異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜

4-7 季節もの バレンタインデー

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 今度の話は、2月14日。
この日は、お菓子メーカーがチョコレートを少しでも多くの人に食べてもらえるように...じゃなくって、好きな人や友達、などに手作りチョコやお菓子を感謝の気持ちや想いを込めてプレゼントをする日です^ ^

勿論ですが、この街にもバレンタインデーが初めて訪れるのです^ ^

さて、平和にバレンタインデーが過ぎるのかは、読んでのお楽しみという事で。
では、どうぞ^ ^


~初めてのバレンタインデー
  リンの手作りチョコは誰のもの?~

  節分も終わり、ふとお母さんが壁にかけてあるカレンダーを見るとある事に気づいたようでそわそわし出す。

それが、後にとんでもない事件を巻き起こす事はこの時、お母さんも思いもしなかったのだ。

ユイ:
あら?もうそろそろあの時期ね。
去年は、バタバタしてたから何も出来なかったから、今年はどうでしょう?

お母さんは、カレンダーを見ながら何かを呟いていた。
その様子をお父さんとドラしゃんは、不思議そうに眺めていた。

私とお兄ちゃんは、食後の歯磨きを終えて戻って来たところ。

お母さんはカレンダーから目を離し、私とお兄ちゃんを見つめると、私に手招きをした。

私がお母さんの元へ行くと、お母さんが私の前に屈んで話しかけて来た。

ユイ:
リン。もう少ししたら"バレンタインデー"なの。今年はどうする?

お母さんの言葉に、私は一瞬考えて返事をした。

リン:
頑張ってくつる!
皆にプレゼントする^ ^

私の言葉にお父さんとお兄ちゃんは理解したが、ドラしゃんは不思議そうに首を傾げていた。
そんなドラしゃんに、お父さんとお兄ちゃんが耳打ちした。

アキ:
あのね。
2月14日は、バレンタインデーって言って、女子が好きな男の子に手作りチョコをプレゼントしてくれんだよ^ ^

ユウ:
他の国では、男性側が好きな女性に花束なんかをプレゼントして、告白するって方法もあるんだ。
でも、私達の国ではって言うか...我が家では毎年、母さんが。
リンが産まれてからは、リンと2人で手作りチョコをくれてたんだ♪

お兄ちゃんとお父さんの言葉に、ドラしゃんは驚く。

ドラ:
皆さんの世界では、色んな習慣があるのですね。
それは、とても素晴らしいものですね。^ ^

ドラしゃんは、嬉しそうに微笑む。
そんなドラしゃんに、お兄ちゃんは余計な情報も教えてしまった。

アキ:
チョコには2種類あるんだ。
"本命チョコ"と"ギリチョコ"
"本命チョコ"は、他のチョコと違うんだ。特別な形してたり、量が違ってたり。
まず、込められる気持ちが違うらしいよ。
"ギリチョコ"は、お情けで渡すチョコらしいよ。

ユウ:
お前!それ、どこから学んだんだ?!

アキ:
前に、お母さんが読んでた本に書いてたよ?

お兄ちゃんの言葉に、ドラしゃんはかなり驚いた表情を浮かべる。
プレゼントされるチョコには、種類がある?!
しかも、"本命"と"ギリ"で気持ちの量が違う!!!

しかも、作るのはお母さんと私だ。
ドラしゃん的には、私が作るチョコ。
私が作る"本命チョコ"が誰の手に渡るのが問題だったのだ。

この話はなんと我が家だけではとどまらなかった。
お父さんとお兄ちゃんが、街の人達にお話ししてしまったのだ。

それからと言うもの、毎日男性陣がソワソワしだす。

女性陣は、お母さんに詰め寄りチョコ作りの指導をして欲しいと連日押し寄せて来た。

あまりの騒動に、お母さんはお手上げ状態になってしまった。
その為、2月10日から4日間だけ限定で、兵舎の食堂を貸し切って、チョコレート作り教室を開く事にしたのだ。

それには、男性陣は誰も異議を申し立てなかった。
比較的に協力的だったので驚いたぐらい。

材料のチョコレートはどうするかって問題だが...【大聖霊】のお陰で解決した。

サクラちゃんの力で、花園館に期間限定カカオの実がたわわに実った。

腕輪の中で話を聞いていた、【大聖霊】達が神様の所に行き"チョコレートとはなんぞや?""何からできる?"と調査をして来た結果...私達がお願いする前に、花園館にカカオの木が生えていたのだ。

リン:
なんかしゅごいね?
なんでみんな、きょうりょくてきなんだろう?

ユイ:
たぶんだけど、リンの作るチョコレートが欲しいんじゃない?

リン:
わたしの?

ユイ:
そうだと思うわ。出ないとねぇー?

ルミ:
100%そうだね。特に、"本命チョコ"って言うものが、誰に渡されるのかって男共の中ではもっぱらの噂話になってるわねʅ(◞‿◟)ʃ

リン:
(O_O)

ナナ:
ウチの旦那ですら、ソワソワしちゃってさぁー^ ^

ロナ:
私の所もよ。
呆れてものも言えないわʅ(◞‿◟)ʃ

ルミ:
リンはこの街の人気者だからね。
仕方がないさ^ ^

リン:
(O_O)

ユイ:
これは大変ね、リン。
今年は沢山作らないとね。
本命は誰にするの?
このままだったら、今までみたいにお父さんとお兄ちゃんって手は使えないかもね^ ^

お母さん達の会話を聞いて、私は驚きの連続だった。
チョコレート1つで...。
これは困った...。どうしよう...。


 悩みに悩んでいると、あっという間に
2月10日がやってきた。

今日から4日間、女性陣皆でチョコレート作りだ。
簡単な型に流して作るものから、チョコレートクッキー、ガトーショコラを今回作る事になった。

チョコレートは、【大聖霊】達の大協力を得て、ビターチョコ、ホワイトチョコ、ミルクチョコ、マーブルチョコが作られた。

もちろんだが、お母さんの指導のもとでだ。
カカオの実は、木が生えてから毎日実を付けているのだ。
それもこれも、【大聖霊】達の頑張りだった。

チョコレートの型は、お母さんと私がドムじぃーちゃんに依頼して作成してもらった。
そのせいか、ドムじぃーちゃんはしばらく男性陣から質問攻めにあったんだって。

それでも、ドムじぃーちゃんは誰にも何の型を作ったか喋らなかった。
私と約束をしたからだ^ ^

ドムじぃーちゃんが作ってくれた、型はスーパーで買った物よりすごい出来栄えだった。
ハート型、星型、花型、猫型、犬型、○型、四角型、ひし型は、お母さんがリクエストして幾つか作成してもらった。

私は、【大聖霊】一人一人の顔型、剣型、斧型、そして後は内緒だ。

3日間は、兵舎食堂は立ち入り禁止となるので、男性陣はギルドの食堂で食事をしてもらう事にした。

もちろん自分達で作って貰った。
しかし、美味しいチョコをもらう為なので誰も文句を言わなかったみたい。

ずごいね。
この世界では、もちろんだがバレンタインデーなんて行事は存在しない。

初めての事なので、皆が乗り気なのだった。
この事は、何故か王様の耳にも入っており、14日にはセバしゃんを連れて来ると速達が届いた。

大掛かりな事になり、お母さんは少し後悔していた。

しかし、街の皆が楽しそうにしている姿を見ていると頑張るしかない気になってきたのだ。

問題は...。
そう...。私の作るチョコだった。

私のは特にトラブルが起こるだろうと、最終日に作成する事になった。

その為、10、11、12日で私以外の人はチョコレートを完成させる段取りでスタート。

兵舎食堂には、朝から女性陣が集まってそれぞれエプロンをつけて調理場に。

数名ずつのグループに分かれて、調理をすることにした。
元々女性陣は、料理好きばかりが集まっているので、手際は良かった。

お母さんを中心にして、チョコレート作りが行われている中、私は"本命チョコ"をどうするかを悩んでいた。

リン:
どうちよう(>人<;)
毎日、皆いつも以上に私に構ってくれるし...。
でも...(>人<;)

お母さんは、皆に作り方を教えながらも横目で悩む私の姿をちゃんと見ていた。

ユイ:
(これは、からかいすぎたかしら...)
お母さんは少し心の中で反省する。

今日半日で、皆はそれぞれのチョコ菓子の作り方をマスターした。
これには教えていたお母さんも驚きの表情を浮かべる。
作ったものは、それぞれで試食してどれにするか話し合っていた。


 2月11日。それぞれが作りたいチョコを本格的に作る事になった。

 見習い兵士のお姉さん達は、型に溶かしたチョコを流して色んなチョコを作る事にした。
使うチョコの種類を変えて、デコレーションもして、華やかにするそうだ。

 ギルド職員の女性陣は、チョコレートクッキーを作る事にした。
クッキーの形や使うチョコの種類を変えて、味のバリエーションを増やすそうだ。
仕事の合間にもつまめる様にって。

 ルミばぁーちゃん、ナナばぁーちゃん、ロナばぁーちゃん、そしてお母さんは、ガトーショコラを作る事に。

 私は皆の作っている姿を見て、ある事を思いついた。
私は、腕輪の中の【大聖霊】達にあるお願いをする。

リン:
あのね、こんなのをよういしてほしいの?だいじょうぶ?

私の問いに【大聖霊】達は、"問題ない"と即答してくれた。
私は、彼らに用意をお願いした。

これで、私のバレンタインはどうにかなると思った。

私が【大聖霊】達と、内緒話している間に、皆のチョコレートはあっという間に完成していった。

思ったより早く完成して、驚きだ。

 見習い兵士のお姉さん達が作ったチョコレートは、色とりどりのカラフルなものがたくさんできた。

奇抜なものもあったが、大丈夫だろう。
しかし、いったい誰にあげるのだろう?
疑問に感じながら、他の人のも見た。

 ギルド職員の女性陣が作ったクッキーは、お母さんが作ったものよりおしゃれだった。

形が色々で、食べるのがもったいない感じだ。
味も色々工夫していて、教えたお母さんも驚いていて、作り方を逆に教わったほどだ。

 ルミばぁーちゃんを含めたベテラン組が作ったガトーショコラは、これまた素晴らしいものが出来上がった。
見た目も普通のガトーショコラと少し違っていてめちゃくちゃ美味しそう。

作る人が違えばこうも変わるのかって、感じだった。
匂いも美味しそうな匂いがぷんぷんと。

バレンタインデー当日が楽しみだ。

今日作ったものは、兵舎の冷蔵庫で厳重に保管する事にした。
予定より皆の覚えと手際が良くて、残りの日数が多めに残ってしまった。

そこで、残りの日数で私のチョコ作りを皆で手伝ってくれる事になった。


 2月12日。今日から私のチョコ作りが開始になった。
しかし、今日から参加するのはベテラン組のみ。

なぜならギルドの仕事が少し停滞気味になってきたからだ。

ユイ:
リン。何を作るのか決まった?

ルミ:
何でも手伝ってやるよ^ ^

ナナ:
私らしかいないが、大丈夫だよ♪

ロナ:
大船に乗った気分で任せなさい^ ^

さすがベテラン組だ。安心感が半端ない。
私は作りたい物を皆に教えた。

リン:
あのね。こんかいはね、こんなのをつくりたいの^ ^

私は、絵に描いて教えた。
私の描く絵を見て、皆は驚く。

ユイ:
面白いわね^ ^

ルミ:
これならトラブルは防げそうだね^ ^

ナナ:
りん!よく思いついたね^ ^

ロナ:
面白いわね^ ^

ベテラン組の反応の良さに私は嬉しくなった。
皆から、高評価を得た頃だった。
【大聖霊】達が戻ってきた。

お願いしていた材料を集めて来てくれたのだ。

この世界である物、私達の世界にしかないものは、神様にお願いして取りに行ってもらったそうだ。

ユイ:
じゃぁーとりあえず、試作品を作ってみる?

リン:
うん^ ^

たくさん材料があるので、まず試作品を作る事にした。
私1人では、どうにもならないので皆に沢山手伝って貰った。

すると、あっと言う間に試作品が完成した。
しかし、...m(._.)m何か、違う気がした。

見た目は、絵の通りなのだが...。
何でだろう??

リン:
まじゅい((((;゚Д゚)))))))

ユイ:
まずいわね(O_O)

ルミ:
マズすぎだろうΣ(゚д゚lll)

ナナ:
これは、酷い(๑•ૅㅁ•๑)

ロナ:
何でかしら(>人<;)

そうなのだ。見た目はいいのだが...味がとても不味い。
チョコレートを使っているのに...。
これでは、食べる事ができない...。

使用した材料をテーブルの上に並べて、
何がいけなかったのか、手順から見直すことにした。

その日1日かけて、皆で考え抜いて作成方法を変える事にした。

明日には、完成品が出来ないと...。
私が落ち込んでいると、お母さんが私に声をかけてきた。

ユイ:
大丈夫よ。心配しないで。きっと完成するから。
明日も、頑張りましょうね^ ^

お母さんは落ち込む私を励ましてくれた。
私は気持ちを切り替えて、明日再チャレンジするために気合いを入れ直す。

 2月13日。今日が、チョコを作る最終日。
昨日私が寝た後にベテラン組は、私が作るチョコの作成手順を最終確認してくれていた。

朝、兵舎の食堂に行くと私にもわかりやすく、イラストの入ったレシピが置かれていたのに気付いた。

ユイ:
これ通りに作ったら、美味しいチョコができるはずよ!

ルミ:
私らで何回も確認したから間違いないよ^ ^

ナナ:
大丈夫さ。今日一日あるんだ。
絶対できるよ^ ^

ロナ:
私らがついてるんだよ。心配ないさ。

皆に励まされて、私はチョコ作りを開始。
皆に美味しく、仲良く食べてもらえるように...。


 2月14日。とうとう、皆が(男性陣)が待ちわびだバレンタインデー当日が来た。

朝から皆、特に男性陣が浮き足立っていた。
普段ならギリギリまで、パジャマ姿でいるお父さんとお兄ちゃんは、きちんと身だしなみを整えて、服も着替えていた。

ムキじぃーちゃんやロドじぃーちゃん達も、髭を整えて服もキチンとした物を着ていた。

リン:
みんなこわいよ。

普段の姿と違う為、私は気味悪かった。
しかし、そんな男性陣の中でも普段と変わらずいたのが、ドラしゃんだった。

いつも通りのドラしゃんに、私は安心感を覚えていつも以上にべったりしてしまった。

 朝ご飯を終えて、さぁーそれぞれの日程をこなすぞっと思い、動き出そうとした時だった。

王様:
おっはよー!チョコをもらいに来たぞ!

セバ:
おはようございます。朝早くに申し訳ございません。

空気をよまない大人が1人と、その保護者がやってきたのだ。

ユイ:
あら?お早いですね^ ^
申し訳ございません。チョコは、仕事が終わってから渡す段取りになってますから、仕事をして出直して下さい。

お母さんは笑顔で、王様に伝え家から追い出す。

セバ:
だから、言ったじゃないですか。仕事をしてからと...。

王様:
えっ?でも、チョコ..._:(´ཀ`」 ∠):

ユイ: 
仕事をして、出直して下さい。

有無も言わさない、お母さんの気迫に負けて、王様は保護者に連れられて帰って行った。

ユイ:
さぁー皆んな。今日の日程をこなしてからよ。お楽しみわ^ ^

お母さんの言葉に、お父さん達も渋々従う。

 その日1日、仕事をしているはずなのに、皆(特に男性人)はソワソワしていた。
身がまるで入ってない感じ。
チョコを渡す側も、渡されるだろう側もだ。

まぁー、この世界の住人達は、初めての体験なのでひときわソワソワしても仕方がない。

ユイ:
これじゃぁー仕事も進まないわね(´∀`)

ユウ:
仕方がないよ。彼らは初めてのイベントだからね。

ユイ:
仕方がないわ。ルミばぁーちゃん...じゃなかった!ギルマス。昨日の仕事は切り上げましょう?!

ルミ:
すまないね。
じゃぁー皆に連絡をしておくれ!
今日の仕事はこれまでって!

ルミばぁーちゃんがそう言うと、皆の動きがいつも以上に迅速だった。

今日の仕事は、皆3時間で切り上げとなった。

さぁー。ここからは、皆が気になっているバレンタインデータイムだ!!

仕事を切り上げて、帰り支度する中ギルドのでは、早速チョコ渡しタイムとなった。

既婚者は、それぞれのパートナーへ。
独身組は、同じ独身者や上司にあたる人へ。
上司にあたる者は、部下や同僚へと。

それぞれ手渡していく。

ルミ:
これは、仕方なしさ。貰えないと、可哀想だからね。

ロド:
はっ?!これは、食べれるのか?
仕方がないからもらってやるよ。

ルミばぁーちゃんとロドじぃーちゃんのやり取りにお父さんとお母さんは、笑っていた。

ユイ:
お父さんの分は、家にかえってからね^ ^

ユウ:
あー。楽しみだな。
それより...。できたのか?

ユイ:
もちろんよ^ ^

そうなのだ。お父さんが気にしているのは、私の手作りチョコの事だった。
昨日なんやかんやで、夜遅くまでかかってしまったからね。

ギルドから出ると、そこらじゅうで、チョコの渡し合いが行われていた。

ギリのもあれば、本命らしきものも。
なんとも微笑ましい光景だった。

そんな中、ある一部の人達は内心ヒヤヒヤ状態。

そう。今回のメインとも言える、私の手作りチョコがまだ配られてなかったから。

その頃私は、家でドラしゃんとお勉強をしていた。
すると、仕事が早めに切り上げとなったと連絡が来たので、ドラしゃんと一緒にギルドへ向かうことに。

私がギルドへ着く頃には、なんと人集りが出来ていた。

その中には、朝お母さんに注意され、無理矢理帰らされた王様の姿もあった。
もちろん、保護者のセバしゃんの姿も。

そして、人混みに紛れて神様も変装して来ていた。

リン:
すごい∑(゚Д゚)

あまりの状況に、私は家に帰りたくなった。
しかし、それはドラしゃんも許してくれなかった。

私の姿を見つけるや否や、人集りが私の方へむかってくる。

ムキ:
リン!じぃーちゃんにチョコはまだかのう?

ロド:
お前は、土でも食っておれ!
リン?じぃーちゃんには、あるだろ?

ドム:
お前は、草でも食ってろ!
リン?!俺にはあるよな?

王子①:
リン!せっかくだから、食べてやるよ!

王子②:
僕も貰ってあげるです!

王様:
さぁー、こいつらなんかにやらなくていいからな?
私にはあるだろ?

セバ:
見苦しいですよ!
日頃の行いが良ければ貰えるでしょう?
ねぇ~リン?

ドラ:
お嬢様。さぁー。特別なチョコは、もちろん私ですよね?

モッケ:
何言うてますの?!
ワテでしょう!

ラミィ:
それでしたら、私も。ねぇ~?

ラディ:
はぁー!それなら、俺だってそうだ!

カシ:
なんと、大人気ない。リン。信じてますよ^ ^

皆の視線が...。怖い...。
私は泣きそうになった。

そんな時だった。

ユイ:
あら?そんに慌てて情けないですわね。
自分が、リンの特別ならそんなに焦る必要はなくて?
そんなんだと、ギリも貰えないわね!

お母さんの鶴の一声にて、私に向けられたなんとも言えない視線が一気に落ち着く。

この気を逃すまいと、私は勇気を出して声を上げた。

リン:
ことしね。リンがんばったの。
みんな、とくべつだから、とびきりすごいのつくっとの。
もらってくれる?

私の声に、周りのって言うか...信者化した男性陣が笑顔で頷いてくれた。

私はドラしゃんに降ろしてもらって噴水前広場へ歩いて行った。

もちろん言わずとも、ストーカーの如く皆がついて来た。

噴水前に着くと、ドラしゃんに頼んでテーブルを出してもらった。
そのテーブルの上に、【大聖霊】達にお願いして、昨日完成した手作りチョコを出してもらう。

私のチョコを見て、みんな驚きの表情をしていた。

私が作ったのは、3段重ねのチョコレートのタワーだ。

ガトーショコラを土台として、何種類ものチョコを使用して、色んなチョコ菓子を作成した。

チョコだけでなく、クッキーやビスケット、シュークリームなんかも作って重ねてある。

何より手が混んでいるのは、一人一人の型どった立体のチョコレート人形だ。
大きさも均等にしてある。

リン:
わたしからの、みんなへのチョコだよ^ ^
お母さんやルミばぁーちゃん達にてつだってもらったの。
のこさずにたべてね^ ^
みんな、だいすきだよ╰(*´︶`*)╯♡

私が笑顔でそう言うと、号泣の嵐が巻き起こる。
皆はそれぞれタワーから自分達のチョコ人形を探していた。

人形は、男性陣だけでなく街の人皆の分作ったの探すのも一苦労のはず。
もちろん、【大聖霊】や神様の分もあるからね。

皆は自分達を型どった立体の人形は手をつけずに、保存する。
そして、それ以外の物を手分けして完食していった。

皆んな、"美味しい""最高だーぁー!!"
と言いながら食べてくれた。

ユイ:
よかったね。リン。頑張ったかいあるわね^ ^

リン:
うん^ ^

私とお母さんが、2人で話しているとドラしゃんがそっと寄ってきた。
そして。

ドラ:
今回は、これで我慢します。ですが、次回は私だけの特別を楽しみにしてますね^ ^

そう呟いて、チョコを食べに戻る。

私は、お母さんの服を握って呟いた。

リン:
もういやだ。

そうお母さんに言うと、何故かお母さんは悪魔の微笑みを浮かべていた。

ユイ:
でも、皆んなわかってるのかしら。
バレンタインデーのお返しに3月に"ホワイトデー"ってある事を^ ^
3倍返しをしてもらわないとね^ ^


 後日、お父さんから男性陣に3月に"ホワイトデー"と言うのがあり、2月のバレンタインデーでチョコをもらった人は、倍返しをしなくてはいけない事を知らされるのだった。

それでも、私や意中の女性からチョコを貰いたい男性陣の熱意によって、毎年この街のみ、バレンタインデーとホワイトデーの行事が行われる。


 ちなみに、初めてのバレンタインデーで渡した、私の手作り立体のチョコ人形は、誰も食べる事なく、永久保存がされている。

 今回特別にバレンタインデー翌日編をお送りします^ ^



 バレンタインデーも無事に終わったはず。
しかし、おかしい事が一つあった。

私が試作で余分に作っておいた、2つのチョコが消えたのだ。

しっかり家の冷蔵庫にしまっておいて、後で食べようと思っていたのに...。

朝起きて、冷蔵庫を開けるとなくなっていた。

前日寝る前にはあったのに...?

冷蔵庫の前で首を傾げて悩んでいると、お母さんが声をかけてきた。

「リンどうしたの?朝から冷蔵庫の前で何をしているの?」

お母さんに声をかけられて、私は縋る気持ちでお母さんに質問した。

「リンのチョコしらない?」

私の質問にお母さんは、不思議そうに答えた。

「チョコって昨日までつくっていたやつ?全部皆で食べたんじゃないの?」

「ちがう。リンのチョコがないの。ここにおいたの。」

私は冷蔵庫を開けて、チョコを置いてあった場所を示して、お母さんに伝える。

お母さんは、私が示した冷蔵庫の場所を見つめて少し考えだした。

「もしかして、袋に入れていたやつ?」

お母さんの言葉に、私は頷いた。

「それ!お母さんしってる?!」

お母さんの言葉に私は希望を見出した。
しかし、次の言葉で希望が打ち砕かれることに。

「それなら...昨日の夜、お父さんとムキじぃーちゃんが食べたわよ。」

お母さんの言葉に、私は思わず悲鳴を上げてしまった。

「いやぁーーーーーーぁーーーー!!」

私の悲鳴にドラしゃんを含めて、お父さん、お兄ちゃん、ムキじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん達が集まって来た。

私が涙を流しながら悲鳴を上げているので、皆は心配そうな顔を浮かべる。

涙ながら周りを見て、お父さんとムキじぃーちゃんを見て、私は思わず2人に暴言を吐いてしまった。

「お父しゃんもムキじぃーちゃんもだいっきらい!!!」

私の言葉にふたりは、驚きとショックを受ける。

お父さんとムキじぃーちゃん以外の人は、驚いていた。

「いったい何があったんだい?」

ルミばぁーちゃんの質問に、泣きじゃくる私の代わりにお母さんが答えてくれた。

「リンのチョコをどうやら、お父さんとムキじぃーちゃんで食べた様なのよ。
 その為、リンが怒っちゃたみたいなのよ。」

お母さんの言葉に、ルミばぁーちゃん達は呆れた顔をする。

私は泣きながらドラしゃんにしがみついていた。

「あんたら、それはしちゃーいけないわ。自分達用を貰ってたでしょうに。」

ルミばぁーちゃんの言葉に、お父さんとムキじぃーちゃんは気不味そうな顔をする。

「最低ですね。よりにもよって、リンのを食べるなんて。」

ラミィ兄ちゃんが。

「クズだな。」

ロドじぃーちゃんが。

「アホだな。」

ドムじぃーちゃんが。

「ワテでもそんな事しませんで。」

モッケしゃんが。

『旦那様。ムキファー。反省して下さい。』

ドラしゃんが。

「大人なのに...。意地汚いのは最低ですよ。」

最後にお兄ちゃんの言葉にトドメを刺されたお父さんとムキじぃーちゃんは、家の隅に小さくなって嘆いていた。

「まさかリンのとは知らなかったんだ。」

「ワシもじゃ。リンのだと知ってたら食べんかったわ。」

そう呟きながら嘆いていた。

「あのチョコ...きょう...みんなで...たべる...ために...よけてたのに...。」

私の言葉に、お父さんとムキじぃーちゃんはますます凹んでいく。

「リンは、優しいなぁー。そんなリンのチョコを...。」

ルミばぁーちゃんがトドメの一撃をすると、お父さんとムキじぃーちゃんは完全に戦意喪失状態となってしまった。

「ごめんなさい...。」

「ワシらが悪かった...。」

お父さんとムキじぃーちゃんは、涙を流しながら謝ってきた。

「リン。もう許して上げましょう。
ちゃんと2人にはお母さんから罰を与えておくから。」

お母さんは、泣きじゃくる私にそう呟くので、私はドラしゃんの腕の中で、小さく頷いた。

「わかった...。」

私は渋々お父さんとムキじぃーちゃんを許す事にした。

私の了承の言葉を聞いて、お父さんとムキじぃーちゃんは復活したが...。

その日1日、皆からこき使われる事に。
しかも、お母さんからの罰としてふたりは2週間お酒抜きとなった。

文句を言いたかった様だが、今回は全面的にお父さんとムキじぃーちゃんが悪いので、ひたすら耐えてくれた。


 ちなみに、冷蔵庫の中に残していた2つのチョコについてだが。

一つは、私とお兄ちゃんの着ぐるみパジャマ姿のチョコ。

もう一つは、ひまわりの花の形をしたチョコだ。

ひまわりは私が好きな花だったから作ったのだ。

皆に見てもらって喜んでもらいたかったのに...。

あまりにも私が落ち込んだので、お母さんとルミばぁーちゃんに協力してもらって、チョコをつくりなおしてその日の晩御飯時に皆で食べることに。

しかし、食べたのはひまわりの花のチョコのみ。

私とお兄ちゃんの着ぐるみパジャマのチョコは、誰も食べようとしなかった。

それどころか、腐らない様加工されてギルドの受付に額に入れて飾られるハメに。

 それを知った街の皆が、用事もないのに毎日ギルドに訪れ、額に飾られたチョコを見に来る事になるのだった。












作者:
バレンタインデーの翌日編はどうでしたでしょうか?

ふと思いついて、急遽書き上げました。

また、特別編を書きますのでよろしくお願いします^ ^

次回からは、しばらく本編となります
よろしくお願いします^ ^




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