3 / 33
お父様への報告
しおりを挟む
「婚約破棄、だと?」
ジスラン殿下の元を辞した私は、その足で王宮に隣接する騎士団の建物に向かいました。ここには私の父がいるからです。
私の父は第一騎士団に所属していて、副団長を務めています。
まぁ、伯爵家なので出世としてはここが限界ですが、父は出世にはあまり興味がないので、その事は気にしていません。
「ええ」
「だが、殿下との婚約は殿下の…」
「そうなのですけれど…何でもオランド侯爵家のリアーヌ様が代わりになられるとか。あの方も聖女の力があるとの事ですし、よろしいのではないでしょうか?」
「うむ…確かに」
お父様もこの婚約にはいい顔をなさらなかったので、異存はないようです。
それもそうでしょう。
殿下は見栄えはいいけど中身はひ弱ですし、代々騎士の家系の我が家では心証はよくありませんから。
「しかし、破棄などと…この場合は解消でいいだろうに…」
「そうなのですが…私としてはどっちでもいいですわ。殿下から離れられたのなら」
そう、婚約を取り消す場合は、解消と破棄の二つの方法があります。
解消は両者の合意の上で穏便に取り消すのですが、破棄は片方に問題があった場合に行うものです。
この場合、解消の方が妥当です。
まぁ、殿下の不貞と言う意味では、破棄で合っているのですが…
でも、婚約がなくなるのであれば、私はもうどっちでもいいです。
聖女の力を持っていれば、多分、相手に困る事もありませんし。
あと、気になるのは婚約を命じられた陛下ですわね。
勝手に破棄したけれど、大丈夫なのかしら?
でも、殿下の後ろ盾になるなら、伯爵家よりも侯爵家の方がいいのは確かだし、問題ないでしょう。
「でも…お父様」
「どうした?」
一つだけ、心配な事があったので、それだけはお父様には知らせておきたかったのです。
「リアーヌ様との婚約はいいのですけれど…リアーヌ様は婚約者を選ぶ選定会では、大した力はなかったと思いますの。もしリアーヌ様に私と同じくらいの力があれば、リアーヌ様が選ばれたと思うのですよね」
「そうだな…確かに」
「だから、リアーヌ様では無理だとなった場合、また私と再婚約…とならないかが心配なのです」
「な…!それは…でも、そうだな。確かにレットの言う通りだ」
お父様が考え込んでしまわれましたが、この可能性がないとは言い切れません。
いくら殿下がリアーヌ様を望まれても、命に係わるとなればそうとも言っていられないでしょう。
でも、私はもう殿下の婚約者にはなりたくないのです。
「そうだな。では…正式に婚約破棄になったら、すぐに次の相手を探そうか…」
「では、私などどうだろうか?」
ジスラン殿下の元を辞した私は、その足で王宮に隣接する騎士団の建物に向かいました。ここには私の父がいるからです。
私の父は第一騎士団に所属していて、副団長を務めています。
まぁ、伯爵家なので出世としてはここが限界ですが、父は出世にはあまり興味がないので、その事は気にしていません。
「ええ」
「だが、殿下との婚約は殿下の…」
「そうなのですけれど…何でもオランド侯爵家のリアーヌ様が代わりになられるとか。あの方も聖女の力があるとの事ですし、よろしいのではないでしょうか?」
「うむ…確かに」
お父様もこの婚約にはいい顔をなさらなかったので、異存はないようです。
それもそうでしょう。
殿下は見栄えはいいけど中身はひ弱ですし、代々騎士の家系の我が家では心証はよくありませんから。
「しかし、破棄などと…この場合は解消でいいだろうに…」
「そうなのですが…私としてはどっちでもいいですわ。殿下から離れられたのなら」
そう、婚約を取り消す場合は、解消と破棄の二つの方法があります。
解消は両者の合意の上で穏便に取り消すのですが、破棄は片方に問題があった場合に行うものです。
この場合、解消の方が妥当です。
まぁ、殿下の不貞と言う意味では、破棄で合っているのですが…
でも、婚約がなくなるのであれば、私はもうどっちでもいいです。
聖女の力を持っていれば、多分、相手に困る事もありませんし。
あと、気になるのは婚約を命じられた陛下ですわね。
勝手に破棄したけれど、大丈夫なのかしら?
