145 / 238
無事に終わりました
しおりを挟む
視界の片隅では、崩れ落ちた人物に騎士が一斉に群がっていましたが…
(リシャール様、かっこいいですわ…!)
私はその切れのいい膝蹴りに惚れ惚れして、それどころではありませんでした。これは是非一度手合わせを…じゃなくて!それではリシャール様の雄姿をゆっくり拝見する事が出来ないので、誰かと手合わせしているお姿を見てみたいですわ。優美で荒事とは縁がなさそうなリシャール様でしたのに…これは想定外でした。
「リシャール様、お強かったのですね」
「以前、よく不良グループに絡まれたので返り討ちにしていたのですよ。それに大人になったら他国に行商に行くつもりだったので、護身術も習っていましたし」
私とリシャール様が通った学園では護身術は必須科目でしたから、心得はおありだと思っていましたが、実戦も経験されていたとは意外でした。不良グループと言うのは、先日ヒューゴ様が言っていた破落戸とかいう方たちでしょうか。
「くそっ!どうして…!!!」
私がリシャール様の雄姿に惚れ惚れしていると、横から怨嗟の声が響いてきました。ああ、まだいらっしゃったのですね、この方…
「ごきげんよう、ラザール様」
「な…!レ、レティシア様…どうしてここに…」
被っていたフードを外して挨拶をすると、騎士たちに床に押さえつけられていたその人物―ラザール様は目を大きく見開いて私を見上げました。私がここにいると知って相当驚かれているようですが…私もびっくりですわ。まぁ、予感はしていましたけれど…
「残念ですわ、こんなところでお会いするなんて」
「あ、貴女こそ、どうして…」
「私は婚約者を助けるために、騎士団の皆様とご一緒させて頂きましたの」
「な…」
「私はラフォンですもの。愛する方のためならこの手を汚す事も厭いませんわ」
にっこりと笑みを浮かべてそう告げると、ラザール様は口を開けたまま呆けてしまいました。まぁ、貴族の令嬢がいう言葉ではありませんわね。でも、この手を血で染める覚悟がなければ、ラフォン侯爵家の後継候補にはなれないのです。筆頭侯爵家は常に血で血を洗う政争に巻き込まれる可能性と隣り合わせなのです。その覚悟が持てそうもない者は、ジネットの様に何も知らされずに他家に出されるのですから。
こうして、この捕物劇は大量の逮捕者を捕らえた後、恙なく幕を閉じました。これから大掛かりな調査が行われて裁きが下される事でしょうが、それは騎士団のお仕事です。
「リシャール、良く戻ってくれた」
「よく無事で…よかったですわ」
「ご心配をおかけしました。ご尽力ありがとうございます」
リシャール様と共に屋敷に戻ると、お父様とお母様、そして家令の皆が待っていてくれました。リシャール様の怪我一つない無事の帰宅に、皆が喜んでいます。
「…へ?」
「レ、レティ?」
「まぁ!」
「だ、大丈夫ですか?!」
屋敷に足を踏み入れた途端安心したのでしょうか、私の足が踏ん張る力を失くしてしまったようで、私はその場に座り込んでしまいました。
「や、やっと帰ってこれたと思ったら…足が…」
自分でも驚きましたが、皆の前でこの状況は恥ずかしすぎます。でも…
「ひゃぁっ!」
次の瞬間、視界が高くなって私は思わず変な声が出てしまいましたが…
(リ、リシャール様に…お姫様抱っこされてる?)
思いがけない展開に私は頭が真っ白になって、ただただ茫然としたままリシャール様に部屋まで運ばれ、それを両親と家令達が生暖かい目で見守られているのを知ったのは、しばらく経ってからの事でした。
突然の展開に、私は別の意味で意識を失いそうになりました。
(リシャール様、かっこいいですわ…!)
私はその切れのいい膝蹴りに惚れ惚れして、それどころではありませんでした。これは是非一度手合わせを…じゃなくて!それではリシャール様の雄姿をゆっくり拝見する事が出来ないので、誰かと手合わせしているお姿を見てみたいですわ。優美で荒事とは縁がなさそうなリシャール様でしたのに…これは想定外でした。
「リシャール様、お強かったのですね」
「以前、よく不良グループに絡まれたので返り討ちにしていたのですよ。それに大人になったら他国に行商に行くつもりだったので、護身術も習っていましたし」
私とリシャール様が通った学園では護身術は必須科目でしたから、心得はおありだと思っていましたが、実戦も経験されていたとは意外でした。不良グループと言うのは、先日ヒューゴ様が言っていた破落戸とかいう方たちでしょうか。
「くそっ!どうして…!!!」
私がリシャール様の雄姿に惚れ惚れしていると、横から怨嗟の声が響いてきました。ああ、まだいらっしゃったのですね、この方…
「ごきげんよう、ラザール様」
「な…!レ、レティシア様…どうしてここに…」
被っていたフードを外して挨拶をすると、騎士たちに床に押さえつけられていたその人物―ラザール様は目を大きく見開いて私を見上げました。私がここにいると知って相当驚かれているようですが…私もびっくりですわ。まぁ、予感はしていましたけれど…
「残念ですわ、こんなところでお会いするなんて」
「あ、貴女こそ、どうして…」
「私は婚約者を助けるために、騎士団の皆様とご一緒させて頂きましたの」
「な…」
「私はラフォンですもの。愛する方のためならこの手を汚す事も厭いませんわ」
にっこりと笑みを浮かべてそう告げると、ラザール様は口を開けたまま呆けてしまいました。まぁ、貴族の令嬢がいう言葉ではありませんわね。でも、この手を血で染める覚悟がなければ、ラフォン侯爵家の後継候補にはなれないのです。筆頭侯爵家は常に血で血を洗う政争に巻き込まれる可能性と隣り合わせなのです。その覚悟が持てそうもない者は、ジネットの様に何も知らされずに他家に出されるのですから。
こうして、この捕物劇は大量の逮捕者を捕らえた後、恙なく幕を閉じました。これから大掛かりな調査が行われて裁きが下される事でしょうが、それは騎士団のお仕事です。
「リシャール、良く戻ってくれた」
「よく無事で…よかったですわ」
「ご心配をおかけしました。ご尽力ありがとうございます」
リシャール様と共に屋敷に戻ると、お父様とお母様、そして家令の皆が待っていてくれました。リシャール様の怪我一つない無事の帰宅に、皆が喜んでいます。
「…へ?」
「レ、レティ?」
「まぁ!」
「だ、大丈夫ですか?!」
屋敷に足を踏み入れた途端安心したのでしょうか、私の足が踏ん張る力を失くしてしまったようで、私はその場に座り込んでしまいました。
「や、やっと帰ってこれたと思ったら…足が…」
自分でも驚きましたが、皆の前でこの状況は恥ずかしすぎます。でも…
「ひゃぁっ!」
次の瞬間、視界が高くなって私は思わず変な声が出てしまいましたが…
(リ、リシャール様に…お姫様抱っこされてる?)
思いがけない展開に私は頭が真っ白になって、ただただ茫然としたままリシャール様に部屋まで運ばれ、それを両親と家令達が生暖かい目で見守られているのを知ったのは、しばらく経ってからの事でした。
突然の展開に、私は別の意味で意識を失いそうになりました。
応援ありがとうございます!
13
お気に入りに追加
3,460
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる