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殿下は虫よけ
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陛下に謝罪されてしまい、私はどうお答えしたらいいのか困っていました。
ジスラン殿下との婚約解消は大歓迎だったのですが、それをそのまま伝えては不敬罪になり兼ねません。
せっかく容疑が晴れたのに、別の罪に問われるのは困りますわ…
「陛下、それに関して私からよろしいでしょうか?」
「何だ、オーギュ」
「はい、アルレット嬢との婚約解消について、私から御礼申し上げます」
私が困っている中、声をお上げになったのはオーギュ様でした。
お、御礼ですか?それは一体…どういう事でしょうか…
「礼…か…」
「殿下は実にいい虫よけとなってくれましたので」
な、な、ななな何という事を仰るのですか、オーギュ様っ!
そんな言い方、まさに不敬そのものじゃありませんか…!
「ははっ!そうだな、オーギュ。確かにここ数年、そなたは王都を離れていたし、そうとも言えるな」
私がムンクの叫び状態でオーギュ様の発言に驚愕していましたが…陛下は気安くお答えになりました。
あれ?陛下…?お気を悪くされて、いな、い…?
「はい。お陰でアルレット嬢を他の者に奪われる事なく済んだと思えば…いくら御礼を申し上げても足りないくらいです」
「確かに、聖女の力があるアルレット嬢の倍率は高かったからな。オーギュ以外にも縁談を申し込んだ者が多数いたというではないか」
「仰せの通りです。フェリアール伯爵はアルレット嬢を溺愛しておられるので攻略は至難の業でしょうが…さすがに伯爵位では全てを断り切れなかったでしょう」
こ、これは…私はどう反応したらいいのでしょうか…これではまるで、オーギュ様は…
「アルレット嬢よ」
「は、はいっ!」
混乱している中、急に陛下に名を呼ばれて、私は思わず大きな声が出てしまいました。
「オーギュは見た目故にことごとく令嬢方に怖がられて、今まで婚約すらも成らなんだのだ。だが、わしにとっては可愛く頼もしい甥じゃ。末永くよろしく頼む」
「そんな…陛下。勿体ないお言葉にございます」
いえ、むしろ私の方がウエルカムです。ええもう、皆様が怖がるというその筋肉こそが!
そんな私の下心をご存じなくその様に仰って頂き、私の方が恐縮してしまいました。
「ラーシュ公爵様の事、とてもお慕いしていらっしゃるのね」
「はぇ?」
私の青虹玉をお手にした大聖女様が、そう笑って仰いました。
突然のお言葉に、思わず変な声が出てしまいましたわ…は、恥ずかしい…
「ここまで精度の高い青虹玉を作るには、かなりの想いが必要ですもの」
「え…あ、その…」
大聖女様のお話では、私の青虹玉はかなり精度が高く、呪い除けとしても素晴らしくいい出来なのだそうです。
オーギュ様のために祈っていた時に偶然出来た青虹玉でしたが、どうやらその後も私が祈り続けた事で、お渡しした時より効果が強まっていたそうです。
「ふふっ、よかったですわね、ラーシュ公爵様」
「ああ、お陰で助かったよ」
も、もしかして私の気持ち、お二人にはバレバレなのでしょうか?
私は熱が集まった頬を両手で冷やしながら、恥ずかしくて穴があったら入りたい気分で悶絶していました。
ジスラン殿下との婚約解消は大歓迎だったのですが、それをそのまま伝えては不敬罪になり兼ねません。
せっかく容疑が晴れたのに、別の罪に問われるのは困りますわ…
「陛下、それに関して私からよろしいでしょうか?」
「何だ、オーギュ」
「はい、アルレット嬢との婚約解消について、私から御礼申し上げます」
私が困っている中、声をお上げになったのはオーギュ様でした。
お、御礼ですか?それは一体…どういう事でしょうか…
「礼…か…」
「殿下は実にいい虫よけとなってくれましたので」
な、な、ななな何という事を仰るのですか、オーギュ様っ!
そんな言い方、まさに不敬そのものじゃありませんか…!
「ははっ!そうだな、オーギュ。確かにここ数年、そなたは王都を離れていたし、そうとも言えるな」
私がムンクの叫び状態でオーギュ様の発言に驚愕していましたが…陛下は気安くお答えになりました。
あれ?陛下…?お気を悪くされて、いな、い…?
「はい。お陰でアルレット嬢を他の者に奪われる事なく済んだと思えば…いくら御礼を申し上げても足りないくらいです」
「確かに、聖女の力があるアルレット嬢の倍率は高かったからな。オーギュ以外にも縁談を申し込んだ者が多数いたというではないか」
「仰せの通りです。フェリアール伯爵はアルレット嬢を溺愛しておられるので攻略は至難の業でしょうが…さすがに伯爵位では全てを断り切れなかったでしょう」
こ、これは…私はどう反応したらいいのでしょうか…これではまるで、オーギュ様は…
「アルレット嬢よ」
「は、はいっ!」
混乱している中、急に陛下に名を呼ばれて、私は思わず大きな声が出てしまいました。
「オーギュは見た目故にことごとく令嬢方に怖がられて、今まで婚約すらも成らなんだのだ。だが、わしにとっては可愛く頼もしい甥じゃ。末永くよろしく頼む」
「そんな…陛下。勿体ないお言葉にございます」
いえ、むしろ私の方がウエルカムです。ええもう、皆様が怖がるというその筋肉こそが!
そんな私の下心をご存じなくその様に仰って頂き、私の方が恐縮してしまいました。
「ラーシュ公爵様の事、とてもお慕いしていらっしゃるのね」
「はぇ?」
私の青虹玉をお手にした大聖女様が、そう笑って仰いました。
突然のお言葉に、思わず変な声が出てしまいましたわ…は、恥ずかしい…
「ここまで精度の高い青虹玉を作るには、かなりの想いが必要ですもの」
「え…あ、その…」
大聖女様のお話では、私の青虹玉はかなり精度が高く、呪い除けとしても素晴らしくいい出来なのだそうです。
オーギュ様のために祈っていた時に偶然出来た青虹玉でしたが、どうやらその後も私が祈り続けた事で、お渡しした時より効果が強まっていたそうです。
「ふふっ、よかったですわね、ラーシュ公爵様」
「ああ、お陰で助かったよ」
も、もしかして私の気持ち、お二人にはバレバレなのでしょうか?
私は熱が集まった頬を両手で冷やしながら、恥ずかしくて穴があったら入りたい気分で悶絶していました。
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