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ディアークたちの変化
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それから数日後、ディアークたちの謹慎が解けた。謹慎中に脱走など企てるかと思っていたが、四人とも大人しく謹慎していたらしい。少々拍子抜けしたくらいだ。
更に意外なことに、ミリセント嬢以外から謝罪の手紙が母宛にあったと聞いた。
「あのお三方が、正妃様に謝罪を……」
「意外過ぎて、母上も代筆ではないかと疑ったらしい」
「そうでしょうね。あの時は正妃様まで批判なさっていたのですもの」
ローゼもレイニーも意外を通り越して驚いていた。あの時の様子からして、謝るなど絶対にしないと思っていたからだ。
「ディアークたちの様子を見張らせていたんだ。三人とも最初は謹慎など不当だと騒いでいたらしいが……後半に入ると大人しくなって、謝罪したいと言い出したらしい」
「後半に?」
「それって、時間が経ってやらかした事態の大きさに気が付いた、とかでしょうか?」
レイニーもローズも半信半疑だったが、私も同感だった。あの時の様子からして反省はないだろうと思っていたからだ。
「どうだろう。ディアークは母上の支持があるから立太子出来ると理解していた。だから側妃と共に母上の機嫌を損ねないよう、凄く気を使っていた。自ら母上に贈り物をしていたくらいだし」
「それは私も存じておりますわ。ディアーク様から時折、今は何が流行っているのかと尋ねられた事もありますし」
「そうなると、最近のディアーク様の方がおかしかったということになりますね」
「そうなるな」
レイニーの言うように、ディアークは母上に気を使っていたし、母上も嫌っているようには見えなかった。子どもは親を選べないからディアークに責任はないとお考えだったからだ。
「おかしくなったのは……ここ一年のことですわね」
「ああ。私たちが卒業するまではレイニーとの仲も悪くはなかったし」
「ええ。あの頃はまだ婚約者としての役目は果たして下さっていましたわ」
ミリセント嬢と仲良くしている話は聞いていたが、今のように何をおいても……という風ではなかった。精々仲良くしている令嬢たちの一人に過ぎず、私も王家の影も気にも留めていなかったのだ。急速に距離が近くなったのは半年前、いや、もう少し前からだろうか。
「そういえば、ミリセント様と親しくなって婚約破棄した令息たちですが、今は殆ど交流がないそうです」
「殆ど?」
ローゼに言われて彼らの存在を思い出した。そう言えば、あの後どうなったのかまでは気にしていなかった。
「はい。婚約者を捨ててまでミリセント様を選んだのに、今は誰も。まぁ、彼らの殆どが後継者から外されて、領地に送られたり騎士団に放り込まれたりしているので、交流出来る状態じゃないというのもありますけど」
王家の影を使って彼女の周辺を調べていたけれど、それは今親しくしている者が中心で、婚約破棄した令息たちのその後までは調べていなかった。だけど、確かに妙と言えば妙だ。彼女のために婚約破棄をしたのに……
「何だか妙だな。ミリセント嬢のために婚約破棄したなら、その後も彼女と一緒にいたいと思うだろうに」
「そうなんです」
「後継者から外れたかったから、ということは……ないわね」
「それはないだろう。後継者としての重圧に耐えきれないなら、そう言えばいいだけだ。そうすれば穏便に廃嫡されるんだから」
実際、性格などの理由から後継者を辞退することは珍しくない。数多の領民の命を預かるのだ。覚悟がない者が負えるものではないし、そのような者を後継にして家が傾いては目も当てられない。女性でも爵位が継げる我が国は、長子優先という訳でもない。
「だったらどうして婚約破棄など……」
「確かに変ですよねぇ」
レイニーとローズもその理由を明確に説明することは出来なかった。
「何だか気になるな。一度調べてみよう」
もしかしたら何かわかるかもしれない。そもそもディアークたちの態度の変化も不可解だ。私は影に婚約破棄した令息とその婚約者の様子を調べるように頼んだ。
更に意外なことに、ミリセント嬢以外から謝罪の手紙が母宛にあったと聞いた。
「あのお三方が、正妃様に謝罪を……」
「意外過ぎて、母上も代筆ではないかと疑ったらしい」
「そうでしょうね。あの時は正妃様まで批判なさっていたのですもの」
ローゼもレイニーも意外を通り越して驚いていた。あの時の様子からして、謝るなど絶対にしないと思っていたからだ。
「ディアークたちの様子を見張らせていたんだ。三人とも最初は謹慎など不当だと騒いでいたらしいが……後半に入ると大人しくなって、謝罪したいと言い出したらしい」
「後半に?」
「それって、時間が経ってやらかした事態の大きさに気が付いた、とかでしょうか?」
レイニーもローズも半信半疑だったが、私も同感だった。あの時の様子からして反省はないだろうと思っていたからだ。
「どうだろう。ディアークは母上の支持があるから立太子出来ると理解していた。だから側妃と共に母上の機嫌を損ねないよう、凄く気を使っていた。自ら母上に贈り物をしていたくらいだし」
「それは私も存じておりますわ。ディアーク様から時折、今は何が流行っているのかと尋ねられた事もありますし」
「そうなると、最近のディアーク様の方がおかしかったということになりますね」
「そうなるな」
レイニーの言うように、ディアークは母上に気を使っていたし、母上も嫌っているようには見えなかった。子どもは親を選べないからディアークに責任はないとお考えだったからだ。
「おかしくなったのは……ここ一年のことですわね」
「ああ。私たちが卒業するまではレイニーとの仲も悪くはなかったし」
「ええ。あの頃はまだ婚約者としての役目は果たして下さっていましたわ」
ミリセント嬢と仲良くしている話は聞いていたが、今のように何をおいても……という風ではなかった。精々仲良くしている令嬢たちの一人に過ぎず、私も王家の影も気にも留めていなかったのだ。急速に距離が近くなったのは半年前、いや、もう少し前からだろうか。
「そういえば、ミリセント様と親しくなって婚約破棄した令息たちですが、今は殆ど交流がないそうです」
「殆ど?」
ローゼに言われて彼らの存在を思い出した。そう言えば、あの後どうなったのかまでは気にしていなかった。
「はい。婚約者を捨ててまでミリセント様を選んだのに、今は誰も。まぁ、彼らの殆どが後継者から外されて、領地に送られたり騎士団に放り込まれたりしているので、交流出来る状態じゃないというのもありますけど」
王家の影を使って彼女の周辺を調べていたけれど、それは今親しくしている者が中心で、婚約破棄した令息たちのその後までは調べていなかった。だけど、確かに妙と言えば妙だ。彼女のために婚約破棄をしたのに……
「何だか妙だな。ミリセント嬢のために婚約破棄したなら、その後も彼女と一緒にいたいと思うだろうに」
「そうなんです」
「後継者から外れたかったから、ということは……ないわね」
「それはないだろう。後継者としての重圧に耐えきれないなら、そう言えばいいだけだ。そうすれば穏便に廃嫡されるんだから」
実際、性格などの理由から後継者を辞退することは珍しくない。数多の領民の命を預かるのだ。覚悟がない者が負えるものではないし、そのような者を後継にして家が傾いては目も当てられない。女性でも爵位が継げる我が国は、長子優先という訳でもない。
「だったらどうして婚約破棄など……」
「確かに変ですよねぇ」
レイニーとローズもその理由を明確に説明することは出来なかった。
「何だか気になるな。一度調べてみよう」
もしかしたら何かわかるかもしれない。そもそもディアークたちの態度の変化も不可解だ。私は影に婚約破棄した令息とその婚約者の様子を調べるように頼んだ。
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