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王族との面談
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ルドさんを召喚してから十日が過ぎました。私は今、セレン様やリアさん、ルドさんと一緒に国王陛下に謁見するために王宮に来ています。召喚後、陛下達から面会の催促があったのですが、私が三日も眠り続けたのもあって、あの騒動を治めて疲れたって事にして暫く放っておけばいい、とセレン様もリアさんも言うので、私達は離宮でのんびりしていたのです。でも一昨日、王太子殿下が心配して様子を見に来て下さり、再度陛下が会いたいと仰っていると告げられたので、仕方ないという空気が流れて今日に至りました。
何と言いますか、セレン様もリアさんも、陛下への態度が悪すぎてハラハラします。特にリアさんははっきりものを言う方で、陛下の事を無知とか無謀と散々な言い様です。そりゃあ、リアさんはこの国の民ではありませんし、そもそも人ではないのでそう思われるのも仕方ないのでしょうが…子どもの頃からこの国で育った私は、不敬にならないかと冷や冷やです。侍女や護衛騎士達は相変わらずいるのですから…
「あ~心配いらないよ。遮音してあるからね」
「え?」
どうやらリアさんは侍女や護衛騎士達には聞こえないよう、魔術で音を遮っているそうです。それを見る事も感じる事も出来ない私は、そう言われても全く気が休まりません。それはレリアも一緒で、言いたい放題のリアさんとセレン様に、私たち二人は胃が痛くなりそうでした。セレン様、何気に笑顔で厳しい事を仰るのですよね。私には甘いのですが…気を付けないと私も陛下のように思われてしまいそうで…心配です。
王宮の謁見の間に通されるかと思ったら、案内されたのは陛下の応接室でした。ここは…確か国賓クラスの方をもてなす部屋だったように記憶しています。部屋に入ると既に陛下と王妃様、王太子殿下にセザール殿下、オレリア殿下、宰相様に騎士団長様、神官長様がいらっしゃいました。うう、何でしょうか、この人選は…何となくですが、嫌な予感しかしません…
そっと様子を伺うと、陛下は一際ご機嫌のようですが、王妃様はいつも通り表情が読めません。王太子殿下はそんな陛下を冷ややかに見ていますし、セザール殿下はリアさんを見てニヤニヤしています。あれは…完全にリアさんをものにしようと思っているのでしょうね。オレリア殿下はセレン様に視線を送っていましたが…ルドさんの顔を見るなり少し驚いたような表情を浮かべた後、じっとルドさんに視線を向けています。宰相様と騎士団長様は無表情、神官長様は…何となく顔色が悪く見えます。
「おお、アシャルティ殿に…聖女様!お待ちしておりました」
私達が席に着くとすぐに、陛下がそう話しかけてきました。セレン様よりも…陛下の関心はリアさんのようです。手を握らんばかりに身を乗り出していますが…リアさんは冷ややかな目を王家の方々に向けています。口元にうっすらと笑みが見えますが…あれはかなりご機嫌斜めのようにみえます。
「それで…このリアを聖女にと?」
「その通りじゃ。あの異形の者を制した聖女様に、我が国をお守り頂きたい。勿論、ただでとは言わぬ。それ相応の地位と御身の安全を保障しよう」
陛下はリアさんに、この国の聖女として結界の維持をお願いされました。もし出来るなら結界の修復なども、とも。そしてその見返りとしてリアさんには、聖女の称号と王族と同等の待遇、そしてセザール殿下との婚姻を提示されました。ここまでは…これまでの聖女の待遇と同じですわね。
「さらに聖女様となって頂ければ…アシャルティ殿やそこの男性、ルネの安全も保障しましょう。どうです?悪くない話だと思いますが?」
どこら辺が悪い話ではないのでしょうか…それでは聖女にならなければセレン様やルドさん、私の身の安全は保障しないと言っているも同然ではないでしょうか…王太子殿下が難しい表情をしていらっしゃいますが…きっとこれが見返りにならないとわかっていらっしゃるのでしょう。
「ふ~ん、それから?」
「は?」
陛下の自信満々な条件に異を唱えたのは、リアさんでした。それも物凄く、それだけじゃないよね?と言わんばかりの言い方です。
「勝手に呼び出して私達を故郷から引き離した事への謝罪は?私達は望んでここに来たわけじゃないわ。しかもこんな魔術後進国、何のメリットもないんだけど?」
「そ、それは…」
「第一、そんなものが見返り?罰ゲームの間違いじゃないの?私達はこの国の結界がどうなろうと知ったこっちゃないんだけど?」
「そんな…しかし、結界が維持できなければ、我が国は…」
「だから、それが何だって言ってるの。私達は別に結界なしでも生きていけるわよ。そんな私達が、何でわざわざそんな事しなきゃいけないのよ?あんた達は草食動物が肉食動物に襲われるのは可哀想だからって柵を作るの?」
「…何故我らが獣のために、その様な手間を…」
「でしょ?だったら同じ事よ。私だってそんな面倒な事はお断りよ。聖女の称号も王族の待遇もいらないし、結婚なんて冗談としか思えないわね。それに身の安全?そんなの自分達でどうにかするわ」
「な…何を…」
「無礼であるぞ!」
リアさんは陛下の提案を悉く退けていましたが…騎士団様がいきり立ちました。不敬罪だと捕らわれないかと私は冷や冷やで胃が痛いです。そりゃあ、リアさんなら騎士達など一蹴出来るでしょうが、でも…
「聖女様、私の妃になるのがそんなにご不満か?」
何とまぁ、あのプライドの高いセザール殿下が出てきました。リアさんに無下にされてお怒りのようですが…それでも必死に笑顔を向けているのは王族としての面子からでしょうか…
「ええ、興味ないし」
「随分とつれないお方だ。だが…」
「ルネを虐める奴は私の敵よ」
「…あの平民を、そこまでお庇いになるとはお心のお優しい…ですが、気遣いは無用ですよ。あれはもう聖女ではありませんから」
「そうね、聖女じゃなくなってよかったわ。あんたなんかにルネは勿体ないもの」
「な…!」
リ、リアさん、それは言い過ぎではないでしょうか…にっこり極上の笑みを浮かべるリアさんに対して、セザール殿下は顔を引きつらせています。散々私を下に見ていただけに、それよりも下に見られた事で相当プライドが傷ついたはずです。これ以上は…
「それに…本気で私と結婚する気なわけ?」
「…と、当然でしょう。我が国は代々、聖女は王子と婚姻するとの決まりなのですから」
「へぇ、じゃ、これでもそう言えるの?」
一瞬の間の後。リアさんのいた場所に表れたのは…銀色の麗しい毛並みと薄紫色の瞳を持つ、あの気品ある獣でした。
何と言いますか、セレン様もリアさんも、陛下への態度が悪すぎてハラハラします。特にリアさんははっきりものを言う方で、陛下の事を無知とか無謀と散々な言い様です。そりゃあ、リアさんはこの国の民ではありませんし、そもそも人ではないのでそう思われるのも仕方ないのでしょうが…子どもの頃からこの国で育った私は、不敬にならないかと冷や冷やです。侍女や護衛騎士達は相変わらずいるのですから…
「あ~心配いらないよ。遮音してあるからね」
「え?」
どうやらリアさんは侍女や護衛騎士達には聞こえないよう、魔術で音を遮っているそうです。それを見る事も感じる事も出来ない私は、そう言われても全く気が休まりません。それはレリアも一緒で、言いたい放題のリアさんとセレン様に、私たち二人は胃が痛くなりそうでした。セレン様、何気に笑顔で厳しい事を仰るのですよね。私には甘いのですが…気を付けないと私も陛下のように思われてしまいそうで…心配です。
王宮の謁見の間に通されるかと思ったら、案内されたのは陛下の応接室でした。ここは…確か国賓クラスの方をもてなす部屋だったように記憶しています。部屋に入ると既に陛下と王妃様、王太子殿下にセザール殿下、オレリア殿下、宰相様に騎士団長様、神官長様がいらっしゃいました。うう、何でしょうか、この人選は…何となくですが、嫌な予感しかしません…
そっと様子を伺うと、陛下は一際ご機嫌のようですが、王妃様はいつも通り表情が読めません。王太子殿下はそんな陛下を冷ややかに見ていますし、セザール殿下はリアさんを見てニヤニヤしています。あれは…完全にリアさんをものにしようと思っているのでしょうね。オレリア殿下はセレン様に視線を送っていましたが…ルドさんの顔を見るなり少し驚いたような表情を浮かべた後、じっとルドさんに視線を向けています。宰相様と騎士団長様は無表情、神官長様は…何となく顔色が悪く見えます。
「おお、アシャルティ殿に…聖女様!お待ちしておりました」
私達が席に着くとすぐに、陛下がそう話しかけてきました。セレン様よりも…陛下の関心はリアさんのようです。手を握らんばかりに身を乗り出していますが…リアさんは冷ややかな目を王家の方々に向けています。口元にうっすらと笑みが見えますが…あれはかなりご機嫌斜めのようにみえます。
「それで…このリアを聖女にと?」
「その通りじゃ。あの異形の者を制した聖女様に、我が国をお守り頂きたい。勿論、ただでとは言わぬ。それ相応の地位と御身の安全を保障しよう」
陛下はリアさんに、この国の聖女として結界の維持をお願いされました。もし出来るなら結界の修復なども、とも。そしてその見返りとしてリアさんには、聖女の称号と王族と同等の待遇、そしてセザール殿下との婚姻を提示されました。ここまでは…これまでの聖女の待遇と同じですわね。
「さらに聖女様となって頂ければ…アシャルティ殿やそこの男性、ルネの安全も保障しましょう。どうです?悪くない話だと思いますが?」
どこら辺が悪い話ではないのでしょうか…それでは聖女にならなければセレン様やルドさん、私の身の安全は保障しないと言っているも同然ではないでしょうか…王太子殿下が難しい表情をしていらっしゃいますが…きっとこれが見返りにならないとわかっていらっしゃるのでしょう。
「ふ~ん、それから?」
「は?」
陛下の自信満々な条件に異を唱えたのは、リアさんでした。それも物凄く、それだけじゃないよね?と言わんばかりの言い方です。
「勝手に呼び出して私達を故郷から引き離した事への謝罪は?私達は望んでここに来たわけじゃないわ。しかもこんな魔術後進国、何のメリットもないんだけど?」
「そ、それは…」
「第一、そんなものが見返り?罰ゲームの間違いじゃないの?私達はこの国の結界がどうなろうと知ったこっちゃないんだけど?」
「そんな…しかし、結界が維持できなければ、我が国は…」
「だから、それが何だって言ってるの。私達は別に結界なしでも生きていけるわよ。そんな私達が、何でわざわざそんな事しなきゃいけないのよ?あんた達は草食動物が肉食動物に襲われるのは可哀想だからって柵を作るの?」
「…何故我らが獣のために、その様な手間を…」
「でしょ?だったら同じ事よ。私だってそんな面倒な事はお断りよ。聖女の称号も王族の待遇もいらないし、結婚なんて冗談としか思えないわね。それに身の安全?そんなの自分達でどうにかするわ」
「な…何を…」
「無礼であるぞ!」
リアさんは陛下の提案を悉く退けていましたが…騎士団様がいきり立ちました。不敬罪だと捕らわれないかと私は冷や冷やで胃が痛いです。そりゃあ、リアさんなら騎士達など一蹴出来るでしょうが、でも…
「聖女様、私の妃になるのがそんなにご不満か?」
何とまぁ、あのプライドの高いセザール殿下が出てきました。リアさんに無下にされてお怒りのようですが…それでも必死に笑顔を向けているのは王族としての面子からでしょうか…
「ええ、興味ないし」
「随分とつれないお方だ。だが…」
「ルネを虐める奴は私の敵よ」
「…あの平民を、そこまでお庇いになるとはお心のお優しい…ですが、気遣いは無用ですよ。あれはもう聖女ではありませんから」
「そうね、聖女じゃなくなってよかったわ。あんたなんかにルネは勿体ないもの」
「な…!」
リ、リアさん、それは言い過ぎではないでしょうか…にっこり極上の笑みを浮かべるリアさんに対して、セザール殿下は顔を引きつらせています。散々私を下に見ていただけに、それよりも下に見られた事で相当プライドが傷ついたはずです。これ以上は…
「それに…本気で私と結婚する気なわけ?」
「…と、当然でしょう。我が国は代々、聖女は王子と婚姻するとの決まりなのですから」
「へぇ、じゃ、これでもそう言えるの?」
一瞬の間の後。リアさんのいた場所に表れたのは…銀色の麗しい毛並みと薄紫色の瞳を持つ、あの気品ある獣でした。
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