45 / 219
第二章 歩み〜生活基盤を整えましょう〜
2-23 この街で住む覚悟とイベントに向けて
しおりを挟む
一通り街の中を見て周りギルドへ戻って行くと皆が集まっていた。
私達が近づくとあのライオンとクマの集団が走って来る。
口々にライオンのお爺ちゃんとクマのお爺ちゃんに声をかける。
「オヤジ!あり得んぞ!ここの建物は王宮をしのぐ造りだぞ!」
「部屋の作りも凄い!王宮の兵舎でもここまで凄くはないぞ!」
「ジジィ!狡いぞ!こんなんなら俺たちが残る!」
「環境もいいしあんな部屋で過ごせるなら俺も残る!」
「じぃーさんも隠居するにはまだ早いだろう?だから俺たちが残ってやるよ!」
「そうだ!王様も実力はあるしじぃーさんも2人が側に居れば問題ない!だから俺たちがここに残る!」
あまりの勢いに私とお兄ちゃんは驚き小さな目をパチクリさせる。
なんせ巨漢のクマとライオンが向かって来たのもあるし、勢いが凄いのなんの。
私なんか食べられると思ってしまい思わず怯えてしまったのは内緒ね。
すると私の腕輪が光。
私は光に包まれて宙に浮く。
お父さん達は慌てたがドラしゃんは慌てなかった。何故かって?
光の中から彼らの姿が見えたからだ。
『主人?大丈夫ですか?』
『誰だよ!主人を虐めるやつわ!』
『沈めてやる!』
『イヤ!燃やしてやるよ!』
光の中から姿を表したのはドライアド、ノーム、ウンディーナ、イフリート。
私があまりに怯えたので心配して出て来てくれたみたい。
さすがに【大聖霊】が出て来たので見慣れているドラしゃんやムキじぃーちゃん達以外の人は驚いていた。
なかには平伏す人も。
「おいおい!マジかよ!」
彼らの姿を見てライオンさんとクマさん集団は慌てている。
歴戦の騎士のライオンさんお爺ちゃんとクマさんお爺ちゃんも平静を装っているが内心はかなり焦っていた。
『で?どいつだ!俺たちの主人を虐める奴は!』
イフリートは怒りながら炎柱を立てだす。
彼らを制御できる立場にある私はと言うと...ドライアドの腕の中で震えていた。
流石にこのままではまずいと思いどうにかしようと思ったドラしゃんだったが先にお兄ちゃんが動いた。
「あの!リンを虐めた人はいません!」
お兄ちゃんがクマのお爺ちゃんの腕の中から叫ぶ。
「リンは驚いただけです。
ここには。リンを虐める人は居ません!ドラしゃんもいるのにそんな事をする人が居るわけないですよ!
それにねリンを虐める人がいたらまず僕が先にやっつけるので大丈夫です!」
お兄ちゃんは鼻息荒く宣言する。
それを聞いてクマのお爺ちゃんとライオンのお爺ちゃんは大笑いする。
ドラしゃんも一瞬目を見開きお兄ちゃんを見つめ苦笑いをする。
お兄ちゃんの言葉を聞いたドライアド達は震えている私を見つめ、お兄ちゃんが言ったことが本当かと確認してくるので、私は震えながらドライアド達に話をする。
「あのね、クマしゃんとリャイオンしゃん。わーときたの。たべりゃれるとおもっちゃの。」
その言葉を聞いて今度はドラアド達が驚き、ホッとする。
その反対に押し寄せて来たライオンさん達とクマさん達が罰の悪い顔をする。
「今回はお前達が悪い。ここに居るということはそれなりの覚悟がいるぞ。お前達ではまだまだ足りないな。」
「相手は普通の人ではない。それをまだお前達は分かってない。ここに居るのはお前達では無理だな。」
ライオンのお爺ちゃんとクマのお爺ちゃんはそう息子達に言い放つ。
状況を理解したドラアド達は私をドラしゃんの元へ運び引き渡す。
そして新しく来た人達を含めて皆に声をかける。
『我らは正直この世界がどうなろうと知った事ではない。以前の戦いにてこの世界の住人達の性根と言うものが十分知ることができたから。』
『自分達の欲望のためなら同族の命すら粗末にする。そんな奴らの為に力を貸すつもりはない。』
『あの時このまま消えてしまおうと思った。もう、この世界で守るものは何一つなくなったからな...。』
ドライアド、ノーム、ウンディーナはそういうと私とお兄ちゃんを見つめる。
そして、微笑んで言葉を続けた。
『そんな時ね。暖かい光が産まれたの。
この世界とは別の世界によ。
