23 / 68
可憐な悪魔
緩やかな風に葉を揺らす木々と、強い日差しに鮮やかさを増す花々。白壁に囲まれた中庭は眩しさに目が痛くなりそうなほどだ。帝都はアシェルよりも南にある。初夏なのにアシェルの真夏よりも暑かった。
中庭にある四阿は屋根と周囲の木々で程よく日差しが遮られ、木漏れ日が床のタイルに模様を付ける。状況だけ聞けば心地よいその場で、私は気まずい思いを抱えていた。今日はエヴェリーナ様と異母姉とのお茶会だ。
あれから皇子に話を聞こうと思っていたけれど、残念ながらその機会は与えられなかった。皇子は公務で帝都を離れていたからだ。どこに何をしに行ったのか、いつ戻ってくるのかはわからない。あの事実を知ってから二週間、長いようであっという間だった。
久しぶりにお会いしたエヴェリーナ様は今日も麗しかった。異母姉も負けていないのだろうけど、滲み出る気品は残念ながら及ばない。これだけ明るい庭では、肌のきめの細かさすら劣っているように見えた。異母姉もそれを感じているのか表情が固く見える。
今日も場を支配しているのは異母姉だった。異母姉が話し、私とエヴェリーナ様が聞き役に回るのが定番だ。王妃が産んだたった一人の子として常に優先されてきたから、周りへの気遣いという概念がないのかもしれない。
会話の内容は他愛もないものだ。最近の授業や帝国での生活方始まり、最後は皇子や今後の身の振り方に続く。前回の忠告が効いたのかエヴェリーナ様に突っ掛かることは減った。
「……あら、ソフィ様、素敵な髪飾りですわね」
侍女がお茶のお替りを用意した後、エヴェリーナ様が異母姉の手に視線を向けた。その手の下には赤い石が付いた髪飾りがあった。さっきから何度も手を当てているから気になっていたけれど、口にすれば彼女の思う壺。そう思って黙っていたのだけど……
「え? あ、あの……こ、これは……」
指摘されてさも驚きましたと言った風だけど、どう見てもわざとらしい。
「綺麗な色ですわね。アシェルのお品ですの?」
エヴェリーナ様の問いかけに、異母姉がビクッと肩を揺らした。
「あ、あの……ア……アルヴィド様、から頂いたのです」
私の顔色を窺いながら怯えた子羊のように答えた。皇子が異母姉に個人的な贈り物をしていたとは思わなかった。最近は三人で会うこともなかったので気付けなかった。でも、異母姉なら勉強よりも皇子を篭絡する方に注力するだろう。
「まぁ、そうでしたの」
「そうなんです。こんな素敵な品を頂いたの、生まれて初めてで……私、嬉しくて……」
エヴェリーナ様の誉め言葉に、待っていましたと言わんばかりに目を潤ませて頬に手を添えていた。幸せそうな異母姉だったけれど、疑念が残る。エヴェリーナ様との婚約が白紙になった皇子が、直ぐに異母姉に落ちるだろうか。もしそうだったら……皇子への感情が軽蔑一色で塗りつぶされそうだ。
「そういえば……エヴェリーナ様はアルヴィド様とお親しかったのですよね?」
「え、ええ」
「それなら、きっともっと素晴らしい贈り物をたくさん頂いたのでしょうね。羨ましいですわ!」
キラキラした笑顔がわざとらしい。思わず殴りたくなった。
「ふふ、そうですわね。アルヴィド様からは色々な品を頂きましたわ」
「そ、そうですの。ど、どんな品を頂きましたの? きっと素敵な物ばかりなのでしょうね」
「そうですわねぇ」
そう言って記憶を辿る様にエヴェリーナ様が頬に手を当てた。その姿は異母姉の挑発などかすりもしていないように見える。
「最初に頂いたのは花を編んで作った冠でしたわ。お花やお菓子に帝都で流行っている物語。故郷を思い出して泣いていた時には、マイエルの伝統的な刺繍がされたハンカチなどの小物を。遠征に行った先の絹やショール、茶器。成人のお祝いにとネックレスとイヤリングのセットを頂いたこともありましたわ。アシェルに発つ前にはお揃いのお守りも」
それはエヴェリーナ様と皇子の歴史だった。二人の交流は思っていたよりもずっと長く深いものだった。積み重なった想いを想像すると胸が痛くなる。
「お揃いのお守り?」
「ええ。帝国では大切な人が出征する際には、無事を祈って腕輪を交換するんです」
「それを、今も?」
「今はありませんわ。あれは無事にお戻りになったら神殿に奉納するんですの。神へお礼と共に」
どんな思いでそのお守りを渡されたのだろう。無事に戻るということはアシェルが負けることで、それは皇子と婚姻する可能性が完全に消えることなのに。あれがなければ、せめて一年遅かったら、エヴェリーナ様は今頃皇子と婚姻して幸せにお暮しだっただろうに。
「そうだったんですか。じゃ、アルヴィド様がアシェル王になれるのはエヴェリーナ様のお陰ですね」
満面の笑顔を浮かべる異母姉に寒気がした。
「ソフィ、何を言っているの? エヴェリーナ様が願ったのは殿下の無事よ。アシェル国のことは……」
「でもお姉様、そうではありませんか。アルヴィド様が負けたら王になることはなかったのですよ。ご自身の婚約を無にしてでもアルヴィド様を王にと思われたのでしょう? 素晴らしいじゃないですか」
「ソフィ……!」
まさか異母姉が二人の婚約のことを知っていたなんて。しかもそれをご本人の前で揶揄する異母姉が悍ましい生き物に見えた。これは何? どうしてそんな酷いことを笑顔で言えるのか……
「やだ、お姉様ったら怖いお顔」
くすくすと笑う様は悪戯を楽しむ子供のようで、それが一層苛立ちを募らせる。エヴェリーナ様からは常に浮かべている笑みが消えていた。その心中は伺えない。
「ソフィ、あなた、何を言っているのかわかっているの……」
「ええ、わかっていますわ。エヴェリーナ様はアルヴィド様を慕っていたのに、あと一歩のところで捨てられちゃったんですよ」
振り返った異母姉は、エヴェリーナ様に近付いて耳元に顔を寄せた。これほどまでに醜悪な笑顔を見たことがなかった。
「でもご心配なく。アルヴィド様は私が幸せにして差し上げますから」
「ソフィ!!」
小鳥が一斉に飛び立ち、乾いた音が中庭に響いた。
中庭にある四阿は屋根と周囲の木々で程よく日差しが遮られ、木漏れ日が床のタイルに模様を付ける。状況だけ聞けば心地よいその場で、私は気まずい思いを抱えていた。今日はエヴェリーナ様と異母姉とのお茶会だ。
あれから皇子に話を聞こうと思っていたけれど、残念ながらその機会は与えられなかった。皇子は公務で帝都を離れていたからだ。どこに何をしに行ったのか、いつ戻ってくるのかはわからない。あの事実を知ってから二週間、長いようであっという間だった。
久しぶりにお会いしたエヴェリーナ様は今日も麗しかった。異母姉も負けていないのだろうけど、滲み出る気品は残念ながら及ばない。これだけ明るい庭では、肌のきめの細かさすら劣っているように見えた。異母姉もそれを感じているのか表情が固く見える。
今日も場を支配しているのは異母姉だった。異母姉が話し、私とエヴェリーナ様が聞き役に回るのが定番だ。王妃が産んだたった一人の子として常に優先されてきたから、周りへの気遣いという概念がないのかもしれない。
会話の内容は他愛もないものだ。最近の授業や帝国での生活方始まり、最後は皇子や今後の身の振り方に続く。前回の忠告が効いたのかエヴェリーナ様に突っ掛かることは減った。
「……あら、ソフィ様、素敵な髪飾りですわね」
侍女がお茶のお替りを用意した後、エヴェリーナ様が異母姉の手に視線を向けた。その手の下には赤い石が付いた髪飾りがあった。さっきから何度も手を当てているから気になっていたけれど、口にすれば彼女の思う壺。そう思って黙っていたのだけど……
「え? あ、あの……こ、これは……」
指摘されてさも驚きましたと言った風だけど、どう見てもわざとらしい。
「綺麗な色ですわね。アシェルのお品ですの?」
エヴェリーナ様の問いかけに、異母姉がビクッと肩を揺らした。
「あ、あの……ア……アルヴィド様、から頂いたのです」
私の顔色を窺いながら怯えた子羊のように答えた。皇子が異母姉に個人的な贈り物をしていたとは思わなかった。最近は三人で会うこともなかったので気付けなかった。でも、異母姉なら勉強よりも皇子を篭絡する方に注力するだろう。
「まぁ、そうでしたの」
「そうなんです。こんな素敵な品を頂いたの、生まれて初めてで……私、嬉しくて……」
エヴェリーナ様の誉め言葉に、待っていましたと言わんばかりに目を潤ませて頬に手を添えていた。幸せそうな異母姉だったけれど、疑念が残る。エヴェリーナ様との婚約が白紙になった皇子が、直ぐに異母姉に落ちるだろうか。もしそうだったら……皇子への感情が軽蔑一色で塗りつぶされそうだ。
「そういえば……エヴェリーナ様はアルヴィド様とお親しかったのですよね?」
「え、ええ」
「それなら、きっともっと素晴らしい贈り物をたくさん頂いたのでしょうね。羨ましいですわ!」
キラキラした笑顔がわざとらしい。思わず殴りたくなった。
「ふふ、そうですわね。アルヴィド様からは色々な品を頂きましたわ」
「そ、そうですの。ど、どんな品を頂きましたの? きっと素敵な物ばかりなのでしょうね」
「そうですわねぇ」
そう言って記憶を辿る様にエヴェリーナ様が頬に手を当てた。その姿は異母姉の挑発などかすりもしていないように見える。
「最初に頂いたのは花を編んで作った冠でしたわ。お花やお菓子に帝都で流行っている物語。故郷を思い出して泣いていた時には、マイエルの伝統的な刺繍がされたハンカチなどの小物を。遠征に行った先の絹やショール、茶器。成人のお祝いにとネックレスとイヤリングのセットを頂いたこともありましたわ。アシェルに発つ前にはお揃いのお守りも」
それはエヴェリーナ様と皇子の歴史だった。二人の交流は思っていたよりもずっと長く深いものだった。積み重なった想いを想像すると胸が痛くなる。
「お揃いのお守り?」
「ええ。帝国では大切な人が出征する際には、無事を祈って腕輪を交換するんです」
「それを、今も?」
「今はありませんわ。あれは無事にお戻りになったら神殿に奉納するんですの。神へお礼と共に」
どんな思いでそのお守りを渡されたのだろう。無事に戻るということはアシェルが負けることで、それは皇子と婚姻する可能性が完全に消えることなのに。あれがなければ、せめて一年遅かったら、エヴェリーナ様は今頃皇子と婚姻して幸せにお暮しだっただろうに。
「そうだったんですか。じゃ、アルヴィド様がアシェル王になれるのはエヴェリーナ様のお陰ですね」
満面の笑顔を浮かべる異母姉に寒気がした。
「ソフィ、何を言っているの? エヴェリーナ様が願ったのは殿下の無事よ。アシェル国のことは……」
「でもお姉様、そうではありませんか。アルヴィド様が負けたら王になることはなかったのですよ。ご自身の婚約を無にしてでもアルヴィド様を王にと思われたのでしょう? 素晴らしいじゃないですか」
「ソフィ……!」
まさか異母姉が二人の婚約のことを知っていたなんて。しかもそれをご本人の前で揶揄する異母姉が悍ましい生き物に見えた。これは何? どうしてそんな酷いことを笑顔で言えるのか……
「やだ、お姉様ったら怖いお顔」
くすくすと笑う様は悪戯を楽しむ子供のようで、それが一層苛立ちを募らせる。エヴェリーナ様からは常に浮かべている笑みが消えていた。その心中は伺えない。
「ソフィ、あなた、何を言っているのかわかっているの……」
「ええ、わかっていますわ。エヴェリーナ様はアルヴィド様を慕っていたのに、あと一歩のところで捨てられちゃったんですよ」
振り返った異母姉は、エヴェリーナ様に近付いて耳元に顔を寄せた。これほどまでに醜悪な笑顔を見たことがなかった。