でも、殿下の後ろ盾になるなら、伯爵家よりも侯爵家の方がいいのは確かだし、問題ないでしょう。
「でも…お父様」
「どうした?」
一つだけ、心配な事があったので、それだけはお父様には知らせておきたかったのです。
「リアーヌ様との婚約はいいのですけれど…リアーヌ様は婚約者を選ぶ選定会では、大した力はなかったと思いますの。もしリアーヌ様に私と同じくらいの力があれば、リアーヌ様が選ばれたと思うのですよね」
「そうだな…確かに」
「だから、リアーヌ様では無理だとなった場合、また私と再婚約…とならないかが心配なのです」
「な…!それは…でも、そうだな。確かにレットの言う通りだ」
お父様が考え込んでしまわれましたが、この可能性がないとは言い切れません。
いくら殿下がリアーヌ様を望まれても、命に係わるとなればそうとも言っていられないでしょう。
でも、私はもう殿下の婚約者にはなりたくないのです。
「そうだな。では…正式に婚約破棄になったら、すぐに次の相手を探そうか…」
「では、私などどうだろうか?」
219
あなたにおすすめの小説
放蕩な血
イシュタル
恋愛
王の婚約者として、華やかな未来を約束されていたシンシア・エルノワール侯爵令嬢。
だが、婚約破棄、娼館への転落、そして愛妾としての復帰──彼女の人生は、王の陰謀と愛に翻弄され続けた。
冷徹と名高い若き王、クラウド・ヴァルレイン。
その胸に秘められていたのは、ただ1人の女性への執着と、誰にも明かせぬ深い孤独。
「君が僕を“愛してる”と一言くれれば、この世のすべてが手に入る」
過去の罪、失われた記憶、そして命を懸けた選択。
光る蝶が導く真実の先で、ふたりが選んだのは、傷を抱えたまま愛し合う未来だった。
⚠️この物語はフィクションです。やや強引なシーンがあります。本作はAIの生成した文章を一部使用しています。
追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~
ふわふわ
恋愛
婚約破棄――そして追放。
完璧すぎると嘲られ、役立たず呼ばわりされた令嬢エテルナは、
家族にも見放され、王国を追われるように国境へと辿り着く。
そこで彼女を救ったのは、隣国の若き公爵アイオン。
「君を保護する名目が必要だ。干渉しない“白い結婚”をしよう」
契約だけの夫婦のはずだった。
お互いに心を乱さず、ただ穏やかに日々を過ごす――はずだったのに。
静かで優しさを隠した公爵。
無能と決めつけられていたエテルナに眠る、古代聖女の力。
二人の距離は、ゆっくり、けれど確実に近づき始める。
しかしその噂は王国へ戻り、
「エテルナを取り戻せ」という王太子の暴走が始まった。
「彼女はもうこちらの人間だ。二度と渡さない」
契約結婚は終わりを告げ、
守りたい想いはやがて恋に変わる──。
追放令嬢×隣国公爵×白い結婚から溺愛へ。
そして元婚約者ざまぁまで爽快に描く、
“追い出された令嬢が真の幸せを掴む物語”が、いま始まる。
---
嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。
【完結】魔力の見えない公爵令嬢は、王国最強の魔術師でした
er
恋愛
「魔力がない」と婚約破棄された公爵令嬢リーナ。だが真実は逆だった――純粋魔力を持つ規格外の天才魔術師! 王立試験で元婚約者を圧倒し首席合格、宮廷魔術師団長すら降参させる。王宮を救う活躍で副団長に昇進、イケメン公爵様からの求愛も!? 一方、元婚約者は没落し後悔の日々……。見る目のなかった男たちへの完全勝利と、新たな恋の物語。
【完結】公爵家のメイドたる者、炊事、洗濯、剣に魔法に結界術も完璧でなくてどうします?〜聖女様、あなたに追放されたおかげで私は幸せになれました
冬月光輝
恋愛
ボルメルン王国の聖女、クラリス・マーティラスは王家の血を引く大貴族の令嬢であり、才能と美貌を兼ね備えた完璧な聖女だと国民から絶大な支持を受けていた。
代々聖女の家系であるマーティラス家に仕えているネルシュタイン家に生まれたエミリアは、大聖女お付きのメイドに相応しい人間になるために英才教育を施されており、クラリスの側近になる。
クラリスは能力はあるが、傍若無人の上にサボり癖のあり、すぐに癇癪を起こす手の付けられない性格だった。
それでも、エミリアは家を守るために懸命に彼女に尽くし努力する。クラリスがサボった時のフォローとして聖女しか使えないはずの結界術を独学でマスターするほどに。
そんな扱いを受けていたエミリアは偶然、落馬して大怪我を負っていたこの国の第四王子であるニックを助けたことがきっかけで、彼と婚約することとなる。
幸せを掴んだ彼女だが、理不尽の化身であるクラリスは身勝手な理由でエミリアをクビにした。
さらに彼女はクラリスによって第四王子を助けたのは自作自演だとあらぬ罪をでっち上げられ、家を潰されるかそれを飲み込むかの二択を迫られ、冤罪を被り国家追放に処される。
絶望して隣国に流れた彼女はまだ気付いていなかった、いつの間にかクラリスを遥かに超えるほどハイスペックになっていた自分に。
そして、彼女こそ国を守る要になっていたことに……。
エミリアが隣国で力を認められ巫女になった頃、ボルメルン王国はわがまま放題しているクラリスに反発する動きが見られるようになっていた――。
敗戦国の元王子へ 〜私を追放したせいで貴国は我が帝国に負けました。私はもう「敵国の皇后」ですので、頭が高いのではないでしょうか?〜
六角
恋愛
「可愛げがないから婚約破棄だ」 王国の公爵令嬢コーデリアは、その有能さゆえに「鉄の女」と疎まれ、無邪気な聖女を選んだ王太子によって国外追放された。
極寒の国境で凍える彼女を拾ったのは、敵対する帝国の「氷の皇帝」ジークハルト。 「私が求めていたのは、その頭脳だ」 皇帝は彼女の才能を高く評価し、なんと皇后として迎え入れた!
コーデリアは得意の「物流管理」と「実務能力」で帝国を黄金時代へと導き、氷の皇帝から極上の溺愛を受けることに。 一方、彼女を失った王国はインフラが崩壊し、経済が破綻。焦った元婚約者は戦争を仕掛けてくるが、コーデリアの完璧な策の前に為す術なく敗北する。
和平交渉の席、泥まみれで土下座する元王子に対し、美しき皇后は冷ややかに言い放つ。 「頭が高いのではないでしょうか? 私はもう、貴国を支配する帝国の皇后ですので」
これは、捨てられた有能令嬢が、最強のパートナーと共に元祖国を「実務」で叩き潰し、世界一幸せになるまでの爽快な大逆転劇。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
答えられません、国家機密ですから
ととせ
恋愛
フェルディ男爵は「国家機密」を継承する特別な家だ。その後継であるジェシカは、伯爵邸のガゼボで令息セイルと向き合っていた。彼はジェシカを愛してると言うが、本当に欲しているのは「国家機密」であるのは明白。全てに疲れ果てていたジェシカは、一つの決断を彼に迫る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる