異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

文字の大きさ
42 / 219
第二章 歩み〜生活基盤を整えましょう〜

2-20 新しい建造物をつくる?!

しおりを挟む
 食糧問題が解決したのでお母さんに報告しに行こうと思ったら、お父さんがドラしゃんを捕まえて離さなかった。

突然、菜園に野菜類が大量に生えたうえにひと月は枯れない。
そんな事が起きればパニックになりすよ。
お父さんは何から聞けばいいのか分からず、口をパクパクさせながらドラしゃんにしがみ付いていた。

ムキじぃーちゃん達はもうハプニングに慣れてきたのか、先に収穫した物を家に運ぶ作業に取り掛かっていた。
いや、驚いていたが彼らは"現実逃避"という神スキルをみにつけていたのだ。

その中、お兄ちゃんはタワワに実った菜園の周りを飛び跳ねている。
ドラしゃんは自分にしがみついているお父さんに声をかける。

『旦那様。落ち着いてください。しばくは恩恵に甘んじましょう。
また、来月から菜園を頑張りましょう。
それまでに肥料やその他、今後に必要な物を作っておきましょう。』

ドラしゃんは精一杯お父さんを宥める。
今回の件に関してはお父さんは何も悪い事はしていないのに何故かかなり落ち込んでいた。

お父さんを宥めている間もムキじぃーちゃん達は収穫した野菜類を運んでいく。
すると、ムキじぃーちゃんが運んでいる野菜類から何か光るものが落ちるのを私は見逃さなかった。

私はドラしゃんに降ろしてもらう様にお願いすると、ドラしゃんは私をそっと降ろし、引き続きお父さんを宥める。

私はドラしゃんに降ろしてもらい光るものが落ちた場所に行く。
すると...また不思議な種が落ちていいるではないか。
私はそれを拾ってポケットの中にしまう。
なぜか、これはそうしないといけないと思ったからだ。

そんな私の元にお兄ちゃんが駆け寄ってきた。
お兄ちゃんは満面の笑顔で私に声をかける。

「リン。この世界って凄いね。ありがとうな。リンのおかげだよ。僕、強くなるよ。いっぱい食べて大きくなって、強くなる。
そして、リンの事をちゃんと守るから。」

そう話すお兄ちゃんはいつも以上に格好良く見えた。テレビのヒーローみたいに輝いて見えた。

私はそんなお兄ちゃんに満面の笑顔で微笑み返す。お兄ちゃんの気持ちが嬉しかったから。

そんな私達のやり取りを微笑ましそうに周りの大人達は密かに眺めていた。
凹んでいたお父さんも私達のやり取りを見て元気を取り戻す。

短時間で色々あったが野菜類の収穫は全部無事に終わり、全て家の中の倉庫に保管された。
菜園に再度実ったものは後日収穫することに。
私はまたドラしゃんに抱き抱えられて、お兄ちゃんは自分の足で家まで戻る。

家に戻ると玄関先でお母さんとルミばぁーちゃんが待っていた。
そして、お母さんは戻ってきたドラしゃんにあるお願いをする。

「ドラしゃん。お願いがあるんですが、籾殻を落とす機械と実を粉にする道具と竈門を作って欲しいのですが...可能ですか?」

お母さんの言葉はあまりに意外な物だったので、詳しく話を聞くと...本日収穫したモノが関わっていた。

本日収穫した野菜たちのなかには、"小麦"があったみたいで、小麦以外にも木の実がいくつかあったらしく出来るのであれば、自分達の手で"小麦粉"を作り出したいとお母さんは言う。

そして、作った小麦粉を使用してパン類も手作りしたいので焼き用の竈門が欲しいとのいうのだ。

我が家にある冷蔵庫はある程度望めば、望むものが出てくるがそれでは意味ないとずっとお母さんは思っていたみたい。

せっかく一から新しい人生を送るなら自分達もだが、子供である私達にも今までした事ない経験をさせたいと言う。
そのため、苦労してでもいいので一からパンを材料から作って食べたいとお母さんは真剣な表情で訴える。

その話を側で聞いていたドムじぃーちゃんがお母さんの意見に賛同する。

「良いじゃねえか。いろんな事を経験するのは悪くない!
それに、物のありがたみも勉強できる。よし俺が作ってやるよ。
どんなモノが欲しいのかまた絵にしてくれたら作ってやるよ!」

ドムじぃーちゃんの言葉にお母さんは大喜び。
時間も十分にあるので今からお母さんのリクエストを叶えることにした。

麦を加工、選別する道具一式と竈門を造る事にした。
しかも竈門は石窯を2種類もつくるらしい。

お母さんが食品用と食器用に分けて欲しいとお願いしたからだ。
どうやらお母さんは食器も手作りする気みたい。

竈門をつくる場所は私達の家の右斜め前に設置する事にきまった。

土地の整地はドラしゃんとラミィお兄ちゃんが対応してくれて、火が燃えうつらないように綺麗にしてくれた。
ドラしゃんが自分の巣から持ってきた耐熱性に優れた石を取り出す。

それを見てお父さんとお母さんはずっと疑問に思っていた事をドラしゃんに質問してみた。

「あのう...一つ気になるんですが、そのアイテム達はどこに収納してどこから出してるんですか?」

皆は当たり前の様に出し入れしているが、お父さんとお母さんには不思議でしかない行為の一つ。

その質問でドラしゃんは自分が肝心な事を説明していなかった事に気づいて

『そう言えば説明忘れていました。
私は"空間魔法"が使えますので亜空間に収納してますが、ムキファーとかは"魔法収納鞄"を持っていますのでそこから出し入れしております。旦那様方のもご用意しております。』

ドラしゃんはそう説明するとお父さんとお母さんにポシェット風の鞄を渡す。
渡しながら"魔法収納鞄"について説明する。

『通常"魔法収納鞄"には収納容量が決められています。収納できる容量によって、鞄の性能や金額が大きく変わります。それについては追々実物をみてもらいながら教えていきますね。とりあえず今お渡ししたものは、収納量は無限にしております。
お好きなだけ入れて下さい。鞄の中で自動で整理整頓されますし、時間停止機能や保温・保冷機能も搭載してますのでご心配はございません。
 出すと時は出したい物をイメージして頂けたら出せるようになっております。』

そう説明を受けてドラしゃんから貰った鞄を見つめるお父さんとお母さんの目は点になっている。

見た目は...普通の革のポシェットなのに?これが?
不思議そうに鞄をお父さん達が見つめているとムキじぃーちゃんとルミばぁーちゃんがそれぞれの腰元に鞄を付けたのだった。

「よし。よく似合うじゃないか。
これでいちいち収穫した野菜を手で持ち運ばなくてすむぞ。」

「良いじゃないかい?これでだいぶ便利だよ。良かったじゃないか。普通だったら手に入らない品だね。。鞄自体は勿論手に入る。でも、これらの高機能搭載の鞄は手に入らないね。本当に過保護なんだから。
これだと、作った料理とかをしまう事も可能だね。鞄に収納すれば作った時の状態のまま保存されるからよかったじゃないかい。」

ムキじぃーちゃんとルミばぁーちゃんは明るく話すが、内容的に素直に受け取っていいものか悩む品だ。

お父さんとお母さんは焦りながらふたりに本当に貰っていいのか確認し合う。
両親がそんなやり取りをしている間もドムじぃーちゃんはせっせと作業をしていた。

石窯を造りながらお母さんのリクエストの籾落としや石臼等も同時進行で作成していたのだ。

その側で私とお兄ちゃんはドラしゃんお手製のふわふわ椅子に座って見学する。
(もちろん椅子の形はドラゴンよ。)

ドムじぃーちゃんの魔法は凄い。普通の地面が盛り上がったと思ったら大きな四角の箱のような形に瞬時に形成されていく。

無数に形成された四角の箱のようなものは、次々と重なっていき一つの大きな形を形成していく。
気付いたら煙突付きの石窯となるものが姿を見せる。

一つは口が浅く広めの石窯に。
その横に縦に長く奥深い石窯に形が形成されていく。
その横で籾落としと石臼や石の器等が姿を現していく。

私のお兄ちゃんは興奮して両手を叩いてドムじぃーちゃんに"すごい!!"と声をかける。
すると私の腕輪に嵌められている宝珠が淡い光を放つ。
宝珠が淡い光を放ったと思ったらドムじぃーちゃんの魔法に上乗せ効果が付与された。

それには魔法を使っている本人は大慌て。
周りでいた人達も呆れ顔をする。
その顔はもう驚くにも疲れた感じにも見えた。

ドムじぃーちゃんは魔法を中断することを諦めて作業を続行する。
魔力に"余分な"付与が付いたので予定のより豪華で丈夫な石窯ができあがった。

もう言うまでもなく...この世界で唯一つの石窯となって。
しかし豪華にできあがったのは石窯だけでなかった。同時進行で作っていたもの達もだ。

これにはドムじぃーちゃんも何か複雑そうな表情を浮かべる。
職人としては自分の手で同じレベルのを作り上げたかった気持ち半分、力を借りて想定以上のものが造れて嬉しい気持ち半分といった感じなのだろう。

「しゅごいよね。ドムじぃーちゃん!」

「ドムじぃーちゃん!凄いです。
今度、僕にも教えて下さい」

私とお兄ちゃんは大喜びで椅子から降りてドムじぃーちゃんの元へ駆け寄り抱きつく。

『お嬢様。もしかして無自覚なんでしょうか?』

「そうだろうなぁー。」

「あのぐらいでしたら大丈夫でしょう。」

「どいつもこいつも子供には甘いね。」

「「???」」

ドラしゃん達はドムじぃーちゃんにじゃれつく私達を温かい目で眺めながら呟く。

そんなドラしゃん達の横でお父さんとお母さんはある計画を立てていたのはこの時誰も気づかなかった。









しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

処理中です...