異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第二章 歩み〜生活基盤を整えましょう〜

2-19 王宮でも大慌て!王様からの伝言

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 私達が家で遅めのお昼ご飯を食べている頃...この国の王様のいるお城では大慌てをしている人たちがいた。

それは...ドラしゃんからの伝言を受けてとった王様と側近頭のふたりだ。

いつもの様に城の執務室で政務を嫌々こなしていたらそれは急に現れた。
以前にもお城に訪れたこのとある伝言用のミニドラゴンが。

執務室の窓をしつこく叩くので王様とセバしゃんの二人同時に書類の山から顔を上げて音のする方向を見つめると...だ。

やもえずセバしゃんが執務室の窓を開けると伝言用のミニドラゴンは何食わぬ顔で入ってきたかと思ったら、王様の前にいきドラしゃんから預かってきた伝言を喋り出す。

その内容をきくなり...

「おい。これは嘘だよな?嘘だと言ってくれ!セバス!」

王様はドラしゃんからの伝言を読みなあげるミニドラゴンの言葉を聞きながら、側に控えている側近頭のセバスチャンことセバしゃんにしがみつく。

セバしゃんはしがみついてくる王様を蹴り飛ばし、急ぎ部下を呼ぶ。
呼ばれた部下は物音も立てずにセバしゃんの前に現れてかしずく。
そんな部下にドラしゃんは淡々と

「近衛隊頭と副頭。それに...親衛隊隊長と副隊長に、暗部隊隊長と副隊長を。あと、元近衛頭と副頭も至急ここへ呼ぶ様に。」

口早く伝えると、伝言を受けた部下は瞬時に姿を消す。

部下が姿を消して数分も立たないうちに数人の武装した兵が続々と執務室に集まってくる。

「お呼びに。」

集まった兵の中でも1番年季の入った老兵が執務室の扉の前で声をかける。
彼は元近衛頭にて今も現役で若手の育成に勤しんでいる猛者であるラディミール・カルトその人だ。

彼の声を聞くなり部屋に入る様にセバしゃんが返事をすると、扉の前に待機していた兵達がいっせいに執務室へ。
そしてその場に全員が膝を着く。

セバしゃんに蹴られた王様はいつの間にか復活していつもの椅子に座っていた。
そして集まってきた面々に話しかける。

「すまんな。忙しい中呼び出して。」

王様がそう言うと皆んな益々気を引き締める。

「いいえ。王様のお呼びであれば我らは何時でも馳せ参じますゆえ。」

ラディミール・カルトは深々と頭を下げて返事を返す。

「皆さん、表をあげて下さい。今から王が話す事は他言無用です。よろしいですね。」

セバしゃんが声をかけると全員が顔を上げる。
そこには錚々たる顔ぶれが...。
元近衛隊隊長のラディミール・カルトを筆頭に元近衛隊副隊長のカシム・ギルデルト。
親衛隊隊長のフリック・カルト。
親衛隊副隊長のカルトレ・ギルデルト。
近衛隊隊長のキセファム・カルト。
近衛隊副隊長のティリム・ギルデルト。
暗部隊隊長のラディ・カルト。
暗部隊副隊長のハイムセ・ギルデルトの姿が。

因みに、気付いている人もいるだろうけど、カルト家一家とギルデルト一家の身内構成となっている。

別にこの一家でないと駄目というわけではない。
抜きんでてこの一家が凄すぎるだけなのだ。

ラディミールはフリックの父親でキセファムとラディの祖父にあたる。
そして、獅子族の獣人だ。

カシムはカルトレの父親でティリムとハイセムの祖父にあたり、彼らは熊族の獣人だ。

(この2つの家系の戦闘能力が高すぎるため、他の人達では太刀打ち出来ないのよね。だから、代々この2つの家系が近衛隊隊長や副隊長なんかをしているんだって。
 確か互角に闘えたのはムキじぃーちゃんと王様だけだって聞いたっけ?)

なんと、王様の部屋には獅子の獣人と熊の獣人が勢揃い。
一見むさ苦しそうだが、耳や尻尾が生えており毛むくじゃらのフサフサ。
私とお兄ちゃんがその場に居たら大喜びで飛びつきそうな光景だ。

王様はその場に集まった面々の顔を見て話を進める。

「先程、セバスが言った通り今から話す内容は他言無用だ。もし漏れたら打首どころではすまないからな。
まぁー、この面子なら心配はいらんようだから話すぞ。」

王様は皆の視線を受けながら一呼吸おいてから続きを話していく。

「以前にも話だと思うが...俺と同じように異世界から神によってこの世界に呼ばれた一家が居るのは覚えているか?」

王様の言葉にその場にいる人達はいっせいに頷く。

「その一家には子供が2人いてな、長男のアキラ、長女のリンというのだが...。ちとそのふたりの能力に訳ありでな...。特に妹のリンの方がな...。」

王様は苦虫を噛み潰した様な顔をしつつ一度話を区切る。
皆は王様の次の言葉をただ静かに待つ。
すると王様は表情とは裏腹に口元をニヤっと緩めたかと思ったら

「リンと言う娘だが、まだ歳は3歳の幼児でめちゃくちゃ可愛いのだ。しかも魔力は俺以上ときた。」

その言葉にその場に居た兵士達に響めきが起きる。
王様は特に気にも留めずに話を続けていく。

「しかし本人は魔力が桁外れって事に全く気付いていない。もちろん、兄のアキラの方もだ。何よりこの世界の誰よりも純粋で穢れのない魂と魔力の持ち主であり、なにより...その子の側には例のドラゴンが居る。」

その言葉を聞くと今まで黙って聴いていた兵の1人から声が上がる。

「陛下。失礼を。なぜ奴が?」

その声の主はキセファムだ。
その問いかけに祖父のラディミールが叱責をしようとしたら王様が止め、キセファムに返事を返す。

「なぜ奴が?それは俺も思った。しかし会えばそれは必然とわかるぞ。
 これはあくまでも俺の予想だ。あの娘は"愛されし者"だ。力ある者は逆らう事ができないし、しようとも思わない。
そしてあの子はそれを悪用しようとも思ってないし今後もせんだろうな。」

その言葉を聞いてその場にいる人達全員がなお驚く。

「世がよならあの子は"聖女"として祭り上げられる存在になっただろうな。けどあの子もあの一家もそれは望みはしないさ。
側から見たら世間知らずのお気楽一家に見えるだろうが、彼らは彼らなりに考えて生活している。
しかも自分達の能力を悪用しようなんかこれっぽっちも思っていない。
 だから俺もセバスもあの一家を保護下に置く事にした。
あの一家の事を知った心ない奴や野心家どもが彼らを悪用しない様にな。
まぁ~、あのドラゴンが居るから心配はいらんだろうがな。ここまでは一応理解してくれ。」

王様の言葉に驚きすぎたのか、誰からも苦情はでなかった。
苦情がない事を確認し次の話をしだす王様。

「あと、先程新しい情報が来た。聞いて驚けよ。いや驚くなよだな。
 なんと、消えたはずの【大聖霊】がしかも3体復活したとの連絡が来た。
そして末娘を主人と認め契約を交わしたそうだ。まぁー本人は自覚なしだそうだ。」

ただでさえ有能な彼らでも、これまでの話ですら処理しきれてないのに、次から次へと異次元の様な話が舞い込んでくるため皆の顔は凄いことになっていく。

普段の彼らを知っている人が見たら固まってしまうだろう光景がひろがっていた。

王様とセバしゃんは彼らの気持ちが痛いほど分かる。

「セバス。どうするよ?」

王様は隣に居るセバしゃんに小声で話しかる。
セバしゃんは視線を彼らから外さず王様へ返事を返す。

「どうもこうもありませんよ。とりあえず話を進めましょう。時期に戻るでしょう。」

セバしゃんの言葉に従い驚きから戻らない彼らにさらに話を続けることに。

「それで、明日うちの兵士見習いを数名派遣する事になっていたがこの内容だ。彼らだけでは荷が重すぎる。
そこで、お前達の中で他に適任者がいないか聞きたくて呼んだんだ。...大丈夫か?」

