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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-8 お母さんのお説教
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私の足元を中心に光り輝いたものをよく見ると魔法陣の様な模様が描かれていた。
離れた場所にいた、ドラしゃん達も私の異常事態に気付いて慌ててこちらに向かって来ようとしたが、何者かによって止められたようで離れた所で怒っている。
ドラしゃん達の前には、オリジンと一緒に見た事のない人?が3名??立っていた。
(いつの間に?!!)
ドラしゃんは、彼らをみて顔色がますます悪くなっていく。
そんなドラしゃんの状態を見て、他の皆はドラしゃんから一歩半後ろに下がり様子を伺いだす。
(本能的に巻き添えをくわないようにってやっだね。)
あのドラしゃんでさえ、顔色を失う相手が居るとは...。
皆は私の事も気になるが、目の前に現れた存在も気になり、身動きが取れない状態になる。
私はそんな皆の状況にはお構いなく、自分の周りが光っている事が不安で、助けを求めた。
「どうしよう...だれか...ドラしゃん...たすけて...。」
半泣き状態になった私に、ドラしゃんが声をかけようとしたら、代わりにオリジンが声をかけて来た。
『主人よ。素晴らしいですね。
それは、"魔力法陣"と言ってそれが出現している場所に"精霊のオアシス"と呼ばれる"精霊の住処"を人工的に作る事が出来るのですよ。こんな現象は滅多と拝めませんよ。
"魔力法陣"が消える前に、主人が望む"精霊の住処"を思い描いて下さい。
すれば、望んだ通りのモノが作られますよ。』
そう言って、笑顔で語るオリジン。
その言葉には、私を含めその場にいた皆が驚く。
本当に私がつくれるなんて...。
その場に居る誰もが思った。
しかし、いきなりの事で私は困ってしまった。
思い描けって言われても、わからなかった。
すると離れた場所からお兄ちゃんがアドバイスを。
「リン!この前お母さんが読んでくれた絵本みたいなのは?!リンならできるよ!」
お兄ちゃんは、そう言って私を励ましてくれた。
お兄ちゃんの言葉を聞いて、お母さんが読んでくれた〈妖精の国〉と言う絵本を思いだす。
絵本に描かれていた世界を思い浮かべていく。
すると、足元の光の輝きが増していき、範囲も広がって行く。
あまりの眩しさに目を閉じてしまう私。
すると...。
『主人よ。目を開けてくださらんか?素敵な場所ができてますよ。』
目を閉じていた私に、オリジンが優しく声をかけてくる。
恐る恐る目を開けると目の前には、オリジンと見たことのない人?が笑顔で私を見つめていた。
そして...わぁーい♪と言いたくなる様な素敵な空間が広がっていたのだ。
以前読んでもらった絵本の世界がそのまま目の前に広がっている。
しかもあの魔法陣が広がっていた場所のみに作られているのだからすごい!!
『凄いですわ。あんな一瞬でこれだけのものを作り上げるなんて。オリジンや他の子達が契約を結ぶのもわかるわ。』
『確かに。コレは、野放しにしておくのは危険。しかし、なんと心地よい魔力なんだろうか....。』
『ヘェ~。可愛いね。オイラは気に入ったよ。もちろん皆もだよね?』
私が作り上げた、"精霊の住処"の中で楽しそうにすごく精霊さん達を見て、惚けている私に対して、彼らは口々に呟きだす。
そして、再び私はオリジンに声をかけてくる。
『主人よ。見惚れているところ悪いね。
主人に紹介するよ。コイツらは、私と同じ【大聖霊】兼【神】みたいな存在の連中だよ。
キラキラした髪の見た目は美人だけど、腹黒の【光の大聖霊 ルナミス】。
黒髪のロングヘアーの上に、全身を黒や紫の辛気臭い色合いで居るのが【闇の大聖霊 シャドウ】。
キンキンでツンツン頭の知恵が足りなさそうなのが【雷の大聖霊 ボルト】。
主人の話をしたら、会いたいって言うから連れて来てみたよ。』
満面の笑顔でそう話すオリジン。
それとは裏腹に、他の3人は何かお怒りモードぽい感じが...。
しかも、離れた場所で様子を見ていたドラしゃんや他の皆にも、オリジンの言葉は聞こえているのだろう...。
そのせいか、ドラしゃんは胃を押さえてその場に座り込むし、他の人達は口を大きく開けて石像化していた。
私はオリジンとその側にいる3人を見つめる。
とりあえずにっこり笑顔を向けてみると...。
3人が悶えだす。
それを見て、ドラしゃんがさらに胃のあたりを抑えて悶える。
私はどうしたらいいのか分からず困っていると...。
『私決めたわ!貴女と契約するわ!こんな可愛い子が主人なんて...ふふふふっ。
これからよろしくね。
私は【光の大聖霊 ルナミス】よろしくね。』
『私も貴殿と契約をさせて頂きたい。
【闇の大聖霊 シャドウ】よしなにお頼み申す。』
『めっちゃくちゃ可愛いね!ますます気に入ったよ。オイラは、【雷の大聖霊 ボルト】だよ。よろしくね。』
そう3人に言われたと同時に、私の腕輪がまたまた変化しだす。
デザインも大幅に変わり、めちゃくちゃオシャレなものに。宝珠も増えてますます華やかなものに変わった。
これで、ほぼ全ての【大聖霊】と契約してしまったことになる。
どうしたものかと思っていたら、オリジンからとんでもない発言が飛び出す。
『そうそう。君達がこの世界に来た影響で、新しい精霊や大聖霊が増えてるからね。多分、君と君の兄の魔力の影響だろうね。
もう少ししたら、私達の魔力を感知して、ここにやってくるはずだよ。
契約を結ぶのは君達次第だ。
頑張るんだよ。
あと、この"聖域"には、限られた人しか入る事が出来ないようになってるから、安心してくれたまえ。』
と言うと、オリジンは音もなく姿を消した。
もちろん一緒にいた3人もだ。
色々一気に起きて、言われて私の頭はパンク寸前だった。
気が抜けて、その場にしゃがみ込むと蹲っていたドラしゃんが駆け寄って来た。
『お嬢様!大丈夫ですか?!』
私はドラしゃんに支えられて、腕の中へ。
私はドラしゃんの服を掴んで、
「ドラしゃん。もうむり。」
と言うと意識を手放した。
私のキャパがオーバーヒートを起こしてしまったのだ。
私が気絶すると、固まっていた人達も駆け寄ってくる。
そして、出来立てほやほやの"聖域"にはお兄ちゃんしか入れず、他の人達は見えない壁にぶつかってしまい、それ以上進めないようになっていた。
どうやら"聖域"に入れる者は、私とお兄ちゃんのみとなっているようだ。
ただ、今は私を助けるという名目でドラしゃんも入れるようになってはいるみたいだけどね。
このままでは、まずいと感じたドラしゃんは、お兄ちゃんを呼び寄せて私とお兄ちゃんを連れてその場から離れる。
そして、私をルミばぁーちゃんに預けると、ムキじぃーちゃんとロドじぃーちゃん、ドムじぃーちゃんに声をかけた。
『お嬢様が、"精霊の聖域"を完成させたようですが、どうやら他にも寄って来るようなので、このままにして置くのは危険です。
"聖域"自体には、限られた人しか入れない様にはなってますが、このまま一気に仮の城を建ててこの場を隠します。
よろしいですね。
多少キツイかと思いますが、私も手伝いますので死ぬ気で踏ん張ってください。
細かい部分は、後日修正するとして外観だけでも作っておきますよ。』
ドラしゃんの言葉に、ムキじぃーちゃん、ロドじぃーちゃん、ドムじぃーちゃんは、呆けた顔から引き締まった真面目な顔付きに変わる。
そして、"精霊の聖域"をかくする様に仮のお城を建てていった。
外観は、ウォルト国の城を縮小した感じのものにした。
あくまでも仮なので、見知った城を活用したようだ。
"精霊の聖域"をお城の外壁で覆い隠していく。
違和感なくなんとか、即興だが建てることができた。
さすがの4人でも、バテバテだった。
「やるじゃないかい。ハリボテ感が否めないけど、応急処置にはなってるじゃないかい。」
バテバテの4人にそうルミばぁーちゃんが声をかけた。
「ウルセェ~。いいんだよ。どえせ、後日しっかり作り直すんだからよ。」
「そぅだぜ。ようはアレを隠せばいいんだろ?」
「キツかったぜ。美味い酒と飯が欲しいわぁ~。」
『こんなものでしょう。これで、目隠しにはなるでしょう。
後日改めて、城に関しては改築すればいいでしょう。』
私の家の裏に、突如お城が建築された。
応急処置としても、違和感しか感じない空間の様な気もするが、明日から少しずつ建物の配置を変えたり、改装したりするのでヨシとなった。
「では、リンも気を失っている事だし、アイツらもいい加減に、目を覚ましているだろうから、ギルドに帰るよ。」
ルミばぁーちゃんの号令で、それぞれ頷きギルドへ戻る事にした。
「私らはこれに...いつになったら慣れるんだろうか...。」
「わかりません。...でも慣れるしかないんでしょうね。」
私達と付き合いの長いルミばぁーちゃん達は、驚きもするが慣れもあり切り返しが早いが、カブさん達や後から来た冒険者達は、この慌ただしさに慣れておらず、気持ちの切り替えや頭の切り替えかわ上手くいかないようす。
その為、ルミばぁーちゃん達との対応に自然と差が出てくるのだ。
その為か思わずあの呟きが漏れてしまうのだった。
困惑しながらも、ルミばぁーちゃん達の後ろをぞろぞろ歩く彼らに、ウォルト国の王様が一言声をかける。
「大丈夫だぜ。慣れてくるから。」
元自分達の国の王様からそう言われ、ただ頷くしか出来なかった彼ら。
"精霊の聖域"の作成や新たな【大聖霊】とも契約を完了して、力尽きて気を失った私。
私が気を失っている間に、ドラしゃん達で、仮のお城を作成してくれていた。
そのおかげで、我が作った"精霊の聖域"が綺麗に隠されたので現場を目撃した人以外には何があるか分からないようになっている。
いつ誰が来るかわからない所なので、仮でもお城で隠すのに越した事はなかった。
仮のお城が完成した後、皆でギルドに戻ると、目覚めたお父さんとお母さんが外で待っていた。
私達の姿が見えると、お父さんとお母さんが駆け足で駆け寄ってくる。
何かを言おうとしたが、ルミばぁーちゃんの腕の中でグタッとしている私の姿を見て、お母さんとお父さんは大慌て。
言おうとしていた言葉も忘れて、私の介抱に回る。
先程まで、お父さんとお母さんが休んでいた部屋に今度は私が寝るはめに。
医学の知識のあるセバしゃんの見立てでは、〈知恵熱〉と診断された。
『いきなりたくさんの事が起こりましたから、疲れたのでしょう。
ゆっくり休んでいたら落ち着きます。』
セバしゃんの言葉に安心したものの、すぐにお母さんは皆に声をかけた。
「ねぇ?リンがここまでなる"たくさんの事"が気になるの。教えてくださる?」
お母さんの低い声と、恐ろしさを秘めた笑顔のコンボに、その場にいた全員が無言で頷く。
しかも、全員何故か地べたに座って、姿勢を正していたのだ。
そして、お父さん達が休んでいる間に何があったか、全て正直に話したのだった。
皆から話を聞いて、お父さんとお母さんは唖然とするしかなかった。
今までも色々突拍子もない事ばかりで、免疫はできていたと思っていたが、今回の件は更に強烈なものだったようだ。
しかし、実際に起きた事のため認めるしかなかった。
【大聖霊】が増えた事。
《精霊の聖域》が作られた事。
しかも、私の手によってだ。
段々と、自分達の子供が規格外になりつつある事に、お父さんとお母さんは不安になってきた。
そして、思わずドラしゃん達に質問した。
「一つ聞いてもいいかしら?
前から思っていたけど...異世界からきた子供はこんな感じなのかしら?」
お母さんが思っていた事は、お父さんも思っていた事でもあったようで、お父さんも頷きながらドラしゃんを見つめる。
どうやら以前より薄々感じていた事でもあったよう。
お母さんの質問には、皆は困惑の表情を浮かべる。
ドラしゃんやロドじぃーちゃん達、異世界から来た人達を知っている人達は特に困惑した様子だった。
お母さんは自分から質問しておいて、少し不安になってきた。
それは、横で答えを待っているお父さんもだ。
そして、長い沈黙の中ドラしゃんが口を開いた。
『正直に申しますが、皆さんの様な前例が今までないのでわからないのです。
今迄の異世界からの転生や転移者でお嬢様やアキラ様程幼くして来られた方が居ません。
転生はともかく、転移者は大抵の人が10歳以上の年齢で来られてますので...私共でも予想外の事ばかりで、正直な所どうしたものかと思うことばかりです。』
ドラしゃんの回答に、お母さんとお父さんは天を仰いだ。
お兄ちゃんは、不思議そうな顔をしていた。
ロドじぃーちゃんもムキじぃーちゃん達もドラしゃんの言葉には同意の意思を示す。
天を仰いで動かない2人に、今度はセバしゃんが話しかけた。
「かと言って、対応できないわけでもありません。
幼いうちは力のコントロールが上手くいかないのは皆同じです。
王子達も今より幼い頃はよく力を暴走させていました。
城は半壊するし、床は燃えるし...本当に色々ありましたよ。
その度に、私や王でどうにかして来ましたよ。
ですから、お2人に対してもどうにかなるかと...。」
セバしゃんの言葉に、お母さんとお父さんは顔をゆっくり降ろして、期待の眼差しを向ける。
そんな2人に、ドラしゃんが言葉を続けた。
『お嬢様とアキラ様は、王子達より魔力量は桁違いです。
しかし、お二人共素直で素敵なお子様ですので、大丈夫です。
何が起きても、ここにいる皆で協力して解決していけばよいのです。
それに、アキラ様は最近ムキファーより剣術と共に力の使い方も学んでます。
お嬢様は...どうにかなります。
はい。きっとなります。』
半分不安はあるものの、今までもどうにかしてきたからどうにかなるだろう...そう思うしかなかった。
「わかりましたわ。くよくよ悩んでも仕方がないですしね。
で。私達はこれからどうしたらいいのかしら。」
さすが、切り替えの早いお母さん。
さっきまでとは、打って変わって表情も雰囲気も落ち着きを取り戻し、次の対応に切り替えたのだ。
これには、皆も関心した。
お母さんの言葉に、今度はドムじぃーちゃんが答えた。
「この国のシンボルとなるお城は、仮だが作ってある。
あとは、細かな修整と頑丈に仕上げるのが残っている。
それと、家の配置と外壁や見張り台等細々したものが残っているな。
しかし、それが出来る手がすくないんだなぁ...。
俺はともかく、ムキファーとロドムカ、ユウダイとユイカ以外に建築系か、せめて土魔法系が得意な奴が居たら助かるんだが...。」
そう呟くドムじぃーちゃん。
いままでは、街と言っても規模が小さめだったのでドムじぃーちゃんやロドじぃーちゃんなど少数の人の力でもどうにかできて来たが、今回は規模がデカすぎて流石に無理ゲーすぎるのだった。
ドムじぃーちゃんの言葉に、また静まり返ったギルド会議室内。
すると、思わぬ人物から声が上がった。
「俺...少しなら土魔法使える。しかし、畑作業にしか使った事ないから、どこまでできるかはわからないぞ。」
そう言ったのは、ホイさんだった。
「それなら、俺も使えるぞ。俺も畑作業にしか使った事がないから自信はないが...。」
そう答えたのは、ココさんだ。
その他にも、そのぐらいだったらといって声を上げたのが、ヤカさん、ココヤさんだった。
あとは...。
「土魔法系でも、攻撃魔法しか最近使った事がないからわからんが、助けになるなら...」
と言って、ララフィムさん、マプマさん、ココマさんが名乗りを上げたのだった。
皆んな建築関係には縁がない人だけど、土魔法は使えるとの事。
使える内容や質はそれぞれ異なるが、全く使えないより助けにはなる。
次々と名乗りを上げてくれたおかげで、ドムじぃーちゃんは、嬉しそうだった。
「まだ少ないが、これだけ土魔法が使える奴がいるなら助かるわ。
明日からの作業手伝ってもらうぞ。」
ドムじぃーちゃんがそう言うと、分かりましたと口々に答えた。
「他の連中は、できる事でサポートするんだよ。飯炊や素材運びなんかもあるんだから。
あと、ギルドの連中は外との繋ぎを引き続きしてもらうよ。
どんな事でもいい。情報を集めたり、新しい繋ぎも作って行っておくれよ。」
ルミばぁーちゃんが、他のメンバーにそう声をかけた。
一応明日からの段取りは、ほぼ決まりつつあった。
しかし、お母さんとお父さん。
そして、いつメンからはただならぬ不安感が何故か拭えなかった。
絶対何か、まだ起きる気がして仕方がなかったのだった。
これが、ただの不安感だけで終えて欲しいが、そうならないのが...。
なるべくそれが、現実化しない様に誰も口しなかった。
もちろん顔にも出さなかった。
しかし、そんな努力も虚しく...その不安感は着実に現実化して行っていたのだった...。
ユイカ:
私達が休んでいる間に...はぁー。
なんで、いつもこう...トラブルを起こすのかしら?
ユウダイ:
以前はそんな事なかった気がする?...?
いや待てよ?
以前にもこんな事あった気が...するのは気のせいか?
アキラ:
前にもあった気がするよ?
ほら、リンが寝返りが打てる様になった頃だよ。
ユイカ:
あっ!そうよ!あの時、確か部屋の空気の入れ替えをしようと思って、網戸にしてたら勢いよく寝返りをしたリンが、網戸の網を突き破って外に出て、落ちたのを庭で見守っていた野良猫達がクッションになってくれた事があったわ!
ユウダイ:
あったね!
あれは、網がボロボロになってて、張り替えをするの忘れていた私がいけなかったんだけど...。
アキラ:
リン、怪我一つしてなかったんだよね。
しかも、猫の鳴き声で気付いたんだっけ?
ユイカ:
そうよ。アキラはトイレにいて、私も台所でご飯の準備してた時だからね。
ユウダイ:
そう考えると...リンはあまり変わってない気がするのは私だけかなぁ?
ユイカ・アキラ:
...。
ドラしゃん:
お嬢様は、そんな事をされていたのですか?
他に武勇伝はございますか?
アキラ:
あとは、ハイハイする様になって、また網を突き破ってそとに出て、今度は隣の犬がたまたま我が家の庭に遊びに来ていて咥えてくれていたとか?
ユイカ:
つかまり立ちが出来る様になって、近くの公園で知らない人のズボンを握ってにつかまり立ちをして、バランスを崩して勢いよく座り込んだと思ったらズボンを裂いたり...。
ユウダイ:
動物園に行くと毎回動物に囲まれたり...。
それは、水族館でも一緒だったね。
水槽のガラス越しに魚の群れが集中した時はエグかったね。
アキラ:
サファリーパークに行くと、リンが声を出すと動物が一気に集まって来て、車のタイヤがパンクして、車が動かなくなったうえに、動物に囲まれた時は1番怖かったよ。
ドラしゃん:
...そっ...それは、さすがに...。
ユイカ:
歩ける様になると、静かに消えるから毎回外に出かける時は大変だったわ。
でも、たいがい動物が集まっている所に行くと、必ずリンがいるのよね。
ユウダイ:
そうだね。それもあって、はぐれても探しやすかったよね。
ユイカ:
誘拐されそうになった時も、犯人は犬や猫、鳥から攻撃されていて、ボロボロにされていたわよね。
駆けつけた警官に泣いて縋ってたわ。
かんじんのリンはニコニコ顔で、動物に囲まれてるし。
ユウダイ:
そう考えると、この世界では動物の代わりが魔法なんだろうか?
アキラ:
でも、リンの事だからこの世界でもモテモテ体質はかわらないよ。
ドラしゃん:
そうですね。
しかし、ここまで聞きますと少し嫌な予感が...
ユイカ・ユウダイ:
やっぱり?
ドラしゃん:
できれば、予感ですめば...
アキラ:
それは、次回のお楽しみだね^ ^
離れた場所にいた、ドラしゃん達も私の異常事態に気付いて慌ててこちらに向かって来ようとしたが、何者かによって止められたようで離れた所で怒っている。
ドラしゃん達の前には、オリジンと一緒に見た事のない人?が3名??立っていた。
(いつの間に?!!)
ドラしゃんは、彼らをみて顔色がますます悪くなっていく。
そんなドラしゃんの状態を見て、他の皆はドラしゃんから一歩半後ろに下がり様子を伺いだす。
(本能的に巻き添えをくわないようにってやっだね。)
あのドラしゃんでさえ、顔色を失う相手が居るとは...。
皆は私の事も気になるが、目の前に現れた存在も気になり、身動きが取れない状態になる。
私はそんな皆の状況にはお構いなく、自分の周りが光っている事が不安で、助けを求めた。
「どうしよう...だれか...ドラしゃん...たすけて...。」
半泣き状態になった私に、ドラしゃんが声をかけようとしたら、代わりにオリジンが声をかけて来た。
『主人よ。素晴らしいですね。
それは、"魔力法陣"と言ってそれが出現している場所に"精霊のオアシス"と呼ばれる"精霊の住処"を人工的に作る事が出来るのですよ。こんな現象は滅多と拝めませんよ。
"魔力法陣"が消える前に、主人が望む"精霊の住処"を思い描いて下さい。
すれば、望んだ通りのモノが作られますよ。』
そう言って、笑顔で語るオリジン。
その言葉には、私を含めその場にいた皆が驚く。
本当に私がつくれるなんて...。
その場に居る誰もが思った。
しかし、いきなりの事で私は困ってしまった。
思い描けって言われても、わからなかった。
すると離れた場所からお兄ちゃんがアドバイスを。
「リン!この前お母さんが読んでくれた絵本みたいなのは?!リンならできるよ!」
お兄ちゃんは、そう言って私を励ましてくれた。
お兄ちゃんの言葉を聞いて、お母さんが読んでくれた〈妖精の国〉と言う絵本を思いだす。
絵本に描かれていた世界を思い浮かべていく。
すると、足元の光の輝きが増していき、範囲も広がって行く。
あまりの眩しさに目を閉じてしまう私。
すると...。
『主人よ。目を開けてくださらんか?素敵な場所ができてますよ。』
目を閉じていた私に、オリジンが優しく声をかけてくる。
恐る恐る目を開けると目の前には、オリジンと見たことのない人?が笑顔で私を見つめていた。
そして...わぁーい♪と言いたくなる様な素敵な空間が広がっていたのだ。
以前読んでもらった絵本の世界がそのまま目の前に広がっている。
しかもあの魔法陣が広がっていた場所のみに作られているのだからすごい!!
『凄いですわ。あんな一瞬でこれだけのものを作り上げるなんて。オリジンや他の子達が契約を結ぶのもわかるわ。』
『確かに。コレは、野放しにしておくのは危険。しかし、なんと心地よい魔力なんだろうか....。』
『ヘェ~。可愛いね。オイラは気に入ったよ。もちろん皆もだよね?』
私が作り上げた、"精霊の住処"の中で楽しそうにすごく精霊さん達を見て、惚けている私に対して、彼らは口々に呟きだす。
そして、再び私はオリジンに声をかけてくる。
『主人よ。見惚れているところ悪いね。
主人に紹介するよ。コイツらは、私と同じ【大聖霊】兼【神】みたいな存在の連中だよ。
キラキラした髪の見た目は美人だけど、腹黒の【光の大聖霊 ルナミス】。
黒髪のロングヘアーの上に、全身を黒や紫の辛気臭い色合いで居るのが【闇の大聖霊 シャドウ】。
キンキンでツンツン頭の知恵が足りなさそうなのが【雷の大聖霊 ボルト】。
主人の話をしたら、会いたいって言うから連れて来てみたよ。』
満面の笑顔でそう話すオリジン。
それとは裏腹に、他の3人は何かお怒りモードぽい感じが...。
しかも、離れた場所で様子を見ていたドラしゃんや他の皆にも、オリジンの言葉は聞こえているのだろう...。
そのせいか、ドラしゃんは胃を押さえてその場に座り込むし、他の人達は口を大きく開けて石像化していた。
私はオリジンとその側にいる3人を見つめる。
とりあえずにっこり笑顔を向けてみると...。
3人が悶えだす。
それを見て、ドラしゃんがさらに胃のあたりを抑えて悶える。
私はどうしたらいいのか分からず困っていると...。
『私決めたわ!貴女と契約するわ!こんな可愛い子が主人なんて...ふふふふっ。
これからよろしくね。
私は【光の大聖霊 ルナミス】よろしくね。』
『私も貴殿と契約をさせて頂きたい。
【闇の大聖霊 シャドウ】よしなにお頼み申す。』
『めっちゃくちゃ可愛いね!ますます気に入ったよ。オイラは、【雷の大聖霊 ボルト】だよ。よろしくね。』
そう3人に言われたと同時に、私の腕輪がまたまた変化しだす。
デザインも大幅に変わり、めちゃくちゃオシャレなものに。宝珠も増えてますます華やかなものに変わった。
これで、ほぼ全ての【大聖霊】と契約してしまったことになる。
どうしたものかと思っていたら、オリジンからとんでもない発言が飛び出す。
『そうそう。君達がこの世界に来た影響で、新しい精霊や大聖霊が増えてるからね。多分、君と君の兄の魔力の影響だろうね。
もう少ししたら、私達の魔力を感知して、ここにやってくるはずだよ。
契約を結ぶのは君達次第だ。
頑張るんだよ。
あと、この"聖域"には、限られた人しか入る事が出来ないようになってるから、安心してくれたまえ。』
と言うと、オリジンは音もなく姿を消した。
もちろん一緒にいた3人もだ。
色々一気に起きて、言われて私の頭はパンク寸前だった。
気が抜けて、その場にしゃがみ込むと蹲っていたドラしゃんが駆け寄って来た。
『お嬢様!大丈夫ですか?!』
私はドラしゃんに支えられて、腕の中へ。
私はドラしゃんの服を掴んで、
「ドラしゃん。もうむり。」
と言うと意識を手放した。
私のキャパがオーバーヒートを起こしてしまったのだ。
私が気絶すると、固まっていた人達も駆け寄ってくる。
そして、出来立てほやほやの"聖域"にはお兄ちゃんしか入れず、他の人達は見えない壁にぶつかってしまい、それ以上進めないようになっていた。
どうやら"聖域"に入れる者は、私とお兄ちゃんのみとなっているようだ。
ただ、今は私を助けるという名目でドラしゃんも入れるようになってはいるみたいだけどね。
このままでは、まずいと感じたドラしゃんは、お兄ちゃんを呼び寄せて私とお兄ちゃんを連れてその場から離れる。
そして、私をルミばぁーちゃんに預けると、ムキじぃーちゃんとロドじぃーちゃん、ドムじぃーちゃんに声をかけた。
『お嬢様が、"精霊の聖域"を完成させたようですが、どうやら他にも寄って来るようなので、このままにして置くのは危険です。
"聖域"自体には、限られた人しか入れない様にはなってますが、このまま一気に仮の城を建ててこの場を隠します。
よろしいですね。
多少キツイかと思いますが、私も手伝いますので死ぬ気で踏ん張ってください。
細かい部分は、後日修正するとして外観だけでも作っておきますよ。』
ドラしゃんの言葉に、ムキじぃーちゃん、ロドじぃーちゃん、ドムじぃーちゃんは、呆けた顔から引き締まった真面目な顔付きに変わる。
そして、"精霊の聖域"をかくする様に仮のお城を建てていった。
外観は、ウォルト国の城を縮小した感じのものにした。
あくまでも仮なので、見知った城を活用したようだ。
"精霊の聖域"をお城の外壁で覆い隠していく。
違和感なくなんとか、即興だが建てることができた。
さすがの4人でも、バテバテだった。
「やるじゃないかい。ハリボテ感が否めないけど、応急処置にはなってるじゃないかい。」
バテバテの4人にそうルミばぁーちゃんが声をかけた。
「ウルセェ~。いいんだよ。どえせ、後日しっかり作り直すんだからよ。」
「そぅだぜ。ようはアレを隠せばいいんだろ?」
「キツかったぜ。美味い酒と飯が欲しいわぁ~。」
『こんなものでしょう。これで、目隠しにはなるでしょう。
後日改めて、城に関しては改築すればいいでしょう。』
私の家の裏に、突如お城が建築された。
応急処置としても、違和感しか感じない空間の様な気もするが、明日から少しずつ建物の配置を変えたり、改装したりするのでヨシとなった。
「では、リンも気を失っている事だし、アイツらもいい加減に、目を覚ましているだろうから、ギルドに帰るよ。」
ルミばぁーちゃんの号令で、それぞれ頷きギルドへ戻る事にした。
「私らはこれに...いつになったら慣れるんだろうか...。」
「わかりません。...でも慣れるしかないんでしょうね。」
私達と付き合いの長いルミばぁーちゃん達は、驚きもするが慣れもあり切り返しが早いが、カブさん達や後から来た冒険者達は、この慌ただしさに慣れておらず、気持ちの切り替えや頭の切り替えかわ上手くいかないようす。
その為、ルミばぁーちゃん達との対応に自然と差が出てくるのだ。
その為か思わずあの呟きが漏れてしまうのだった。
困惑しながらも、ルミばぁーちゃん達の後ろをぞろぞろ歩く彼らに、ウォルト国の王様が一言声をかける。
「大丈夫だぜ。慣れてくるから。」
元自分達の国の王様からそう言われ、ただ頷くしか出来なかった彼ら。
"精霊の聖域"の作成や新たな【大聖霊】とも契約を完了して、力尽きて気を失った私。
私が気を失っている間に、ドラしゃん達で、仮のお城を作成してくれていた。
そのおかげで、我が作った"精霊の聖域"が綺麗に隠されたので現場を目撃した人以外には何があるか分からないようになっている。
いつ誰が来るかわからない所なので、仮でもお城で隠すのに越した事はなかった。
仮のお城が完成した後、皆でギルドに戻ると、目覚めたお父さんとお母さんが外で待っていた。
私達の姿が見えると、お父さんとお母さんが駆け足で駆け寄ってくる。
何かを言おうとしたが、ルミばぁーちゃんの腕の中でグタッとしている私の姿を見て、お母さんとお父さんは大慌て。
言おうとしていた言葉も忘れて、私の介抱に回る。
先程まで、お父さんとお母さんが休んでいた部屋に今度は私が寝るはめに。
医学の知識のあるセバしゃんの見立てでは、〈知恵熱〉と診断された。
『いきなりたくさんの事が起こりましたから、疲れたのでしょう。
ゆっくり休んでいたら落ち着きます。』
セバしゃんの言葉に安心したものの、すぐにお母さんは皆に声をかけた。
「ねぇ?リンがここまでなる"たくさんの事"が気になるの。教えてくださる?」
お母さんの低い声と、恐ろしさを秘めた笑顔のコンボに、その場にいた全員が無言で頷く。
しかも、全員何故か地べたに座って、姿勢を正していたのだ。
そして、お父さん達が休んでいる間に何があったか、全て正直に話したのだった。
皆から話を聞いて、お父さんとお母さんは唖然とするしかなかった。
今までも色々突拍子もない事ばかりで、免疫はできていたと思っていたが、今回の件は更に強烈なものだったようだ。
しかし、実際に起きた事のため認めるしかなかった。
【大聖霊】が増えた事。
《精霊の聖域》が作られた事。
しかも、私の手によってだ。
段々と、自分達の子供が規格外になりつつある事に、お父さんとお母さんは不安になってきた。
そして、思わずドラしゃん達に質問した。
「一つ聞いてもいいかしら?
前から思っていたけど...異世界からきた子供はこんな感じなのかしら?」
お母さんが思っていた事は、お父さんも思っていた事でもあったようで、お父さんも頷きながらドラしゃんを見つめる。
どうやら以前より薄々感じていた事でもあったよう。
お母さんの質問には、皆は困惑の表情を浮かべる。
ドラしゃんやロドじぃーちゃん達、異世界から来た人達を知っている人達は特に困惑した様子だった。
お母さんは自分から質問しておいて、少し不安になってきた。
それは、横で答えを待っているお父さんもだ。
そして、長い沈黙の中ドラしゃんが口を開いた。
『正直に申しますが、皆さんの様な前例が今までないのでわからないのです。
今迄の異世界からの転生や転移者でお嬢様やアキラ様程幼くして来られた方が居ません。
転生はともかく、転移者は大抵の人が10歳以上の年齢で来られてますので...私共でも予想外の事ばかりで、正直な所どうしたものかと思うことばかりです。』
ドラしゃんの回答に、お母さんとお父さんは天を仰いだ。
お兄ちゃんは、不思議そうな顔をしていた。
ロドじぃーちゃんもムキじぃーちゃん達もドラしゃんの言葉には同意の意思を示す。
天を仰いで動かない2人に、今度はセバしゃんが話しかけた。
「かと言って、対応できないわけでもありません。
幼いうちは力のコントロールが上手くいかないのは皆同じです。
王子達も今より幼い頃はよく力を暴走させていました。
城は半壊するし、床は燃えるし...本当に色々ありましたよ。
その度に、私や王でどうにかして来ましたよ。
ですから、お2人に対してもどうにかなるかと...。」
セバしゃんの言葉に、お母さんとお父さんは顔をゆっくり降ろして、期待の眼差しを向ける。
そんな2人に、ドラしゃんが言葉を続けた。
『お嬢様とアキラ様は、王子達より魔力量は桁違いです。
しかし、お二人共素直で素敵なお子様ですので、大丈夫です。
何が起きても、ここにいる皆で協力して解決していけばよいのです。
それに、アキラ様は最近ムキファーより剣術と共に力の使い方も学んでます。
お嬢様は...どうにかなります。
はい。きっとなります。』
半分不安はあるものの、今までもどうにかしてきたからどうにかなるだろう...そう思うしかなかった。
「わかりましたわ。くよくよ悩んでも仕方がないですしね。
で。私達はこれからどうしたらいいのかしら。」
さすが、切り替えの早いお母さん。
さっきまでとは、打って変わって表情も雰囲気も落ち着きを取り戻し、次の対応に切り替えたのだ。
これには、皆も関心した。
お母さんの言葉に、今度はドムじぃーちゃんが答えた。
「この国のシンボルとなるお城は、仮だが作ってある。
あとは、細かな修整と頑丈に仕上げるのが残っている。
それと、家の配置と外壁や見張り台等細々したものが残っているな。
しかし、それが出来る手がすくないんだなぁ...。
俺はともかく、ムキファーとロドムカ、ユウダイとユイカ以外に建築系か、せめて土魔法系が得意な奴が居たら助かるんだが...。」
そう呟くドムじぃーちゃん。
いままでは、街と言っても規模が小さめだったのでドムじぃーちゃんやロドじぃーちゃんなど少数の人の力でもどうにかできて来たが、今回は規模がデカすぎて流石に無理ゲーすぎるのだった。
ドムじぃーちゃんの言葉に、また静まり返ったギルド会議室内。
すると、思わぬ人物から声が上がった。
「俺...少しなら土魔法使える。しかし、畑作業にしか使った事ないから、どこまでできるかはわからないぞ。」
そう言ったのは、ホイさんだった。
「それなら、俺も使えるぞ。俺も畑作業にしか使った事がないから自信はないが...。」
そう答えたのは、ココさんだ。
その他にも、そのぐらいだったらといって声を上げたのが、ヤカさん、ココヤさんだった。
あとは...。
「土魔法系でも、攻撃魔法しか最近使った事がないからわからんが、助けになるなら...」
と言って、ララフィムさん、マプマさん、ココマさんが名乗りを上げたのだった。
皆んな建築関係には縁がない人だけど、土魔法は使えるとの事。
使える内容や質はそれぞれ異なるが、全く使えないより助けにはなる。
次々と名乗りを上げてくれたおかげで、ドムじぃーちゃんは、嬉しそうだった。
「まだ少ないが、これだけ土魔法が使える奴がいるなら助かるわ。
明日からの作業手伝ってもらうぞ。」
ドムじぃーちゃんがそう言うと、分かりましたと口々に答えた。
「他の連中は、できる事でサポートするんだよ。飯炊や素材運びなんかもあるんだから。
あと、ギルドの連中は外との繋ぎを引き続きしてもらうよ。
どんな事でもいい。情報を集めたり、新しい繋ぎも作って行っておくれよ。」
ルミばぁーちゃんが、他のメンバーにそう声をかけた。
一応明日からの段取りは、ほぼ決まりつつあった。
しかし、お母さんとお父さん。
そして、いつメンからはただならぬ不安感が何故か拭えなかった。
絶対何か、まだ起きる気がして仕方がなかったのだった。
これが、ただの不安感だけで終えて欲しいが、そうならないのが...。
なるべくそれが、現実化しない様に誰も口しなかった。
もちろん顔にも出さなかった。
しかし、そんな努力も虚しく...その不安感は着実に現実化して行っていたのだった...。
ユイカ:
私達が休んでいる間に...はぁー。
なんで、いつもこう...トラブルを起こすのかしら?
ユウダイ:
以前はそんな事なかった気がする?...?
いや待てよ?
以前にもこんな事あった気が...するのは気のせいか?
アキラ:
前にもあった気がするよ?
ほら、リンが寝返りが打てる様になった頃だよ。
ユイカ:
あっ!そうよ!あの時、確か部屋の空気の入れ替えをしようと思って、網戸にしてたら勢いよく寝返りをしたリンが、網戸の網を突き破って外に出て、落ちたのを庭で見守っていた野良猫達がクッションになってくれた事があったわ!
ユウダイ:
あったね!
あれは、網がボロボロになってて、張り替えをするの忘れていた私がいけなかったんだけど...。
アキラ:
リン、怪我一つしてなかったんだよね。
しかも、猫の鳴き声で気付いたんだっけ?
ユイカ:
そうよ。アキラはトイレにいて、私も台所でご飯の準備してた時だからね。
ユウダイ:
そう考えると...リンはあまり変わってない気がするのは私だけかなぁ?
ユイカ・アキラ:
...。
ドラしゃん:
お嬢様は、そんな事をされていたのですか?
他に武勇伝はございますか?
アキラ:
あとは、ハイハイする様になって、また網を突き破ってそとに出て、今度は隣の犬がたまたま我が家の庭に遊びに来ていて咥えてくれていたとか?
ユイカ:
つかまり立ちが出来る様になって、近くの公園で知らない人のズボンを握ってにつかまり立ちをして、バランスを崩して勢いよく座り込んだと思ったらズボンを裂いたり...。
ユウダイ:
動物園に行くと毎回動物に囲まれたり...。
それは、水族館でも一緒だったね。
水槽のガラス越しに魚の群れが集中した時はエグかったね。
アキラ:
サファリーパークに行くと、リンが声を出すと動物が一気に集まって来て、車のタイヤがパンクして、車が動かなくなったうえに、動物に囲まれた時は1番怖かったよ。
ドラしゃん:
...そっ...それは、さすがに...。
ユイカ:
歩ける様になると、静かに消えるから毎回外に出かける時は大変だったわ。
でも、たいがい動物が集まっている所に行くと、必ずリンがいるのよね。
ユウダイ:
そうだね。それもあって、はぐれても探しやすかったよね。
ユイカ:
誘拐されそうになった時も、犯人は犬や猫、鳥から攻撃されていて、ボロボロにされていたわよね。
駆けつけた警官に泣いて縋ってたわ。
かんじんのリンはニコニコ顔で、動物に囲まれてるし。
ユウダイ:
そう考えると、この世界では動物の代わりが魔法なんだろうか?
アキラ:
でも、リンの事だからこの世界でもモテモテ体質はかわらないよ。
ドラしゃん:
そうですね。
しかし、ここまで聞きますと少し嫌な予感が...
ユイカ・ユウダイ:
やっぱり?
ドラしゃん:
できれば、予感ですめば...
アキラ:
それは、次回のお楽しみだね^ ^
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