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番外編
番外編⑨ 初めての…
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「ねぇ?やっぱり変じゃないかしら?」
「もう、エリサ様ったら。全然問題ないですって」
「でも…あんまり目立つとバレてしまうかもしれないわ」
「大丈夫ですよ。地味すぎるのも悪目立ちしますから」
「…そうかしら…」
ラウラにそう言われましたが…私はまだ納得し難くて、鏡に映った自分の姿に目をやりました。
今日は、人生初の街へ遊びに行く日です。ヴァルに身体の変化が終わったら街に行きたいとお願いしていたのだけれど…一年半が過ぎた今日、ようやくその日を迎えました。マルダーンにいた時も街に出た事がなかった私は、もう十日くらい前から楽しみで気もそぞろでした。
最初に行く予定日だった一昨日の前夜は、興奮して中々寝付けませんでした。そん私になヴァルは、眠れるように運動しようと言い、その誘いに乗った私は翌朝起きれる筈もなく…結局今日に延期になったのです。
何で起きられなかったかに関しては…朝から話す事じゃないので割愛しますが…ラウラやベルタさんは、私を外に出したくなくて、わざとそうしたんじゃないかと言っていました。私も…その意見には概ね賛成です。
しかし、そんな事で諦める私ではありません。ずっと楽しみにしていたのです。ヴァルがそうやって邪魔するなら、初めてのお忍びはラウラと行くから!とヴァルに宣言したところ…今日は何があっても絶対に行くと約束してくれました。やっぱり一昨日のあれはわざとだったのね、ヴァル…
今日の私は町娘風に淡いグリーンのワンピースに黄色のカーディガン、つばの広い帽子に編み上げのブーツと、最近の街の流行の服です。今日のコーディネートはラウラの見立てで、少し前にレイフ様と一緒に街に遊びに行った時に買ってきてくれたものです。
そんなラウラですが…そろそろお腹が目立つようになってきました。出産はまだ先ですが、家でじっとしていると気が滅入ると言って、レイフ様が王宮に出勤する際は一緒に来てここで過ごしています。これもレイフ様が一人で出かけるのを禁じているせいですが…狼人の独占欲と嫉妬も中々なのですよね。
「エリィ、準備出来たか?」
そう言って現れたヴァルですが、今日はどんな衣装かしらと楽しみにしていましたが…
「ヴァル…その恰好は…」
何と!今日のヴァルは簡素な騎士服でした。それもいつも着るような上質でいかにも高官とわかるものではなく、通常の訓練などで一般騎士が着るものです。時々騎士団で部下たちの訓練をするレイフ様が着ているのを見た事はありますが…ヴァルが来ているのを見るのは初めてです。
「ああ、あまり目立つとよくないからとレイフに言われて。レイフもお忍びで行く時はこれを着ていると言うからこれにしたが…浮いているだろうか?」
何となく不安げなヴァルですが…実を言うとヴァルもこんな風にお忍びで街に行くのは初めてなのだとか。だから騎士服でいいのかと心配なのでしょう。でも…
「とっても似合ってるわ」
「そうか」
まだ不安げなヴァルですが…そんな服装でもかっこいいなんて…反則です。ああ、やっぱり街に行くのは危険でしょうか…ハイエナの女性達がヴァルに群がってきそうで不安になってきました…
「エリィも…凄く似合っている」
「そ、そう?」
私がヴァルの心配をしていると、いつの間にか隣に来ていたヴァルが目を細めて私を見下ろしていました。うう、そうでしょうか…何となくヴァルと並ぶと見劣りがしそうで心配なのですが…
でも、ヴァルは目元を柔らかく緩ませて私を見ています。その甘い表情から、少なくともヴァルの及第点はクリアしたみたいですわね。いえ、ヴァルは私には甘すぎる程甘いので、似合ってなくても似合っていると言いそうでアテにならないのですが…
「お二人とも、二人の世界に入るならそれでもいいですけど…行くならいちゃつくのは後にして下さい」
「あ…」
「すまない」
声をかけてきたのは、侍女さんでした。街に不慣れな私達のためにと、今日は侍女さんと護衛騎士の二人が同行して下さるのです。まぁ、街に出た事がない王と王妃が二人きりで…はさすがにリスク高すぎると宰相様達に盛大に反対されてしまったのですよね。何度もお願いして許可を貰いましたが…その条件がカップルに扮した護衛を連れて行く事、でした。ラウラが妊娠中でなければ二人に頼んだのですが、今はそうもいきませんから。
「うわぁ…」
初めて出た街は思っていた以上に賑やかで人がたくさんいました。こんなにもラルセンの王都は賑わっていたのですね。街も整備されて清潔な印象ですし、街を行く人たちの表情も明るいです。
「エリィ、はぐれてはいけないから手を繋ごう」
「え?ええ…」
ヴァルに手を取られましたが…改めてそう言われると、何だか恥ずかしいです。でも…こ、これがいわゆるデートというものなのですわね…今になってドキドキしてきました。顔が赤くなっていないでしょうか…帽子で誤魔化せているといいのですが…
それからは、侍女さん達に案内されながら、雑貨屋さんなどのお店を見て回りました。どのお店も侍女さん達の間では人気があるそうで、聞けばラウラ達もよく行っているそうです。話には聞いていて、凄く楽しそうだとは思っていましたが…想像以上に楽しいです。見るものすべてが新鮮と言いますか、珍しくて飽きません。
「歩き続けて疲れただろう。茶にしようか。いい店があるそうだから行ってみよう」
「ええ、楽しみですわ」
そう言えばもう一刻以上も歩き回っていましたわね。楽しくてすっかり時間が経っているのも忘れていましたが。そして今日のお楽しみの一つは、ラウラやベルタさんもお勧めの人気のカフェです。お茶だけでなくケーキや焼き菓子なども人気のお店なので、お菓子作りが好きな私としてもぜひ行っていたいと思っていたところです。
「美味しい…」
「ああ、そうだな」
「お気に召してよかったですわ」
案内されたのは二階のバルコニーにある特別席でした。殆ど外なので開放感があって、風が吹きぬけてとても気持ちがいいです。そして…期待していたケーキは…絶品でした。私もこんなに上手には出来ません。うう、やっぱり外に行かないとわからない事ばかりですわね…
「王都はにぎやかですね」
「ああ、活気があっていいな。やはり直に見ないとわからない事が多い」
「ええ、本当にそうですわね」
本当に、ラウラ達から話に聞くのと実際に体験するのでは雲泥の差ですわね。街の様子もそうですが、聞くだけではわからない事がたくさんあると実感しましたわ。
そんな事を考えながらお茶を一口飲み、ふと周りを見渡すと、二階の席の女性達がみんなヴァルに視線を向けていました。中には数人がひそひそとヴァルを見て話をしていますが…
やっぱり、そうなりますわよね。ヴァルは目立たない騎士服を着ていても、そのかっこよさは隠し切れません。品もあるし、堂々と威厳に満ちたオーラも際立っています。
実は…街に出てからずっと、女性達がヴァルに見とれているのには気が付いていました。わかってはいましたが…うう、ヴァルは私の番ですのに…
「エリィ、じっとして」
「え?」
ヴァルが小さな声でそう話しかけてきたため、私の思考は一旦止まりましたが、その途端に口元に何かが触れるのを感じました。慌てて視線を向けるとそれはヴァルの指で、その先には白いものが着いています。それって…と思う間もなくヴァルは、その指をペロッと舐めてしまいました。その途端、周囲から黄色い声が上がるのを感じましたが…い、今のって…
「けん制しておかないとな」
「け、けん制って…」
「さっきから男達がずっとエリィを見ている」
「え?」
「…やっぱり心配していた通りだったな…」
最後の呟きは聞き取れませんでしたが…眉間に皺を寄せながら忌々しくそう語るヴァルは、私と同じ事を考えていたようです。
でも、私を気にする男性なんている筈がないでしょうに…周りを見渡しても、誰も私と視線を合わせようとしませんし、それどころかそっぽを向く人までいます。ヴァルの気のせいじゃないでしょうか…
「陛下、ところ構わず周りを威圧しないで下さい」
「営業妨害ですわ」
「え?」
護衛騎士と侍女さんがこっそりヴァルにそう告げましたが…周りを威圧って…もしかして皆さんが目を逸らしたのは…ヴァルのオーラのせいだったのでしょうか…何と言うか、それはそれで恥ずかしいのですが…でも、ちょっと嬉しい…かも…?