その光は今度はこの世界に来てくれた。』
『最初はそれでも諦めようと思った。
しかしその光とそれを守る家族は素晴らしいんだ。この世界の住人達が無くしたものを全て持っている。そして何より"慈しむ心"が強い。彼らは自分達だけでなく、血のつながりのない他者すら労り慈しむ心がある。』
『だから俺たちはまた目覚める事を決めた。そして、この世界のためでなく"その光とそれを守る人達のみ"に力を授け助けると。』
『そして、害する物を全て排除すると。
だから覚えておくといい。この街で住むなら歓迎する。主人と主人を守る者たちに害を及ぼさいなら我らは危害を加えない。
この街で住むならそれなりの覚悟を持て。
我らは常に見ているし感じている。それを忘れるな。』
それぞれ言いたいことを言うだけ言って、返事を聞かずに私の腕輪の中に消えて行った。
そして消える前にドラしゃんに伝言を託したようだ。
"お前が1番しっかりしろ"
彼らが消えるとお母さんとお父さんは私の元に駆け寄って来た。
私はお母さんの腕のへ。
そしてライオンさんとクマさん達を見つめる。
「オヤジ。俺たちの負けた。王国に帰って一から鍛え直してくる。」
「あー。そうだな。俺たちではまだまだここに住む事はできない。」
ライオンさんお爺ちゃんとクマさんお爺ちゃんの息子がそう言うと若いライオンさんとクマさん達も頷く。
そして、ドラしゃん達に何かを話してすぐに王国に帰って行った。
その頃ルミばぁーちゃんやムキじぃーちゃんといたギルド職員や見習い兵士達は感激の涙を流していた。
まさか【大聖霊】をみる事が出来るとは思わなかったからだ。
後から聞いた話だが彼らは信仰に熱く【大聖霊】がこの世界から姿を消しても信仰し続けていたそうだ。
そのためこの一件以降私は彼らに崇め奉られることに。
色々あったがこの街に残って生活するメンバーと割り振りが決まった。
《総合ギルド・新緑》
まず、コイム一家だ。
総合受付担当にはコイムが決まった。
商業ギルドの受付担当にはコイムの妻のラムに。
その補佐にキオとサオは受付職員見習いとなった。
そして祖父のムイは総合事務処理に決まった。
次にレイシ一家。
総合受付副担当にはレイシが決まった。
冒険者ギルドの受付担当にはレイシと妻のハリィーが受け持つことに。
その補佐にヤムとムタが受付職員見習いとなった。
ギルド若手男性職員で来たタカモとタセは、解体作業もできるとの事で解体受付と解体担当となった。
ギルド若手女性職員できたララとヤユは、素材買取受付担当に決まった。
合計13名の職員が増えた。
《エンジェル守護隊》
弓が得意なウサギと人間のハーフのラブム。
夜目がきき斥候と密偵が得意な猫と人間のハーフのシャム。
鼻が効き色んな匂いを嗅ぎ分ける事が得意な犬と人間のハーフのポム。
耳がよく気配を読むのが得意な犬と人間のハーフのガイ。
その隊長にライオンさんのお爺ちゃんのラディミール・カルトが。
副隊長にクマさんのお爺ちゃんのカシム・ギルデルトが決まった。
合計6人の街の護衛隊が形成された。
ラブムとシャムは女性でポムとガイは男性だった。
ちなみにこの隊の名前は街の人達で決めた。
私とお兄ちゃんがよく出入りしてそれを守る兵隊集団であるからだそうだ。
名前を聞くだけで恥ずかしいが、彼らがいいと言うのだからいいのだろう。
街に住むメンバーも決まり役割も振られて数日後には、活動を開始する段取りで動く事になった。
そうなるとやる事は一つとなった。
落ち着きを取り戻した私を確認してお母さんはドラしゃんに話しかける。
「ドラしゃん?こうなったらやる事は一つですよね?」
お母さんは私を抱き抱えてドラしゃんに詰め寄った。お母さんの目は輝いていた。
それを見てドラしゃんは嫌な予感しかなかった。
「皆んなでバーベキューよ!!」
その声でお父さんも乗り気になった。
これにはルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃん達も賛同した。
「取り敢えずお前達はさっき案内した家に持ってきた荷物類を運び込んで、片付けしておきな。
終わったらまたギルド前に集合だ。兵士のお前達もそうだよ!
