異世界親父騒動記

第六章 親父たち、追う者と追われる者

親父たち、ピンク・パンサーになる

前回までのあらすじ
親父たちは海を渡り、次の大陸に辿り着いた。

　ここは元の世界で言う所のパキスタンのカラチの路地裏。
　親父たちは抜き足差し足忍び足で、移動していた。
　ピンクパンサーのテーマ曲があう場面だが、BGMは流れていなかった。
　なぜ？親父たちがこんな所にいるかというと、この町の住民達に追われているからだ。
　すべての原因は三日前にさかのぼる。
　この世界のケバブ屋でドネル・ケバブらしきものを食べようとして、ぼったくり価格で買わされる所をブドウが値切り交渉（約二時間）を行って、半額以下にまで下げた（それでもぼったくり価格）。
　その後、その店の店主は倒れた。
　原因はブドウが一の単位まで値切り交渉したことによる疲労。
　店主はぼったくった金銭以上に（入院費治療費によって）損をこうむった。
　そんな事を三日連続で行った為、町の人たちから猜疑心が生まれ、お互いに相談した結果、伝言ゲーム特有の勘違い連鎖によって自分達が親父たちに殺されるというデマが流れ、「やられる前にやれ」となって、親父たちに老若男女関係なく襲って来たのだった。
「この国では騙される方が悪いんじゃないのか？」（小声）
「うむ、確かにそうだね！」（小声）
「その理屈なら騙した者が疲労で倒れても……」（小声）
「倒れた者が悪いんでござる！」（小声）
「肯定であります！」（小声）
　親父たちなりの正論だが、暴走した住民たちには何も通じない。
　事実、町は暴徒と化した住民達によって、無法地帯に変わっていた。
「いつからここは、破壊と暴力の世紀末になったんだ？」
「○斗の拳！」
「うむ、○ッドマックスかもしれないだよ！」
「隠れている間に何があったんでござるか？」
「理解不能であります！」
　思わず大声を上げる親父たち。
　そんな親父たちを無視して、破壊と暴力は連鎖は続いていた。