーザー医師も産婆もマルガもいるし、ザーラの経過だってよかったのよ。最悪の事態なんて起きないわ。そう願いながら吉報を信じた。肌が粟立つような緊張感の中、足音がこちらに向かってくる。誰かが息を呑む音が聞こえた。
「生まれました! 元気な男のお子です!」
「ザーラは!? ザーラは無事なのか!?」
扉の向こうから現れたのは髪をひっ詰めにして頬を紅潮させたマルガだった。フレディが立ち上がり間髪入れずに妻の容態を尋ねた。そこに子が生まれた喜びはなく、妻への不安の色が濃い。
「大丈夫です。母子共に元気ですわ」
「そ、そうか……ああ、よかった……」
父親になったばかりの青年は崩れるようにソファに沈み込み、顔を両手で覆った。安堵が室内を包む。おめでとうございますとティオが私たちに向けて一礼し、ロッテとマルガ、オリスがそれに倣った。
「おめでとうフレディ。これであなたも父親よ。ほら、しっかりしなさい!」
「あ、ああ」
まだ放心したままの父親になりたての青年は頼りなく返事を返した。お産の時の男性は役に立たないと聞くけれどフレディはその典型かもしれない。優しすぎるのよね。いえ、出しゃばって産室に居座られるのも嫌なのだけど。私ならあんな姿をヴォルフ様に見せたくないもの。
その後ヴォルフ様がやって来て、準備が整ったからと皆でザーラの元に向かった。ザーラは疲れていたけれど目には力があり、胸に子を抱く姿には大仕事を終えた達成感が見えた気がした。とにかく無事でよかったわ。今はそれが嬉しい。一足先に部屋に入ったフレディがザーラの手を取って声をかけていたけれど、今にも泣きだしそうだわ。私たちの姿を視界にうつしたザーラが横になったまま礼をするように首を縦に振った。
「よく耐えたな」
「はい、義叔父上様」
「まずは休め。身体が第一だ」
「……ありがとうございます」
ヴォルフ様の言葉にザーラがはっきりと言葉を返した。
「フレディ、大事な後継候補だ。しっかり育てろよ」
「はい」
二人ともまだ戸惑いはあるようだけど、ゾルガーは実力主義、長子だからと、当主の子だからと優先されるわけではないという。義父も義祖父も兄弟がいなかったから当主になったけれど、これまでは兄弟の中でもっとも優れた者が当主になっていた。これはゾルガーの慣習だと諦めてほしいわ。
ザーラの側で眠る子は布に包まれているのもあって髪や瞳の色はわからなかった。アンゼルよりも少し大きいかしら? 生まれたばかりでまだしわしわね。懐かしいわ、アンゼルが生まれた時のことを思い出す。
「髪はフレディ様のお色でしたわ」
近くでザーラの世話をしていたスージーが教えてくれた。
「そうなの?」
「ええ、でも瞳はまだ何とも」
「ふふ、直ぐにわかるわ。どっちの色かしら。楽しみね」
アンゼルとは対照的な色の濃い髪だったのね。瞳はどっちの色を受け継ぐかしら? アンゼルのように祖父母の色を受け継ぐ子もいるから何とも言えないわね。フレディなら王家の紫瞳の可能性もあるわ。祖母のナディア様は王女だったから。
その後、ザーラはフレディに伴われて自室へと戻り、子はスージーと乳母が子の部屋へと連れて行ったため、ヴォルフ様と共に執務室へ戻った。ソファに腰を掛けたら大きな息が出た。知らない間に緊張していたみたいね。でも、出産は命がけの一大事だから気が抜けなかった。まだ暫くは安心出来ないけれど、とにもかくにも無事に生まれてくれてよかったわ。
ソファに並んで座ると、大きな手が私の腰を引き、もう片方の手がお腹を覆った。大きな手が温かい。
「無事生まれたな」
「ええ、ほっとしましたわ」
出産に絡む悲しい話は身分に関係なく常にどこかで起きている。ザーラはよくお腹が張っていたから最後まで冷や冷やさせられただけに一層感慨深いわ。
「次はお前だ」
「ええ。大丈夫ですわ。子も活発な子のようですから頑張ってくれます」
大きな手がお腹を優しく撫でると奥から返事をするように衝撃が起きた。ふふ、私たちの話が聞こえたのかしら?
「死ぬなよ」
「五十年先の予定です」
しわしわのお爺さんお婆さんになって、孫やひ孫に囲まれながら領地でのんびり暮らすのよ。海にも行ってみたいし、船というものにも乗ってみたいわ。まだまだやりたいことが山のようにあるのだから。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2巻の書影が解禁されました!