今日はこの街に来た歓迎の食事会をするからね。」
ルミばぁーちゃんの言葉に皆は驚いていて遠慮したが、それを許さないのが年の功。
「この街で住む儀式だと思えばいいさ。気楽にすればいい。手ぶらで来いよ。」
ムキじぃーちゃんのその言葉で彼らは渋々納得して一度解散となった。
「私とお父さんとドラしゃんとムキじぃーちゃんとラミィお兄ちゃんで準備をしますのであとはお願いしても良いですか?」
お母さんはルミばぁーちゃんに声をかけた。
すると、ルミばぁーちゃんは笑顔で頷いてお母さんに返事をする。
「こっちは、私とロドムカとドムに任せときな。ギルドの戸締りもしないといけないしね。準備は頼んだよ。」
ルミばぁーちゃんの言葉にロドじぃーちゃんとドムじぃーちゃんも頷いた。
皆の歓迎会という名のバーベキューをする為にそれぞれ別れて行動開始。
新しい住人も増えたので盛大な歓迎会をする事に。
食材も沢山あるので心配はなかったし、場所は噴水近くでする事にした。
家に戻ったお母さんは食材を魔法収納鞄に入れて行った。
お父さんはドラしゃんとラミィお兄ちゃんに材料を出してもらい、人数分のテーブルと椅子を用意する。
私とお兄ちゃんはドラしゃんお手製の簡易ベッドで遅めのお昼寝をする。
昼ご飯も食べてないのでたくさん食べて貰おうとお母さんはいつも以上に張り切っていた。
椅子と机の用意ができお父さんは自分の魔法収納鞄にそれらをしまう。
そして、お母さんの元へ向かうとお母さんが何故か食器を持って固まっていた。
お父さんはそっとお母さんに声をかけた。
「どうしてんだい?」
お母さんは涙を浮かべていたのだ。
「私...。忘れていた...。食器を作るの忘れてたのよ!」
お母さんは食器を抱えて泣き出す。
お母さんの声を聞いて、ドラしゃんもラミィお兄ちゃんも慌てて来た。
昼寝についた私とお兄ちゃんも思わず起きてしまった。
眠たい目を擦りながらお兄ちゃんと手を繋いで、お母さん達の元へ歩いて行く。
すると、食器を持って泣くお母さんが居たので、私とお兄ちゃんはお母さんの側に行く。
「どうちたの?」
「ママ?大丈夫?」
私とお兄ちゃんの声でお母さんは泣きながらも、顔を上げてくれた。
「ごめんね。ねでだのに...。」
お母さんのお顔は悲惨な物だった。
私は、後ろにいるドラしゃんに視線を向けた。
すると、お母さんが泣く理由を教えてくれた。
『人数分の食器を用意するのを忘れていたと嘆いておいでです。
別に、無理に用意しなくても良いとは思うのですが...。
奥様はどうも御自分で色々用意がしたかったようです。』
ドラしゃんの言葉を聞いて私はお兄ちゃんにお願いしてお母さんから必要な食器を1枚ずつ用意してもらった。
皆は不思議そうに私とお兄ちゃんを見ていた。
食器が揃うと私は腕輪に声を掛けてみた。
「もちもち?よろちいでしゅか?」
私の呼び掛けに腕輪は反応して光る。そしてミニサイズの皆が出て来てくれた。
それを見た大人達。凄く嫌な予感がしたので私達を止めようとしたが無駄だ。
「コレおねがい。」
「こちらの食器が沢山必要なのですが作れますか?」
私が食器を指さしお兄ちゃんが説明を付け足し出てきた【大聖霊】達にお願いをする。
そうなのです。
私は腕輪のお友達に食器を作ってもらおうと思ったのだ。
もちろんそれに気付いたお母さん以外の大人達は頭を抱えて項垂れる。
こともあろう事が【大聖霊】に食器の作成を依頼するなんてって皆は心の中で泣いていた。
私とお兄ちゃんは笑顔で【大聖霊】にお願いしたら、皆は笑顔で承諾してくれた。
『お安い事ですよ。』
『材料ある?』
『欲がないなぁー。』
『俺たちの手にかかればすぐできるぞ。幾ついるんだ?』
私はドラしゃんの元へ行くとその意図が分かり、ドラしゃんは食器の材料を出してくれた。
そして私達の代わりに必要数を伝えてくれた。
『それぞれ40個程あれば問題ないでしょう。この様な事でお呼び出して申し訳ないです。』
ドラしゃんは大人達の代表で【大聖霊】達に頭を下げる。
しかし【大聖霊】は特に気にしてなかった。
『別にお前達に詫びを言われるいわれはないわ。』
『そうだぞ。僕たちは主人の願いを叶えるのが仕事だ。』
『お前達大人にとってそんな事と思うかもしれんが、主人にとって必要な事なんだ。』
『主人が喜んでくれるなら別に嫌ではないぞ』
彼らはそうドラしゃんに言うと出してくれた素材を次々と食器に変えていく。
『どうする?加護付ける?』
ノームのその一言にドラしゃんは焦って止めた。
『普通の食器でお願いします。普段使う物なので。』
