【完結】悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!

灰銀猫

文字の大きさ
176 / 238

静かすぎて不安になる?

しおりを挟む
 ダンスも踊り参加者との挨拶も粗方終えた私とリシャール様は、会場の一角の休憩スペースで飲み物を頂いていました。ずっと立ちっぱなしだったので、さすがに足も疲れてきましたわね。

「ごきげんよう、レティシア様」
「まぁ、ベルティーユ様」

 ソファに腰かけ、リシャール様と雑談をしながら休んでいるところに声をかけてきたのは、ロイク様にエスコートされたベルティーユ様でした。今日のベルティーユ様は瞳の色の緑を基調とした衣装で、白い騎士の正装のロイク様と並ぶと華やかさが際立ちますわね。背が高いベルティーユ様ですが、こちらも長身で鍛えられているロイク様と並ぶと絵になりますわ。

「今日は無事に終わりそうね」
「ええ、このまま終わって欲しいですわ」

 ベルティーユ様も我が家と引けを取らない侯爵家の令嬢ですし、お姉様は第二王子のお妃様です。お兄様とセレスティーヌ様、エルネスト様とアドリエンヌ様の事もある程度はご存じのようで、声を潜めてそう言いながらも好奇心は隠せていないようです。これは今度会った時には色々聞かれそうですわね。

「あの狂犬姫、やけに大人しいけど、何をしたのよ?」

 向かいの空いていた席に座ったベルティーユ様は、声を潜めたままそう尋ねてきました。

「何をって…うちは何もしていませんよ?」
「そうなの?てっきり貴女のお父上が何かしたのだと思っていたのだけど」
「…特に何も聞いていないのですけど…王妃様辺りが何か仰ったのでは?」

 確かにあのアドリエンヌ様、今まで大人しくしているのが意外過ぎて、逆に不安を感じ始めていたところです。でも、下手に動いて刺激する方が悪手なのはお父様もわかっていらっしゃるでしょう。となれば、王妃様辺りが何か言った方が可能性は高そうです。エルネスト様と婚姻すれば義理の母になりますし、王妃様の実家はエストレ国と繋がりも深いので、アドリエンヌ様も疎かには出来ないでしょう。
 その時です。 

「レティシア様」

 あまり聞き覚えのない声に名を呼ばれました。今日は国中の高位貴族が集まっているので、声を掛けられるのは仕方ありませんが…ベルティーユ様との会話中に割り込むなんて、随分なマナー違反ですわね。
 声の方に視線を向けると、そこにいたのはアロシュ伯爵家のドミニク様でした。お一人ですが、パートナーの方はどうしたのでしょうか。いえ、彼女はまだ婚約者を決めていないので、家族と参加しているのでしょうが。

「まぁ、アロシュ伯爵令嬢。ごきげんよう」
「…」

 ベルティーユ様が眉を顰めながらも挨拶をしました。迫力ある美人で家も強い力を持つ彼女にこんな風にされれば、普通は委縮してしまうものですが…アロシュ伯爵家のドミニク様はベルティーユ様が視界に入らないのか、まるっと無視してしまいました。普段の彼女からはあり得ないですわね。何だか…雰囲気がいつもと違いますし…

「ドミニク様、どうかなさいまして?」

 座ったまま見上げると、彼女はキッと私を睨みつけました。

「ど、どうしてなのよ?」
「…え?」
「どうして…どうしてエルネスト様が、あの王女と結婚する事になってるのよ!」

 どうしてって…私に聞かれても困るのですが…そうは思ったのですが、何やら剣呑な彼女の様子に、私は呆気にとられてしまいました。


しおりを挟む
感想 209

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください> 私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

処理中です...