「ああ、それから、これを」
そう言ってヴァルがポケットから小さな包みを取り出しました。掌に乗るほどのそれは、可愛らしい包みです。
「これって…」
包みの中にあったのは、先ほど行った雑貨屋さんにあった髪留めでした。花をモチーフにしたもので、アルマさんが作る高級品には及びませんが、逆に素朴な可愛らしさが印象に残ったのです。私がこれに気を取られていたのにヴァルは気が付いてくれていたなんて…それにいつの間に買っていたのでしょうか…
「今日の記念にと思って」
「ありがとうございます。つけても…いいですか?」
「ああ、是非」
そう言って甘い笑顔を向けるヴァルに、後ろからまた黄色い悲鳴が上がりました。うう、その甘い笑顔…他の人に見せたくない、なんて思うのは我がままでしょうか…
そんなこんなで、初めてのお忍びはとっても楽しい素敵な思い出になり、あの髪留めは私にとって、人生初がいくつも込められた一生の思い出の品となりました。
そしてこれをきっかけに私達はよく街に出るようになりました。ヴァルは市井に下りてみないと民の生活はわからないからと言い、私もそうだと思いますが…実のところ、こうしてデート出来るのが楽しくて仕方がなかったからです。
- - - - - -
ここまで読んでくださってありがとうございました。
番外編を含めて、ここで完結とさせて頂きます。
「もう、エリサ様ったら。全然問題ないですって」
「でも…あんまり目立つとバレてしまうかもしれないわ」
「大丈夫ですよ。地味すぎるのも悪目立ちしますから」
「…そうかしら…」
ラウラにそう言われましたが…私はまだ納得し難くて、鏡に映った自分の姿に目をやりました。
今日は、人生初の街へ遊びに行く日です。ヴァルに身体の変化が終わったら街に行きたいとお願いしていたのだけれど…一年半が過ぎた今日、ようやくその日を迎えました。マルダーンにいた時も街に出た事がなかった私は、もう十日くらい前から楽しみで気もそぞろでした。
最初に行く予定日だった一昨日の前夜は、興奮して中々寝付けませんでした。そん私になヴァルは、眠れるように運動しようと言い、その誘いに乗った私は翌朝起きれる筈もなく…結局今日に延期になったのです。
何で起きられなかったかに関しては…朝から話す事じゃないので割愛しますが…ラウラやベルタさんは、私を外に出したくなくて、わざとそうしたんじゃないかと言っていました。私も…その意見には概ね賛成です。
しかし、そんな事で諦める私ではありません。ずっと楽しみにしていたのです。ヴァルがそうやって邪魔するなら、初めてのお忍びはラウラと行くから!とヴァルに宣言したところ…今日は何があっても絶対に行くと約束してくれました。やっぱり一昨日のあれはわざとだったのね、ヴァル…
今日の私は町娘風に淡いグリーンのワンピースに黄色のカーディガン、つばの広い帽子に編み上げのブーツと、最近の街の流行の服です。今日のコーディネートはラウラの見立てで、少し前にレイフ様と一緒に街に遊びに行った時に買ってきてくれたものです。
そんなラウラですが…そろそろお腹が目立つようになってきました。出産はまだ先ですが、家でじっとしていると気が滅入ると言って、レイフ様が王宮に出勤する際は一緒に来てここで過ごしています。これもレイフ様が一人で出かけるのを禁じているせいですが…狼人の独占欲と嫉妬も中々なのですよね。
「エリィ、準備出来たか?」
そう言って現れたヴァルですが、今日はどんな衣装かしらと楽しみにしていましたが…
「ヴァル…その恰好は…」
何と!今日のヴァルは簡素な騎士服でした。それもいつも着るような上質でいかにも高官とわかるものではなく、通常の訓練などで一般騎士が着るものです。時々騎士団で部下たちの訓練をするレイフ様が着ているのを見た事はありますが…ヴァルが来ているのを見るのは初めてです。
「ああ、あまり目立つとよくないからとレイフに言われて。レイフもお忍びで行く時はこれを着ていると言うからこれにしたが…浮いているだろうか?」
何となく不安げなヴァルですが…実を言うとヴァルもこんな風にお忍びで街に行くのは初めてなのだとか。だから騎士服でいいのかと心配なのでしょう。でも…
「とっても似合ってるわ」
「そうか」
まだ不安げなヴァルですが…そんな服装でもかっこいいなんて…反則です。ああ、やっぱり街に行くのは危険でしょうか…ハイエナの女性達がヴァルに群がってきそうで不安になってきました…
「エリィも…凄く似合っている」
「そ、そう?」
私がヴァルの心配をしていると、いつの間にか隣に来ていたヴァルが目を細めて私を見下ろしていました。うう、そうでしょうか…何となくヴァルと並ぶと見劣りがしそうで心配なのですが…
でも、ヴァルは目元を柔らかく緩ませて私を見ています。その甘い表情から、少なくともヴァルの及第点はクリアしたみたいですわね。いえ、ヴァルは私には甘すぎる程甘いので、似合ってなくても似合っていると言いそうでアテにならないのですが…
「お二人とも、二人の世界に入るならそれでもいいですけど…行くならいちゃつくのは後にして下さい」
「あ…」
「すまない」
声をかけてきたのは、侍女さんでした。街に不慣れな私達のためにと、今日は侍女さんと護衛騎士の二人が同行して下さるのです。まぁ、街に出た事がない王と王妃が二人きりで…はさすがにリスク高すぎると宰相様達に盛大に反対されてしまったのですよね。何度もお願いして許可を貰いましたが…その条件がカップルに扮した護衛を連れて行く事、でした。ラウラが妊娠中でなければ二人に頼んだのですが、今はそうもいきませんから。
「うわぁ…」
初めて出た街は思っていた以上に賑やかで人がたくさんいました。こんなにもラルセンの王都は賑わっていたのですね。街も整備されて清潔な印象ですし、街を行く人たちの表情も明るいです。
「エリィ、はぐれてはいけないから手を繋ごう」
「え?ええ…」
ヴァルに手を取られましたが…改めてそう言われると、何だか恥ずかしいです。でも…こ、これがいわゆるデートというものなのですわね…今になってドキドキしてきました。顔が赤くなっていないでしょうか…帽子で誤魔化せているといいのですが…
それからは、侍女さん達に案内されながら、雑貨屋さんなどのお店を見て回りました。どのお店も侍女さん達の間では人気があるそうで、聞けばラウラ達もよく行っているそうです。話には聞いていて、凄く楽しそうだとは思っていましたが…想像以上に楽しいです。見るものすべてが新鮮と言いますか、珍しくて飽きません。
「歩き続けて疲れただろう。茶にしようか。いい店があるそうだから行ってみよう」
「ええ、楽しみですわ」
そう言えばもう一刻以上も歩き回っていましたわね。楽しくてすっかり時間が経っているのも忘れていましたが。そして今日のお楽しみの一つは、ラウラやベルタさんもお勧めの人気のカフェです。お茶だけでなくケーキや焼き菓子なども人気のお店なので、お菓子作りが好きな私としてもぜひ行っていたいと思っていたところです。
「美味しい…」
「ああ、そうだな」
「お気に召してよかったですわ」
案内されたのは二階のバルコニーにある特別席でした。殆ど外なので開放感があって、風が吹きぬけてとても気持ちがいいです。そして…期待していたケーキは…絶品でした。私もこんなに上手には出来ません。うう、やっぱり外に行かないとわからない事ばかりですわね…
「王都はにぎやかですね」
「ああ、活気があっていいな。やはり直に見ないとわからない事が多い」
「ええ、本当にそうですわね」
本当に、ラウラ達から話に聞くのと実際に体験するのでは雲泥の差ですわね。街の様子もそうですが、聞くだけではわからない事がたくさんあると実感しましたわ。
そんな事を考えながらお茶を一口飲み、ふと周りを見渡すと、二階の席の女性達がみんなヴァルに視線を向けていました。中には数人がひそひそとヴァルを見て話をしていますが…
やっぱり、そうなりますわよね。ヴァルは目立たない騎士服を着ていても、そのかっこよさは隠し切れません。品もあるし、堂々と威厳に満ちたオーラも際立っています。
実は…街に出てからずっと、女性達がヴァルに見とれているのには気が付いていました。わかってはいましたが…うう、ヴァルは私の番ですのに…
「エリィ、じっとして」
「え?」
ヴァルが小さな声でそう話しかけてきたため、私の思考は一旦止まりましたが、その途端に口元に何かが触れるのを感じました。慌てて視線を向けるとそれはヴァルの指で、その先には白いものが着いています。それって…と思う間もなくヴァルは、その指をペロッと舐めてしまいました。その途端、周囲から黄色い声が上がるのを感じましたが…い、今のって…
「けん制しておかないとな」
「け、けん制って…」
「さっきから男達がずっとエリィを見ている」
「え?」
「…やっぱり心配していた通りだったな…」
最後の呟きは聞き取れませんでしたが…眉間に皺を寄せながら忌々しくそう語るヴァルは、私と同じ事を考えていたようです。
でも、私を気にする男性なんている筈がないでしょうに…周りを見渡しても、誰も私と視線を合わせようとしませんし、それどころかそっぽを向く人までいます。ヴァルの気のせいじゃないでしょうか…
「陛下、ところ構わず周りを威圧しないで下さい」
「営業妨害ですわ」
「え?」
護衛騎士と侍女さんがこっそりヴァルにそう告げましたが…周りを威圧って…もしかして皆さんが目を逸らしたのは…ヴァルのオーラのせいだったのでしょうか…何と言うか、それはそれで恥ずかしいのですが…でも、ちょっと嬉しい…かも…?
「ああ、それから、これを」
そう言ってヴァルがポケットから小さな包みを取り出しました。掌に乗るほどのそれは、可愛らしい包みです。
「これって…」
包みの中にあったのは、先ほど行った雑貨屋さんにあった髪留めでした。花をモチーフにしたもので、アルマさんが作る高級品には及びませんが、逆に素朴な可愛らしさが印象に残ったのです。私がこれに気を取られていたのにヴァルは気が付いてくれていたなんて…それにいつの間に買っていたのでしょうか…
「今日の記念にと思って」
「ありがとうございます。つけても…いいですか?」
「ああ、是非」
そう言って甘い笑顔を向けるヴァルに、後ろからまた黄色い悲鳴が上がりました。うう、その甘い笑顔…他の人に見せたくない、なんて思うのは我がままでしょうか…
そんなこんなで、初めてのお忍びはとっても楽しい素敵な思い出になり、あの髪留めは私にとって、人生初がいくつも込められた一生の思い出の品となりました。
そしてこれをきっかけに私達はよく街に出るようになりました。ヴァルは市井に下りてみないと民の生活はわからないからと言い、私もそうだと思いますが…実のところ、こうしてデート出来るのが楽しくて仕方がなかったからです。
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ここまで読んでくださってありがとうございました。
番外編を含めて、ここで完結とさせて頂きます。
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