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第二章 歩み〜生活基盤を整えましょう〜
2-16 王国との決まり事と家庭菜園の確認と別れ
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国王様とその側近の方が来て話し合いをして色んな事が決まった。
といってもほとんど側近のお兄さんと大人達との話し合いだったんだけどね。
まず1つ目が私達家族と住む場所が国王の保護下に置かれるようになる。
それによって色んな事が免除されるらしい。
(どうやらややこし手続き等も免除されるとのこと。やったね。)
あと、王様によって私達の身分が保障される特典が付いてきた。
変な輩が私達家族に手出しが出来なくするための処置だそうで、それに関しての処理は全て側近のお兄さんとドラしゃん達でしてくれることに。
もし私達家族に手を出しをしたら王国の法律に基づいて処分されるとか。
2つ目が私達の街のギルドマスターにロドじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん、ドムじぃーちゃんがなる事が決まった。
副責任者にお父さんとお母さんがなる事に。
これにも裏があって、表向きはロトじぃーちゃん達がギルマスに復帰として活動すると言う事になっているが、お父さんとお母さんにギルマスの仕事を指導するのが本当の目的だという。
お父さん達がギルドマスターとして運営出来る様になったらロドじぃーちゃん達はギルド運営からはなれて隠居がするというのだが...いつになるやら。
3つ目が、私達家族に身分証になるギルドタグが支給されることに。
私達に支給されるギルドタグは、普通のギルドタグと違って王様の刻印のついた物になるとのこと。
何がどう違うのか確認するとギルドに納める税金が免除されるというのだ。
その代わりに王様から依頼されるモノは余程の事がない限り受けないといけないらしいんだが、ほぼ王様の相手をするのが仕事となるので私達としては問題ない。
このタグはムキじぃーちゃん、ロドじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん、ドムじぃーちゃん、モッケしゃんも持っていたのだから驚きだ。
(ドラしゃんとラミィお兄ちゃんは特別枠なのでタグはいらないとの事だった。俗に言う顔パスってやつだ。)
これで私達はこの世界の本当の住人として暮らすことができるようになる。
4つ目が、王国から若い兵士見習いを4~5人派遣するということ。
好きに使っていいらしいのだが、ドラしゃんが王国の間者と疑う。
でもそうではないと側近のお兄さんが返事をする。
その人達は王国の兵士に入団したものの使い物にならないという。
使い物にならないならクビにすれば?とルミばぁーちゃんに言われたが、クビにするには勿体ない人材なんだそうだ。
そこで私達の街で引き取って欲しいというのだ。
5つ目が、週一回王様の相手をする事。
コレがほぼメインとなる内容らしい。
城には王様のこの性格を知っているのは、側近さんと義妹さんの2人だけだそうだ。
義妹さんは離宮で生活している為、中々会えないのでほぼ側近さんが相手しているのだとか。
そのため、かなり限界が来ていると側近のお兄さんが真剣な表情で切実に訴えてくる。
「もう、本当に限界なんです。私も休める時間が欲しいのです。週に一回でいいのでこの馬鹿をお願いしたいのです。」
お兄ちゃんは耳と尻尾をヘニョっとしおらせてお願いするので私が"いいよ!"とへんじをした。
「お兄しゃん!いいでしゅよ!」
私の返事に側近さんの耳と尻尾が嬉しそうに揺れる。
事前に側近さんから王様が行く日を連絡してくれるというので、お父さん達も承諾する。
その日は王様としてではなく友人として扱ってあげて欲しいとの事だったので、そっちの方が大変そう。
6つ目が、この街に剣術訓練場を建ててそこに王様の息子2人も通わせて欲しいとのこと。
王様には亡王妃様との間に2人の息子がいると側近のお兄さんが教えてくれた。
2年前に王妃様が亡くなってから2人の王子様は心を閉ざして手が付けられないというのだ。
しかも6歳と4歳で城には遊び相手がいない。
それを聞いてお父さんとお母さんは反対する所が、"直ぐにでも連れて来てくれて良い"と返事をした。
私とお兄ちゃんにもこの世界で歳の近い友達がいなかったからこの機会に是非との思いも含まれていたみたい。
これにはドラしゃんも反対しなかった。
しかし、私とお兄ちゃんに何かあれば即刻追い出すのが条件となった。
(過保護ですよ。)
