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最終学年がはじまりました
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結局リシャール様とゆっくり過ごす暇もなく、新学期が始まりました。今年は最終学年となり、卒業まで残り一年を切りました。
授業内容は既に履修済みなので、出席しなくてもよほどの不祥事でも起こさない限りは卒業です。後は首席を維持出来るかどうか…ですわね。これは侯爵家当主となる私の箔付けにもなるので、絶対に手は抜けません。
学園に登校すると、早速ベルティーユ様が声を掛けてきました。クラスは毎年、昨年一年間の成績順に決まりますが、首席争いをしているベルティーユ様とは今年も同じクラスです。と言うか、殆ど顔ぶれが変わる事はないのが通例で、変わっても二、三人なのですよね。
「ごきげんよう、レティシア様。いえ、ご成婚おめでとうと申し上げた方がよろしいかしら?」
さすがは我が家と並ぶカロン侯爵家、情報網も抜かりないですわね。
「ありがとうございます。でも、卒業まではあまり大っぴらにはしないつもりですの」
「そう。じゃ、卒業と同時に式を挙げられるのかしら?」
「そのつもりで準備を始めましたわ」
そう、結婚式の準備は急ピッチで進められています。一年あるとはいえ、元々は卒業後にエルネスト様に嫁ぐ予定だったのです。でも、それがなくなって今度はラフォン次期当主として結婚するので、準備の中身が全く変わってしまったのですよね。だから我が家は今、家令や侍女が大騒ぎなのです。
「あら、じゃ日程が被らないように調整しなきゃね」
「え?じゃ、ベルティーユ様も?」
「ええ。ロイクは先に卒業しちゃったからね。婚約期間も長いしシュマン侯爵家の夫人教育なんて不要なくらい入り浸っているし。卒業したら直ぐなのよ」
「そうね。でも、日程がって…」
「あら?私の式に出て下さいませんの?私はレティシア様の式に出るつもりでしたわよ?」
「ええ?い、いいのですか?」
思わずそう尋ねてしまいましたわ。だって我が家とカロン侯爵家は犬猿の仲ですし、カロン侯爵家と仲が良く家族ぐるみの付き合いのあるシュマン侯爵家との関係も微妙です。そんな状態で私が出席してはお互いに気まずいだろうと思い、出席は難しいと思っていました。だから事前にお祝いだけでも…と思っていたのですが…
「親世代が不仲だからって、私たちまでそれに倣う必要はありませんわ。もっとも、レティシア様が嫌だと言うなら招待しませんけど」
「行きますわ!絶対行きます!」
出席出来るのなら、招待して下さるのなら行かない選択肢なんかありませんわ!だってベルティーユ様は私の大切なお友達なのですから。
「え?ちょっと!抱きつかないでよ!」
嬉しくって思わず抱きついてしまいましたが…でも、それくらいに嬉しかったのです。
「だって、嬉しくって…」
「そうは言っても、人が見ていますわよ」
「え?あ…」
そう言えばここは学園の廊下で、登校した生徒たちが行き来している最中でした。気が付けば皆様の目が私達に注がれていました。
「まぁ、でも、私達が仲良くしているのを見たら、親世代も色々考えるんじゃない?」
そうベルティーユ様が悪戯っぽく言いましたが、確かにそうですわね。私達の関係が将来の勢力図に直結するので、私達が誰と親しくしているかは皆さん、気になるのでしょうね。
「まぁ、私もロイクもクレマンも、レティシア様の友人だと思っていますけど…異議はおありかしら?」
「まさか!私も同じですわ」
ツンとすまし顔でそう尋ねてくるベルティーユ様に、私は満面の笑みで答えました。
授業内容は既に履修済みなので、出席しなくてもよほどの不祥事でも起こさない限りは卒業です。後は首席を維持出来るかどうか…ですわね。これは侯爵家当主となる私の箔付けにもなるので、絶対に手は抜けません。
学園に登校すると、早速ベルティーユ様が声を掛けてきました。クラスは毎年、昨年一年間の成績順に決まりますが、首席争いをしているベルティーユ様とは今年も同じクラスです。と言うか、殆ど顔ぶれが変わる事はないのが通例で、変わっても二、三人なのですよね。
「ごきげんよう、レティシア様。いえ、ご成婚おめでとうと申し上げた方がよろしいかしら?」
さすがは我が家と並ぶカロン侯爵家、情報網も抜かりないですわね。
「ありがとうございます。でも、卒業まではあまり大っぴらにはしないつもりですの」
「そう。じゃ、卒業と同時に式を挙げられるのかしら?」
「そのつもりで準備を始めましたわ」
そう、結婚式の準備は急ピッチで進められています。一年あるとはいえ、元々は卒業後にエルネスト様に嫁ぐ予定だったのです。でも、それがなくなって今度はラフォン次期当主として結婚するので、準備の中身が全く変わってしまったのですよね。だから我が家は今、家令や侍女が大騒ぎなのです。
「あら、じゃ日程が被らないように調整しなきゃね」
「え?じゃ、ベルティーユ様も?」
「ええ。ロイクは先に卒業しちゃったからね。婚約期間も長いしシュマン侯爵家の夫人教育なんて不要なくらい入り浸っているし。卒業したら直ぐなのよ」
「そうね。でも、日程がって…」
「あら?私の式に出て下さいませんの?私はレティシア様の式に出るつもりでしたわよ?」
「ええ?い、いいのですか?」
思わずそう尋ねてしまいましたわ。だって我が家とカロン侯爵家は犬猿の仲ですし、カロン侯爵家と仲が良く家族ぐるみの付き合いのあるシュマン侯爵家との関係も微妙です。そんな状態で私が出席してはお互いに気まずいだろうと思い、出席は難しいと思っていました。だから事前にお祝いだけでも…と思っていたのですが…
「親世代が不仲だからって、私たちまでそれに倣う必要はありませんわ。もっとも、レティシア様が嫌だと言うなら招待しませんけど」
「行きますわ!絶対行きます!」
出席出来るのなら、招待して下さるのなら行かない選択肢なんかありませんわ!だってベルティーユ様は私の大切なお友達なのですから。
「え?ちょっと!抱きつかないでよ!」
嬉しくって思わず抱きついてしまいましたが…でも、それくらいに嬉しかったのです。
「だって、嬉しくって…」
「そうは言っても、人が見ていますわよ」
「え?あ…」
そう言えばここは学園の廊下で、登校した生徒たちが行き来している最中でした。気が付けば皆様の目が私達に注がれていました。
「まぁ、でも、私達が仲良くしているのを見たら、親世代も色々考えるんじゃない?」
そうベルティーユ様が悪戯っぽく言いましたが、確かにそうですわね。私達の関係が将来の勢力図に直結するので、私達が誰と親しくしているかは皆さん、気になるのでしょうね。
「まぁ、私もロイクもクレマンも、レティシア様の友人だと思っていますけど…異議はおありかしら?」
「まさか!私も同じですわ」
ツンとすまし顔でそう尋ねてくるベルティーユ様に、私は満面の笑みで答えました。
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