その言葉にお父さん達も慌てて頷いた。
しかし、その意見は無視して私に再度尋ねてくる。
『主人?加護付ける?』
私は意味が分からなかったがドラしゃん達の顔をみると"ダメ"と言っていたので
「いりゃない」
と笑顔で答えると"分かった"と言って普通の食器を作り出してくれた。
それにはドラしゃん達もホッとする。
次々と山になっていく食器を見てお母さんの目から流れていた涙は止まった。
代わりに笑顔が浮かぶ。
ものの数分で平皿、スープ皿、サラダ用のお皿、小皿3種類、大皿、コップ、スプーンにフォークがそれぞれ40個ずつ作られた。
しかも、この街のシンボルマークのリンの似顔絵刻印付きだ。
彼らは食器を作り終えると腕輪に戻ろうとした。
そんな彼らにお母さんはお礼を言う。
「ありがとう。本当は私が用意しなくちゃいけないのに...。あのう何かお礼をさせて!」
お母さんの言葉に彼らは拒否を示したが、そんな事で怯むお母さんではない。
お母さんの気迫に負けて彼らは御礼を受け取る事にした。
『別に用意が出来るものがすればいい事。しかし、主人の母君が言うのであれば...。』
『主人に迷惑がかかるのは不本意だしね。』
『確かに。俺たちはまだ食べたりする事が出来ないからなぁー。』
『では、主人の身につける装飾品のバリエーションを増やしてくれるか?
今後も俺たちの仲間が集まるだろう。俺たちは、主人の装飾品にしか宿る事が出来ないからな。このままでは喧嘩になっちまう。』
今の私の装飾品は腕輪とヘアゴムのみだ。
装飾品を増やすのはお母さんにとってお手の物。そんな事で良いのかと尋ねたら彼ら全員が良いと言うので話は纏った。
『じゃー戻るね。』
そう言うと今度こそ彼らは腕輪の中に戻って行った。
彼らが去った後、お父さんは作り出された食器類を鞄にしまっていく。
ドラしゃん、ムキじぃーちゃん達は私とお兄ちゃんを取り囲んでお説教を開始する。
『良いですか?お嬢様。坊っちゃま。
あれぐらいの事でしたらムキファーや私でも対応ができます。』
「そうだぞ。ワシだって出来る。
あの程度で【大聖霊】を呼んでたらキリがないぞ。」
「良いですか?必ず私達に呼んでも良いか確認して下さい。」
皆に念を押されたが、いまいち理解ができなかったので、とりあえず笑顔で"はい"と返事をした。
ドラしゃん達は"コレは駄目です"と呆れていたが、それ以上特には追加で注意はされなかった。
そんななか元気を取り戻したお母さんは、夕飯の下準備を開始した。
バーベキュー以外にも手料理を食べてもらおうと思ったからだ。
夕飯の下準備に取り掛かったお母さんを見て、お父さんとラミィお兄ちゃんも手伝いに入る。
お母さんは手伝いに入ってくれたお父さんとラミィお兄ちゃんに話かける。
「リンの装飾品の事だけど何が良いと思います?まだ小さいので指輪とかは早いし。」
お母さんの問いかけに2人も一緒に考えてくれた。
彼らへの御礼に早めに装飾品の作成に取り掛かるつもりのお母さん。
すると、私とお兄ちゃんの相手をしていたドラしゃんがお母さんに声をかけた。
『彼らは、"宝珠"となって装飾品に付きますので、もう一つ同じ腕輪と首輪みたいなのがよろしいかと思います。
常に身につけていないといけないので、そこも考慮して頂けたらと思います。』
その言葉を聞いてお母さんはいいアイデアが浮かんだ。
そして、ラミィお兄ちゃんにお願いをする。
「良いのが思いついたから、今度一緒に作成お願いしても良いですか?」
お母さんの言葉にラミィお兄ちゃんは快く承諾した。悩み事が解決したのでお母さんは再度、気合いを入れ直して下準備に専念するのだった。
私達が近づくとあのライオンとクマの集団が走って来る。
口々にライオンのお爺ちゃんとクマのお爺ちゃんに声をかける。
「オヤジ!あり得んぞ!ここの建物は王宮をしのぐ造りだぞ!」
「部屋の作りも凄い!王宮の兵舎でもここまで凄くはないぞ!」
「ジジィ!狡いぞ!こんなんなら俺たちが残る!」
「環境もいいしあんな部屋で過ごせるなら俺も残る!」
「じぃーさんも隠居するにはまだ早いだろう?だから俺たちが残ってやるよ!」
「そうだ!王様も実力はあるしじぃーさんも2人が側に居れば問題ない!だから俺たちがここに残る!」
あまりの勢いに私とお兄ちゃんは驚き小さな目をパチクリさせる。
なんせ巨漢のクマとライオンが向かって来たのもあるし、勢いが凄いのなんの。
私なんか食べられると思ってしまい思わず怯えてしまったのは内緒ね。
すると私の腕輪が光。
私は光に包まれて宙に浮く。
お父さん達は慌てたがドラしゃんは慌てなかった。何故かって?
光の中から彼らの姿が見えたからだ。
『主人?大丈夫ですか?』
『誰だよ!主人を虐めるやつわ!』
『沈めてやる!』
『イヤ!燃やしてやるよ!』
光の中から姿を表したのはドライアド、ノーム、ウンディーナ、イフリート。
私があまりに怯えたので心配して出て来てくれたみたい。
さすがに【大聖霊】が出て来たので見慣れているドラしゃんやムキじぃーちゃん達以外の人は驚いていた。
なかには平伏す人も。
「おいおい!マジかよ!」
彼らの姿を見てライオンさんとクマさん集団は慌てている。
歴戦の騎士のライオンさんお爺ちゃんとクマさんお爺ちゃんも平静を装っているが内心はかなり焦っていた。
『で?どいつだ!俺たちの主人を虐める奴は!』
イフリートは怒りながら炎柱を立てだす。
彼らを制御できる立場にある私はと言うと...ドライアドの腕の中で震えていた。
流石にこのままではまずいと思いどうにかしようと思ったドラしゃんだったが先にお兄ちゃんが動いた。
「あの!リンを虐めた人はいません!」
お兄ちゃんがクマのお爺ちゃんの腕の中から叫ぶ。
「リンは驚いただけです。
ここには。リンを虐める人は居ません!ドラしゃんもいるのにそんな事をする人が居るわけないですよ!
それにねリンを虐める人がいたらまず僕が先にやっつけるので大丈夫です!」
お兄ちゃんは鼻息荒く宣言する。
それを聞いてクマのお爺ちゃんとライオンのお爺ちゃんは大笑いする。
ドラしゃんも一瞬目を見開きお兄ちゃんを見つめ苦笑いをする。
お兄ちゃんの言葉を聞いたドライアド達は震えている私を見つめ、お兄ちゃんが言ったことが本当かと確認してくるので、私は震えながらドライアド達に話をする。
「あのね、クマしゃんとリャイオンしゃん。わーときたの。たべりゃれるとおもっちゃの。」
その言葉を聞いて今度はドラアド達が驚き、ホッとする。
その反対に押し寄せて来たライオンさん達とクマさん達が罰の悪い顔をする。
「今回はお前達が悪い。ここに居るということはそれなりの覚悟がいるぞ。お前達ではまだまだ足りないな。」
「相手は普通の人ではない。それをまだお前達は分かってない。ここに居るのはお前達では無理だな。」
ライオンのお爺ちゃんとクマのお爺ちゃんはそう息子達に言い放つ。
状況を理解したドラアド達は私をドラしゃんの元へ運び引き渡す。
そして新しく来た人達を含めて皆に声をかける。
『我らは正直この世界がどうなろうと知った事ではない。以前の戦いにてこの世界の住人達の性根と言うものが十分知ることができたから。』
『自分達の欲望のためなら同族の命すら粗末にする。そんな奴らの為に力を貸すつもりはない。』
『あの時このまま消えてしまおうと思った。もう、この世界で守るものは何一つなくなったからな...。』
ドライアド、ノーム、ウンディーナはそういうと私とお兄ちゃんを見つめる。
そして、微笑んで言葉を続けた。
『そんな時ね。暖かい光が産まれたの。
この世界とは別の世界によ。
その光は今度はこの世界に来てくれた。』
『最初はそれでも諦めようと思った。
しかしその光とそれを守る家族は素晴らしいんだ。この世界の住人達が無くしたものを全て持っている。そして何より"慈しむ心"が強い。彼らは自分達だけでなく、血のつながりのない他者すら労り慈しむ心がある。』
『だから俺たちはまた目覚める事を決めた。そして、この世界のためでなく"その光とそれを守る人達のみ"に力を授け助けると。』
『そして、害する物を全て排除すると。
だから覚えておくといい。この街で住むなら歓迎する。主人と主人を守る者たちに害を及ぼさいなら我らは危害を加えない。
この街で住むならそれなりの覚悟を持て。
我らは常に見ているし感じている。それを忘れるな。』
それぞれ言いたいことを言うだけ言って、返事を聞かずに私の腕輪の中に消えて行った。
そして消える前にドラしゃんに伝言を託したようだ。
"お前が1番しっかりしろ"
彼らが消えるとお母さんとお父さんは私の元に駆け寄って来た。
私はお母さんの腕のへ。
そしてライオンさんとクマさん達を見つめる。
「オヤジ。俺たちの負けた。王国に帰って一から鍛え直してくる。」
「あー。そうだな。俺たちではまだまだここに住む事はできない。」
ライオンさんお爺ちゃんとクマさんお爺ちゃんの息子がそう言うと若いライオンさんとクマさん達も頷く。
そして、ドラしゃん達に何かを話してすぐに王国に帰って行った。
その頃ルミばぁーちゃんやムキじぃーちゃんといたギルド職員や見習い兵士達は感激の涙を流していた。
まさか【大聖霊】をみる事が出来るとは思わなかったからだ。
後から聞いた話だが彼らは信仰に熱く【大聖霊】がこの世界から姿を消しても信仰し続けていたそうだ。
そのためこの一件以降私は彼らに崇め奉られることに。
色々あったがこの街に残って生活するメンバーと割り振りが決まった。
《総合ギルド・新緑》
まず、コイム一家だ。
総合受付担当にはコイムが決まった。
商業ギルドの受付担当にはコイムの妻のラムに。
その補佐にキオとサオは受付職員見習いとなった。
そして祖父のムイは総合事務処理に決まった。
次にレイシ一家。
総合受付副担当にはレイシが決まった。
冒険者ギルドの受付担当にはレイシと妻のハリィーが受け持つことに。
その補佐にヤムとムタが受付職員見習いとなった。
ギルド若手男性職員で来たタカモとタセは、解体作業もできるとの事で解体受付と解体担当となった。
ギルド若手女性職員できたララとヤユは、素材買取受付担当に決まった。
合計13名の職員が増えた。
《エンジェル守護隊》
弓が得意なウサギと人間のハーフのラブム。
夜目がきき斥候と密偵が得意な猫と人間のハーフのシャム。
鼻が効き色んな匂いを嗅ぎ分ける事が得意な犬と人間のハーフのポム。
耳がよく気配を読むのが得意な犬と人間のハーフのガイ。
その隊長にライオンさんのお爺ちゃんのラディミール・カルトが。
副隊長にクマさんのお爺ちゃんのカシム・ギルデルトが決まった。
合計6人の街の護衛隊が形成された。
ラブムとシャムは女性でポムとガイは男性だった。
ちなみにこの隊の名前は街の人達で決めた。
私とお兄ちゃんがよく出入りしてそれを守る兵隊集団であるからだそうだ。
名前を聞くだけで恥ずかしいが、彼らがいいと言うのだからいいのだろう。
街に住むメンバーも決まり役割も振られて数日後には、活動を開始する段取りで動く事になった。
そうなるとやる事は一つとなった。
落ち着きを取り戻した私を確認してお母さんはドラしゃんに話しかける。
「ドラしゃん?こうなったらやる事は一つですよね?」
お母さんは私を抱き抱えてドラしゃんに詰め寄った。お母さんの目は輝いていた。
それを見てドラしゃんは嫌な予感しかなかった。
「皆んなでバーベキューよ!!」
その声でお父さんも乗り気になった。
これにはルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃん達も賛同した。
「取り敢えずお前達はさっき案内した家に持ってきた荷物類を運び込んで、片付けしておきな。
終わったらまたギルド前に集合だ。兵士のお前達もそうだよ!
