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婚約者との交流開始
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ジネットという新たな懸念が生じましたが、それ以外では目立った問題はありませんでした。警告が効いたのかバルト公爵家の令息が近づいてくる事もなく、リシャール様に付けた影からも気になるような報告もなく、いよいよリシャール様と人目を気にせずに交流が出来るようになりました。そして…
(今日は何と!リシャール様とお茶のお約束なのよね!)
それだけで空も飛べそうな気分です。そう言ったらコレットに「だからってバルコニーから飛び立とうとしないで下さいね!」なんて言われてしまいましたが…酷いですわ、本当に飛ぶわけないでしょうに…最近のコレットは厳しさが割り増している気がします。
あれからずっと、夜会で後ろから抱きしめられた事を思い出す度にドキドキしていますし、転がりたい衝動に駆られたりもします。それに、どんな顔をしてお会いすればいいのでしょう…うう、リシャール様の前でこそ素敵なレディでいたいのに…上手くいかないものですわね。
リシャール様は予定の時間ぴったりにやってきました。さすが商人、時間に正確ですわね。そんなところも素敵です…
「レティ、これを貴女に」
「…まぁ、ありがとうございます」
予告なく愛称で呼ばれて、思わず昇天しそうになりましたが…リシャール様が手渡してくれたのは、優しい色合いの花束でした。花に顔を近づけると何とも優しい香りがして、見た目だけでなく香りまで楽しめます。小ぶりですがリボンの色も花の色に合わせていて、洒落た感じがさすがですわ。リシャール様のセンスの良さはアクセサリーで明らかですが…何と言いますか、花束まで拘られるなんて素敵です。私も負けない様に少しはお洒落などに気を配るべきでしょうか。いつも服などはコレット達にお任せですし…
「そう言えば、もう直ぐ建国祭ですね」
リシャール様が話題に出したのは、我が国の建国記念でした。ちょうど収穫の時期とも重なるため、その三か月後の新年に当たる創世祭と並ぶ二大祭事でもあります。その中に王家主催の舞踏会があるのですが、これも創世祭と並んでもっとも大規模なものなのです。
「今年の舞踏会は是非、私と出席して下さい」
「勿論です。ただ、上位貴族の舞踏会は初めてなので、少々気が引けますが…」
そう言ってリシャール様は力ない笑みを浮かべられましたが、はぁ…そんな表情も素敵ですわ…
「リシャール様なら心配ありませんわ。この前のパーティーでも堂々としていらっしゃっていましたもの」
「そうでしょうか」
「ええ、ベルティーユ様も立派だったと仰っていましたわ。だから自信を持ってください」
そう、あのベルティーユ様が認めたのですから問題はありませんわ。リシャール様はあの日とても緊張されていたそうですが、とてもそうは見えませんでした。その辺の伯爵家の令息なんかよりもずっと堂々としていらっしゃいましたもの。
その後は舞踏会の様子をお話したり、リシャール様達が出ていた下位貴族向けの舞踏会の話を聞いたりして過ごしました。リシャール様、これまではアネット様と出ていらっしゃったそうですが…ちょっと妬けてしまいましたわ。私も殿下と出ていたので文句を言える立場ではありませんが…
(リシャール様が絡むと、欲張りになってしまうわね…)
そんな私の心を癒してくれたのは、リシャール様から頂いた花達でした。優しい香りだったので寝室に飾りましたが、リシャール様が側にいらっしゃるような気がして、とてもいい夢が見れそうです。
(今日は何と!リシャール様とお茶のお約束なのよね!)
それだけで空も飛べそうな気分です。そう言ったらコレットに「だからってバルコニーから飛び立とうとしないで下さいね!」なんて言われてしまいましたが…酷いですわ、本当に飛ぶわけないでしょうに…最近のコレットは厳しさが割り増している気がします。
あれからずっと、夜会で後ろから抱きしめられた事を思い出す度にドキドキしていますし、転がりたい衝動に駆られたりもします。それに、どんな顔をしてお会いすればいいのでしょう…うう、リシャール様の前でこそ素敵なレディでいたいのに…上手くいかないものですわね。
リシャール様は予定の時間ぴったりにやってきました。さすが商人、時間に正確ですわね。そんなところも素敵です…
「レティ、これを貴女に」
「…まぁ、ありがとうございます」
予告なく愛称で呼ばれて、思わず昇天しそうになりましたが…リシャール様が手渡してくれたのは、優しい色合いの花束でした。花に顔を近づけると何とも優しい香りがして、見た目だけでなく香りまで楽しめます。小ぶりですがリボンの色も花の色に合わせていて、洒落た感じがさすがですわ。リシャール様のセンスの良さはアクセサリーで明らかですが…何と言いますか、花束まで拘られるなんて素敵です。私も負けない様に少しはお洒落などに気を配るべきでしょうか。いつも服などはコレット達にお任せですし…
「そう言えば、もう直ぐ建国祭ですね」
リシャール様が話題に出したのは、我が国の建国記念でした。ちょうど収穫の時期とも重なるため、その三か月後の新年に当たる創世祭と並ぶ二大祭事でもあります。その中に王家主催の舞踏会があるのですが、これも創世祭と並んでもっとも大規模なものなのです。
「今年の舞踏会は是非、私と出席して下さい」
「勿論です。ただ、上位貴族の舞踏会は初めてなので、少々気が引けますが…」
そう言ってリシャール様は力ない笑みを浮かべられましたが、はぁ…そんな表情も素敵ですわ…
「リシャール様なら心配ありませんわ。この前のパーティーでも堂々としていらっしゃっていましたもの」
「そうでしょうか」
「ええ、ベルティーユ様も立派だったと仰っていましたわ。だから自信を持ってください」
そう、あのベルティーユ様が認めたのですから問題はありませんわ。リシャール様はあの日とても緊張されていたそうですが、とてもそうは見えませんでした。その辺の伯爵家の令息なんかよりもずっと堂々としていらっしゃいましたもの。
その後は舞踏会の様子をお話したり、リシャール様達が出ていた下位貴族向けの舞踏会の話を聞いたりして過ごしました。リシャール様、これまではアネット様と出ていらっしゃったそうですが…ちょっと妬けてしまいましたわ。私も殿下と出ていたので文句を言える立場ではありませんが…
(リシャール様が絡むと、欲張りになってしまうわね…)
そんな私の心を癒してくれたのは、リシャール様から頂いた花達でした。優しい香りだったので寝室に飾りましたが、リシャール様が側にいらっしゃるような気がして、とてもいい夢が見れそうです。
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