異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第二章 歩み〜生活基盤を整えましょう〜

2-15 急な来客?!その正体は...

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 ドラしゃん達が今後の街の建設計画を練っている時のことです。
不審な気配を感じ取った私はドラしゃんに目線をおくると...その視線に直ぐに気付き眉間に皺が...そして

『来たな』

とそう呟くと玄関に向う。
ドラしゃんは玄関に着くなりドアに向かって何か呪文を唱え出したではないか。

それを見ていたムキじぃーちゃん、ロドじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん、ドムじぃーちゃん、ラミィお兄ちゃん、モッケしゃんは玄関に向かいもれなく皆凄く嫌そうーな顔に。

呪文を唱え終えてドラしゃんが玄関の扉を開けると...なんとそこには小柄で体格のいい"おじさん"とふわふわの耳と尻尾を生やした燕尾服を来た"お兄さん"の2人が立っていた。

「げっ。よりよってアイツもいるのかよ...。」

ムキじぃーちゃんはそう小声で呟く。
私は何事かとムキじぃーちゃんの横から身を乗り出し外を見ようとしたらムキじぃーちゃんに止められてしまったが、密かに隙間から覗きみすることに成功。

玄関にいるドラしゃんが睨みを効かせながら外に現れた人達に嫌そうに声をかける。

『いくらなんでも早すぎだろう。時間を考えて来い。しかもよりによって結界を破ろうとしただろうが。クソが...。』

それはいつものドラしゃんらしくない口調と対応。
ドラしゃんにの横柄な言葉に特に怒りもせず小柄のおじさんは平然と返事を返す。

「ほざけ。お前があんな連絡寄越してじっとしていられるか。で、どいつだ?異世界から来たやつらは。」

そう言いながら家に入ろうとしたのでドラしゃんが全力で止める。

『誰が入っていいと言った。いくらお前でも無礼な行いは許さんぞ!』

ドラしゃんは珍しく本気で怒っているようで腰の辺りからドラゴンの尾が出ていて威嚇している。
流石にまずいと感じたムキじぃーちゃんが止めに入ろうとしたら耳の生えたお兄さんがドラしゃんに向かって吠えてきた。

「貴様こそ誰に向かって口を聞いている!口を慎め!」

ふわふわの耳と尻尾の生えたお兄さんも全力でドラしゃんを威嚇。
玄関先でドラしゃんと耳の生えたおじさんが睨み合いが始まってしまった。
突然の来客にお父さんとお母さんは固まっているし地味にカオスな状況に。

皆の意識が玄関に向いている間に私はムキじぃーちゃん達の肉壁をより分けてドラしゃんの元へと向かい、ドラしゃんの足元に行くことに成功。
もちろんそれに気付いたお兄ちゃんも私の後ろから歩いて来て同じく私の後方に立ちドラしゃんのズボンを掴んで立つ。

私とお兄ちゃんでドラしゃんのズボンを引っ張ると...まさか私達が足元に居ると思わなかったのであろう、ドラしゃんは足元を見て本気で驚く。

「ドラしゃん。おきゃくしゃん?」

「ドラしゃん。お客さんですか?だれなんですか?」

私とお兄ちゃんの姿をドラしゃんの足元で見つけた皆も大慌てしだす。

「えっ!なんであんなとこに?」

「いつのまに!」

「おい!戻って来い!」

後ろから色々声が聞こえて来たが無視をして
私とお兄ちゃんはドラしゃんの足元から突然我が家を訪ねて来たお客さんを見る。

手前のおじさんは...お父さんより少し身長が低め?髪は...茶髪に白髪混じりの短髪。服は胸の所が少し肌け、よれたポロシャツみたいな白い服に茶色のズボン。足元はロングの革靴を履いていて腰には剣を刺しているのかなぁ??

そのおじさんの横にいるお兄さんは金色と白が混じったふわふわの毛が生えた頭にふわふわの耳があるではないか?!
しかし...あの耳って何処かで見た事あるような??
長い髪は後ろで綺麗に束ねられていて、目はブルー。髭は...生えているのだと思うが綺麗に剃られてあり清潔感あふれる紳士。
あと...少し気になるのが頭の上にあるふわふわの耳と同じように腰の辺りから見覚えのあるようなふわふわの尻尾が生えていること。

それでも黒の燕尾服がとてもよく似合っていて私的にはめちゃくちゃタイプ(ドストライク)のお兄さん。

私とお兄ちゃんが見つめていると2人と目が合ってしまった。
私とお兄ちゃんが笑顔を見せると2人は驚きつつも笑顔を返してくれた。

笑顔を返してくれたので嬉しそうにしていると頭上から"チッ"と舌打ちが聞こえた気が...せんこともない。
私は首を傾げながらドラしゃんのズボンを再度引っ張ってみた。