今日はこの街に来た歓迎の食事会をするからね。」
ルミばぁーちゃんの言葉に皆は驚いていて遠慮したが、それを許さないのが年の功。
「この街で住む儀式だと思えばいいさ。気楽にすればいい。手ぶらで来いよ。」
ムキじぃーちゃんのその言葉で彼らは渋々納得して一度解散となった。
「私とお父さんとドラしゃんとムキじぃーちゃんとラミィお兄ちゃんで準備をしますのであとはお願いしても良いですか?」
お母さんはルミばぁーちゃんに声をかけた。
すると、ルミばぁーちゃんは笑顔で頷いてお母さんに返事をする。
「こっちは、私とロドムカとドムに任せときな。ギルドの戸締りもしないといけないしね。準備は頼んだよ。」
ルミばぁーちゃんの言葉にロドじぃーちゃんとドムじぃーちゃんも頷いた。
皆の歓迎会という名のバーベキューをする為にそれぞれ別れて行動開始。
新しい住人も増えたので盛大な歓迎会をする事に。
食材も沢山あるので心配はなかったし、場所は噴水近くでする事にした。
家に戻ったお母さんは食材を魔法収納鞄に入れて行った。
お父さんはドラしゃんとラミィお兄ちゃんに材料を出してもらい、人数分のテーブルと椅子を用意する。
私とお兄ちゃんはドラしゃんお手製の簡易ベッドで遅めのお昼寝をする。
昼ご飯も食べてないのでたくさん食べて貰おうとお母さんはいつも以上に張り切っていた。
椅子と机の用意ができお父さんは自分の魔法収納鞄にそれらをしまう。
そして、お母さんの元へ向かうとお母さんが何故か食器を持って固まっていた。
お父さんはそっとお母さんに声をかけた。
「どうしてんだい?」
お母さんは涙を浮かべていたのだ。
「私...。忘れていた...。食器を作るの忘れてたのよ!」
お母さんは食器を抱えて泣き出す。
お母さんの声を聞いて、ドラしゃんもラミィお兄ちゃんも慌てて来た。
昼寝についた私とお兄ちゃんも思わず起きてしまった。
眠たい目を擦りながらお兄ちゃんと手を繋いで、お母さん達の元へ歩いて行く。
すると、食器を持って泣くお母さんが居たので、私とお兄ちゃんはお母さんの側に行く。
「どうちたの?」
「ママ?大丈夫?」
私とお兄ちゃんの声でお母さんは泣きながらも、顔を上げてくれた。
「ごめんね。ねでだのに...。」
お母さんのお顔は悲惨な物だった。
私は、後ろにいるドラしゃんに視線を向けた。
すると、お母さんが泣く理由を教えてくれた。
『人数分の食器を用意するのを忘れていたと嘆いておいでです。
別に、無理に用意しなくても良いとは思うのですが...。
奥様はどうも御自分で色々用意がしたかったようです。』
ドラしゃんの言葉を聞いて私はお兄ちゃんにお願いしてお母さんから必要な食器を1枚ずつ用意してもらった。
皆は不思議そうに私とお兄ちゃんを見ていた。
食器が揃うと私は腕輪に声を掛けてみた。
「もちもち?よろちいでしゅか?」
私の呼び掛けに腕輪は反応して光る。そしてミニサイズの皆が出て来てくれた。
それを見た大人達。凄く嫌な予感がしたので私達を止めようとしたが無駄だ。
「コレおねがい。」
「こちらの食器が沢山必要なのですが作れますか?」
私が食器を指さしお兄ちゃんが説明を付け足し出てきた【大聖霊】達にお願いをする。
そうなのです。
私は腕輪のお友達に食器を作ってもらおうと思ったのだ。
もちろんそれに気付いたお母さん以外の大人達は頭を抱えて項垂れる。
こともあろう事が【大聖霊】に食器の作成を依頼するなんてって皆は心の中で泣いていた。
私とお兄ちゃんは笑顔で【大聖霊】にお願いしたら、皆は笑顔で承諾してくれた。
『お安い事ですよ。』
『材料ある?』
『欲がないなぁー。』
『俺たちの手にかかればすぐできるぞ。幾ついるんだ?』
私はドラしゃんの元へ行くとその意図が分かり、ドラしゃんは食器の材料を出してくれた。
そして私達の代わりに必要数を伝えてくれた。
『それぞれ40個程あれば問題ないでしょう。この様な事でお呼び出して申し訳ないです。』
ドラしゃんは大人達の代表で【大聖霊】達に頭を下げる。
しかし【大聖霊】は特に気にしてなかった。
『別にお前達に詫びを言われるいわれはないわ。』
『そうだぞ。僕たちは主人の願いを叶えるのが仕事だ。』
『お前達大人にとってそんな事と思うかもしれんが、主人にとって必要な事なんだ。』