王様の話を聞きたいが話が追いつかず...でも....。といったカオスな状況のようだ。

しかし、さすがと言ってもいいだろう。
歴戦の猛者であるラディミールが1番早く復活して王様の言葉に返事を返す。

「しっ、失礼をしました。陛下...追加で兵をと言われますがどのような条件の者がよろしいのでしょうか?」

ラディミールはなんとか平静を取り戻し王様に質問したが、そんな彼に王様は次の言葉を遠慮なく返す。

「そうだな。口が硬く、冷静な判断が取れる奴。そして、戦闘能力もそれなりにある方がいいだろう。あと、あのドラゴンや元ギルマス連中と過ごせる奴だな。」

もうはや無理難題の内容だった。
そんな奴が居るなら既に行ってますっと言いたい感じだが...彼はそんな事を一切表に出さず王様の言葉に意を決して返事を返した。

「...陛下、でしたら私が行こうかと思います。」

その言葉にはさすがの王様とセバしゃんは驚く。
まさか、ラディミール自身からその言葉が発せられるとは思っていなかったから。

でもそれはまだ、パニックになっている面々も同じだったようだ。

「王様の話を疑う訳ではございませんが、実際に自分の目で確かめたいと思います。
 それにあの場に例のドラゴンや元ギルマス共が居るなら尚更です。
下手なものが行くより私の方が適任かと。
元々、引退した身です。少々私がいなくとも兵士への訓練や業務には支障はきたしません。わやな鍛え方はしとらんので。」