『お嬢様。坊っちゃま。こちらは"一応"この国の国王とその側近です。』

ドラしゃんはどことなく引き攣った笑顔で教えてくれたのだが、なんであんなに"一応"を念押ししたのかは...分からなかった。

ドラしゃんの言葉に後から玄関にきたお父さんもお母さんも驚く。
国王が来たのも驚きだが見た目が王様らしくない。
王様ってもっと威厳に溢れたおじぃーちゃんって感じをイメージしていたからね。

そんなことを思いもいながら2人を見ていたら

「おっ!初めましてだな。俺がこの国の国王の"ユウト・デル・ロナスタ"だ。今日は国王としてではなくそこにいるじぃーさん達の友人として来ているから気にするな。」

王様と名乗った人はめちゃくちゃフランクに自己紹介をしてくれた。

その言葉を聞いて私とお兄ちゃんは"ヘェ~"としか返事が返せず、お父さん達は"ご丁寧にありがとうございます"と返事を返す。

すると、横に立っているイケメンのお兄さんも続いて自己紹介をしてくれた。

「お初にお目にかかります。お見苦しい所をお見せして申し訳ないですが。私は、"この国王様らしき人物"の教育係兼側近頭をさせて頂いています、"レオン・セバスチャン"と申します。
 お気軽に"セバス"とお呼び下さい。獅子族と人間のハーフでございます。お見知り置きを。」

こちらもご丁寧な挨拶をしてくれたのだが、一部きに気になる言葉が...あったような??なかったような...???
しかし彼の自己紹介で気になっていた事が判明してスッキリ!
どこかでみたことがあるはず!ライオンの耳と尻尾だったの。

それが分かり私とお兄ちゃんはテンションが上がる。

「ドラしゃん!リャイオンさんです!」

「凄ーい!王様にライオンさんです!」

私とお兄ちゃんはドラしゃんの足元で大喜びして跳ね回る。
あまりの喜び方にドラしゃん初めその場にいる大人達が全員驚きつつも盛大な溜息を吐く。

私とお兄ちゃんは王様とライオンさんに自己紹介をする。

「私、リンです。3歳です。よろしくおねがいちます。」

「僕は、アキラです。リンのお兄ちゃんです。5歳です。よろしくお願いします。」

私とお兄ちゃんが自己紹介すると王様と側近さんが腰をかがめて目線を合わせて

「凄いなぁー。自己紹介ありがとうよ。俺たち入っていいか?」

「可愛らしい挨拶。ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。私達もこちらにお邪魔してもよろしいですか?」

その言葉に私とお兄ちゃんは"どうぞ"と返事をしてからドラしゃんを見つめる。

私とお兄ちゃんが見つめると...ドラしゃんは、すっーーーーーーーーごく嫌そうな顔をしつつも"お嬢様方が良いと言うなら"と返事を返して王様とライオンさんを家の中に招きれる。

王様とその側近さんなんだからこちらの確認をとらなくても家に入ってきたらいいのにとお父さん達は思ったみたいだが、そこは家の周りに頑丈に張り巡らされたドラしゃんの結界の効果にて不可能だったのだ。

家主と結界を張った本人から許可が降りたので家に入れた王様とライオンさんをリビングに案内する私とお兄ちゃん。

その姿を後ろから頭を抱えながら溜息を吐きながらぞろぞろと重たい空気を漂わせて歩いてくるムキじぃーちゃん達。

いつもなら誰かが文句の一つでもいうのにこの時は誰も言葉を発さない。

中でもドラしゃんはこの世の終わりのような表情で玄関のドアを閉めていたのだった。

リビングに着くとドムじぃーちゃんが慌てて王様とライオンさんが座る用の椅子を用意する。

ドムじぃーちゃんが椅子を用意すると王様達は素直に座る。
私とお兄ちゃんはいつもの席に向かうとムキじぃーちゃんが椅子に座らしてくれた。

ルミばぁーちゃんがキッチンに向かい2人にお茶を用意して2人に渡す。
その頃にはドラしゃんも戻ってきて皆が揃う。
するとそれを待ってたかのように王様が口を開く。

「もう一度言うが、俺はこの国の国王だが今日はプライベートで来ている。だから気を使わなくていいぞ。
そこにいるドラゴンから伝言が来たが内容があまりの事だったからなぁー急いで来てみたんだ。」

なんとなくそんな事だろうなぁーと私達家族以外の人間は人達は思っていたみたいで反応は冷ややかなものだが、王様は特に気に留めておらず話を続ける。

「内容が内容だったからとりあえず私とセバスでやってきた。その方がお前さん達も話がしやすいと思ってな。」

王様の言葉にはぁーと溜息を吐きながらライオンさんが言葉を付け足す。

「伝言を受けた時に大臣や近衛隊隊長達もいたんですよ。彼らも一緒に同行すると言ってましたが、大勢で押しかけるのもどうかと思いまして国の代表であるこの人と私とで伝言の内容の確認をしに来ることを説得して来ました。」

王様とライオンさんの言葉にお父さんとお母さんは困惑するが、他の人達は平然としている。
それどころか2人の話の内容が初めから分かっていた様な感じがする。

しかし...ドラしゃんがどんな内容の伝言を出したのかが気になったが、お父さんとお母さんは聞く気にならかったので黙っていた。

2人の話の返事を誰もしないのでドラしゃんが皆の代表として答える。

『こちらのお嬢様と坊っちゃまを含め、向かいに座っていらっしゃる旦那様のユウダイ様。奥様のユイカ様があの方がこの世界に連れて来られた異世界人となります。
 連絡するのが遅れたのは(面倒臭い)色々あり忘れていました。』

ドラしゃんはしれっと私達の事を紹介しつつ話を続ける。

『こちらに居るのはそれぞれご存知の方ばかりなので良いですよね?
一応あの方に言われてこちらの御一家のサポートに入ります。
 あとは...家の裏の"家庭菜園"に【大聖霊のドライアド】の実がなっております。成熟するのは...後数日かと。そんなものでしょうか?』

どうやらドラしゃんが伝言に記載した内容をザクッと話してくれたみたい。
いつもは賑やかに突っ込みを入れるルミばぁーちゃんを含め皆静か。
それどころか王様達の反応を伺っている感じ。
私とお兄ちゃんだけウキウキ気分で、お父さんとお母さんは落ち着かない感じで状況を見守る。

「本当にその内容に偽りは無いのか?」

王様がお父さんの方を見ながら確認してきたので、お父さんは驚きながら頷く。
だって相手は王様ですもの。
どう反応していいのかわからないし、下手な事は言えない感じなのでこういう反応をするしかなかった。

微妙なや張り詰めた空気が漂う中私とお兄ちゃんが口を開く。

「僕たち、お出かけ中に事故に会いました。起きたら白い鳥さんがいたんです。」

「あのね、私がね、鳥さんにおねがいしちゃの。そちたらね、おとうさん、おかあさん、お兄ちゃんをおこしてくれたの。鳥さんがねここにねちゅれてきてくれちゃの。」

「この世界に来てドラしゃんにあってこの家に住まわせてくれました。」

「しょんでねムキじぃーちゃんがきちぇね、家をねおおきくちちゃの。」

「しばらくしたら、ルミばぁーちゃんやドムじぃーちゃん達が来てくれたんです。」

「そちて、おうちふやちたの。」

「おとうさんが畑作ってくれて、皆んなでタネ植えたんです。」

「リンがね、木のちたで、きらきらのタネみちゅけたの。うえたら、しゅごいのできちゃの。」

私とお兄ちゃんで自分達が知る限りのことを言える範囲で2人に教える。
それをドラしゃんを含めた大人達は静かに見守っている。

私とお兄ちゃんの行動にお父さんとお母さんも触発されて閉じていた口を開く。

「この子達が言ってる事は本当です。私達はこの世界と別の世界...日本という国で産まれて生活していました。
リンの3歳の誕生日の日に家族で外出し帰宅の時に事故にあってしまい命を落としました。」

「そして...リンと白い鳥さんのおかげで、私達家族は再び命を貰いました。
いいえ、命だけでなくこの世界に家族で生活できるようにしてくれたのです。
この世界にきて初めにドラしゃんに出会いました。嘘はありません。」

ドラしゃん、ムキじぃーちゃん達も真剣な表情で頷いてくれていた。

「リンたちね、ここでね、たのちくすごすの。でね、かじょくふやしゅの。」

「家族皆んなで、楽しく過ごすんです。僕は、大きくなったらムキじぃーちゃんみたいになるんです。色んな所に行ってみたいです。」

私とお兄ちゃんは笑顔で自慢話をする。
私とお兄ちゃんの言葉には大人達は驚く。
すると、ずっと静かだったルミばぁーちゃんが私とお兄ちゃんに声をかける。

「リンもアキラも凄いわね。もう夢があるのかい?しかし...アキラ?よりにもよってムキファーになるって...。
それはおよしよ。もっと他にも良いのがいるよ?」

ルミばぁーちゃんの言葉に大人達全員がえっ?!となりルミばぁーちゃんを見つめる。
そして...

「おい!なんでワシだといかんのだ!」

ムキじぃーちゃんは思わず叫んでいた。
それに対してルミばぁーちゃんがいつもの感じ返事を返す。

「はっ?なんだい?文句あるのかい?そうだろう?アンタだって規格外じゃないかい。
コツコツ頑張ってる他の冒険者に対して失礼だよ。禿げ頭の筋肉ダルマだし。こんなのになったら人生半分以上損しかないね!」

ルミばぁーちゃんはムキじぃーちゃんに呆れ顔で答えるがその内容は...かなり辛辣なもので、それを聞いたドムじぃーちゃんロドじぃーちゃんが笑い出す。

「確かに!おい、アキラ。ムキファーはやめとけ。なんなら俺はどうだ?俺も、元冒険者だぜ。」

「ロドムカ...お前も大概だろう?ムキファーと張り合って喧嘩して、いくつ街や村を半壊したんだよ?その度国王から罰を受けたんだよなぁー?そんな冒険者になったら世も末だぜ。」

ロドじぃーちゃんとドムじぃーちゃん達の話に、お兄ちゃんは頬っぺたを膨らませて反論する。

「皆!ひどいよ!僕は、ムキじぃーちゃんがいいんです!筋肉凄いし!カッコいいんです!」

この国のお偉いさん2人の前でいつも通りの雰囲気にいつの間にか戻っていた。
それを国王と側近の2人は黙って見ている。

が...ドラしゃんのみ警戒を解いてい。
皆の様子を見ながらも2人の出方を伺っている。

だだんと家族のやりとりが賑やかになって来た時だった。

「ゴホン!」

その場に響き渡る咳払いが。
それは側近の人がしたもので、ドラしゃん以外が我に返っりまた空気が張り詰め出す。

そう...この場にこの2人がいる事をついつい忘れていたのだった。
静かになった頃を見計らい王様が口を開く。

「よーくわかった。どうやら伝言の内容に偽りはないようなだな。それなら問題はなしだ。
ここからは俺、個人として話するぞ。」

そう王様が言うと...。
なんとまぁー。王様ってこんなの?って感じになりましたよ。

「もうー!するいぞ!お前ら!なんでそんなに仲良くなってんだよ!!俺だって...。俺だって...。仲良くしたいのに!!
 俺だって異世界から来てる人間なんだよ!力の事だって相談にものれるのに!!
なんだよ!俺だけ除け者にしてぇー!?
こーなったら俺もここに住むぞ!」

さっきまでそれなりに威厳ある王様って感じだったのに...あれ??同じ人なんでしょうか?

ええ年したおっさんが子供のように駄々を捏ね始めたのだ。
しかもなぜか涙目。

えー?!私、お兄ちゃん、お父さん、お母さんは目が点に。

ドラしゃん達は"やはりか"って感じで王様を見つめる。

「ド、ドラじゃん?えーと...。」

お父さんはドラしゃんに助けを求めて声をかけるとドラしゃんは溜息を吐きながらお父さんに答える。

『はぁー。すみません、旦那様。あれがこの国の国王です。ほっといていいですので。
もうー無視でいいですので。』

ドラしゃんが真顔でお父さんに話すと王様はますます駄々っ子になっていく。

「なんだよぉー!お前!無視すんなよぉー!なんで、"ドラしゃん"なんて呼んでもらってるんだよ!ずりーぞー!他の奴らも"ムキじぃーちゃん"とか呼ばれてよ!
俺だってそんな風に呼ばれたいわ!
仲間外れなんて...ずるいぞぉー!うわぁ~ん!」

しまいには泣き出してしまいもう何がなんなのやら...。
ますますお父さんもお母さんも訳が分からずドン引きしていく。
私とお兄ちゃんはあまりの事にキョトンとする。

王様と知り合いの人達は溜息をついて

「歳もとった事だし少しはまともになってるかと思いきや。はぁー。全然じゃないかい。」

とルミばぁーちゃんが。

「まさか普段からこうなのか?それならお前...最悪だぞ?それとも酒でも飲んできたのか?」

とロドじぃーちゃんが。

「酒飲んで来たとしても最悪だろう?初見だぜ?ワシだったらこんなのが王様だと分かったら切るわ。」

とムキじぃーちゃんが。

「はぁー。幾つになっても中身がかわらないのは残念です。
肩書きも良いものが付いてるですからもう少し成長されては?」

とラミィお兄ちゃんが。

「まぁ~もったほうじゃないか?諦めろ。コイツのコレは死んでも治らんだろう。」

とドムじぃーちゃんが。

「あんさん。あきまへんで。
せめてもう少ししっかりせんと。」

とモッケしゃんが。

「...国王。御一家の方々が引いてますよ。情け無いから辞めて下さい。」

最後には側近のお兄さんが冷たい眼差しを向けて、泣き崩れている王様に声をかける。

私とお兄ちゃん、お母さんとお父さんはあっけにとられていてなんのアクションもとれずにいる。
お父さんが横に座っているルミばぁーちゃんに視線を送るとそれに気づいたルミばぁーちゃんが話してくれた。

「アイツは今は国王なんかしているがお前さんらと同じで異世界から来た奴さ。
初めてこの世界に来た時は右も左も分からんでな、またまた旅で来ていたムキファーが見つけて一緒に連れ回して冒険者していたんだよ。それからの腐れ縁てもんさぁー。」

そうルミばぁーちゃんが言うとまだ泣いている王様に視線をやる。
すると王様とルミばぁーちゃん達の関係についても話をしてくれた。

「昔、私を含めてここにいる連中の大半は冒険者をしていてね、昔ある戦争があったんだけどねそれを鎮めたメンバーでもあるんだよ。
 その当時この国を治めていた国王にコイツが好かれてしまってね。
国王には息子が1人もいなくって幼い娘しかいなかったもんだから、国王がしつこくアイツを誘ってね。
渋々アイツは養子になったのさ。
その国王もだいぶ前に亡くなってその跡を継いだのがアイツさ。
しかし、国王になっても何かと理由つけては、お忍びで来るもんだから今でも付き合いがあるんだよ。
 アイツは昔から泣き虫でね。その上人見知りときたもんだ。誰ばり愚痴を言ったりできないタチでね、気の知れた私らの前でしかあーできないんだよ。
そのうちアンタらも慣れるさぁ。」

ルミばぁーちゃんの話を聞いて納得するお父さんとお母さん。
国王も大変なんだぁーとお父さんとお母さんは思ったのだが、ああはなりなくないなぁーとも思ったのは内緒。

私とお兄ちゃんはドラしゃんに

「あのおじちゃん、だいじょうぶ?」

「頭がおかしくなったのですか?何かの病気ですか?」

と聞くと笑顔で"問題ないです"と満面の笑みを浮かべて返事を返された。
泣き続ける王様をとりあえず放置して側近さんとドラしゃん達で話を進める事に。

「話を進めるがこの一家はこの世界での役目とかは特にないのですね?」

側近さんはドラしゃんに向かって確認をとるとドラしゃんは頷く。

『あー。アイツからも"特に使命はない。自由に生活をさせて欲しい"との事だ。この一家の希望としては、"地に足をつけて生活して子育てをしていきたい"だ。
この子達はある程度大きくなってから将来を決めていったらと考えている。』

その言葉にお父さんとお母さんも頷いて言葉を足しす。

「とりあえず、畑や鍛冶などをして収入を得れたらと思います。
この子達を大きくしていくのが希望です。
 ある程度、落ち着いたらまた考えて行こうかと思います。」

「特に、私達は冒険者とかになろうかとは思っていません。
まぁー、ある程度落ち着いたら観光がてらに家族で旅をするのも良いかとは思っています。」

その言葉を聞いて側近さんは驚きながらも納得してくれた様子。

「では、この街を国王保護下に置きます。
今、個々に建ててあるものこれから建てるものに関しては事後報告でも可能ですので、申請して頂ければ保護対象とします。」

その言葉にお父さん達含め泣いている王様もびっくりする。
えっ?!なんで国王様が?と思うのはおかしいのだろうか?

「別に意図はございません。現在【大聖霊】が実っているのでしょう?そうなると今後も増える可能性があるのでは?
このまま野放しにしてるよりは保護下に置いてある方が安全です。
 ちなみに見返りもいりません。
しいといえば時々このバカの面倒を見ていただければ充分お釣りがきます。」

そう淡々と側近のお兄さんは話。
私達にしか徳がない感じの話だがそうでもないらし。

側近のお兄さんにとって国王様の相手をするよりかは、面倒事を解決する方が何倍も良いのだと後から教えてくれたのだ。
(どんだけダメ国王なのさ!)

この時をもって私達家族と私達の住む街は国王様の保護下に置かれる事が無事に決まった。













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