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尋問、再び~2
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「聖女の、力…ですか?」
「リアーヌ嬢は、殿下があなたから受け取った青虹玉をお身体に取り込んでから体調が悪くなったと申しておりますよ」
「ええっ?」
今度こそ私は混乱しました。
私の青虹玉はオーギュ様がお持ちなので、私の青虹玉を殿下が手にする事はありません。
私も殿下に渡したいなんて微塵も思いませんけど…
「青虹玉?私の、ですか?」
「ええ、そうです。青虹玉は他者の力を加えれば呪いの元になります。あなたはその事もご存じだった。だからあなたは自分の青虹玉に別の誰かの力を込めさせて、殿下にお渡ししたのでは?」
「それはあり得ませんわ…私は殿下に青虹玉をお渡ししておりませんから」
「そんな筈はないでしょう。リアーヌ様はあなたが殿下にお渡ししていたと仰っていますよ」
「そんな…それはあり得ませんわ。それに殿下はリアーヌ様から青虹玉を受け取ったと仰っていました」
「な…我が娘のせいにするのか!」
声を荒げたのは、前回同様オランド侯爵でした。
何でしょう、この方は。前回も急に王妃様との会話に割り込んできましたが…落ち着きのない方のようです。
「何ですかな、オランド侯爵。今はあなたに発言を許可しておりませんよ」
「だ、だが…我が娘は青虹玉を殿下にお渡しておりません!」
「そうですか。これは不思議ですな。アルレット嬢は渡したと言い、侯爵は渡していないと仰る。リアーヌ嬢、あなたのご意見は?
「私はお渡ししておりません」
急に話を振られたリアーヌ様でしたが、驚いた様子はなくそうお答えになりました。
おかしいです、この前お会いした時、殿下は確かにそう仰っていたのに…
「だそうですよ、アルレット嬢。嘘はいけませんね」
「嘘ではありません。だって、私の…」
「アルレット嬢の青虹玉は、私が持っている」
「え?」
「な…」
声を上げられたのは、オーギュ様でした。さすがに文官も驚いて言葉に詰まっている様ですが…私も含めて、この場の誰もが固まってしまいました。
…オ、オーギュ様、そんな事を仰ってよろしいのでしょうか?
私は王族殺害の容疑をかけられているのです。そんな事を仰ってはオーギュ様まで…
「アルレット嬢の青虹玉は私が持っている。討伐隊に出る日、お守りにと受け取った。今もほら…ここに」
そう言ってオーギュ様は、私がお渡しした青虹玉を取り出されました。
確かにあれは、私がお渡しした青虹玉です。
「な…!」
「そんな…!」
騒めきが上がる中、オランド侯爵とリアーヌ様の声が耳に届きました。
どうしたのでしょう…私の青虹玉をオーギュ様がお持ちなのがそんなに意外だったでしょうか…
「アルレット嬢の青虹玉はここにある。なのに、どうやってアルレット嬢がこれを使って殿下を害しようというのだ?」
オーギュ様の低く張りのあるお声が、室内に響き渡りました。
「リアーヌ嬢は、殿下があなたから受け取った青虹玉をお身体に取り込んでから体調が悪くなったと申しておりますよ」
「ええっ?」
今度こそ私は混乱しました。
私の青虹玉はオーギュ様がお持ちなので、私の青虹玉を殿下が手にする事はありません。
私も殿下に渡したいなんて微塵も思いませんけど…
「青虹玉?私の、ですか?」
「ええ、そうです。青虹玉は他者の力を加えれば呪いの元になります。あなたはその事もご存じだった。だからあなたは自分の青虹玉に別の誰かの力を込めさせて、殿下にお渡ししたのでは?」
「それはあり得ませんわ…私は殿下に青虹玉をお渡ししておりませんから」
「そんな筈はないでしょう。リアーヌ様はあなたが殿下にお渡ししていたと仰っていますよ」
「そんな…それはあり得ませんわ。それに殿下はリアーヌ様から青虹玉を受け取ったと仰っていました」
「な…我が娘のせいにするのか!」
声を荒げたのは、前回同様オランド侯爵でした。
何でしょう、この方は。前回も急に王妃様との会話に割り込んできましたが…落ち着きのない方のようです。
「何ですかな、オランド侯爵。今はあなたに発言を許可しておりませんよ」
「だ、だが…我が娘は青虹玉を殿下にお渡しておりません!」
「そうですか。これは不思議ですな。アルレット嬢は渡したと言い、侯爵は渡していないと仰る。リアーヌ嬢、あなたのご意見は?
「私はお渡ししておりません」
急に話を振られたリアーヌ様でしたが、驚いた様子はなくそうお答えになりました。
おかしいです、この前お会いした時、殿下は確かにそう仰っていたのに…
「だそうですよ、アルレット嬢。嘘はいけませんね」
「嘘ではありません。だって、私の…」
「アルレット嬢の青虹玉は、私が持っている」
「え?」
「な…」
声を上げられたのは、オーギュ様でした。さすがに文官も驚いて言葉に詰まっている様ですが…私も含めて、この場の誰もが固まってしまいました。
…オ、オーギュ様、そんな事を仰ってよろしいのでしょうか?
私は王族殺害の容疑をかけられているのです。そんな事を仰ってはオーギュ様まで…
「アルレット嬢の青虹玉は私が持っている。討伐隊に出る日、お守りにと受け取った。今もほら…ここに」
そう言ってオーギュ様は、私がお渡しした青虹玉を取り出されました。
確かにあれは、私がお渡しした青虹玉です。
「な…!」
「そんな…!」
騒めきが上がる中、オランド侯爵とリアーヌ様の声が耳に届きました。
どうしたのでしょう…私の青虹玉をオーギュ様がお持ちなのがそんなに意外だったでしょうか…
「アルレット嬢の青虹玉はここにある。なのに、どうやってアルレット嬢がこれを使って殿下を害しようというのだ?」
オーギュ様の低く張りのあるお声が、室内に響き渡りました。
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