とっても麗しいイルーゼとヴォルフです。
公式サイトまたはXでご確認ください。
◆公式サイト:https://x.gd/KnSrd
◆X(旧Twitter):https://x.com/haigin_neko
またアマゾンや楽天で予約の受付が始まりました。
◆Amazon:https://x.gd/symrp
◆楽天ブックス:https://x.gd/GXypB
これも全て読んで下さった皆様のお陰です。
心より御礼申し上げます。
「もう、フレディ、ちょっとは落ち着いて」
産室に近い客間のソファに腰かけながら、茶器をソーサーに戻した。先ほどから室内をうろうろと歩き回るフレディにこっちが落ち着かない。もう直ぐ父親になる青年は緊張と不安と焦りをまき散らしていた。ヴォルフ様は急な案件が出来て今は執務室で、この部屋には私とフレディ、ティオ、オリス、ロッテだけ。マルガとスージーはザーラに付き添っている。
「イルーゼ、だが……」
「フレディが焦っても何も変わらないわよ」
「そ、そうだけど……」
精悍になったと見直していたけれど、心配性なのは変わらないのね。いえ、ザーラ限定なのかもしれないけれど。
「父親になるのだからもっとどんと構えていないと。そんなんじゃ何かあった時に対応できないわよ」
「な、何かあった時って……」
今の一言で青ざめてしまったわ。そんな気弱でどうするのよ。ザーラは痛みと戦っているのに。
「ほら、座って。お茶を飲んで落ち着いてちょうだい」
ロッテに目配せすると頷いてお茶を淹れ始めてくれた。すっきりした香りが室内に広がる。フレディがザーラに関しては抑えが利かないのは知っていたけれ、どここまでとは思わなかったわ。
「……イルーゼは強いな……」
「そりゃあ、私も子を産んでいるもの。何が起きるかわかっているから」
「そ、そうか……」
向かい側に座り、苦笑しながらお茶を口に含んだ。日焼けした分以前よりも雰囲気が険しくなったけれど、ヴォルフ様に比べたらまだまだ可愛らしく見える。
「ザーラが頑張っているのよ。フレディが狼狽えてどうするのよ」
「……面目ない」
どうやら落ち着いてくれたみたいね。お産が始まってから既に半日、万が一の事態がないとは限らないから不安になるのはわかるけれど、初産だから時間がかかるのは仕方がない。
「お菓子はいかが? フレディの好きな焼き菓子よ」
「い、いや、今は……食欲がわかないから」
こういう時、彼にはゾルガーを継ぐのは難しかったと思ってしまう。そういえば私の出産の時のヴォルフ様はどうだったのかしら?
「はぁ、叔父上には敵わないな……」
「ヴォルフ様がどうかなさったの?」
「いや、イルーゼが出産した時、叔父上はいつも通り仕事をしていたから」
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「あ……お、叔父上は感情を隠すのが上手いって意味で。その、イルーゼの心配をしていなかったわけじゃ……」
フレディが慌てて取り成すようにそう言った。嫌だわ、顔に出てしまっていたかしら。
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そう言うとフレディが眉間に皴を刻んだけれど、これは紛れもない事実。互いに利用し合った婚姻で、愛だの恋だのは私たちの間にはないわ。いえ、私の一方通行の想いはあるけれど、それをヴォルフ様に求めるつもりはない。最初からその条件だったし、それでも十分幸せを貰っている。
今だってお腹にはヴォルフ様の二人目のお子がいるわ。少し膨らんだお腹を撫でると奥から衝撃を感じた。先日胎動を感じて、それからは元気にお腹を蹴ってくる。活発な子みたいね。男の子かしら? 悪阻も前回のあれは何だったのかと想うほどに軽く短く済み、少し前から食欲が増して今度は食べ過ぎに気を遣う毎日。アンゼルと一緒に庭の散歩をするのが最近の日課になっているわ。
「な、何だ?」
廊下で靴音が響いた。ということはそろそろ生まれるのかしら? フレディが情けないほどに動揺した。彼の場合最悪の事態を想像していそうに見える。今にも飛び出していきそうだけど、彼の気性では産室に入るのは避けた方がよさそうね。
ぱたぱたと行き交う靴音と微かに聞こえる人の声。室内にいる皆が息を殺して外の音を拾おうと耳を澄ましている。大丈夫よ、ルーザー医師も産婆もマルガもいるし、ザーラの経過だってよかったのよ。最悪の事態なんて起きないわ。そう願いながら吉報を信じた。肌が粟立つような緊張感の中、足音がこちらに向かってくる。誰かが息を呑む音が聞こえた。
「生まれました! 元気な男のお子です!」
「ザーラは!? ザーラは無事なのか!?」
扉の向こうから現れたのは髪をひっ詰めにして頬を紅潮させたマルガだった。フレディが立ち上がり間髪入れずに妻の容態を尋ねた。そこに子が生まれた喜びはなく、妻への不安の色が濃い。
「大丈夫です。母子共に元気ですわ」
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父親になったばかりの青年は崩れるようにソファに沈み込み、顔を両手で覆った。安堵が室内を包む。おめでとうございますとティオが私たちに向けて一礼し、ロッテとマルガ、オリスがそれに倣った。
「おめでとうフレディ。これであなたも父親よ。ほら、しっかりしなさい!」
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「はい、義叔父上様」
「まずは休め。身体が第一だ」
「……ありがとうございます」
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「フレディ、大事な後継候補だ。しっかり育てろよ」
「はい」
二人ともまだ戸惑いはあるようだけど、ゾルガーは実力主義、長子だからと、当主の子だからと優先されるわけではないという。義父も義祖父も兄弟がいなかったから当主になったけれど、これまでは兄弟の中でもっとも優れた者が当主になっていた。これはゾルガーの慣習だと諦めてほしいわ。
ザーラの側で眠る子は布に包まれているのもあって髪や瞳の色はわからなかった。アンゼルよりも少し大きいかしら? 生まれたばかりでまだしわしわね。懐かしいわ、アンゼルが生まれた時のことを思い出す。
「髪はフレディ様のお色でしたわ」
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「そうなの?」
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アンゼルとは対照的な色の濃い髪だったのね。瞳はどっちの色を受け継ぐかしら? アンゼルのように祖父母の色を受け継ぐ子もいるから何とも言えないわね。フレディなら王家の紫瞳の可能性もあるわ。祖母のナディア様は王女だったから。
その後、ザーラはフレディに伴われて自室へと戻り、子はスージーと乳母が子の部屋へと連れて行ったため、ヴォルフ様と共に執務室へ戻った。ソファに腰を掛けたら大きな息が出た。知らない間に緊張していたみたいね。でも、出産は命がけの一大事だから気が抜けなかった。まだ暫くは安心出来ないけれど、とにもかくにも無事に生まれてくれてよかったわ。
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