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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-36 久しぶりに家に帰還とパーティー?!
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西の街も無事に完成して、一度中心の街へ戻る事になった私達。
なぜ中心の街へ戻るかって?それは、西の街から中心の街への道を造る目的もあるからだ。
も?と言う事は他にも目的があるのだが...とりあえず動き出すのは、私やお兄ちゃんの体調が万全になってからとなった。
もちろん移動する前に、この街にも保護魔法と結界を張っていくのは同じだった。
準備が整うと、毎回恒例の様に【聖獣】と【大聖霊】達が張り切って、道を造っていく。
今回は西の街が森をイメージして作られている為か、西側からの道の柵や街灯、休憩所は街と似た雰囲気のデザインとなっていた。
色んな草花も交えて、とても綺麗な仕上がりになっている。
いつもながらの光景だが、本当に彼らの仕事は早かった。
早い割には、細工は細かく丁寧な仕上がりなので、これにはドムじぃーちゃんやお父さんも舌を巻いていた。
職人としては悔しくもあり、羨ましいのだとこっそり話してくれた。
道の真ん中あたりから、雰囲気が少し変わって来た。
どうやら、中心の街に合わせてのデザインなのだろう。
どことなく、和風ちっくなデザインだなぁーと感じた。
街灯も提灯風で、柵も格子風だったりした。
本当にセンス溢れるデザインだ。
「これは、私達も負けてられませんね!
」
「そうだな!次は、南の街だったな。
せめて、街造りは俺たちで良いもに仕上げるぞ!」
そんな風にお父さんとドムじぃーちゃん達は笑顔で語らいだす。
ゆっくりながらも、確実に道の点検をしながら歩いていく私達。
気づけば、西の街から中心の街まで、約数時間で道が開通していた。
私達も、移動のスピードが最初に比べて速くなっている気もするが...気のせいって事にした。
どの道も、大型の荷馬車が2台すれ違っても、ゆとりある幅に造られているのだから、凄いものだ。
私達は、この道をいずれ多くの人達が活用してくれることを期待して、馴染みある街へと帰って行った。
中心の街へ入ると、街の皆が出迎えてくれた。
皆変わらず元気そうな表情をしていた。
旅としては、ほんの数日なのにもう何年も会ってないかの様な雰囲気での再会に。
特に、私やお兄ちゃんに対しての歓迎ぶりは凄まじかった。
ドラしゃんが焼き餅をやく隙すら与えない程だ。
「リン!アキラ!怪我はないかい?
あー、なんか一回り大きくなってないか?」
「リン!アキラ!元気だったか?
また、無茶をしたんだって?
困った奴らだなぁ~。」
「おっ!ふたりとも元気そうだなぁ~!
なんか見ないうちに、少し逞しくなったんじゃないかぁ~?」
「リン。アキラ。元気そうで良かった。凄いじゃないかぁー。
話は聞いているぞ。逞しくなったなぁ~。」
「リン!アキラ!畑や動物達は、無事だぜ!」
など、次から次へと声をかけられるのだから私とお兄ちゃんは、返事を返す間も与えてもらえず、とりあえず笑顔を返すのみとなった。
皆が落ち着くまで私とお兄ちゃんはなされるがまま受身状態で過ごすことに。
それが功を制したのかは分からないが、予想より早く皆が落ち着きを取り戻してくれた。
私とお兄ちゃんは、ヘロヘロになりドラしゃんとムキじぃーちゃんにそれぞれ抱き抱えられて移動する。
いつもの噴水広場前に移動して、皆でパーティーとなった。
ナナばぁーちゃん達が腕によりをかけて豪華な食卓を準備してくれた。
ボリューム満点、種類豊富な料理がテーブル一杯に並べられていく。
食材は、カブさん達が世話してくれた野菜達を使っており、お肉類はラディじぃーちゃん達が狩ってきた魔獣の肉だ。
それを見ると静かだったお腹の虫が、一気に鳴り出した。
それを合図に、パーティーが始まる。
改めて、皆から"お帰りなさい"と言われ乾杯をした。
大人達はお酒を楽しみ、私とお兄ちゃんはドラしゃん達に取り分けて貰った料理を一つずつ食べていく。
どの料理もとても美味しかった。
何より、皆とわいわい言いながら食べる料理だからこそ、より美味しく感じられたのだ。
ある程度料理を食べきり、ゆったりした頃合いに、ルミばぁーちゃんから声をかけられた。
「北側と西側。両方の街が完成して、道も完成したと聞いてるけど、大丈夫なんだね?無理はしてないんだろうね?」
その言葉で、先程まで賑やかだった空気が静まり返えり、みんなの視線が集中する。
私とお兄ちゃんは、顔を見合わせた。
どう答えるか悩んだからだ。
北側も西側も、道もほとんど私とお兄ちゃんは手伝ってないから...。
すると、私達の代わりにドムじぃーちゃんが答えてくれた。
「心配せんでも、この子らはほとんど力を使ってないぜ。どっちかと言うと、【大聖霊】様方が張り切ってくれたぜ。
お陰で、予定よりかなり早く事が片付きそうだ。
あとは、ムキファーが身を張って頑張ってくれたくだらいだなぁー。
この子らは、いつも通り笑顔で俺たちを励ましてくれたよ。
それ以外は、よく寝ていたぜ。
何せ、寝る子は育つって奴だ。」
そう言って、豪快に笑うドムじぃーちゃん。
その言葉に、私とお兄ちゃんは顔を真っ赤にした。
私とお兄ちゃんの反応を見て、ドムじぃーちゃんの言葉が本当だと信じて、ホッとするルミばぁーちゃんと街の人達。
「なら良いんだ。良いかい。あんたらに何かあればここに居る連中皆が心配するだ。
それだけは、しっかり覚えておきな。」
ルミばぁーちゃんの言葉に、皆から口々に"そうだぜ"や"そうよ"などの声が上がる。
「心配し過ぎて、報告に来たどっかの誰かを連行して旅立つ奴もいるし、こっそり街を抜け出して出かけようとする奴もいるからねぇ~。
まぁ~、誰とは言わないよ。誰とは。」
ルミばぁーちゃんのその言葉に、お父さんとお母さん。
そして、ラディじぃーちゃんとカシムじぃーちゃんがむせだす。
せっかく名前を言わなかったのに、自分達で白状した様なものだった。
「それより、いつまでこの街で休んでいくんだ?
予定より早く終わってんなら、ゆっくりできるんだろ?」
ロドじぃーちゃんがそう確認してくる。
ロドじぃーちゃんの言葉に、私とお兄ちゃん。
お父さんとお母さんは、ドムじぃーちゃんを見つめた。
ドムじぃーちゃんは、頭を掻きながら、ドラしゃんをチラリ。
ドムじぃーちゃんの視線を感じて、ドラしゃんが溜息をついて答える。
『食料の補充や日程の確認。材料補充もしないといけませんし。
健康状態の確認等も行いたいので、2~3日はここでゆっくりするつもりです。
王達にも、報告等もありますしね。』
その言葉をきいて、街の皆は大喜び。
私とお兄ちゃんも、お母さんもお父さんもホッとする。
久しぶりに家でゆっくりできるのだから。
旅先でゆっくりするもいいが、やっぱり家でゆっくりする方が、断然いい。
その日は、皆で遅くまでどんちゃん騒ぎをした。
その結果。
大人達(1人を除き)皆が、重度の二日酔いをおこし、ドラしゃんが予定していた日程を大幅にずらす事になったのは...言うまでもない。
私とお兄ちゃん。
そして、ドラしゃんとお酒を飲まなかった(飲めなかった未成年組)で、二日酔いで寝込む大人達の世話をする事になった。
ちなみに、【聖獣】と【大聖霊】達も二日酔いだ。
カブさん自作の果実酒をたらふく飲んでいたからね。
(いつのまに?ってか、飲んでよかったの?)
もれなく、皆はドラしゃんの小言を聞くハメになったが、自業自得なので仕方がない。
『良いですか、皆さん。お酒が飲める歳になっても、この様な大人になってはいけませんよ!
自分の飲める量。適量を知ってこそ、大人という者です。
お酒は飲んでも飲まれるようでは、だめです!』
もれなく、私達にも小言があったが、ドラしゃんの言う事は正しいと、直感でわかるし、毎度二日酔いで潰れる皆を見て、嫌だなぁーと思うので子供ながらに気をつけようと思った。
北側と西側の街とそこへ通じる道を完成させて、一度中心の街へ戻って来た私達。
久しぶりの再会なのもあり、帰って来た初日の晩は大盛り上がりした。
いつも以上にハメを外す大人達。
いつも以上に夜更かしをする子供達。
そんなこんなで、当初の予定を大きく狂わせる事になったのは...とある人物のみ予測がついていたようだった。
元々、予定より早く色々と事が進んでいたので、そこまで大きな支障は来さないが...。
ただ、毎度反省のない大人達の行動に呆れ返っているドラしゃんの姿が。
小言を言いながらもきちんと世話をするのが、凄かった。
例の如く、二日酔いに潰れた大人達の介抱をして、回復するのに3日程かった。
ドラしゃん曰く、"色んなお酒を際限なくチャンポンして飲んだのが悪い!"との事だ。
あの日は皆、テンションが異常に高かったので仕方がないのだろう...。
その3日の間は、子供達で色々話し合いをしたり、自分達に割り振られている日々の役割をこなしていった。
もちろんドラしゃんやいち早く回復したルミばぁーちゃんの監視の下でだが、
それでも十分な成果はあった。
当初この街に来たて間もない頃は、オドオドしていた孤児の子達は、今ではすっかり街に馴染み生活が出来ていた。
年齢的には歳上なのに、この街に来たのは後からだと言ってアサくんに敬語で話している姿が、なぜか笑えた。
アサくんは、自分は歳下だから敬語は辞めて欲しいとお願いするが、"歳下でも先輩ですから"と言って一歩も譲らないから、アサくんが折れたのだと教えてくれた。
私とお兄ちゃんが旅に出てから、アサくん兄妹が私達の代わりに彼らにここでの生活の仕方を教えてくれていた。
アサくんは、幼い割に人を見る目があり、たった数時間過ごしただけで、その人の特徴や性格を見抜いているそうだ。
そして、個にあった仕事や役割を割り振っていて、大人顔負けの采配をしていたと教えてくれた。
お陰で、ルミばぁーちゃん達はだいぶ楽が出来たと笑っていた。
放牧地担当と農地担当の2組に分けて、朝早くから日が暮れるまで頑張ってくれていたようだ。
今やほとんど子供達だけで、放牧地と農地を任せれるとのこと。
まだ、細々した事は大人がしているが、それ以外は担当にあたった子供達だけで出来ていたのだ。
自分達でも出来る事が増えていき、来た時に比べて表情も明るくなった。
変わったのは表情だけではなかった。
体格も喋り方もかなり変わった。
「自分に自信がついてきてるのさ。
元々根はいい子達だからね。個を認めてやって、役割を与えてやれば後は見守るだけだよ。
子供の成長は、いつになっても見ていて楽しいね。」
そう話すルミばぁーちゃんの顔は、お母さんみたいな表情をしていたのは、内緒だ。
あと、もっと驚く事があった。
それは、子供達のリーダーはアサくんじゃなくて、私とお兄ちゃんだって。
えっ?と、思ってアサくんに聞いたら、意外な言葉が返ってきた。
「だって、俺たちを助けてくれたのは、お前たちだろう?
だからだよ。俺たちの"先輩"は、リンとアキラだ。
なら、俺たちのリーダーはリンとアキラになるだろ?
それに、お前たちは強いしな!」
アサくんはそう笑顔で話してくれ、その話を聞いて私とお兄ちゃんは、顔を赤くするしかなかった。
どちらかと言うと、アサくんの方がしっかりしているのに...。
それにしても、
「ここの人達って、本当に心が広いよね。」
そうお兄ちゃんがそんな事を言い出すと、その言葉を聞いた人達皆が固まる。
その反応にお兄ちゃんも固たる。
「お、お前まじか?」
アサくんが、そうお兄ちゃんに言うとお兄ちゃんは、目を見開いた。
「えっ?なんで??」
私達の会話を側で聞いていたドラしゃんと、ルミばぁーちゃんは苦笑いしていた。
「アキラ。ここの人間の心が広いと思うんなら、それはお前さん達の影響だよ。」
ルミばぁーちゃんは、そう言ってお兄ちゃんの頭をそっと撫でた。
「お前さん達家族が、無条件で私らを迎え入れたのが最初だよ?
そんな扱いを受けたら、私らもそうせざるおえないじゃないか。
別にそれが嫌だって言うわけじゃないんだよ。
人間ってさ、優しくされたら優しくしたくなるもんだろう?
逆に冷たくされたら、冷たくしたくなるだろう?そんな感じだよ。」
『そうですね。本来なら、余程血の濃い身内ならともかく、そうでない人間に優しくできるほど、この世界での生活は優しいものではありませんよ。
ですが、お嬢様や坊っちゃまの御家族はそうではないでしょう?
"一度関わって仕舞えば、皆家族。助け合うのが当たり前ってスタンス"ですから。最初は、私も驚きましたよ。
何か狙いかって?でも、心底からの親切心とわかって、疑った自分が恥ずかしくなりましたよ。
今はもう慣れましたけどね。そんな、皆様の心遣いがいつの間にか、この街には自然と広がっていったのでしょう。
私はいい事だと思いますよ。』
ルミばぁーちゃんとドラしゃんの言葉に、私とお兄ちゃんは普通に驚く。
皆の心の広さが、私達家族から?
嬉しくもあり、照れもありで、私とお兄ちゃんの表情筋は壊れかけた。
そんな私とお兄ちゃんを見て、皆は笑った。
でも、悔しくはなかった。
皆が笑顔でいれるって事は、いい事だからだ。
そんな、のんびりほんわかとした日々を過ごせて幸せだなぁ~と思った。
のんびり過ごして3日後。ようやく二日酔いから回復した大人達。
なんとか通常通りに活動がとれるようになった頃、同盟国の王達から連絡が来た。
明日、私達に会いに王様と側近のみで来るとの内容だった。
そういや、伝言を託したセバしゃんの姿が見えないと思い出した。
ルミばぁーちゃんに確認すると、伝言を告げると急ぎ王様の所へ戻って行ったとの話だ。
セバしゃんが街に着くと同時に、王様からの伝達が届いたそうだ。
とりあえず、同盟国からの伝言をドラしゃんに伝えた。
『別にいいのでは?二日酔い集団のお陰で、準備もなにも出来てないので、暫くはここにいるのですから。』
満面の笑顔で、棘のある言葉を吐くドラしゃん。
何を言えばいいのか分からず、そっとした。
ドラしゃんにお願いして、同盟国の王様達に大丈夫との返事の伝言だけは、飛ばしてもらった。
一応翌日までの予定は決まった。
それ以後の予定は、王様達の話の内容によって決める事にするそうだ。
『もしかしたら、今後の街づくりについて話があるのかもしれませんね。
それか、"今の所完成した街を見せろ。"かも知れませんし。
下手に予定を立てても、意味はない可能性がありますね。』
と言う、ドラしゃんの言葉に従う事にしたのだ。
同盟国の王様達が来るまで、私とお兄ちゃんは【聖獣】と【大聖霊】に協力してもらって、魔法の練習と力のコントロールの訓練を。
お母さんとお父さんは、食料品の準備を。
ドラしゃんは、今度の旅に必要なものを諸々と準備を。
ドムじぃーちゃんは、次の旅に同行するメンバーと打ち合わせと、弟子になったカカン達に技術指導を。
それぞれ今出来ることをする事にしたのだった。
リン:
なんで大人ってお酒好きなのかなぁ?
アキラ:
美味しいのかなぁ?
リン:
そうかも!皆んな、美味しいって言ってるもんね。
アキラ:
でも、美味しいものを飲んで、なんであんなにヘロヘロになるの?
ドラしゃん:
それは、今は知らなくていいですよ。
リン・アキラ:
そうなの?
ドラしゃん:
ええ。大人になっても、知らなくても良いですよ。
でも、もし大人になって興味があるなら私が、正しいお酒の飲み方を教えてあげますよ^ ^
なぜ中心の街へ戻るかって?それは、西の街から中心の街への道を造る目的もあるからだ。
も?と言う事は他にも目的があるのだが...とりあえず動き出すのは、私やお兄ちゃんの体調が万全になってからとなった。
もちろん移動する前に、この街にも保護魔法と結界を張っていくのは同じだった。
準備が整うと、毎回恒例の様に【聖獣】と【大聖霊】達が張り切って、道を造っていく。
今回は西の街が森をイメージして作られている為か、西側からの道の柵や街灯、休憩所は街と似た雰囲気のデザインとなっていた。
色んな草花も交えて、とても綺麗な仕上がりになっている。
いつもながらの光景だが、本当に彼らの仕事は早かった。
早い割には、細工は細かく丁寧な仕上がりなので、これにはドムじぃーちゃんやお父さんも舌を巻いていた。
職人としては悔しくもあり、羨ましいのだとこっそり話してくれた。
道の真ん中あたりから、雰囲気が少し変わって来た。
どうやら、中心の街に合わせてのデザインなのだろう。
どことなく、和風ちっくなデザインだなぁーと感じた。
街灯も提灯風で、柵も格子風だったりした。
本当にセンス溢れるデザインだ。
「これは、私達も負けてられませんね!
」
「そうだな!次は、南の街だったな。
せめて、街造りは俺たちで良いもに仕上げるぞ!」
そんな風にお父さんとドムじぃーちゃん達は笑顔で語らいだす。
ゆっくりながらも、確実に道の点検をしながら歩いていく私達。
気づけば、西の街から中心の街まで、約数時間で道が開通していた。
私達も、移動のスピードが最初に比べて速くなっている気もするが...気のせいって事にした。
どの道も、大型の荷馬車が2台すれ違っても、ゆとりある幅に造られているのだから、凄いものだ。
私達は、この道をいずれ多くの人達が活用してくれることを期待して、馴染みある街へと帰って行った。
中心の街へ入ると、街の皆が出迎えてくれた。
皆変わらず元気そうな表情をしていた。
旅としては、ほんの数日なのにもう何年も会ってないかの様な雰囲気での再会に。
特に、私やお兄ちゃんに対しての歓迎ぶりは凄まじかった。
ドラしゃんが焼き餅をやく隙すら与えない程だ。
「リン!アキラ!怪我はないかい?
あー、なんか一回り大きくなってないか?」
「リン!アキラ!元気だったか?
また、無茶をしたんだって?
困った奴らだなぁ~。」
「おっ!ふたりとも元気そうだなぁ~!
なんか見ないうちに、少し逞しくなったんじゃないかぁ~?」
「リン。アキラ。元気そうで良かった。凄いじゃないかぁー。
話は聞いているぞ。逞しくなったなぁ~。」
「リン!アキラ!畑や動物達は、無事だぜ!」
など、次から次へと声をかけられるのだから私とお兄ちゃんは、返事を返す間も与えてもらえず、とりあえず笑顔を返すのみとなった。
皆が落ち着くまで私とお兄ちゃんはなされるがまま受身状態で過ごすことに。
それが功を制したのかは分からないが、予想より早く皆が落ち着きを取り戻してくれた。
私とお兄ちゃんは、ヘロヘロになりドラしゃんとムキじぃーちゃんにそれぞれ抱き抱えられて移動する。
いつもの噴水広場前に移動して、皆でパーティーとなった。
ナナばぁーちゃん達が腕によりをかけて豪華な食卓を準備してくれた。
ボリューム満点、種類豊富な料理がテーブル一杯に並べられていく。
食材は、カブさん達が世話してくれた野菜達を使っており、お肉類はラディじぃーちゃん達が狩ってきた魔獣の肉だ。
それを見ると静かだったお腹の虫が、一気に鳴り出した。
それを合図に、パーティーが始まる。
改めて、皆から"お帰りなさい"と言われ乾杯をした。
大人達はお酒を楽しみ、私とお兄ちゃんはドラしゃん達に取り分けて貰った料理を一つずつ食べていく。
どの料理もとても美味しかった。
何より、皆とわいわい言いながら食べる料理だからこそ、より美味しく感じられたのだ。
ある程度料理を食べきり、ゆったりした頃合いに、ルミばぁーちゃんから声をかけられた。
「北側と西側。両方の街が完成して、道も完成したと聞いてるけど、大丈夫なんだね?無理はしてないんだろうね?」
その言葉で、先程まで賑やかだった空気が静まり返えり、みんなの視線が集中する。
私とお兄ちゃんは、顔を見合わせた。
どう答えるか悩んだからだ。
北側も西側も、道もほとんど私とお兄ちゃんは手伝ってないから...。
すると、私達の代わりにドムじぃーちゃんが答えてくれた。
「心配せんでも、この子らはほとんど力を使ってないぜ。どっちかと言うと、【大聖霊】様方が張り切ってくれたぜ。
お陰で、予定よりかなり早く事が片付きそうだ。
あとは、ムキファーが身を張って頑張ってくれたくだらいだなぁー。
この子らは、いつも通り笑顔で俺たちを励ましてくれたよ。
それ以外は、よく寝ていたぜ。
何せ、寝る子は育つって奴だ。」
そう言って、豪快に笑うドムじぃーちゃん。
その言葉に、私とお兄ちゃんは顔を真っ赤にした。
私とお兄ちゃんの反応を見て、ドムじぃーちゃんの言葉が本当だと信じて、ホッとするルミばぁーちゃんと街の人達。
「なら良いんだ。良いかい。あんたらに何かあればここに居る連中皆が心配するだ。
それだけは、しっかり覚えておきな。」
ルミばぁーちゃんの言葉に、皆から口々に"そうだぜ"や"そうよ"などの声が上がる。
「心配し過ぎて、報告に来たどっかの誰かを連行して旅立つ奴もいるし、こっそり街を抜け出して出かけようとする奴もいるからねぇ~。
まぁ~、誰とは言わないよ。誰とは。」
ルミばぁーちゃんのその言葉に、お父さんとお母さん。
そして、ラディじぃーちゃんとカシムじぃーちゃんがむせだす。
せっかく名前を言わなかったのに、自分達で白状した様なものだった。
「それより、いつまでこの街で休んでいくんだ?
予定より早く終わってんなら、ゆっくりできるんだろ?」
ロドじぃーちゃんがそう確認してくる。
ロドじぃーちゃんの言葉に、私とお兄ちゃん。
お父さんとお母さんは、ドムじぃーちゃんを見つめた。
ドムじぃーちゃんは、頭を掻きながら、ドラしゃんをチラリ。
ドムじぃーちゃんの視線を感じて、ドラしゃんが溜息をついて答える。
『食料の補充や日程の確認。材料補充もしないといけませんし。
健康状態の確認等も行いたいので、2~3日はここでゆっくりするつもりです。
王達にも、報告等もありますしね。』
その言葉をきいて、街の皆は大喜び。
私とお兄ちゃんも、お母さんもお父さんもホッとする。
久しぶりに家でゆっくりできるのだから。
旅先でゆっくりするもいいが、やっぱり家でゆっくりする方が、断然いい。
その日は、皆で遅くまでどんちゃん騒ぎをした。
その結果。
大人達(1人を除き)皆が、重度の二日酔いをおこし、ドラしゃんが予定していた日程を大幅にずらす事になったのは...言うまでもない。
私とお兄ちゃん。
そして、ドラしゃんとお酒を飲まなかった(飲めなかった未成年組)で、二日酔いで寝込む大人達の世話をする事になった。
ちなみに、【聖獣】と【大聖霊】達も二日酔いだ。
カブさん自作の果実酒をたらふく飲んでいたからね。
(いつのまに?ってか、飲んでよかったの?)
もれなく、皆はドラしゃんの小言を聞くハメになったが、自業自得なので仕方がない。
『良いですか、皆さん。お酒が飲める歳になっても、この様な大人になってはいけませんよ!
自分の飲める量。適量を知ってこそ、大人という者です。
お酒は飲んでも飲まれるようでは、だめです!』
もれなく、私達にも小言があったが、ドラしゃんの言う事は正しいと、直感でわかるし、毎度二日酔いで潰れる皆を見て、嫌だなぁーと思うので子供ながらに気をつけようと思った。
北側と西側の街とそこへ通じる道を完成させて、一度中心の街へ戻って来た私達。
久しぶりの再会なのもあり、帰って来た初日の晩は大盛り上がりした。
いつも以上にハメを外す大人達。
いつも以上に夜更かしをする子供達。
そんなこんなで、当初の予定を大きく狂わせる事になったのは...とある人物のみ予測がついていたようだった。
元々、予定より早く色々と事が進んでいたので、そこまで大きな支障は来さないが...。
ただ、毎度反省のない大人達の行動に呆れ返っているドラしゃんの姿が。
小言を言いながらもきちんと世話をするのが、凄かった。
例の如く、二日酔いに潰れた大人達の介抱をして、回復するのに3日程かった。
ドラしゃん曰く、"色んなお酒を際限なくチャンポンして飲んだのが悪い!"との事だ。
あの日は皆、テンションが異常に高かったので仕方がないのだろう...。
その3日の間は、子供達で色々話し合いをしたり、自分達に割り振られている日々の役割をこなしていった。
もちろんドラしゃんやいち早く回復したルミばぁーちゃんの監視の下でだが、
それでも十分な成果はあった。
当初この街に来たて間もない頃は、オドオドしていた孤児の子達は、今ではすっかり街に馴染み生活が出来ていた。
年齢的には歳上なのに、この街に来たのは後からだと言ってアサくんに敬語で話している姿が、なぜか笑えた。
アサくんは、自分は歳下だから敬語は辞めて欲しいとお願いするが、"歳下でも先輩ですから"と言って一歩も譲らないから、アサくんが折れたのだと教えてくれた。
私とお兄ちゃんが旅に出てから、アサくん兄妹が私達の代わりに彼らにここでの生活の仕方を教えてくれていた。
アサくんは、幼い割に人を見る目があり、たった数時間過ごしただけで、その人の特徴や性格を見抜いているそうだ。
そして、個にあった仕事や役割を割り振っていて、大人顔負けの采配をしていたと教えてくれた。
お陰で、ルミばぁーちゃん達はだいぶ楽が出来たと笑っていた。
放牧地担当と農地担当の2組に分けて、朝早くから日が暮れるまで頑張ってくれていたようだ。
今やほとんど子供達だけで、放牧地と農地を任せれるとのこと。
まだ、細々した事は大人がしているが、それ以外は担当にあたった子供達だけで出来ていたのだ。
自分達でも出来る事が増えていき、来た時に比べて表情も明るくなった。
変わったのは表情だけではなかった。
体格も喋り方もかなり変わった。
「自分に自信がついてきてるのさ。
元々根はいい子達だからね。個を認めてやって、役割を与えてやれば後は見守るだけだよ。
子供の成長は、いつになっても見ていて楽しいね。」
そう話すルミばぁーちゃんの顔は、お母さんみたいな表情をしていたのは、内緒だ。
あと、もっと驚く事があった。
それは、子供達のリーダーはアサくんじゃなくて、私とお兄ちゃんだって。
えっ?と、思ってアサくんに聞いたら、意外な言葉が返ってきた。
「だって、俺たちを助けてくれたのは、お前たちだろう?
だからだよ。俺たちの"先輩"は、リンとアキラだ。
なら、俺たちのリーダーはリンとアキラになるだろ?
それに、お前たちは強いしな!」
アサくんはそう笑顔で話してくれ、その話を聞いて私とお兄ちゃんは、顔を赤くするしかなかった。
どちらかと言うと、アサくんの方がしっかりしているのに...。
それにしても、
「ここの人達って、本当に心が広いよね。」
そうお兄ちゃんがそんな事を言い出すと、その言葉を聞いた人達皆が固まる。
その反応にお兄ちゃんも固たる。
「お、お前まじか?」
アサくんが、そうお兄ちゃんに言うとお兄ちゃんは、目を見開いた。
「えっ?なんで??」
私達の会話を側で聞いていたドラしゃんと、ルミばぁーちゃんは苦笑いしていた。
「アキラ。ここの人間の心が広いと思うんなら、それはお前さん達の影響だよ。」
ルミばぁーちゃんは、そう言ってお兄ちゃんの頭をそっと撫でた。
「お前さん達家族が、無条件で私らを迎え入れたのが最初だよ?
そんな扱いを受けたら、私らもそうせざるおえないじゃないか。
別にそれが嫌だって言うわけじゃないんだよ。
人間ってさ、優しくされたら優しくしたくなるもんだろう?
逆に冷たくされたら、冷たくしたくなるだろう?そんな感じだよ。」
『そうですね。本来なら、余程血の濃い身内ならともかく、そうでない人間に優しくできるほど、この世界での生活は優しいものではありませんよ。
ですが、お嬢様や坊っちゃまの御家族はそうではないでしょう?
"一度関わって仕舞えば、皆家族。助け合うのが当たり前ってスタンス"ですから。最初は、私も驚きましたよ。
何か狙いかって?でも、心底からの親切心とわかって、疑った自分が恥ずかしくなりましたよ。
今はもう慣れましたけどね。そんな、皆様の心遣いがいつの間にか、この街には自然と広がっていったのでしょう。
私はいい事だと思いますよ。』
ルミばぁーちゃんとドラしゃんの言葉に、私とお兄ちゃんは普通に驚く。
皆の心の広さが、私達家族から?
嬉しくもあり、照れもありで、私とお兄ちゃんの表情筋は壊れかけた。
そんな私とお兄ちゃんを見て、皆は笑った。
でも、悔しくはなかった。
皆が笑顔でいれるって事は、いい事だからだ。
そんな、のんびりほんわかとした日々を過ごせて幸せだなぁ~と思った。
のんびり過ごして3日後。ようやく二日酔いから回復した大人達。
なんとか通常通りに活動がとれるようになった頃、同盟国の王達から連絡が来た。
明日、私達に会いに王様と側近のみで来るとの内容だった。
そういや、伝言を託したセバしゃんの姿が見えないと思い出した。
ルミばぁーちゃんに確認すると、伝言を告げると急ぎ王様の所へ戻って行ったとの話だ。
セバしゃんが街に着くと同時に、王様からの伝達が届いたそうだ。
とりあえず、同盟国からの伝言をドラしゃんに伝えた。
『別にいいのでは?二日酔い集団のお陰で、準備もなにも出来てないので、暫くはここにいるのですから。』
満面の笑顔で、棘のある言葉を吐くドラしゃん。
何を言えばいいのか分からず、そっとした。
ドラしゃんにお願いして、同盟国の王様達に大丈夫との返事の伝言だけは、飛ばしてもらった。
一応翌日までの予定は決まった。
それ以後の予定は、王様達の話の内容によって決める事にするそうだ。
『もしかしたら、今後の街づくりについて話があるのかもしれませんね。
それか、"今の所完成した街を見せろ。"かも知れませんし。
下手に予定を立てても、意味はない可能性がありますね。』
と言う、ドラしゃんの言葉に従う事にしたのだ。
同盟国の王様達が来るまで、私とお兄ちゃんは【聖獣】と【大聖霊】に協力してもらって、魔法の練習と力のコントロールの訓練を。
お母さんとお父さんは、食料品の準備を。
ドラしゃんは、今度の旅に必要なものを諸々と準備を。
ドムじぃーちゃんは、次の旅に同行するメンバーと打ち合わせと、弟子になったカカン達に技術指導を。
それぞれ今出来ることをする事にしたのだった。
リン:
なんで大人ってお酒好きなのかなぁ?
アキラ:
美味しいのかなぁ?
リン:
そうかも!皆んな、美味しいって言ってるもんね。
アキラ:
でも、美味しいものを飲んで、なんであんなにヘロヘロになるの?
ドラしゃん:
それは、今は知らなくていいですよ。
リン・アキラ:
そうなの?
ドラしゃん:
ええ。大人になっても、知らなくても良いですよ。
でも、もし大人になって興味があるなら私が、正しいお酒の飲み方を教えてあげますよ^ ^
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聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
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猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
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仕事一筋40年。
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唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
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ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
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氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
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氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
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大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
優の異世界ごはん日記
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月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
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ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
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