ラディミールの言葉を聞きパニックになって居た面々は落ち着きを取り戻し、ラディミールの言葉に追加の申し出を出す者が。

「でしたら陛下、私もお供致します。私も引退している身ですので多少席を外しても問題はないかと。それに、彼らの対応には多少の自信があります。」

そう...もう一人の申出者はそれはカシムだ。
カシムの言葉にラディミールも"やはりな"っと言う顔付きに自然となる。

すると...彼らの後ろから2人の意見に異議を申し立てる声が上がる。

「ちょっと!それは狡いですよ!
それならジジイより若いのが行くのがいいと思います。ですので俺とハイセムが行きます。」

その声の主は暗部隊隊長のラディ。
その言葉に巻き添いをくらったハイセムは異議を申し立てる。

「バカか!王様の御前だぞ。口を慎め。それに、現役の俺たちが持ち場を離れてどうする。あっ!わたかった。お前はサボる気だな!」

ハイセムよ言葉が図星だったのかラディは僅かに視線を逸らす。
2人の言葉をかわきりにほかの面々も次々と声をあげていく。

「でしたら、私たちも行きたいです。
私達がいなくても優秀な部下がいますので大丈夫です。」

と近衛隊隊長のキセファムが。

「なら、私もお供します。」

今度は近衛隊副隊長のティリムが。

「なんじゃと!若人は現場でキリキリ働いとけ。代わりにわしらが行くとするか。カルトレよ。」

若者達の声を押しのけて親衛隊隊長のフリックが名乗りをあげる。

「そうですな。若人は現在でしっかりと働かないとね。」

親衛隊副隊長のカルトレも便乗して申し立てをする。

どうも皆さん..)私達の事が気になる様で実際に自分達の目で見たいのが本音のようす。

本音が強すぎて王様の御前であるにもかかわらず、誰一人引かずにしまいには親子喧嘩が勃発する。

その光景を王様とセバしゃんは呆れ顔で見守る。
彼らからしたらこの光景は案外見慣れたものだから。

口喧嘩ではおさまらず、とうとう殴りやいに発展しそうになったので、セバしゃんがようやく止めに入る。

「お前達!いい加減にせんか!ここを何処だと思っている!
親子喧嘩するなら職務終了後自宅でしろ!」

セバしゃんのその声に親子喧嘩していた面々は、ハッとし気まずい顔をして王様に頭を下げる。

「失礼をしました。」

ラディミールを先頭に全員で王様に謝罪をのべる。

とりあえず親子喧嘩を宥める事が出来たので話を戻す事に。

「追加派遣の兵の件だがどうもお前達皆が気になっているようだな。」

「それでしたら、全員で2日間だけ行ってきたらよろしいかと。
2日ぐらいでしたら各隊の隊長クラスが不在でもまうでしょう。そうですよね?」

王様とセバしゃんの言葉に全員が頷く。
それを見て王様とセバしゃんは溜息を吐きながら言葉を続ける。

「2日全員で行って現状を己が目で確かめて来い。そして、我こそが適任だと思った者が残ってこい。その方がお前達も納得するだろう。」

「しかし、その後は適任者以外は即座に帰還する様に。良いですね?もし、守らなければどうるかまでは...言わなくても良いですよね?」

王様とセバしゃんはその場に居る面々に告げつつもちゃんと釘も刺す。

王様とセバしゃんの言葉を聞いて全員が納得して了承する。
この時点で王様もセバしゃんも誰が残るかは予測ついていた。

「では明日早急に頼むぞ。解散だ。」

王様の言葉で全員で"はい"と返事をして、その場から速やかに退室する。
皆が退室した後、王様はセバしゃんに確認する。

「これって伝えておいた方がいいんだろうな?」

王様の言葉に無言で頷くセバしゃん。
王様は溜息をついてドラしゃんに返信の伝言を飛す。


お城でそんな事が起きているとは思いもせず、私達は遅めの昼食を済ませてのんびりすごしていた。

お母さんとルミばぁーちゃんで昼ごはんの片付けをしながらついでに夕食の準備をしていた。

お父さんとラミィお兄ちゃん、ドムじぃーちゃんとお兄ちゃんは家の裏の家庭菜園へ行き、実っている野菜を収穫を。

私とロドじぃーちゃん、ムキじぃーちゃんとドラしゃんは家に残って私の腕輪を確認していた。

なぜ、私の腕輪を確認しているかと言うと...なんと私以外の人が腕輪を外す事ができなくなっていたからだ。

変化する前までは、毎日ドラしゃんとお母さんが交代で腕輪をその日に合わせて交換してくれていた。

しかし...腕輪が【大聖霊】さん達に会って飾りが変化したからはそれが外せなく...というか、私の腕から離れようとすらしない。

私にはなんの害もないので、お母さんもお父さんも気にしなくなったが...ドラしゃんだけはそうもいかない。

ドラしゃんが私の腕から腕輪を外そうと奮闘していると、ドラしゃんの元へ王様からの伝言を預かった鳥が現れた。

ドラしゃんは伝言鳥に呪文を唱えると鳥さんの口から王様の声が聞こえてきたのだが...その内容はその場にいた人達の動きを止めるのに役立った。

「よっ!元気か?連絡ありがとうよ。
実は...言いにくいんだが...明日見習い兵を送るついでに追加で数名そちらに行く事になったんだが、行く連中はお前さん達も知る連中だ。
そのうちの2人だけが、見習い兵と共にそちらに残る事に決まった。
それ以外は2日したら帰るよう伝えてある。
あと...迷惑を...かけん自身は全くない!!!だから、先に謝るわ。すまん!!
 では、よろしく頼む。あと俺も近々行くから。」

その伝言を伝えると伝言鳥は姿を消した。

伝言の内容にドラしゃんの眉間に皺が深く刻まれ、他の人達は驚いて動きを止めていた。

そして、ドラしゃんが"クソみたいな伝言しかよこさんな。"と呟くと我に返ったロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃんが誰が来るのか話出す。

「おい、あの伝言...いったい誰が追加で来るんだ?」

「ワシは嫌な予感しかせんぞ。」

ロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃんは少し顔色が変になってくる。
私はじっと皆の顔を見つめていたらそれに気づいたドラしゃんが私の腕輪を握ったまま話しかけてきた。

『お嬢様。どうやらまた、賑やかになるようですよ。2日と言え一気に人が増えますから嫌になったらすぐに言ってください。私が全力で送り返しますから。』

ドラしゃんは満面の笑顔で私に話してくれるが、その内容は笑顔で語れるものではなかった。

もし...私がソレ言ったらどうなるのかは...なんとなく予想が付いたので、ただ笑顔でドラしゃんの顔を見つめ返す。

 そんなリビングとは裏腹にキッチンで夕飯の支度をしていた、お母さんとルミばぁーちゃんも王様からの伝言を冷静に聞いていた。

お母さんはルミばぁーちゃんに質問する。

「ルミばぁーちゃん、追加って何人ぐらいくるんでしょうか?」

お母さんの質問にルミばぁーちゃんは不思議そうな顔をしながら答える。

「なんだい?いったい??人数なんか気にして何があるんだい?
まぁー私の予想だと追加で来るのは...6人ぐらいだろうね。」

ルミばぁーちゃんの答えにお母さんは驚いた顔をした後、困った顔になっていった。
流石にルミばぁーちゃんも分からず手を止めてお母さんに尋ねた。

「あんた、いったいなんだい?」

ルミばぁーちゃんの言葉にお母さんは困り顔で返事をする。
しかしその内容はルミばぁーちゃんが思っていたのと違ったものだ。

「そんなに一気に来られたら困りますわ。来ても食器類が足りないし...。
 最近、ドラしゃんに頼んでルミばぁーちゃん達のを追加で作ってもらったばかりなのよ。
 あっ!そう言えばギルドの職員の方も人が増えるのよね?
 食材は...この不思議冷蔵庫とお父さんの菜園でどうにかなると思うわ。
でも、食器類と机と椅子が足りないの。どうしたらいいと思います?」

なんとお母さんは追加で来る人達の食事も自分達で用意する気だったのだ。
お母さんのその言葉を聴いてルミばぁーちゃんは一瞬目を丸くするもすぐ笑い出す。

「はっはは。ちょっと、あんた。
これはまいったねぇ~。そこまで世話する必要はないよ。いや~ぁ、さすがだわ。
 ギルド職員にしても追加の兵にしても用意した家に必要な物は全て揃えてある。それに、必要最小限の生活用品は自分達で持ってくるよ。
 こっちは足りないものを用意してやるだけで良いのさ。」

笑いながら話すルミばぁーちゃんに、お母さんは最初何を言われいるか分からず目をパチクリさせていたが、ゆっくり考えて行くとやっと分かりなんだが恥ずかしくなり顔を真っ赤にする。

自分達でも引っ越しする際は以前使ってた物なんかは、荷物にして新居に持っていっていた。
この世界の人達もそれは変わらなかったのだ。

「あんたは、本当に御人好しだね。良いよ。その性格私は好きだよ。
でもね、来るのは子供じゃないんだ。
ある程度歳のいった大人達だ。
なかったらないなりに自分達で工夫ぐらいするだろうさ。」

ルミばぁーちゃんはけっして、お母さんを馬鹿にするような物言いはしなかった。
それどころか褒めた上に諭すように話聞かせる。

「気になるなら初日は、また外で食卓を囲めばいいさぁーね。
私達にしてくれたようにバーベキュー?って奴をしたらいいよ。」

ルミばぁーちゃんの言葉にお母さんは照れながらも頷く。

「ですよね。私たら恥ずかしいわ。
そうね、そうしましょう。皆で、また外で食べましょうか。」

お母さんはまだ赤い顔のまま返事をする。

そんなお母さん達のやりとりを聞いていて私はドラしゃんにお願いをする。

「ドラしゃん、パーパのとこいこう?」

私はの声にドラしゃんと顔色が悪くなっていた、ムキじぃーちゃん達が反応をする。

私はドラしゃんの服を引っ張って、外に行こうと必至に誘う。
あまりに私が必死なので、3人は顔を見合わせて私の望むようにする事にした。

キッチンで居るお母さん達にドラしゃんが声をかけ、私を抱っこしてお父さん達がいる家庭菜園へと向かう。


 私はドラしゃんに抱っこされてお父さん達がいる家庭菜園へ行くと植っていた野菜が殆ど収穫されていたところだった。

私達の姿を見たお父さん達は驚きながらも笑顔で迎えてくれた。

「どうしたんですか?こちらはあら方収穫終わりました。
今、仕分けして運ぶ準備をしてたところです。何かありましたか?」

 お父さんは私を抱き抱えているドラしゃんに声をかける。
そんなお父さんにドラしゃんは、"私が行きたがっていた"と伝えてくれた。

 私はお父さんと会話しているドラしゃんに降ろすようお願いする。
私のお願いにドラしゃんは戸惑いながらも私を降ろしてくれた。

ドラしゃんに降ろしてもらうと私は一目散に収穫後の菜園に向かう。
私は菜園に着くと腕輪に話しかけてみた。

「あのね。おねがいなの。たべもの、もっといるの。」

その言葉を聞いて周りにいたお父さん達は驚く。
私の言葉に反応てして腕輪が光る。
そして...

『早速お呼びかい?』

『何をしたらいいのかしら?』

『いいぞ!俺たちで出来る事なら』

ミニミニサイズのノーム、ドライアド、ウンディーナが私の前に姿を表す。

私は現れた3人に菜園を指差してもう一度お願いする。

「ここにね。たべもの。いっぱいなの。」

その言葉を聞きながら3人は土だけの菜園と、収穫された野菜類を交互に見比べる。
その後、周りにいる人達の姿も確認する。

するとドライアドが先に声をあげる。

『あそこにあるのと同じもので良いのかしら?それとも別のものがよろしくて?』

ドライアドの言葉に私は必死に返事をかえす。

「あのね。あちた。たくさんなの。」

上手く言えなくて泣きそうになっている私を見て、ドラしゃんは私のやろうとしてる事がわかり静かに私の元に近寄ってくる。

すると、そんなドラしゃんに3人は警戒を示すが、私が近寄ってくるドラしゃんに駆け寄って行ったので様子を伺うよな体勢をとる。

ドラしゃんは駆け寄ってきた私を抱き上げて、私の代わりに3人に伝えてくれた。

『明日、ここに大人数の大人が来ます。彼らは敵ではありません。
お嬢様達を手助けするために来ます。
 しかし、彼らの食糧の確保が間に合ってません。
まぁー、どうにかならない事もないのですがあるに越したことはないです。
その為、追加で食べ物を植えて実らす事は可能でしょうか...と、お嬢様は伝えたかったようです。』

最後には涙目になっている私の方を見ながら、ドラしゃんは話してくれた。
私はドラしゃんの言葉に頷いて必死にアピールする。

ドラしゃんと私のやり取りをみて3人は警戒を緩めてくれ

『そんな事は造作もないことです。』

『主人のお願いだ。叶えてあげるよ。』

『そんなことで可愛い顔を涙で濡らさなくていいぜ。』

3人はそれぞれ返事をして空の菜園の上を隅々まで交互に飛び回る。
すると...空の菜園に実っていた野菜類が次々とまた実りはじめた。

あまりの出来事に離れて見ていたお父さん達も菜園に駆け寄ってくる。
(その光景はジ○リ映画のワンシーンのようだったと、後にお父さんは興奮しながら語ってくれた。)

野菜類が実ると3人は私とドラしゃんの前に来てそれぞれ伝言を残してまた私の腕輪中に消えていく。

『同じ物を実らせたわ。でも今回のは少し違うわよ。だいたいひと月は枯れずに実り続ける様にしてるわよ。』

と、ドライアドが。

『土地も前のより凄くいいものにしてるよ。肥料もいい物を与えてくれたらいい事が起こるよ。』

と、ノームが。

『井戸の水に俺の加護を与えてるから今後も作物の育ちはいいぞ。
あと気が向いたら竈門を作ってくれた嬉しいぞ。またなぁ~。』

と、ウンディーナがウインクしながら話して姿を隠す。

色々と課題や新たな問題が発生して、大人達は頭を抱えていたが、とりあえずお母さんが悩んでいた食糧問題が解決して私はご満悦。












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