7つ目が、この街で作られた物で価値がかなり高くなるモノが出来たら王国に報告して王様が買い取ることに。
異世界から来た人が作るモノは、時にとんでもない価値のするのができるというのだ。
トラブルになる前に王様の方てなんとかするので、この決まりごとができた。
それ以外の事は追々考えていくことに。
何か後半は王様達の尻拭いのような気もするとドラしゃん達が文句を言っていたが、かなりの高待遇なので目を瞑る事に。
色々あったがこれで私達のこの世界での生活基盤が固まってきた。
「ところでこの街はどの程度発展させるつもりですか?」
側近さんはロドじぃーちゃんに質問する。
ロドじぃーちゃんはドラしゃんの方を見て目で合図を出す。
ドラしゃんがそれに合図を出すとロドじぃーちゃんが頷いて側近さんに返事をする。
「一応だがある程度この一家が魔力のコントロールができる様になるまでは、必要以上に人は増やす気はない。増やしすぎるとこの家族の能力の事とかが他所に漏れる危険性が上がるからのう。
増やすとしても俺やドム達の息のかかった者や信頼のおける人間しか住まわす気はないのう。
後は冒険者や近隣村や街の住人の行き来をさせる事ぐらしいかのう。」
その言葉にルミばぁーちゃん達も頷く。
「その気でしたらこちらも必要以上の口は挟みません。そうでなくてもここは彼の方の加護が働いてますから問題はないでしょう。」
側近さんも内容には納得してくれた。
これで私達は今後安心して生活を送れるみたい。
(もう既に安心して生活してましたけどね。)
明日からさっそく剣術訓練場と見習い兵士を向かい入れる家を作る事にした。
材料は王様達が用意して送ってくることに。
他にも必要な物や人材が有れば手配してくれると申し出てくれた。
しかし、それに関してはドラしゃん達でもどうにかなるので丁重に断った。
どうしても困ったらって事に落ち着いた。
話し合いの殆どが側近のお兄さんとドラしゃん達で決めたのだが...あれ?王様は?...というとなんと泣き疲れて寝てしまっていた。
...。王様抜きで決めても大丈夫なのか?と思ったが、"大丈夫"と皆がいうのでいいのだろう。
今回決まった事は後日正式な書面にして持ってきてくれると側近のお兄さんがドラしゃんに伝える。
話も終わり王様も完全に寝てしまったので、王様と側近さんは一度お城に戻る事になった。
今回決まった事も早めに書類にしたいと側近さんがいうので。
側近さんは寝入った王様を小脇に抱えて立ち上がると私とお兄ちゃんは、側近さんの側に行き
「あのね、ありがとうでしゅ。」
「ありがとうございました。」
笑顔で側近さんにお礼を言うと側近さんの尻尾が嬉しそうに揺れる。
「あのね、セバしゃんってよんでもいいでしゅか?」
私が側近さんに質問すると一瞬驚いた顔をしたものの"いいですよ"と返事が返ってきた。
私とお兄ちゃんは嬉しくなりまたお礼をいう。
するとセバしゃんは少し屈んで私達にある事を話してきた。
「私だけだとこのバカが拗ねるので、このバカにも何か呼び名を決めてあげて貰えますか?」
セバしゃんのお願いに私とお兄ちゃんは顔を見合わせ、ニコッと笑ってセバしゃんに返事をする。
「「ユウトおじしゃんでもいいですか?」」
私とお兄ちゃんの言葉にセバしゃんが、"ありがとうございます"とお礼を言う。
「良かったら次このバカに会った時にそう呼んでやってください。
それでは皆さんお騒がせ致しまた。
また後日に日を改めて来ます。」
と言うとセバしゃんの足元に魔法陣が出てだと思ったら一瞬にして消えたのだ。
私とお兄ちゃんは驚いてその場で固まってしまった。
すると、ドラしゃんが私とお兄ちゃんの元へ来て抱き抱えてくれて
『あれは、帰還の魔法陣です。あれは国王と王国の関係者のみが使えます。』
ドラしゃんは私達にそっと教えてくれた。
セバしゃん達が帰った後私達はもう一度話し合いをすることに。
『旦那様、奥様、バタバタしましたがアレがこの国の国王とその側近です。
お見苦しかったと思いますが、今後もあんな感じだと思いますので諦めて頂けたらと思います。
アレもここに来る時は王様として扱われるより普通に接する方が喜ぶと思いますので気にせずにぞんざいに扱ってください。』
ドラしゃんは私とお兄ちゃんをリビングの椅子に連れ戻しながらお父さん達に伝える。
があまりの内容にお父さんとお母さんが困惑していると
「確かに王様として対応する時はしゃんとしてるからその時はその対応してやればいい。
それ以外は私達と接する様にしてやってくれ。」
ムキじぃーちゃんがドラしゃんの話の内容に付け足すように伝えてきた。
王様のイメージが大きく崩れたが、接しやすい人だと言う事が分かったので皆の言うように対応できるのうに心がけることに。
「明日もまた二手に分かれて行動だね。ムキファーとロドムカにドム。そして、坊主。
アキラお前さんも一緒に剣術訓練場の建設に着いていきな。
アンタが使うんだ。どんな風にしたいかしっかり意見言うんだよ。」
ルミばぁーちゃんはお兄ちゃんに向かって話をすると、その言葉を聞いてお兄ちゃんは嬉しそうに頷く。
「ユウダイとユイカ。私とラミィーとで兵士見習いの家を建てるよ。
お前も来るんだよ!フレア。リンお前さんもね。でないと、そこのドラゴンはてこでも動かないからね。」
ルミばぁーちゃんはそう言いながらドラしゃんの方を向いて話をする。
私がドラしゃんを見ると少し不機嫌?そうだったので私はドラしゃんを見ながら、
「あした、がんばりょうね。」
と笑顔で言うとドラしゃんは"勿論です"と笑顔で答えてくれた。
それを見て周りの人達は大きな溜息を吐いたのは言うまでもない。
バタバタがあった1日が無事に終わた翌朝。
なぜか朝からお兄ちゃんは張り切っていた。
いつもより早く起きてお父さん達を起こしに行ったぐらい。
その日の朝ごはんはお母さん手作りのパンと目玉焼きにコーンスープとフルーツサラダ。
私達は朝ごはんを食べ終えたが、ムキじぃーちゃん達がまだだったため、家の裏の家庭菜園に足を運ぶ事にしてみた。
家庭菜園に行くと野菜が青々と実ったままで特に変化もなかった。
ある一つのモノを除いては...。
私が植えた【大聖霊 ドライアド】の樹に実っていた実がいつの間にか3つになっていて、実の色が青と茶色と緑に。
ドラしゃんはそれを見て真剣に考え込む。
私は樹の側に行き幹を撫でる。
すると...3つの実がキラキラと輝く。まるで喜んでいるように。
そして、さきっより少し実が大きくなった気がする...。
私が首を傾げてドラしゃんに聞こうとしたら家の中から私達を呼ぶ声が。
どうやら朝食を食べ終えたムキじぃーちゃん達が来たようだ。
私はお母さんに呼ばれて樹の側から離れて行こうとした。
すると、何か実から声が聞こえた気がしたので足を止めて振り向こうとしたが、またお母さんに呼ばれたのでそのまま歩いて行った。
お母さんの元に行き後ろを振り向くと、特に変わった様子はない。が、なぜが気になる。
私はお母さんに抱き抱えられ、皆と一緒に家の中へ。
そんな私達を見送る3つの影が実周りにある事に気づかずに...。
私達が家の中に戻ると皆が準備して待っていてくれた。
「おはよう。どこ行ってたんだ?」
ムキじぃーちゃんが朝の挨拶をして尋ねてきたのでお兄ちゃんが答える。
「みんながまだだったから、裏の野菜見に行って来たんだ。」
お兄ちゃんは元気よく伝えるとムキじぃーちゃんに飛びついて行く。
ムキじぃーちゃんはそんなお兄ちゃんをヒョイっと抱き抱える。
「それはすまんの。で?どうだったんだ?」
ムキじぃーちゃんは今だに真剣な表情で悩んでいるドラしゃんに向かって声をかける。
『いや...。少し気になる事があったんだ。
裏に実った野菜達は青々として枯れてる気配がないし、特別に巨大化しているわけでもなかった。』
そう話すドラしゃんは煮え切らない表情を崩さない。
それに気付いたルミばぁーちゃんがドラしゃんに声をかける。
「まだ、何かあるのかい?
もしかして例の樹に何かあったのかい?」
その言葉にドラしゃんに視線が集中する。
ドラしゃんは静かに頷く。
それを見たムキじぃーちゃん達は"何があったんだ!"とドラしゃんを問い詰める。
ドラしゃんはどう説明しようか悩んでいたので私が代わりに答えた。
「あのね?みがね、3つなってたの。あおとつちみちゃいなのと、みりょりなの。」
私覚えて凄いでしょう?っと胸を張って皆に伝えると、話を聞いていたルミばぁーちゃん達の顔色が変わる。
私は褒め言葉が貰えると思って待っていたのに、誰も何も言ってくれないので首を傾げるとドラしゃんが口を開く。
『お嬢様の言う通りなんです。あの樹が本当に【大聖霊 ドライアド】の樹であれば実は1つのはず...。
それが3つ。しかも、青、茶色、緑だ。
【大聖霊 ドライアド】は樹の先の"蕾"の中に居るはずだ。あの蕾が花ひらいた時に姿を現すはず。
そしたら、...あの実は?...となるんです。』
ドラしゃんの言葉に私とお父さん達は、"蕾なんてあったっけ?"と悩んでいるとドラしゃんが教えてくれた。
『樹の先端に葉の様な塊がありましたでしょう?あれが、"蕾"です。』
その言葉を聞いて先程見てきた樹を頭に浮かべる。
あっ、確かにあった。
ああいう姿の樹がこの世界にはあるんだなぁーと思っていたから蕾とは思わなかった。
じゃー?あの実は何?