『主人が喜んでくれるなら別に嫌ではないぞ』
彼らはそうドラしゃんに言うと出してくれた素材を次々と食器に変えていく。
『どうする?加護付ける?』
ノームのその一言にドラしゃんは焦って止めた。
『普通の食器でお願いします。普段使う物なので。』
その言葉にお父さん達も慌てて頷いた。
しかし、その意見は無視して私に再度尋ねてくる。
『主人?加護付ける?』
私は意味が分からなかったがドラしゃん達の顔をみると"ダメ"と言っていたので
「いりゃない」
と笑顔で答えると"分かった"と言って普通の食器を作り出してくれた。
それにはドラしゃん達もホッとする。
次々と山になっていく食器を見てお母さんの目から流れていた涙は止まった。
代わりに笑顔が浮かぶ。
ものの数分で平皿、スープ皿、サラダ用のお皿、小皿3種類、大皿、コップ、スプーンにフォークがそれぞれ40個ずつ作られた。
しかも、この街のシンボルマークのリンの似顔絵刻印付きだ。
彼らは食器を作り終えると腕輪に戻ろうとした。
そんな彼らにお母さんはお礼を言う。
「ありがとう。本当は私が用意しなくちゃいけないのに...。あのう何かお礼をさせて!」
お母さんの言葉に彼らは拒否を示したが、そんな事で怯むお母さんではない。
お母さんの気迫に負けて彼らは御礼を受け取る事にした。
『別に用意が出来るものがすればいい事。しかし、主人の母君が言うのであれば...。』
『主人に迷惑がかかるのは不本意だしね。』
『確かに。俺たちはまだ食べたりする事が出来ないからなぁー。』
『では、主人の身につける装飾品のバリエーションを増やしてくれるか?
今後も俺たちの仲間が集まるだろう。俺たちは、主人の装飾品にしか宿る事が出来ないからな。このままでは喧嘩になっちまう。』
今の私の装飾品は腕輪とヘアゴムのみだ。
装飾品を増やすのはお母さんにとってお手の物。そんな事で良いのかと尋ねたら彼ら全員が良いと言うので話は纏った。
『じゃー戻るね。』
そう言うと今度こそ彼らは腕輪の中に戻って行った。
彼らが去った後、お父さんは作り出された食器類を鞄にしまっていく。
ドラしゃん、ムキじぃーちゃん達は私とお兄ちゃんを取り囲んでお説教を開始する。
『良いですか?お嬢様。坊っちゃま。
あれぐらいの事でしたらムキファーや私でも対応ができます。』
「そうだぞ。ワシだって出来る。
あの程度で【大聖霊】を呼んでたらキリがないぞ。」
「良いですか?必ず私達に呼んでも良いか確認して下さい。」
皆に念を押されたが、いまいち理解ができなかったので、とりあえず笑顔で"はい"と返事をした。
ドラしゃん達は"コレは駄目です"と呆れていたが、それ以上特には追加で注意はされなかった。
そんななか元気を取り戻したお母さんは、夕飯の下準備を開始した。
バーベキュー以外にも手料理を食べてもらおうと思ったからだ。
夕飯の下準備に取り掛かったお母さんを見て、お父さんとラミィお兄ちゃんも手伝いに入る。
お母さんは手伝いに入ってくれたお父さんとラミィお兄ちゃんに話かける。
「リンの装飾品の事だけど何が良いと思います?まだ小さいので指輪とかは早いし。」
お母さんの問いかけに2人も一緒に考えてくれた。
彼らへの御礼に早めに装飾品の作成に取り掛かるつもりのお母さん。
すると、私とお兄ちゃんの相手をしていたドラしゃんがお母さんに声をかけた。
『彼らは、"宝珠"となって装飾品に付きますので、もう一つ同じ腕輪と首輪みたいなのがよろしいかと思います。
常に身につけていないといけないので、そこも考慮して頂けたらと思います。』
その言葉を聞いてお母さんはいいアイデアが浮かんだ。
そして、ラミィお兄ちゃんにお願いをする。
「良いのが思いついたから、今度一緒に作成お願いしても良いですか?」
お母さんの言葉にラミィお兄ちゃんは快く承諾した。悩み事が解決したのでお母さんは再度、気合いを入れ直して下準備に専念するのだった。
30
あなたにおすすめの小説
若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました
mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる