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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-26 お母さんと料理します
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お父さん達が建物の改修相談をしているのだが...どうせ作業もするだろうと見通して、私とお兄ちゃん、お母さんとセバしゃんとドラしゃんで皆で食べるお昼ご飯の準備をする事にした。
セバしゃんとドラしゃんは、お母さんに頼まれて、足りない材料の調達に行ってもらった。
残った私とお兄ちゃんとお母さんで、手元にある材料で、作れるものから作っていく事にしたのだが...できそうなのが、ホットサンド。
ホットサンドと言っても専用の機械がない。でも、代わりに魔法がある。
お母さんは、お手製の食パンを一斤ずつ、鞄から取り出し見たことない包丁も取り出す。
なんと、パン用の包丁を旅の前にドムじぃーちゃんに作って貰っていたみたいで、新しい包丁で食パンを手早くある程度の幅に切っていく。
しかも、以前の世界で使っていたものと、そっくりだった。
ドムじぃーちゃんの再現力は半端ない。
それ以外の細かい道具はお父さんと一緒に作ったと、お母さんが教えてくれた。
「頭を使う仕事ばかりしてたら、ストレスがね...。休み時間や寝る前に、2人で工房でちょっとね。ふふふっ。」
そう話すお母さん。
しかし、揃えてある道具の数を見ると...ちょっとって言う量ではなかった。
夫婦揃って、元々細かい作業や手作りするのが好きな人達なので、一度作り出すと止まらない。
休み時間は、他の人に迷惑がかかるから、抑制が効くのだろうが、寝る前とかになるとそうもいかないのだろう...。
「一晩ぐらい寝なくても大丈夫よ。
それに、リンやアキラ達が帰ってきた時に、美味しいもの沢山食べさせてあげたいしね。そう思うとついつい、気合が入るのよ。」
そう言いながらも、均等にパンを切っていくお母さん。
さすが、主婦歴が長いだけあって素晴らしい手捌きだ。
【聖獣】達も珍しく、静かにお母さんの周りに集まり、邪魔にならない様にしながらも、食い入る様に見ていた。
それに気付いたお母さんは、笑顔で【聖獣】達に声をかける。
「ふふふっ。そんなに見つめられたら照れるわね。良かったら皆も手伝ってくれるかしら?」
お母さんの言葉に【聖獣】達は、私とお兄ちゃんを見た。
私とお兄ちゃんが頷くと、【聖獣】達はそれぞれ何をしたらいいのかと、お母さんに尋ねだす。
どうやら、自分達も何かしたかった様だ。
「じぁー、ふわふわのわんちゃんの兄妹は、あっちのテーブルにこんな感じのお皿を1皿ずつ並べてくれるかしら?
リスの2人は、そうね...あっ、この木のみと胡桃の殻を割って、実のみをこちらの容器に分けて貰えるかしら?
皮は、この袋に入れてね。
じぁー、火を使える子は後で手伝ってもらえるかしら?
終わったら声をかけてね。
他の子は、後でしてもらう事がたくさん出てくるから待ってもらえるかしら?」
お母さんの言葉に皆素直に頷き、役割を振られた子は、それぞれの役割をこなしていく。
魔法も使いながら、器用にこなして行く。
そんな【聖獣】達の姿を見て、私とお兄ちゃんは居ても立っても居られなくなり、何かできる事はないかと、お母さんをせっついた。
「あら?珍しいわね。そんなにやる気に満ちてるなんて...。なら、アキラは、パンの耳をこの小型のパン用ナイフで取ってくれるかしら?
リンは、お兄ちゃんが切り落とした、パンの耳をこの容器に集めてくれる?
パンの耳も後で、使うから頼んだわよ。」
お母さんに頼まれて私とお兄ちゃんは、張り切って作業に取り掛かる。
お母さんは均等に切った食パンを、私とお兄ちゃんが作業しやすい様に、低めの机に置いてくれた。
そして、まな板とナイフ。そして、容器も用意してくれた。
「じぁー頼んだわよ。怪我には気をつけてね。決して、ふざけたりしないでね?
リンは、この容器に、お兄ちゃんが切ったパンの耳を並べて置いてね。
いっぱいになったら、重ねてくれていいからね。お願いしたわよ。」
お母さんにそう言われて、私とお兄ちゃんは素直に頷いた。
そしてお兄ちゃんは、お母さんから手渡された小型のナイフでパンの耳を切っていく。
切ったパンの耳はというと、お兄ちゃんが、私が取りやすいようにとまな板の隅に纏めて置いてくれた。
それを、私は容器の隅から順番に並べていった。
【聖獣】達も特に邪魔してくる事なく、私やお兄ちゃん、お母さんの作業を見守っていた。
普段なら、少しの作業でギスアップを申し出るが、私達が作業している間も、【聖獣】達もお母さんも協力して、色々していたので、多少の休みをとりながらも最後まで作業をやり切る事にした。
お母さんは、自分の作業をしながらも横目で私達をちゃんと見ていてくれた。
本来なら、すぐギブアップするのが、なかなかしない。
多少の休みを挟みながらも、私もお兄ちゃんも、文句も言わずに黙々と作業をしているのを見て、お母さんは少し誇らしい様な、寂しい様な顔をしていた。
後日、その事は【聖獣】達に教えてもらったんだけどね。
お母さんに用意してもらった、最初の容器にパンの耳で一杯になった。
しかし、まだ切らないといけないパンはまだあった。
「お母さん。いっぱいになった。」
私がそう言うと、お母さんは新しい容器と交換してくれた。
「ありがとう。リン。アキラ。
上手に切れてるし、並べられてるわ。
2人とも凄いわね。
まだ、沢山残ってるけど...頑張れる?」
お母さんの質問に、私とお兄ちゃんは笑顔で"うん!"と答えた。
「疲れたら、休みながらしてるから大丈夫だよ。」
「リンも!」
私とお兄ちゃんの返事を聞いて、お母さんは微笑んでくれた。
「じぁー無理しないでね。」
そう言って、お母さんは作業に戻って行った。
私とお兄ちゃんは、お互いに励まし合いながら、作業の続きをした。
すると、お母さんに頼まれて足りない物を調達しに行っていた、セバしゃんとドラしゃんが帰ってきた。
セバしゃんは、大量のお肉類を持って。
ドラしゃんは、大量の魚介類を持って、それぞれ帰ってき。
しかも、きちんと直ぐに調理ができるように捌かれていた。
「2人ともありがとうございます。
助かるわ。」
お母さんが、そう言ってドラしゃんとセバしゃんに、空いているテーブルにそれぞれを置く様に伝えた。
「こちら、皮と骨はどうされますか?
内臓類もそれぞれ種類ごとに分けてあります。」
『こちらも、頭と骨と鱗。そして、内臓類も退けてあります。
毒がある物とない物でも、分けてあります。どうされますか?』
セバしゃんとドラしゃんの報告を聞いて、お母さんは一度作業の手を止めて、2人の元へ物を確認しにいく。
そして、内容を確認すると...
「これ、"素材"としてお金になる物ってあります?」
お母さんの質問に、セバしゃんとドラしゃんは一瞬驚きながらも答えてくれた。
「もちろんです。骨も皮も"素材"として活用できます。内臓に関しては、少し難しいですが、ある程度加工すればどうにかなるかと。」
『こちらの、魚介類も鱗や貝殻のほうは"素材"としてかのうです。
内臓も毒を含む物でしたら...。それ以外は、加工次第かと思いますが...。』
ふたりの言葉を聞いて、お母さんがヨシ!と元気に返事する。
「なら、"素材"として活用できるものは、ギルドに卸して貰えるかしら?同盟国にでも売って、お金に変えるか、加工して販売してもいいし。
人が増えたでしょ?特に、子供達が増えたし、これからも移住してくる人が増えるでしょう?
国として、代表の街としての財源の蓄えがあるに越した事がないからね。
お肉なんかも、必要分だけ残して、あとは売っちゃおうか?」
笑顔で話すお母さんに対して、ドラしゃんとセバしゃんは、苦笑いを浮かべる。
「さすが、母親ですね。逞しいです。
そういうところは、ウチの王も見習ってほしいですね。」
『奥様の意向にお任せします。では、必要数を教えて下さい。
腐らないウチに保存して、ギルドへ運びますから。』
セバしゃんとドラしゃんは、お母さんにそう言うと選別してもらい、余った物をドラしゃんが全て自分の魔法鞄に入れて、ロドじぃーちゃん達の居るギルドへ向かって行った。
セバしゃんは残り、私達とご飯のお手伝いをする事に。
"それなら、私が街に行ったのに..."と言う言葉を私とお兄ちゃんは、聞いてしまったが、内緒にしてあげた。
セバしゃんはお母さんに頼まれて、火系と風系魔法が使える【聖獣】達と一緒に、魚介の一部とお肉の一部を焼く作業に任命された。
セバしゃんは、土魔法を使って簡易の竈門を作ってくれた。
そこに、お母さんが持って来ていた、焼き網を設置して、焼いていく。
さぁー、セバしゃんの腕の見せどろこの時間がやって来た。
セバしゃんは、お母さんに頼まれて魚介類とお肉の一部を、焼く作業をする事になった。
普段の仕事と違った事をするので、さすがのセバしゃんも緊張気味だった。
焼き台は、設置完了した。
火起こしも、【聖獣】達が手伝ってくれたのでいつでも焼ける。
さぁー、いざ!!と、構えた時だった。
「ごめん!セバしゃん、コレ渡すの忘れてた!」
お母さんがそう、セバしゃんに声をかけて、ある物を手渡す。
ある物とは...。
???
セバしゃんは、お母さんから手渡された物を見ながら首を傾げる。
「あっ、あのう...。コレは?...??」
セバしゃんの反応とは、真反対な反応で返事するお母さん。
「調味料よ?塩、胡椒、黒胡椒、岩塩に...あとは、ニンニクペッパー、生姜パウダーに、七味唐辛子、一味唐辛子もあるわ。味付けも、お願いね!」
満面の笑顔でセバしゃんに言い放ち、自分の持ち場に戻って行くお母さん。
そんなお母さんの後ろ姿を、心細そうに見つめるセバしゃんを、私は見てしまった。
実は、セバしゃん。
料理初心者だったのです。
普段色んなことをそつなくこなすセバしゃんなので、料理ができないなんて、誰も思わない...。
しかも、それを知っているのはほんの一部の人のみ...。
料理以外のことは、万能で何でもこなす事ができるセバしゃん。
が、お城では料理専門の人達が居るので料理が出来なくても困らないのだ。
もちろん、料理以外にも専門の人は居る。
が、あの王様相手に仕事をする際、他の人に任せるより自分がした方が早いし、常に王様を監視できるので、セバしゃんが先陣きって対応していたのだ。
なので、料理はからっきし...。
捌くのは、魔物討伐とかをしていたのでお手の物だが...料理となると...。
今まで、捌くまではしていた。
捌いたら、王様や他の兵士達が調理していたので、セバしゃんは捌くまでだったのだ。
今更それを言い出せなくなったセバしゃん...。
特に、自分が料理ができないことを、ドラしゃんに知られるのだけは嫌だったらしい...。
お母さんから手渡された香辛料を持ったまま、しょんぼりしているセバしゃんを見てしまった私は、自分のしていた作業を手の空いている【聖獣】にお願いして代わってもらった。
もちろんお兄ちゃんには、セバしゃんの手伝いをする事を伝えてだ。
私は心なし、しょんぼりしているセバしゃんの元へ駆け寄って行く。
私に気付いたセバしゃんは、平静を装って声をかけて来た。
「おや?リン様、どうされました?」
セバしゃんの問いかけに、私は悪戯顔で返事した。
「セバしゃん。リンでいいよ?
あのね。わたし、あのさぎょう、あきちゃったの。
でね、あの子たちが、かわりにしてくれるから、私こっちをてつだおうとおもったの。じゃまですか?」
そう私が、悪戯っ子の笑みを浮かべながらセバしゃんに問いかけた。
すると、私の気持ちを察してくれたセバしゃんは、苦笑いしながらも快く返事してくれた。
「これはこれは。直ぐに、飽きるのは困りましたね。
でも、いいでしょう。色んなことを学ぶのも大事ですからね。
私も一緒にしますので、良かったらどうぞ。」
そう言って、私をお肉達が並べられた焼き台の前に連れて行ってくれた。
火はまだついてなかった。
と言うか、火種自体がなかった。
子供である私でも、火を使うのに必要な物が何かぐらいは、お父さん達の作業を見ていて知っていたからね。
私はやれやれと思いながら、目の前で目を輝かせて指示を待つ【聖獣】達に向かって、あるお願いをした。
「みんな、おねがいがあるの。きいてくれる?」
私がそう言うと、【聖獣】達は"良いよ"と、元気よく返事してくれた。
「じぁー、かわいた木の破片をたくさんと、よくもえそうな、はっぱをたくさんもってきてくれる?」
私がそう言うと、【聖獣】達は姿を消して、材料を集めに行ってくれた。
もちろん、手の空いていて聞き耳を立てていた【聖獣】達もだ。
彼らが戻ってくるまでに、私はセバしゃんにお願いして、肉の下準備をする。
「セバしゃんにも、おねがいがあるの。いい?」
私がそう言うと、セバしゃんは"なんなりと"と優雅に返事をしてくれた。
では、遠慮なく。ニヤリ...。
「じぁー、手にもっているものは、空いているテーブルにおいてきて。
そして、あそこにおいてある、"クシ"を持ってきて、ならべてある、お肉に、さして!」
私がそう言うと、セバしゃんはワタワタと動きだす。
お母さんから預かった香辛料をテーブルに一度置き、纏めて置いてあった、お肉用の"クシ"を持ってきた。
「"クシ"は、お肉のしゅるいごとに、きちんと分けてさしてね。
お肉のしゅるいによって、やけるはやさはちがうからね?
大きいお肉は、"クシ"を2本つかうのよ?!
お肉のはしと、はしにさすのよ。
小さいのは、一本のみよ。お肉の中心にさすのよ。」
私は、腰に手を当ててセバしゃんに指導していく。
その姿を、お兄ちゃんとお母さんは、笑いを堪えながら見ていた。
「お母さん、あれって...クックク。」
「そうね。アレは、私の真似かしら?やだわぁー。あんな事言ってたのね。ふふふっ。」
そう。
お父さんにお肉の焼き方を指導する時のお母さんの真似を、そっくりそのまま私は真似ていたのだ。
「リンが、かなり小さい時だったから、覚えてないと思っていたのに...。意外に覚えてるのね...。」
お母さんはそう呟きながら、初めて家族でバーベキューした時の事を思い出していた。
お父さんは、全く料理ができない人ではなかったが、要領が悪く、沢山作る事は苦手だった。
だから、初めてのバーベキューの時には、今のセバしゃんの様に、お母さんに同じ台詞で指導を受けていたのだった。
ちなみに、私はその時0歳9ヶ月だ。
「三つ子の魂百までって言葉あるけど...あながち馬鹿に出来ないわね。」
私とセバしゃんのやりとりを見ながら、お母さんはそんな事をひっそり言っていた。
もちろん、お兄ちゃんもあの光景は覚えていたが、あえて黙っている事にした様だ。
「セバしゃん?クシさせました?
じゃぁ~、次は。お肉に、あじちゅけをします。
さきほどの、ちょうみりょうをもってきてください。」
セバしゃんは、特に文句も言わず、私の言う通りに動いていた。
「あじちゅけをするときは、おとながたべるのと、こどもがたべるのを、ちゃんとはあくして、あしちゅけをするんですよ?」
そう言う私の言葉に、笑いを必死に堪えていたお兄ちゃんもお母さんも、我慢が出来なくなり、爆笑してしまった。
「ひっぃーっ。ちょっ...リン...。やっ、やめなさひぃーっ...。」
「ブハッーーっ。もう...もう無理...。ふっふ、フハハハハっ。ヒィーーーっは。」
急に笑い出した、お兄ちゃんとお母さんの声に、私とセバしゃんは驚いた。
何か面白い事言ったり、したりした?
って感じで、セバしゃんと顔を見て見合わせて首を傾げる。
一通りあ母さんとお兄ちゃんは、笑うと息を切らしながらも話しかけて来た。
「もぅっ...や...ば...い...ひっいぃー...。」
私とセバしゃんは、益々不思議に思えてきた。
涙を拭きながらお母さんが、正直に教えてくれた。
「ごめんない。リンの喋り方とセバしゃんの動きが、あまりにもおかしくって。
なんか、昔の私とお父さんのやり取りを見ている様でね。
セバしゃんは、お料理した事ないんでしょ?
あっ、大丈夫よ。誰にも言ったりしないから。それなら、そうと素直に教えてくれたら良かったのに。
でも、リン。よくわかったわね。」
そう言うと、お母さんは自分の作業の手を止めて、セバしゃんと私の元へ向かってきた。
そして、セバしゃんにお肉の美味しい焼き方と、味付けの仕方や焼き方を説明しだす。
説明が一通り終わる頃には、【聖獣】達もそれぞれ材料を集めて戻って来た。
火起こしをするのに、必要なものが揃い、それぞれ設置していざ実践。
火力の調節は、【聖獣】達にお任せ。
火力を弱め、中火、強火など、こちらが頼むと、いい塩梅に調節してくれる。
焼く作業は、セバしゃんにお任せした。
私は側で見守り隊の役割を。
大きなトラブルもなく、順調にお肉を焼いていく姿を見て、お母さんは自分の持ち場に戻って行った。
元々器用なセバしゃんなので、説明してコツを掴めばもうお手のものだった。
肉の焼き色や匂いで、火加減を【聖獣】達にお願いして調節していた。
私は小声で【聖獣】達に、"あとはお願いね"って伝えて、元々していた作業場へ戻る事にした。
私が戻ってくると、お兄ちゃんが"おかえり"って言ってくれた。
私は、えへへって笑って自分の代わりに作業してくれていた【聖獣】と交代した。
全てのパンの下処理を終わらせると、次の作業へ。
お母さんは、私が容器に敷き詰めたパンの耳を、半分は素揚げに。
もう半分は、フレンチトースト風にして焼いていく。
私とお兄ちゃんはと言うと....。
先程切った食パンに、溶かしたバターを塗る作業と、【聖獣】達がいつのまにかお母さんと共同で下処理した野菜や木のみ類を挟んで行く作業を命じられたのだ。
私がバターを塗って、お兄ちゃんが具を並べて挟む作業をする事に。
「具の内容は、あなた達に任せるわ。
あと少しでお肉も焼けるから、焼けたお肉の一部を切っておくから、それも使ってね。」
と、お母さんが笑顔で指示をだす。
私とお兄ちゃんは、どうにでもなれ!っめ感じで、作業を黙々とこなしていく。
もちろん、【聖獣】達も手伝ってくれたので楽しい作業になった。
3分の1程だろうか?挟み終えた時、ドラしゃんが戻ってきて、作業に合流してくれた。
その前に、ドラしゃんはある物をルミばぁーちゃんから預かって来たと言って、お母さんの方へ。
『こちら、スティールミより預かって来ました。
食事時に使ってくれたら良いからとの事です。』
そう言って、ドラしゃんが渡したのは...なんと、"ジャム"だった。
どつやら、新しく改装?した畑&田んぼの世話をしてくれているカブさん達が、初めて収穫した果物や野菜で作った物だという。
『まず先に、旦那様方に食べて欲しいとの事でもってきたそうですが、あいにくこちらに来てますので...。
そうしましたら、ナナ様方がこの様に加工してくれたそうです。』
それぞれ、木で作られた器に入っていて、中に何が入っているか、蓋に名前を掘ってくれていた。
お母さんは、ドラしゃんに御礼を伝えて、早速私達の元へその容器を持ってくる。
「リン、アキラ。果物のジャムはそのままサンドイッチとして出すから別に避けてね。
野菜で作られたのは、火を通した方が美味しいと思うから、ホットサンド用で一緒にしておいてね。
任せたわよ!街に帰ったら、御礼を言わなくっちゃね。」
私とお兄ちゃんは、笑顔で頷く。
早速、お兄ちゃんがお母さんが持ってきた容器の蓋を1つ開けると、とても美味しそうな匂いがあたり一面に漂う。
早く食べたくなったので、気合を入れ直して目の前の作業を頑張る事に。
何より、ドラしゃんが作業に加わってくれた事により、思っていたより早く作業が進む。
お母さんが、お昼ご飯にと予定にしていた内容プラスに、夕ご飯の下準備まで終わらせてしまったのだから。
その頃には、手伝いをしていた私もお兄ちゃんも、【聖獣】達もお腹ぺこぺこになっていた。
全ての料理を盛り付けまで完了させてから、セバしゃんとドラしゃんで改装作業をしている人達を呼びにいってもらった。
呼びに行ったドラしゃんとセバしゃんは、なぜが皆に担がれて戻って来た。
話を聞くと、ドラしゃんが"お昼ご.."と言った瞬間、皆に担がれて運ばれてきたと、ドラしゃんが担がれたまま教えてくれた。
「おーー!!飯ダァー!!」
「食っていいよなぁー?!」
「いいって言ってクレェーーーー!!」
など、なぜが皆がヨダレをこぼしながら、テーブルに並んでいる食事をみて叫ぶ。
それは、さながら飢えた獣集団だった。
私とお兄ちゃん、【聖獣】達は、互いに身を寄せ合い、我が身を守るが如く、震えながら丸まってしまった。
その状況を見て、さすがのお母さんもドン引きしていた。
「あの....えっ?...バァー...。良いわよ...。どう...!!」
お母さんがどうぞと言い終わる前に、お父さんを含めた改装チームが一斉に、これでもかと言うぐらいの勢いで、お昼ご飯を食べていく。
あんなに...あんなにあった...ご飯達が、まるで掃除機に吸い込まれていく、チリの様に消えていく...。
私とお兄ちゃん達もお腹は空いていたが、あの中に入っていく勇気はなかった。
すると、セバしゃんとドラしゃんが静かに迎えき来てくれ、別の場所に案内してくれた。
そこには、私達が作ったお昼ご飯が。
「こんな事もあろうかと、別に避けてたのよ。
さぁー、私達はここで食べましょう。」
そう言って微笑むお母さん。
私、お兄ちゃん、【聖獣】達は、その時のお昼ご飯を涙を流しながら食べた。
凄く美味しかった...。
私達が食べ終わる頃には、お父さん達は食べ終えて、作業の続きをしにいっていた。
どうやら、今日中に全ての作業を終わらす気なのだろう。
それを察したお母さんは、セバしゃんとドラしゃんに、あるお願いをした。
それは....。
「ふたりにお願いがあるの。片付けと、夕飯の支度は、私とリン。アキラとこの子達でするから、ふたりはお父さん達の方を手伝ってあげて。
下準備は、ほとんど終わってるから大丈夫よ。」
お母さんの言葉に、ドラしゃんもセバしゃんも最初は躊躇していたが、なかなか"うん"と言わないふたりに対して、無言の圧力をかけ続けた結果...ふたりが折れる事に...。
「では、私達はあちらを手伝いに行きますね。本当によろしいので?」
『何かあれば、すぐ呼んでください。駆けつけますので。』
お母さんの無言の圧力に耐えながらも、ふたりはそう言って、渋々お父さん達の元へ向かった。
私達はそんなふたりを見送ったあと、少し休憩をしてから片付けにとりかった。
片付けが終わるとみんなでお昼寝をとり、夕飯前には起きて準備にとりかかった。
夕食が完成したので、呼びに行こうとしたら、皆が集まって来たのにはかなり驚いた。
セバしゃんとドラしゃんも加わり、予定より早く家の改装は完了したそうだ。
その日の夕食は、昼間と違って穏やかに談笑したり、お酒を酌み交わしたりと、楽しい食卓となった。
リン:
お昼ご飯の時...怖かったよねT^T
アキラ:
うんT^T
あれは、怖かった。
ユイカ:
仕方がないわ。
お父さん達は私達の倍、体を動かしてるからね。
リン:
ご飯大事だね。
アキラ:
うん。
仕事のし過ぎも考えものだね。
リン:
私、あんな大人にはなりたくないなぁー。
アキラ:
僕も。
ユイカ:
あら?そうなの?
リン:
うん。
そりゃ~仕事をしている皆んなは、かっこいいよ。
でも...。
アキラ:
そうだね。
仕事している姿は、皆んなかっこいいよ。
あんな大人になりたいって思うよ。
でも...。
ユイカ:
でも?
リン・アキラ:
あんな、獣みたいな大人には、なりたくない!!
ユイカ:
ありゃ~~_~;
そうきましたか...。
アキラ:
下手な魔獣より怖かったよT^T
リン:
夢に出たらどうしようT^T
ユイカ:
2人と...泣かないのよ~_~;
ドラしゃん:
大丈夫ですよ。
私が後ほどお仕置きをしておきますから^ ^
セバしゃん:
それに関しては、同感だな。
よし。私も協力しよう。
ユイカ:
えっ!!(OvO)
ドラしゃん:
お嬢様達を泣かせた罪は償ってもらいます。
セバしゃん:
そうですね。
それに、協力して作った料理を...あんなむさ苦しい食べ方されるのは、我慢ならないので。
セバ・ドラしゃん:
では、行ってまいります!
ユイカ:
ちょっと!
死なない程度でお願いしますよぉーーー!
セバしゃんとドラしゃんは、お母さんに頼まれて、足りない材料の調達に行ってもらった。
残った私とお兄ちゃんとお母さんで、手元にある材料で、作れるものから作っていく事にしたのだが...できそうなのが、ホットサンド。
ホットサンドと言っても専用の機械がない。でも、代わりに魔法がある。
お母さんは、お手製の食パンを一斤ずつ、鞄から取り出し見たことない包丁も取り出す。
なんと、パン用の包丁を旅の前にドムじぃーちゃんに作って貰っていたみたいで、新しい包丁で食パンを手早くある程度の幅に切っていく。
しかも、以前の世界で使っていたものと、そっくりだった。
ドムじぃーちゃんの再現力は半端ない。
それ以外の細かい道具はお父さんと一緒に作ったと、お母さんが教えてくれた。
「頭を使う仕事ばかりしてたら、ストレスがね...。休み時間や寝る前に、2人で工房でちょっとね。ふふふっ。」
そう話すお母さん。
しかし、揃えてある道具の数を見ると...ちょっとって言う量ではなかった。
夫婦揃って、元々細かい作業や手作りするのが好きな人達なので、一度作り出すと止まらない。
休み時間は、他の人に迷惑がかかるから、抑制が効くのだろうが、寝る前とかになるとそうもいかないのだろう...。
「一晩ぐらい寝なくても大丈夫よ。
それに、リンやアキラ達が帰ってきた時に、美味しいもの沢山食べさせてあげたいしね。そう思うとついつい、気合が入るのよ。」
そう言いながらも、均等にパンを切っていくお母さん。
さすが、主婦歴が長いだけあって素晴らしい手捌きだ。
【聖獣】達も珍しく、静かにお母さんの周りに集まり、邪魔にならない様にしながらも、食い入る様に見ていた。
それに気付いたお母さんは、笑顔で【聖獣】達に声をかける。
「ふふふっ。そんなに見つめられたら照れるわね。良かったら皆も手伝ってくれるかしら?」
お母さんの言葉に【聖獣】達は、私とお兄ちゃんを見た。
私とお兄ちゃんが頷くと、【聖獣】達はそれぞれ何をしたらいいのかと、お母さんに尋ねだす。
どうやら、自分達も何かしたかった様だ。
「じぁー、ふわふわのわんちゃんの兄妹は、あっちのテーブルにこんな感じのお皿を1皿ずつ並べてくれるかしら?
リスの2人は、そうね...あっ、この木のみと胡桃の殻を割って、実のみをこちらの容器に分けて貰えるかしら?
皮は、この袋に入れてね。
じぁー、火を使える子は後で手伝ってもらえるかしら?
終わったら声をかけてね。
他の子は、後でしてもらう事がたくさん出てくるから待ってもらえるかしら?」
お母さんの言葉に皆素直に頷き、役割を振られた子は、それぞれの役割をこなしていく。
魔法も使いながら、器用にこなして行く。
そんな【聖獣】達の姿を見て、私とお兄ちゃんは居ても立っても居られなくなり、何かできる事はないかと、お母さんをせっついた。
「あら?珍しいわね。そんなにやる気に満ちてるなんて...。なら、アキラは、パンの耳をこの小型のパン用ナイフで取ってくれるかしら?
リンは、お兄ちゃんが切り落とした、パンの耳をこの容器に集めてくれる?
パンの耳も後で、使うから頼んだわよ。」
お母さんに頼まれて私とお兄ちゃんは、張り切って作業に取り掛かる。
お母さんは均等に切った食パンを、私とお兄ちゃんが作業しやすい様に、低めの机に置いてくれた。
そして、まな板とナイフ。そして、容器も用意してくれた。
「じぁー頼んだわよ。怪我には気をつけてね。決して、ふざけたりしないでね?
リンは、この容器に、お兄ちゃんが切ったパンの耳を並べて置いてね。
いっぱいになったら、重ねてくれていいからね。お願いしたわよ。」
お母さんにそう言われて、私とお兄ちゃんは素直に頷いた。
そしてお兄ちゃんは、お母さんから手渡された小型のナイフでパンの耳を切っていく。
切ったパンの耳はというと、お兄ちゃんが、私が取りやすいようにとまな板の隅に纏めて置いてくれた。
それを、私は容器の隅から順番に並べていった。
【聖獣】達も特に邪魔してくる事なく、私やお兄ちゃん、お母さんの作業を見守っていた。
普段なら、少しの作業でギスアップを申し出るが、私達が作業している間も、【聖獣】達もお母さんも協力して、色々していたので、多少の休みをとりながらも最後まで作業をやり切る事にした。
お母さんは、自分の作業をしながらも横目で私達をちゃんと見ていてくれた。
本来なら、すぐギブアップするのが、なかなかしない。
多少の休みを挟みながらも、私もお兄ちゃんも、文句も言わずに黙々と作業をしているのを見て、お母さんは少し誇らしい様な、寂しい様な顔をしていた。
後日、その事は【聖獣】達に教えてもらったんだけどね。
お母さんに用意してもらった、最初の容器にパンの耳で一杯になった。
しかし、まだ切らないといけないパンはまだあった。
「お母さん。いっぱいになった。」
私がそう言うと、お母さんは新しい容器と交換してくれた。
「ありがとう。リン。アキラ。
上手に切れてるし、並べられてるわ。
2人とも凄いわね。
まだ、沢山残ってるけど...頑張れる?」
お母さんの質問に、私とお兄ちゃんは笑顔で"うん!"と答えた。
「疲れたら、休みながらしてるから大丈夫だよ。」
「リンも!」
私とお兄ちゃんの返事を聞いて、お母さんは微笑んでくれた。
「じぁー無理しないでね。」
そう言って、お母さんは作業に戻って行った。
私とお兄ちゃんは、お互いに励まし合いながら、作業の続きをした。
すると、お母さんに頼まれて足りない物を調達しに行っていた、セバしゃんとドラしゃんが帰ってきた。
セバしゃんは、大量のお肉類を持って。
ドラしゃんは、大量の魚介類を持って、それぞれ帰ってき。
しかも、きちんと直ぐに調理ができるように捌かれていた。
「2人ともありがとうございます。
助かるわ。」
お母さんが、そう言ってドラしゃんとセバしゃんに、空いているテーブルにそれぞれを置く様に伝えた。
「こちら、皮と骨はどうされますか?
内臓類もそれぞれ種類ごとに分けてあります。」
『こちらも、頭と骨と鱗。そして、内臓類も退けてあります。
毒がある物とない物でも、分けてあります。どうされますか?』
セバしゃんとドラしゃんの報告を聞いて、お母さんは一度作業の手を止めて、2人の元へ物を確認しにいく。
そして、内容を確認すると...
「これ、"素材"としてお金になる物ってあります?」
お母さんの質問に、セバしゃんとドラしゃんは一瞬驚きながらも答えてくれた。
「もちろんです。骨も皮も"素材"として活用できます。内臓に関しては、少し難しいですが、ある程度加工すればどうにかなるかと。」
『こちらの、魚介類も鱗や貝殻のほうは"素材"としてかのうです。
内臓も毒を含む物でしたら...。それ以外は、加工次第かと思いますが...。』
ふたりの言葉を聞いて、お母さんがヨシ!と元気に返事する。
「なら、"素材"として活用できるものは、ギルドに卸して貰えるかしら?同盟国にでも売って、お金に変えるか、加工して販売してもいいし。
人が増えたでしょ?特に、子供達が増えたし、これからも移住してくる人が増えるでしょう?
国として、代表の街としての財源の蓄えがあるに越した事がないからね。
お肉なんかも、必要分だけ残して、あとは売っちゃおうか?」
笑顔で話すお母さんに対して、ドラしゃんとセバしゃんは、苦笑いを浮かべる。
「さすが、母親ですね。逞しいです。
そういうところは、ウチの王も見習ってほしいですね。」
『奥様の意向にお任せします。では、必要数を教えて下さい。
腐らないウチに保存して、ギルドへ運びますから。』
セバしゃんとドラしゃんは、お母さんにそう言うと選別してもらい、余った物をドラしゃんが全て自分の魔法鞄に入れて、ロドじぃーちゃん達の居るギルドへ向かって行った。
セバしゃんは残り、私達とご飯のお手伝いをする事に。
"それなら、私が街に行ったのに..."と言う言葉を私とお兄ちゃんは、聞いてしまったが、内緒にしてあげた。
セバしゃんはお母さんに頼まれて、火系と風系魔法が使える【聖獣】達と一緒に、魚介の一部とお肉の一部を焼く作業に任命された。
セバしゃんは、土魔法を使って簡易の竈門を作ってくれた。
そこに、お母さんが持って来ていた、焼き網を設置して、焼いていく。
さぁー、セバしゃんの腕の見せどろこの時間がやって来た。
セバしゃんは、お母さんに頼まれて魚介類とお肉の一部を、焼く作業をする事になった。
普段の仕事と違った事をするので、さすがのセバしゃんも緊張気味だった。
焼き台は、設置完了した。
火起こしも、【聖獣】達が手伝ってくれたのでいつでも焼ける。
さぁー、いざ!!と、構えた時だった。
「ごめん!セバしゃん、コレ渡すの忘れてた!」
お母さんがそう、セバしゃんに声をかけて、ある物を手渡す。
ある物とは...。
???
セバしゃんは、お母さんから手渡された物を見ながら首を傾げる。
「あっ、あのう...。コレは?...??」
セバしゃんの反応とは、真反対な反応で返事するお母さん。
「調味料よ?塩、胡椒、黒胡椒、岩塩に...あとは、ニンニクペッパー、生姜パウダーに、七味唐辛子、一味唐辛子もあるわ。味付けも、お願いね!」
満面の笑顔でセバしゃんに言い放ち、自分の持ち場に戻って行くお母さん。
そんなお母さんの後ろ姿を、心細そうに見つめるセバしゃんを、私は見てしまった。
実は、セバしゃん。
料理初心者だったのです。
普段色んなことをそつなくこなすセバしゃんなので、料理ができないなんて、誰も思わない...。
しかも、それを知っているのはほんの一部の人のみ...。
料理以外のことは、万能で何でもこなす事ができるセバしゃん。
が、お城では料理専門の人達が居るので料理が出来なくても困らないのだ。
もちろん、料理以外にも専門の人は居る。
が、あの王様相手に仕事をする際、他の人に任せるより自分がした方が早いし、常に王様を監視できるので、セバしゃんが先陣きって対応していたのだ。
なので、料理はからっきし...。
捌くのは、魔物討伐とかをしていたのでお手の物だが...料理となると...。
今まで、捌くまではしていた。
捌いたら、王様や他の兵士達が調理していたので、セバしゃんは捌くまでだったのだ。
今更それを言い出せなくなったセバしゃん...。
特に、自分が料理ができないことを、ドラしゃんに知られるのだけは嫌だったらしい...。
お母さんから手渡された香辛料を持ったまま、しょんぼりしているセバしゃんを見てしまった私は、自分のしていた作業を手の空いている【聖獣】にお願いして代わってもらった。
もちろんお兄ちゃんには、セバしゃんの手伝いをする事を伝えてだ。
私は心なし、しょんぼりしているセバしゃんの元へ駆け寄って行く。
私に気付いたセバしゃんは、平静を装って声をかけて来た。
「おや?リン様、どうされました?」
セバしゃんの問いかけに、私は悪戯顔で返事した。
「セバしゃん。リンでいいよ?
あのね。わたし、あのさぎょう、あきちゃったの。
でね、あの子たちが、かわりにしてくれるから、私こっちをてつだおうとおもったの。じゃまですか?」
そう私が、悪戯っ子の笑みを浮かべながらセバしゃんに問いかけた。
すると、私の気持ちを察してくれたセバしゃんは、苦笑いしながらも快く返事してくれた。
「これはこれは。直ぐに、飽きるのは困りましたね。
でも、いいでしょう。色んなことを学ぶのも大事ですからね。
私も一緒にしますので、良かったらどうぞ。」
そう言って、私をお肉達が並べられた焼き台の前に連れて行ってくれた。
火はまだついてなかった。
と言うか、火種自体がなかった。
子供である私でも、火を使うのに必要な物が何かぐらいは、お父さん達の作業を見ていて知っていたからね。
私はやれやれと思いながら、目の前で目を輝かせて指示を待つ【聖獣】達に向かって、あるお願いをした。
「みんな、おねがいがあるの。きいてくれる?」
私がそう言うと、【聖獣】達は"良いよ"と、元気よく返事してくれた。
「じぁー、かわいた木の破片をたくさんと、よくもえそうな、はっぱをたくさんもってきてくれる?」
私がそう言うと、【聖獣】達は姿を消して、材料を集めに行ってくれた。
もちろん、手の空いていて聞き耳を立てていた【聖獣】達もだ。
彼らが戻ってくるまでに、私はセバしゃんにお願いして、肉の下準備をする。
「セバしゃんにも、おねがいがあるの。いい?」
私がそう言うと、セバしゃんは"なんなりと"と優雅に返事をしてくれた。
では、遠慮なく。ニヤリ...。
「じぁー、手にもっているものは、空いているテーブルにおいてきて。
そして、あそこにおいてある、"クシ"を持ってきて、ならべてある、お肉に、さして!」
私がそう言うと、セバしゃんはワタワタと動きだす。
お母さんから預かった香辛料をテーブルに一度置き、纏めて置いてあった、お肉用の"クシ"を持ってきた。
「"クシ"は、お肉のしゅるいごとに、きちんと分けてさしてね。
お肉のしゅるいによって、やけるはやさはちがうからね?
大きいお肉は、"クシ"を2本つかうのよ?!
お肉のはしと、はしにさすのよ。
小さいのは、一本のみよ。お肉の中心にさすのよ。」
私は、腰に手を当ててセバしゃんに指導していく。
その姿を、お兄ちゃんとお母さんは、笑いを堪えながら見ていた。
「お母さん、あれって...クックク。」
「そうね。アレは、私の真似かしら?やだわぁー。あんな事言ってたのね。ふふふっ。」
そう。
お父さんにお肉の焼き方を指導する時のお母さんの真似を、そっくりそのまま私は真似ていたのだ。
「リンが、かなり小さい時だったから、覚えてないと思っていたのに...。意外に覚えてるのね...。」
お母さんはそう呟きながら、初めて家族でバーベキューした時の事を思い出していた。
お父さんは、全く料理ができない人ではなかったが、要領が悪く、沢山作る事は苦手だった。
だから、初めてのバーベキューの時には、今のセバしゃんの様に、お母さんに同じ台詞で指導を受けていたのだった。
ちなみに、私はその時0歳9ヶ月だ。
「三つ子の魂百までって言葉あるけど...あながち馬鹿に出来ないわね。」
私とセバしゃんのやりとりを見ながら、お母さんはそんな事をひっそり言っていた。
もちろん、お兄ちゃんもあの光景は覚えていたが、あえて黙っている事にした様だ。
「セバしゃん?クシさせました?
じゃぁ~、次は。お肉に、あじちゅけをします。
さきほどの、ちょうみりょうをもってきてください。」
セバしゃんは、特に文句も言わず、私の言う通りに動いていた。
「あじちゅけをするときは、おとながたべるのと、こどもがたべるのを、ちゃんとはあくして、あしちゅけをするんですよ?」
そう言う私の言葉に、笑いを必死に堪えていたお兄ちゃんもお母さんも、我慢が出来なくなり、爆笑してしまった。
「ひっぃーっ。ちょっ...リン...。やっ、やめなさひぃーっ...。」
「ブハッーーっ。もう...もう無理...。ふっふ、フハハハハっ。ヒィーーーっは。」
急に笑い出した、お兄ちゃんとお母さんの声に、私とセバしゃんは驚いた。
何か面白い事言ったり、したりした?
って感じで、セバしゃんと顔を見て見合わせて首を傾げる。
一通りあ母さんとお兄ちゃんは、笑うと息を切らしながらも話しかけて来た。
「もぅっ...や...ば...い...ひっいぃー...。」
私とセバしゃんは、益々不思議に思えてきた。
涙を拭きながらお母さんが、正直に教えてくれた。
「ごめんない。リンの喋り方とセバしゃんの動きが、あまりにもおかしくって。
なんか、昔の私とお父さんのやり取りを見ている様でね。
セバしゃんは、お料理した事ないんでしょ?
あっ、大丈夫よ。誰にも言ったりしないから。それなら、そうと素直に教えてくれたら良かったのに。
でも、リン。よくわかったわね。」
そう言うと、お母さんは自分の作業の手を止めて、セバしゃんと私の元へ向かってきた。
そして、セバしゃんにお肉の美味しい焼き方と、味付けの仕方や焼き方を説明しだす。
説明が一通り終わる頃には、【聖獣】達もそれぞれ材料を集めて戻って来た。
火起こしをするのに、必要なものが揃い、それぞれ設置していざ実践。
火力の調節は、【聖獣】達にお任せ。
火力を弱め、中火、強火など、こちらが頼むと、いい塩梅に調節してくれる。
焼く作業は、セバしゃんにお任せした。
私は側で見守り隊の役割を。
大きなトラブルもなく、順調にお肉を焼いていく姿を見て、お母さんは自分の持ち場に戻って行った。
元々器用なセバしゃんなので、説明してコツを掴めばもうお手のものだった。
肉の焼き色や匂いで、火加減を【聖獣】達にお願いして調節していた。
私は小声で【聖獣】達に、"あとはお願いね"って伝えて、元々していた作業場へ戻る事にした。
私が戻ってくると、お兄ちゃんが"おかえり"って言ってくれた。
私は、えへへって笑って自分の代わりに作業してくれていた【聖獣】と交代した。
全てのパンの下処理を終わらせると、次の作業へ。
お母さんは、私が容器に敷き詰めたパンの耳を、半分は素揚げに。
もう半分は、フレンチトースト風にして焼いていく。
私とお兄ちゃんはと言うと....。
先程切った食パンに、溶かしたバターを塗る作業と、【聖獣】達がいつのまにかお母さんと共同で下処理した野菜や木のみ類を挟んで行く作業を命じられたのだ。
私がバターを塗って、お兄ちゃんが具を並べて挟む作業をする事に。
「具の内容は、あなた達に任せるわ。
あと少しでお肉も焼けるから、焼けたお肉の一部を切っておくから、それも使ってね。」
と、お母さんが笑顔で指示をだす。
私とお兄ちゃんは、どうにでもなれ!っめ感じで、作業を黙々とこなしていく。
もちろん、【聖獣】達も手伝ってくれたので楽しい作業になった。
3分の1程だろうか?挟み終えた時、ドラしゃんが戻ってきて、作業に合流してくれた。
その前に、ドラしゃんはある物をルミばぁーちゃんから預かって来たと言って、お母さんの方へ。
『こちら、スティールミより預かって来ました。
食事時に使ってくれたら良いからとの事です。』
そう言って、ドラしゃんが渡したのは...なんと、"ジャム"だった。
どつやら、新しく改装?した畑&田んぼの世話をしてくれているカブさん達が、初めて収穫した果物や野菜で作った物だという。
『まず先に、旦那様方に食べて欲しいとの事でもってきたそうですが、あいにくこちらに来てますので...。
そうしましたら、ナナ様方がこの様に加工してくれたそうです。』
それぞれ、木で作られた器に入っていて、中に何が入っているか、蓋に名前を掘ってくれていた。
お母さんは、ドラしゃんに御礼を伝えて、早速私達の元へその容器を持ってくる。
「リン、アキラ。果物のジャムはそのままサンドイッチとして出すから別に避けてね。
野菜で作られたのは、火を通した方が美味しいと思うから、ホットサンド用で一緒にしておいてね。
任せたわよ!街に帰ったら、御礼を言わなくっちゃね。」
私とお兄ちゃんは、笑顔で頷く。
早速、お兄ちゃんがお母さんが持ってきた容器の蓋を1つ開けると、とても美味しそうな匂いがあたり一面に漂う。
早く食べたくなったので、気合を入れ直して目の前の作業を頑張る事に。
何より、ドラしゃんが作業に加わってくれた事により、思っていたより早く作業が進む。
お母さんが、お昼ご飯にと予定にしていた内容プラスに、夕ご飯の下準備まで終わらせてしまったのだから。
その頃には、手伝いをしていた私もお兄ちゃんも、【聖獣】達もお腹ぺこぺこになっていた。
全ての料理を盛り付けまで完了させてから、セバしゃんとドラしゃんで改装作業をしている人達を呼びにいってもらった。
呼びに行ったドラしゃんとセバしゃんは、なぜが皆に担がれて戻って来た。
話を聞くと、ドラしゃんが"お昼ご.."と言った瞬間、皆に担がれて運ばれてきたと、ドラしゃんが担がれたまま教えてくれた。
「おーー!!飯ダァー!!」
「食っていいよなぁー?!」
「いいって言ってクレェーーーー!!」
など、なぜが皆がヨダレをこぼしながら、テーブルに並んでいる食事をみて叫ぶ。
それは、さながら飢えた獣集団だった。
私とお兄ちゃん、【聖獣】達は、互いに身を寄せ合い、我が身を守るが如く、震えながら丸まってしまった。
その状況を見て、さすがのお母さんもドン引きしていた。
「あの....えっ?...バァー...。良いわよ...。どう...!!」
お母さんがどうぞと言い終わる前に、お父さんを含めた改装チームが一斉に、これでもかと言うぐらいの勢いで、お昼ご飯を食べていく。
あんなに...あんなにあった...ご飯達が、まるで掃除機に吸い込まれていく、チリの様に消えていく...。
私とお兄ちゃん達もお腹は空いていたが、あの中に入っていく勇気はなかった。
すると、セバしゃんとドラしゃんが静かに迎えき来てくれ、別の場所に案内してくれた。
そこには、私達が作ったお昼ご飯が。
「こんな事もあろうかと、別に避けてたのよ。
さぁー、私達はここで食べましょう。」
そう言って微笑むお母さん。
私、お兄ちゃん、【聖獣】達は、その時のお昼ご飯を涙を流しながら食べた。
凄く美味しかった...。
私達が食べ終わる頃には、お父さん達は食べ終えて、作業の続きをしにいっていた。
どうやら、今日中に全ての作業を終わらす気なのだろう。
それを察したお母さんは、セバしゃんとドラしゃんに、あるお願いをした。
それは....。
「ふたりにお願いがあるの。片付けと、夕飯の支度は、私とリン。アキラとこの子達でするから、ふたりはお父さん達の方を手伝ってあげて。
下準備は、ほとんど終わってるから大丈夫よ。」
お母さんの言葉に、ドラしゃんもセバしゃんも最初は躊躇していたが、なかなか"うん"と言わないふたりに対して、無言の圧力をかけ続けた結果...ふたりが折れる事に...。
「では、私達はあちらを手伝いに行きますね。本当によろしいので?」
『何かあれば、すぐ呼んでください。駆けつけますので。』
お母さんの無言の圧力に耐えながらも、ふたりはそう言って、渋々お父さん達の元へ向かった。
私達はそんなふたりを見送ったあと、少し休憩をしてから片付けにとりかった。
片付けが終わるとみんなでお昼寝をとり、夕飯前には起きて準備にとりかかった。
夕食が完成したので、呼びに行こうとしたら、皆が集まって来たのにはかなり驚いた。
セバしゃんとドラしゃんも加わり、予定より早く家の改装は完了したそうだ。
その日の夕食は、昼間と違って穏やかに談笑したり、お酒を酌み交わしたりと、楽しい食卓となった。
リン:
お昼ご飯の時...怖かったよねT^T
アキラ:
うんT^T
あれは、怖かった。
ユイカ:
仕方がないわ。
お父さん達は私達の倍、体を動かしてるからね。
リン:
ご飯大事だね。
アキラ:
うん。
仕事のし過ぎも考えものだね。
リン:
私、あんな大人にはなりたくないなぁー。
アキラ:
僕も。
ユイカ:
あら?そうなの?
リン:
うん。
そりゃ~仕事をしている皆んなは、かっこいいよ。
でも...。
アキラ:
そうだね。
仕事している姿は、皆んなかっこいいよ。
あんな大人になりたいって思うよ。
でも...。
ユイカ:
でも?
リン・アキラ:
あんな、獣みたいな大人には、なりたくない!!
ユイカ:
ありゃ~~_~;
そうきましたか...。
アキラ:
下手な魔獣より怖かったよT^T
リン:
夢に出たらどうしようT^T
ユイカ:
2人と...泣かないのよ~_~;
ドラしゃん:
大丈夫ですよ。
私が後ほどお仕置きをしておきますから^ ^
セバしゃん:
それに関しては、同感だな。
よし。私も協力しよう。
ユイカ:
えっ!!(OvO)
ドラしゃん:
お嬢様達を泣かせた罪は償ってもらいます。
セバしゃん:
そうですね。
それに、協力して作った料理を...あんなむさ苦しい食べ方されるのは、我慢ならないので。
セバ・ドラしゃん:
では、行ってまいります!
ユイカ:
ちょっと!
死なない程度でお願いしますよぉーーー!
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