お父さん達も考え込み出したらムキじぃーちゃんの腕の中でいたお兄ちゃんが声を上げる。
「もう~!何もなかっんだよ?いいでしょう?早く建物を建てに行こうよ!」
お兄ちゃんはムキじぃーちゃんの胸元の服を引っ張りながら訴える。
その声に皆は、はっとなりひとまずあの樹については、置いといて今日の作業に取り掛かる事にした。
昨日話し合ったように今日も二手に分かれて行動開始。
お兄ちゃん、ムキじぃーちゃん、ドムじーちゃん、ロドじぃーちゃんチーム。
私、ルミばぁーちゃん、ラミィお兄ちゃん、お父さん、お母さん、ドラしゃんチーム。
???
モッケしゃんは?
と、皆んなが疑問に思いモッケしゃんを見るとモッケしゃんは平然と答える。
「ワテ、ちょっと今日から隣の村に行ってきますわ。ここの宣伝もかねて次の仕入れの話もしてきますわ。
ワテ動かんと他の村や街に迷惑かけますんでそろそろ皆さんと別行動させて頂きますわ。」
モッケしゃんは行商人なんで1箇所にはあまり留まる事はない。
長くても2日程しか留まる事をしないのだった。
それなのに私達の為に日程を大幅にずらしてくれていた。
「気にせんといて下さいよ。ワテが、好きでやってますねん。
ワテしかできん事をさせて頂きますよって心配せんといてなぁ~。」
今日からモッケしゃんは皆と別行動となるのは私達家族以外は皆知っていた。
モッケしゃんの話を聞いてお母さんは、急いでキッチンに向かい何かを取ってきた。
とってきたものをモッケしゃんに渡す。
「急いで用意したから大したものは入ってないの。ごめんなさいね。
良かったらお昼と夜にでも食べて下さい。そして必ず帰ってきて下さいね。」
お母さんは短時間にモッケしゃん用のお昼ご飯と晩御飯を用意したのだ。
それをも貰ったモッケしゃんは凄く嬉しそうな表情を浮かべて
「おおきに。大事に食べさせて貰いますわ。
ワテ、色んな街や村に寄りますけんこの街の事宣伝してきますわ。
もちろん信頼出来る人物のみでっせ。
必ず、帰ってきます。その時は色んなお土産持って帰ってきますんで楽しみにしといてや。」
モッケしゃんはそう言ってお母さんから受け取ったお弁当を大事に抱える。
私とお兄ちゃんもモッケしゃんに言葉を送る。
「きよつけてね。いいことありましゅように。」
「気をつけてね。帰りまってます。」
私とお兄ちゃんの言葉にモッケしゃんの目に涙が光る。
そんなモッケしゃんにお父さんも言葉を送った。
「色々ありがとうございました。
次にモッケしゃんが帰ってきた時にはもっといい街にしてます。
モッケしゃんが宣伝してくれるのに見合う様にしておきますので気を付けて旅をして下さい。帰りを待ってます。」
お父さんの言葉にドラしゃんもムキじぃーちゃん達も頷く。
「皆さん...。おおきに。ワテ...もう"実家"ないんですわ。
でもここを実家と思って帰ってきますわ。かまへんやろか?」
モッケしゃんの言葉に私達は"もちろん"と答えて出かけるモッケしゃんを見送る。
「本当はあいつ、夜中に黙って出て行くつもりだったんだ。
だけと、そんな事したらリン達が泣くぞって言って留めたんだ。
お前達ならステータス見んでもワシら皆は"家族"に入ってるだろう?」
ムキじぃーちゃんのその言葉にお父さんとお母さんは頷く。
「あいつ、一つの所で親身になる人は作らんようにしてるんだよなぁー。仕事関係の人間以外だがな。何でかわかるか?」
ロドじぃーちゃんの言葉に私とお兄ちゃん、お父さん達は首を横に振る。
「あいつは一つの場所に留まるのは最大で2日だ。トラブルがあれば別だかなぁ。
行商人しているためだとあいつは言うが、実は寂しがり屋なんだよなぁー。
仲良くなりすぎると別れる時に辛いんだよ。離れている期間が長いため、次にあった時に忘れられていたり、最悪の場合は亡くなってたりする。だから仲良くなる人を仕事関係以外で作らんのだ。仕事関係だと割り切れるからな。」
ロドじぃーちゃんがそう言いながらモッケしゃんが去った後を見つめる。
「あいつ本当はある街の商家の息子なんだよね。
子供の頃に住んでた街を流行病が襲ってね、家族を亡くしてるんだよ。
運がいいのか悪いのか、街で生き残っていたのがあいつだけなんだ。
たまたまそこを通った行商人が拾ってね、そのままってやっだよ。」
ルミばぁーちゃんがそう話してくれた。
『行商人としての腕は確かです。顔も広いし、扱っている品も行商人の中では1番多く良い品ばかり扱っています。
何より人を見る目がいいんですよ。
それに情にあついですしね。命の危険と隣り合わせの行商人です。しかし、泣き言一つ言わずあそこまで成長してます。そんな彼に対してのご褒美の様なものだったんですよ。旦那様達との出会いが。』
ドラしゃんもモッケしゃんについて教えてくれた。