「でもご心配なく。アルヴィド様は私が幸せにして差し上げますから」
「ソフィ!!」
小鳥が一斉に飛び立ち、乾いた音が中庭に響いた。
あなたにおすすめの小説
【完結】遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【残り数話を持ちまして3月29日完結!!】
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで
あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。
怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。
……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。
***
『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目の人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
公爵家の養女は静かに爪を研ぐ 〜元々私のものですので、全て返していただきます〜
しましまにゃんこ
恋愛
リヴィエール公爵家に養女として引き取られた少女、アリサ・リヴィエール。
彼女は華やかな公爵家の嫡子マリアとは対照的に、家でも学園でもひっそりと息を潜めて生きていた。
養女とは言っても、成人と同時に修道院へ入ることが決まっており、アリサに残された時間は僅かだった。
アリサはただ静かに耐えていた。
——すべてを取り戻す、その時まで。
実は彼女こそが、前公爵が遺した真の娘であり、水の加護を持つリヴィエール公爵家の正統なる後継者だった。不当に奪い取られた地位と立場。
アリサは静かに時を待つ。
一方、王太子リュシアン・ルミエールは、傲慢な婚約者マリアに違和感を抱きつつ、公爵家に隠された不正の匂いを嗅ぎ取っていく。
やがて二人の思惑は重なり、運命の卒業パーティーが幕を開ける。
奪われた名前も、地位も、誇りも——
元々、私のものなので。まとめて返してもらいます。
静かに爪を研いできた養女の、逆転ざまぁと溺愛ロマンス。
完結保証&毎日2話もしくは3話更新。
最終話まで予約投稿済み。
私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のジャンヌは、4年もの間ずっと婚約者で侯爵令息のシャーロンに冷遇されてきた。
オレンジ色の髪に吊り上がった真っ赤な瞳のせいで、一見怖そうに見えるジャンヌに対し、この国で3本の指に入るほどの美青年、シャーロン。美しいシャーロンを、令嬢たちが放っておく訳もなく、常に令嬢に囲まれて楽しそうに過ごしているシャーロンを、ただ見つめる事しか出来ないジャンヌ。
それでも4年前、助けてもらった恩を感じていたジャンヌは、シャーロンを想い続けていたのだが…
ある日いつもの様に辛辣な言葉が並ぶ手紙が届いたのだが、その中にはシャーロンが令嬢たちと口づけをしたり抱き合っている写真が入っていたのだ。それもどの写真も、別の令嬢だ。
自分の事を嫌っている事は気が付いていた。他の令嬢たちと仲が良いのも知っていた。でも、まさかこんな不貞を働いているだなんて、気持ち悪い。
正気を取り戻したジャンヌは、この写真を証拠にシャーロンと婚約破棄をする事を決意。婚約破棄出来た暁には、大好きだった騎士団に戻ろう、そう決めたのだった。
そして両親からも婚約破棄に同意してもらい、シャーロンの家へと向かったのだが…
※カクヨム、なろうでも投稿しています。
よろしくお願いします。
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります