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初めてのお茶会

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「よく来てくれた、アルレット嬢」
「お招きありがとうございます。オーギュスト様」

翌日、私はオーギュスト様のお屋敷のお庭におりました。
オーギュスト様はラシュー公爵家のご当主で、王都にご立派なお屋敷をお持ちです。
お父様の話では、オーギュスト様は根っからの仕事人間で、普段は騎士団の寮で寝食されているそうです。
という事は、今日は私のためにわざわざお屋敷にお戻りになられたのでしょうか…だったら…嬉し過ぎて鼻血が出そうです…

案内されたのは、美しく手入れされた庭にある東屋でした。
周りは低木や色とりどりのバラで囲まれているので、ちょっとした隠れ家のようです。
さすがは公爵家、我が家とは大違いです。

「アルレット嬢は甘いものはお好きか?」
「ええ、もちろんです。ケーキもパイもクッキーも、何でも大好きです」
「そうか、よかった。色々用意させたから、好きなだけ食べてくれ」

そう言うと使用人がたくさんのお菓子をテーブルに並べ始めました。ケーキにクッキーに焼き菓子にプリンまで…なんて幸せなのでしょう。

「そうそう、婚約したのだから、私の事はオーギュと呼んで欲しい」
「よ、よろしいのですか?」

公爵家のご当主様を愛称で呼ぶなんて…いえ、婚約したのならおかしい事ではないのですけれど…身分差があり過ぎて恐縮してしまいますわ…

「私もアルレット嬢の事はレットと呼ばせて欲しい。いいだろうか?」
「それは、大変嬉しいですけれど…」
「ああ、そんなに緊張しないで欲しい。昔のように気軽に呼んでくれ」
「…いやですわ、お恥ずかしい…」

そう、実は私、オーギュ様とは小さい頃から交流がありました。
私を溺愛していた父がよく騎士団に連れて行っていたからで、その頃のオーギュ様は今ほど筋肉隆々ではなく普通の少年でしたが、よく私の相手をしてくれていて、私はその頃からお優しいオーギュ様が大好きでした。
あの頃はまだ筋肉も人並みでしたので、まさかこんなにも筋肉が育って私の理想そのものになるとは思いもしませんでしたが…

「そうそう、近々婚約披露のパーティーをする予定だ。私からは是非ドレスを贈らせて欲しい」
「あ、ありがとうございます」

婚約披露のパーティーで婚約者となる女性にドレスを贈るのは恋愛結婚の場合が多く、相手への愛情を示すものと言われています。
でも、政略結婚ではあまり見られないのですが…
ああ、これはきっとオーギュ様が、私を気の毒に思って下さっているのでしょう。

その日のお茶会は、とても和やかに楽しく過ごせました。
何と言っても間近で、オーギュ様の筋肉をたっぷり拝見出来たのですもの。
その日の夜、私は興奮し過ぎて眠れませんでした。
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