私達は再度モッケしゃんが去った後を見る。
そして再度願う。
また元気な顔を見せに来てねと。
といってもほとんど側近のお兄さんと大人達との話し合いだったんだけどね。
まず1つ目が私達家族と住む場所が国王の保護下に置かれるようになる。
それによって色んな事が免除されるらしい。
(どうやらややこし手続き等も免除されるとのこと。やったね。)
あと、王様によって私達の身分が保障される特典が付いてきた。
変な輩が私達家族に手出しが出来なくするための処置だそうで、それに関しての処理は全て側近のお兄さんとドラしゃん達でしてくれることに。
もし私達家族に手を出しをしたら王国の法律に基づいて処分されるとか。
2つ目が私達の街のギルドマスターにロドじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん、ドムじぃーちゃんがなる事が決まった。
副責任者にお父さんとお母さんがなる事に。
これにも裏があって、表向きはロトじぃーちゃん達がギルマスに復帰として活動すると言う事になっているが、お父さんとお母さんにギルマスの仕事を指導するのが本当の目的だという。
お父さん達がギルドマスターとして運営出来る様になったらロドじぃーちゃん達はギルド運営からはなれて隠居がするというのだが...いつになるやら。
3つ目が、私達家族に身分証になるギルドタグが支給されることに。
私達に支給されるギルドタグは、普通のギルドタグと違って王様の刻印のついた物になるとのこと。
何がどう違うのか確認するとギルドに納める税金が免除されるというのだ。
その代わりに王様から依頼されるモノは余程の事がない限り受けないといけないらしいんだが、ほぼ王様の相手をするのが仕事となるので私達としては問題ない。
このタグはムキじぃーちゃん、ロドじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん、ドムじぃーちゃん、モッケしゃんも持っていたのだから驚きだ。
(ドラしゃんとラミィお兄ちゃんは特別枠なのでタグはいらないとの事だった。俗に言う顔パスってやつだ。)
これで私達はこの世界の本当の住人として暮らすことができるようになる。
4つ目が、王国から若い兵士見習いを4~5人派遣するということ。
好きに使っていいらしいのだが、ドラしゃんが王国の間者と疑う。
でもそうではないと側近のお兄さんが返事をする。
その人達は王国の兵士に入団したものの使い物にならないという。
使い物にならないならクビにすれば?とルミばぁーちゃんに言われたが、クビにするには勿体ない人材なんだそうだ。
そこで私達の街で引き取って欲しいというのだ。
5つ目が、週一回王様の相手をする事。
コレがほぼメインとなる内容らしい。
城には王様のこの性格を知っているのは、側近さんと義妹さんの2人だけだそうだ。
義妹さんは離宮で生活している為、中々会えないのでほぼ側近さんが相手しているのだとか。
そのため、かなり限界が来ていると側近のお兄さんが真剣な表情で切実に訴えてくる。
「もう、本当に限界なんです。私も休める時間が欲しいのです。週に一回でいいのでこの馬鹿をお願いしたいのです。」
お兄ちゃんは耳と尻尾をヘニョっとしおらせてお願いするので私が"いいよ!"とへんじをした。
「お兄しゃん!いいでしゅよ!」
私の返事に側近さんの耳と尻尾が嬉しそうに揺れる。
事前に側近さんから王様が行く日を連絡してくれるというので、お父さん達も承諾する。
その日は王様としてではなく友人として扱ってあげて欲しいとの事だったので、そっちの方が大変そう。
6つ目が、この街に剣術訓練場を建ててそこに王様の息子2人も通わせて欲しいとのこと。
王様には亡王妃様との間に2人の息子がいると側近のお兄さんが教えてくれた。
2年前に王妃様が亡くなってから2人の王子様は心を閉ざして手が付けられないというのだ。
しかも6歳と4歳で城には遊び相手がいない。
それを聞いてお父さんとお母さんは反対する所が、"直ぐにでも連れて来てくれて良い"と返事をした。
私とお兄ちゃんにもこの世界で歳の近い友達がいなかったからこの機会に是非との思いも含まれていたみたい。
これにはドラしゃんも反対しなかった。
しかし、私とお兄ちゃんに何かあれば即刻追い出すのが条件となった。
(過保護ですよ。)
7つ目が、この街で作られた物で価値がかなり高くなるモノが出来たら王国に報告して王様が買い取ることに。
異世界から来た人が作るモノは、時にとんでもない価値のするのができるというのだ。
トラブルになる前に王様の方てなんとかするので、この決まりごとができた。
それ以外の事は追々考えていくことに。
何か後半は王様達の尻拭いのような気もするとドラしゃん達が文句を言っていたが、かなりの高待遇なので目を瞑る事に。
色々あったがこれで私達のこの世界での生活基盤が固まってきた。
「ところでこの街はどの程度発展させるつもりですか?」
側近さんはロドじぃーちゃんに質問する。
ロドじぃーちゃんはドラしゃんの方を見て目で合図を出す。
ドラしゃんがそれに合図を出すとロドじぃーちゃんが頷いて側近さんに返事をする。
「一応だがある程度この一家が魔力のコントロールができる様になるまでは、必要以上に人は増やす気はない。増やしすぎるとこの家族の能力の事とかが他所に漏れる危険性が上がるからのう。
増やすとしても俺やドム達の息のかかった者や信頼のおける人間しか住まわす気はないのう。
後は冒険者や近隣村や街の住人の行き来をさせる事ぐらしいかのう。」
その言葉にルミばぁーちゃん達も頷く。
「その気でしたらこちらも必要以上の口は挟みません。そうでなくてもここは彼の方の加護が働いてますから問題はないでしょう。」
側近さんも内容には納得してくれた。
これで私達は今後安心して生活を送れるみたい。
(もう既に安心して生活してましたけどね。)
明日からさっそく剣術訓練場と見習い兵士を向かい入れる家を作る事にした。
材料は王様達が用意して送ってくることに。
他にも必要な物や人材が有れば手配してくれると申し出てくれた。
しかし、それに関してはドラしゃん達でもどうにかなるので丁重に断った。
どうしても困ったらって事に落ち着いた。
話し合いの殆どが側近のお兄さんとドラしゃん達で決めたのだが...あれ?王様は?...というとなんと泣き疲れて寝てしまっていた。
...。王様抜きで決めても大丈夫なのか?と思ったが、"大丈夫"と皆がいうのでいいのだろう。
今回決まった事は後日正式な書面にして持ってきてくれると側近のお兄さんがドラしゃんに伝える。
話も終わり王様も完全に寝てしまったので、王様と側近さんは一度お城に戻る事になった。
今回決まった事も早めに書類にしたいと側近さんがいうので。
側近さんは寝入った王様を小脇に抱えて立ち上がると私とお兄ちゃんは、側近さんの側に行き
「あのね、ありがとうでしゅ。」
「ありがとうございました。」
笑顔で側近さんにお礼を言うと側近さんの尻尾が嬉しそうに揺れる。
「あのね、セバしゃんってよんでもいいでしゅか?」
私が側近さんに質問すると一瞬驚いた顔をしたものの"いいですよ"と返事が返ってきた。
私とお兄ちゃんは嬉しくなりまたお礼をいう。
するとセバしゃんは少し屈んで私達にある事を話してきた。
「私だけだとこのバカが拗ねるので、このバカにも何か呼び名を決めてあげて貰えますか?」
セバしゃんのお願いに私とお兄ちゃんは顔を見合わせ、ニコッと笑ってセバしゃんに返事をする。
「「ユウトおじしゃんでもいいですか?」」
私とお兄ちゃんの言葉にセバしゃんが、"ありがとうございます"とお礼を言う。
「良かったら次このバカに会った時にそう呼んでやってください。
それでは皆さんお騒がせ致しまた。
また後日に日を改めて来ます。」
と言うとセバしゃんの足元に魔法陣が出てだと思ったら一瞬にして消えたのだ。
私とお兄ちゃんは驚いてその場で固まってしまった。
すると、ドラしゃんが私とお兄ちゃんの元へ来て抱き抱えてくれて
『あれは、帰還の魔法陣です。あれは国王と王国の関係者のみが使えます。』
ドラしゃんは私達にそっと教えてくれた。
セバしゃん達が帰った後私達はもう一度話し合いをすることに。
『旦那様、奥様、バタバタしましたがアレがこの国の国王とその側近です。
お見苦しかったと思いますが、今後もあんな感じだと思いますので諦めて頂けたらと思います。
アレもここに来る時は王様として扱われるより普通に接する方が喜ぶと思いますので気にせずにぞんざいに扱ってください。』
ドラしゃんは私とお兄ちゃんをリビングの椅子に連れ戻しながらお父さん達に伝える。
があまりの内容にお父さんとお母さんが困惑していると
「確かに王様として対応する時はしゃんとしてるからその時はその対応してやればいい。
それ以外は私達と接する様にしてやってくれ。」
ムキじぃーちゃんがドラしゃんの話の内容に付け足すように伝えてきた。
王様のイメージが大きく崩れたが、接しやすい人だと言う事が分かったので皆の言うように対応できるのうに心がけることに。
「明日もまた二手に分かれて行動だね。ムキファーとロドムカにドム。そして、坊主。
アキラお前さんも一緒に剣術訓練場の建設に着いていきな。
アンタが使うんだ。どんな風にしたいかしっかり意見言うんだよ。」
ルミばぁーちゃんはお兄ちゃんに向かって話をすると、その言葉を聞いてお兄ちゃんは嬉しそうに頷く。
「ユウダイとユイカ。私とラミィーとで兵士見習いの家を建てるよ。
お前も来るんだよ!フレア。リンお前さんもね。でないと、そこのドラゴンはてこでも動かないからね。」
ルミばぁーちゃんはそう言いながらドラしゃんの方を向いて話をする。
私がドラしゃんを見ると少し不機嫌?そうだったので私はドラしゃんを見ながら、
「あした、がんばりょうね。」
と笑顔で言うとドラしゃんは"勿論です"と笑顔で答えてくれた。
それを見て周りの人達は大きな溜息を吐いたのは言うまでもない。
バタバタがあった1日が無事に終わた翌朝。
なぜか朝からお兄ちゃんは張り切っていた。
いつもより早く起きてお父さん達を起こしに行ったぐらい。
その日の朝ごはんはお母さん手作りのパンと目玉焼きにコーンスープとフルーツサラダ。
私達は朝ごはんを食べ終えたが、ムキじぃーちゃん達がまだだったため、家の裏の家庭菜園に足を運ぶ事にしてみた。
家庭菜園に行くと野菜が青々と実ったままで特に変化もなかった。
ある一つのモノを除いては...。
私が植えた【大聖霊 ドライアド】の樹に実っていた実がいつの間にか3つになっていて、実の色が青と茶色と緑に。
ドラしゃんはそれを見て真剣に考え込む。
私は樹の側に行き幹を撫でる。
すると...3つの実がキラキラと輝く。まるで喜んでいるように。
そして、さきっより少し実が大きくなった気がする...。
私が首を傾げてドラしゃんに聞こうとしたら家の中から私達を呼ぶ声が。
どうやら朝食を食べ終えたムキじぃーちゃん達が来たようだ。
私はお母さんに呼ばれて樹の側から離れて行こうとした。
すると、何か実から声が聞こえた気がしたので足を止めて振り向こうとしたが、またお母さんに呼ばれたのでそのまま歩いて行った。
お母さんの元に行き後ろを振り向くと、特に変わった様子はない。が、なぜが気になる。
私はお母さんに抱き抱えられ、皆と一緒に家の中へ。
そんな私達を見送る3つの影が実周りにある事に気づかずに...。
私達が家の中に戻ると皆が準備して待っていてくれた。
「おはよう。どこ行ってたんだ?」
ムキじぃーちゃんが朝の挨拶をして尋ねてきたのでお兄ちゃんが答える。
「みんながまだだったから、裏の野菜見に行って来たんだ。」
お兄ちゃんは元気よく伝えるとムキじぃーちゃんに飛びついて行く。
ムキじぃーちゃんはそんなお兄ちゃんをヒョイっと抱き抱える。
「それはすまんの。で?どうだったんだ?」
ムキじぃーちゃんは今だに真剣な表情で悩んでいるドラしゃんに向かって声をかける。
『いや...。少し気になる事があったんだ。
裏に実った野菜達は青々として枯れてる気配がないし、特別に巨大化しているわけでもなかった。』
そう話すドラしゃんは煮え切らない表情を崩さない。
それに気付いたルミばぁーちゃんがドラしゃんに声をかける。
「まだ、何かあるのかい?
もしかして例の樹に何かあったのかい?」
その言葉にドラしゃんに視線が集中する。
ドラしゃんは静かに頷く。
それを見たムキじぃーちゃん達は"何があったんだ!"とドラしゃんを問い詰める。
ドラしゃんはどう説明しようか悩んでいたので私が代わりに答えた。
「あのね?みがね、3つなってたの。あおとつちみちゃいなのと、みりょりなの。」
私覚えて凄いでしょう?っと胸を張って皆に伝えると、話を聞いていたルミばぁーちゃん達の顔色が変わる。
私は褒め言葉が貰えると思って待っていたのに、誰も何も言ってくれないので首を傾げるとドラしゃんが口を開く。
『お嬢様の言う通りなんです。あの樹が本当に【大聖霊 ドライアド】の樹であれば実は1つのはず...。
それが3つ。しかも、青、茶色、緑だ。
【大聖霊 ドライアド】は樹の先の"蕾"の中に居るはずだ。あの蕾が花ひらいた時に姿を現すはず。
そしたら、...あの実は?...となるんです。』
ドラしゃんの言葉に私とお父さん達は、"蕾なんてあったっけ?"と悩んでいるとドラしゃんが教えてくれた。
『樹の先端に葉の様な塊がありましたでしょう?あれが、"蕾"です。』
その言葉を聞いて先程見てきた樹を頭に浮かべる。
あっ、確かにあった。
ああいう姿の樹がこの世界にはあるんだなぁーと思っていたから蕾とは思わなかった。
じゃー?あの実は何?
お父さん達も考え込み出したらムキじぃーちゃんの腕の中でいたお兄ちゃんが声を上げる。
「もう~!何もなかっんだよ?いいでしょう?早く建物を建てに行こうよ!」
お兄ちゃんはムキじぃーちゃんの胸元の服を引っ張りながら訴える。
その声に皆は、はっとなりひとまずあの樹については、置いといて今日の作業に取り掛かる事にした。
昨日話し合ったように今日も二手に分かれて行動開始。
お兄ちゃん、ムキじぃーちゃん、ドムじーちゃん、ロドじぃーちゃんチーム。
私、ルミばぁーちゃん、ラミィお兄ちゃん、お父さん、お母さん、ドラしゃんチーム。
???
モッケしゃんは?
と、皆んなが疑問に思いモッケしゃんを見るとモッケしゃんは平然と答える。
「ワテ、ちょっと今日から隣の村に行ってきますわ。ここの宣伝もかねて次の仕入れの話もしてきますわ。
ワテ動かんと他の村や街に迷惑かけますんでそろそろ皆さんと別行動させて頂きますわ。」
モッケしゃんは行商人なんで1箇所にはあまり留まる事はない。
長くても2日程しか留まる事をしないのだった。
それなのに私達の為に日程を大幅にずらしてくれていた。
「気にせんといて下さいよ。ワテが、好きでやってますねん。
ワテしかできん事をさせて頂きますよって心配せんといてなぁ~。」
今日からモッケしゃんは皆と別行動となるのは私達家族以外は皆知っていた。
モッケしゃんの話を聞いてお母さんは、急いでキッチンに向かい何かを取ってきた。
とってきたものをモッケしゃんに渡す。
「急いで用意したから大したものは入ってないの。ごめんなさいね。
良かったらお昼と夜にでも食べて下さい。そして必ず帰ってきて下さいね。」
お母さんは短時間にモッケしゃん用のお昼ご飯と晩御飯を用意したのだ。
それをも貰ったモッケしゃんは凄く嬉しそうな表情を浮かべて
「おおきに。大事に食べさせて貰いますわ。
ワテ、色んな街や村に寄りますけんこの街の事宣伝してきますわ。
もちろん信頼出来る人物のみでっせ。
必ず、帰ってきます。その時は色んなお土産持って帰ってきますんで楽しみにしといてや。」
モッケしゃんはそう言ってお母さんから受け取ったお弁当を大事に抱える。
私とお兄ちゃんもモッケしゃんに言葉を送る。
「きよつけてね。いいことありましゅように。」
「気をつけてね。帰りまってます。」
私とお兄ちゃんの言葉にモッケしゃんの目に涙が光る。
そんなモッケしゃんにお父さんも言葉を送った。
「色々ありがとうございました。
次にモッケしゃんが帰ってきた時にはもっといい街にしてます。
モッケしゃんが宣伝してくれるのに見合う様にしておきますので気を付けて旅をして下さい。帰りを待ってます。」
お父さんの言葉にドラしゃんもムキじぃーちゃん達も頷く。
「皆さん...。おおきに。ワテ...もう"実家"ないんですわ。
でもここを実家と思って帰ってきますわ。かまへんやろか?」
モッケしゃんの言葉に私達は"もちろん"と答えて出かけるモッケしゃんを見送る。
「本当はあいつ、夜中に黙って出て行くつもりだったんだ。
だけと、そんな事したらリン達が泣くぞって言って留めたんだ。
お前達ならステータス見んでもワシら皆は"家族"に入ってるだろう?」
ムキじぃーちゃんのその言葉にお父さんとお母さんは頷く。
「あいつ、一つの所で親身になる人は作らんようにしてるんだよなぁー。仕事関係の人間以外だがな。何でかわかるか?」
ロドじぃーちゃんの言葉に私とお兄ちゃん、お父さん達は首を横に振る。
「あいつは一つの場所に留まるのは最大で2日だ。トラブルがあれば別だかなぁ。
行商人しているためだとあいつは言うが、実は寂しがり屋なんだよなぁー。
仲良くなりすぎると別れる時に辛いんだよ。離れている期間が長いため、次にあった時に忘れられていたり、最悪の場合は亡くなってたりする。だから仲良くなる人を仕事関係以外で作らんのだ。仕事関係だと割り切れるからな。」
ロドじぃーちゃんがそう言いながらモッケしゃんが去った後を見つめる。
「あいつ本当はある街の商家の息子なんだよね。
子供の頃に住んでた街を流行病が襲ってね、家族を亡くしてるんだよ。
運がいいのか悪いのか、街で生き残っていたのがあいつだけなんだ。
たまたまそこを通った行商人が拾ってね、そのままってやっだよ。」
ルミばぁーちゃんがそう話してくれた。
『行商人としての腕は確かです。顔も広いし、扱っている品も行商人の中では1番多く良い品ばかり扱っています。
何より人を見る目がいいんですよ。
それに情にあついですしね。命の危険と隣り合わせの行商人です。しかし、泣き言一つ言わずあそこまで成長してます。そんな彼に対してのご褒美の様なものだったんですよ。旦那様達との出会いが。』
ドラしゃんもモッケしゃんについて教えてくれた。
私達は再度モッケしゃんが去った後を見る。
そして再度願う。
また元気な顔を見せに来てねと。
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