異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜

4-56 やりすぎて街まで完成?!やりすぎて反省!

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 初めて見る透明の構造に、ドムじぃーちゃんもそうなのだが、ドラしゃんも他の人達も皆驚いていた。

ドムじぃーちゃんなんて、手で叩いたりハンマーで叩いたりして、強度の確認なんかもしていた。

「一体なんだこれは?!傷一つ付かない!!なんて、頑丈なんだ。」

ドムじぃーちゃんの言葉に、他の人もコンコンと叩き出す。

しまいには、ジャンプをして蹴りをいれたりする始末。
しかし、びくともしない。

この透明なモノは、実は本来この世界にないモノ。

【大聖霊】達に相談したが、やはりこの世界にはその様なモノはなく、代用品もないと言われた。

しかし、ただ1人【時の大聖霊 オリジン】だけが、どうにか出来ると言ってくれたのだ。

その、どうにか出来るって言うのは...。

あの短時間の中、オリジンのみ私達の時代に行き、その素材の一部を取って来て、それを元にして増幅して活用すると言う事だった。

そんな事をしてもいいのかと聞いたら、今回だけならと言う、オリジンの独断と偏見から行った結果でこの建物ができたのだ。

『何か言われたら神様からの特別なプレゼントだと言って、押し通せ!』

とも言われたので、その通りにしようと思っている。

ちなみに、この建物は"マジックミラー"となっていて、外からは単なる白い建物にしか見えないが、中からは外が丸見えと言う優れもの。

そして、屋根兼用の外壁は一部分が換気様に開け閉め出来るようになっているのだが、開けても外からは分からないというとんでもない優秀な機能付きなのだ。

【大聖霊】のなかでも、オリジンとルナミス、シャドウの高位種である3人の特別な魔法をかけてあるので、それによって可能となった技だった。

それもふまえて伝えると、また皆が固まった。

『ちなみに、この透明な廊下と階段は、イメージを思い浮かべながら魔力を流すと、形を自由に変える事も可能だ。
 今回は特別だぞ。
まぁ~、これを全ての者ができたのでは、トラブルの元になりかねないから、ギルドの責任者と副責任者。
そして、主人達のみと制限をかけておこう。』

と、腕輪からひょいっと出てきたオリジンがそう言って、スッと消えた。

あと、補足で...。
何もない空間に見えて、事故防止の為に透明のクッション性のあるシールドの様な幕が各階の区切りの面に張り巡らされていると言う事も伝えたら、今度は白目を向いてドラしゃん以外が倒れた。

ドラしゃんは、倒れはしないものの胃をずっと押さえていた。

とりあえず、この街のギルドが外観と骨組みのみ完成した。
まぁー細かいものに関しては、後でもできると後回しとなった。

街のシンボルとなるギルドが、外観のみと言っても完成したので、残すのは内装の細々とした家具類の設置。

そして、ギルド以外の建物を造るのみとなった。

しかし、...。

翌日になっても私とお兄ちゃん。ドラしゃんに【聖獣】達以外は、まだ寝込んでいるのでこのメンバーで、できる事をするしかなった。

あの後、中々意識が戻らないドムじぃーちゃんと側近さん達をドラしゃんが魔法で宿まで移動させてくれた。
ドムじぃーちゃん達をそれぞれの部屋に寝かせてもくれた。

それが終わったあと、私とお兄ちゃんはドラしゃんからあの透明な素材についてじっくりと話をするハメになった。

ドラしゃんには、隠し事が全く通用しないので正直に話す事にした。
すると...ドラしゃんはまたまた、頭を抱え出す。

『話を簡単に纏めますと...。
あの素材は、この世界には全く存在しないもので、【大聖霊】が軽いノリでお嬢様達の世界から一部取って来て、それを増やして作ったで、よろしいですね?』

「「はい。」」

私とお兄ちゃんが、しおらしく返事をするとドラしゃんは、本日何回目か分からない溜息を吐く。

『分かりました。とりあえず、あの素材については神様からの特別なプレゼントとと言う事にしておきましょう。
修正は、神様か【大聖霊】のみが行えると言う話で他には提供ができないと言う事にします。
それ以上の事は、内緒でお願いしますね!』

ドラしゃんに軽く説教された。
その事もあってかドラしゃんからは、これ以上無理はしない様にと念をおされた。

『下手をしましたら、ドムや他の方は召されるかもしれませんので、ご注意を!!』

と言われた。
さすがに...それはまずいので、簡単な事からする事に。

その簡単な事ですら...。だった。

ちなみに、私とお兄ちゃんは何もしてないです。
ただ、「こうしたらいたあなぁー。」
「あの方が、いいなぁー。」とかしか言ってないです。

そう。私とお兄ちゃんは、"助言"と"願望"しか言ってないです。

全て、実行したのは...。
【聖獣】達です。あと、おまけで【大聖霊】達もです。

なのに...。
出来上がった街は、とんでもなく素晴らしいものとなった。

ちょっとのはすが...ゆだんしたら完成してしまったのだ。

機械仕掛け風の建物があたったり。
神秘的な建物があったり。
見た目は、普通のありふれた建物なのに、中に入ると...。
逆に、見た目は珍しい外観なのに、中は普通だったり。

街中の道も、歩くたびに色が変わったり。
中には、気候によって柄が変わったりという細工までしてあるものもあった。

「ありゃ??」

「どうしよう...。」

『なぜこうなんのですか??!』

私とお兄ちゃん、ドラしゃんは驚き半分呆れて半分で、出来上がった街を見つめていた。

そな反面...。

『楽しかったですわ。』

『楽しかったね。』

『やりがいがあったなぁー。』

『ぜひ、また作りたいですのう。』

『主人?!私たちの活躍みてくれた?!』

『やればできるってもんよ!』

などと、楽しそうな声で話す【大聖霊】と【聖獣】達の姿が。

「ドムじぃーちゃん見たら...。」

「あぶない?」

『確実に...。』

ドラしゃんは、痛くなる胃を摩りながら、どう対応するかを考えながら【大聖霊】達にこの世界にあるもので、作ったがどうかを確認していた。

『ギルドは街のシンボルとなる建物ですから、多少の奮発は致しましたが...それ以外の建物は一般の人たちが使うものでしょう?』

ドラしゃんが怒りたいのを我慢して【聖獣】や【大聖霊】達に問いただしていく。

そんなドラしゃんに彼らは平然と

『だから、この世界にあるものでもちろん作ってあるよ!』

『ただ、少し手を加えはしただけだぞ?』

『主人に恥をかかせるものではないからな。それに、ありきたりでは面白さに欠けるであろう?』

『面白さに加えて、この街でしか楽しめない要素を盛り込まないと、人は集まらないからね。』

『何より、また来たい!見たい!って思わせないとね。』

『そうだのう。作っているワシらが楽しんだからのう。この街で暮らす人や訪れる人も楽しんでくれるでのう。』

『これでまた、主人たちが有名になるね。』

と楽しそうに話す。

そんな話をきいたものだから、セバしゃんは怒るに怒れなくなっていた。

ギルドみたいに、別世界のものを使用したなら怒れるが、使ったものはこの世界にある物を使用している上に、私達の事を思って作ったのだ。

『分かった。こちらとて、人手が足りなかったから助かる。
あとは、ドムと見て回って手直ししていくとしよう。』

ドラしゃんはそう言って、また考えだす。

私とお兄ちゃんは、とりあえず【大聖霊】達に御礼を言ってから腕輪に戻し、【聖獣】達には、御礼とやりすぎだよって(ちょっと)注意をした。

お兄ちゃんはともかく、私は結構やりすぎるので、あまり彼らを叱る事ができなかったのだ。

そんな私達のやり取りを見守りつつも、
頭をフル回転してどう皆に説明しようかと悩ませるドラしゃん。

 ドラしゃんはとりあえず私とお兄ちゃんを抱えて、ドムじぃーちゃん達が眠っている宿に戻る事にした。

【聖獣】達も私達の後をちゃんとくっついて来る。

宿に向かうその道中。
少し気になる事があったが、宿に戻ってから再度確かめてからドラしゃんに確認しようと思い、その場では黙っていた。

宿に戻ると、私とお兄ちゃんを玄関に下ろして、靴を脱いだ事を確認してからリビングへ。

そして、あの完成してしまった街について、どう話すかを私とお兄ちゃんに話出した。

『いいですか。これ以上は、皆さんは何もしないようにお願いしますね。
このままでは、大変な事が起こります。』

ドラしゃんは真剣な顔で話出した。

「大変な事ですか?」

お兄ちゃんが、不安そうに聞き返すとドラしゃんは頷きながら、言葉を続ける。

『はい。大変な事です。このままこんな、桁違いない物を作り続けますと、お嬢様とアキラ様の身が危険になります。
 今までの街は、我々の力でもなんとかリカバリーが効く範囲内でしたが、ここまで来ると我々ではリカバリーができません。』

私とお兄ちゃんは、ますます訳が分からないと言う顔をしてドラしゃんを見つめた。

『今迄の街づくりにしても、道にしても【大聖霊】や【聖獣】が関与していると知っているのは、街の住人と同盟国のほんの一部の人間のみです。
今まで、関わって来た人間にしてもその他の種族にしても、根が良いものばかりです。ですので、そこまで危険な目に遭う事はなかったと思います。
 しかし、これからは違います。各同盟国の住人がこの国へ訪れます。するとどうなると思います?珍しい物イコールお金になるになるんです。
 街や道などを作ったのが、我々であると言えば下手に手出しができないので、どんな厄介な輩でも問題はありません。
 しかし、それが我々以外者が作った、しかもそれが幼児が関与している上に、【大聖霊】や【聖獣】と契約をしている事がバレたら...。』

「ばれたら?」

「どうなるの?」

お兄ちゃんと私の質問にドラしゃんは悲痛な面持ちになり、そして...。

『お嬢様とアキラ様の身に危険が及ぶのです。命があれば良いほうです。
下手な奴らなら、死ぬギリギリまで力を使わされて、悪用されるでしょう。
そうなりたいですか?』

その言葉に、私もお兄ちゃんもゾッとする。私とお兄ちゃん。
そして、【聖獣】達も震えた。

良かれと思ってした事が...そんな裏目に出るなんて...。

『ですので、ギルドとこの街は下手したら再度作り直しをする事になりますね。
ドム達が起き次第、話し合ってと言う事にはなります。
 何事も限度が肝心です。ここまで、異界な物を作り出されたら、我々では対応しきれなくなります。
くれぐれも用心をお願いします。』

ドラしゃんの言葉は、私とお兄ちゃんだけでなく、【聖獣】達や【大聖霊】】達へ向けての言葉でもあった。

少しでも良い物を。珍しい物を。
と思ってやったのに...。

私とお兄ちゃん。そして【聖獣】達は暫く何も言葉を発する事ができなかった。

今回の件で、ちゃんと反省しているのを感じて、街をどの様に戻すか考え出したドラしゃん。

他の街の様に、部分だけ変更する...というのは無理な感じだったようだ。

ドラしゃんはその日、日が暮れるまで考え事をしていた。
私とお兄ちゃんも日がくれるまで、反省した。


 日が沈みかけた頃、寝込んでいたドムじぃーちゃんが起きてきた。
起き抜けにお通夜状態の私達を見てびっくり!

「おい!?どうした。揃いも揃って暗い顔をして!」

ドムじぃーちゃんは、慌てた様に私とお兄ちゃんの側に来た。

そして、ドラしゃんにも声をかけて、ようやく私達はハッとしてドムじぃーちゃんを見る。

「じぃーちゃん。ごめんなさい。」

「ごめんなさい。」

暗い顔したまま謝る私とお兄ちゃんを見て焦るドムじぃーちゃん。

『ドム起きたのですか?気分は?』

ドラしゃんも、ドムじぃーちゃんに労りの言葉をかけるが、ドムじぃーちゃんはそれより私達が暗いのが気になる様で質問が止まなかった。

「俺の事はいいさ。それより、なんでお前らそんなに暗いんだ?!何があった?!」

ドムじぃーちゃんの言葉に、ドラしゃんがありのまま答えた。

すると、ドムじぃーちゃんは気を失いはしなかったが、思考が止まりかけていたが...なんとか踏みとどまった。

「お前さんら...またかい?」

なんとか、この言葉だけ絞り出して、私とお兄ちゃんを見つめるドムじぃーちゃん。

すると、【聖獣】達が慌ててドムじぃーちゃんに声をかける。

『主人たちは、何もしてないよ!』

『僕たちが勝手にしたんだ!?』

『そうだのう。やったのは我々だのう。』

『主人たちは、悪くない!』

口々にそう訴える【聖獣】達。
すると、ドムじぃーちゃんが珍しくも少し冷たい声で【聖獣】達に注意をした。

「お前さんらは何か勘違いをしているのか?主人達は悪くない?
お前さんらと契約を結んでいるのは、リンとアキラだ。契約した相手が間違ったことや、やり過ぎたことをしたら怒られる責任は、リンやアキラにもある!
リンやアキラに注意をされたくないなら、お前さんらも自分達の行動には気をつける必要があるぞ。」

このドムじぃーちゃんの言葉は、正論だった。
その言葉を聞いてこの時ばかりは【聖獣】達も素直に反省する。
そして、私達もだ。

 素直に反省する私達を見て、ドムじぃーちゃんもドラしゃんもそれ以上は何も言わなかった。

ドムじぃーちゃんとドラしゃんは、街をどうするか考えをまとめることに。
このままには、できないからだ。

しかし、職人としては今作られている街は凄い物だから全てやり替えるのは勿体ない気がして仕方がなかった。

そこで、少しでも自分達でフォローが効く部分だけでも残してやり替える方法がないか模索し出した。

『それなら、一度主犯格でもある【大聖霊】にも出てきてもらって、素材について一から話を聞く必要がありますね。』

「そうだな。素材の内容によっては、わしらが作ったと言ってどうにかなる物もあふかもしれんからなぁー。」

『しかし、毎度やる事が...。』

「仕方がないな。悪気はないんだ。
良かれとやって、失敗する事は誰でもあるぞ?ワシらだってそうだろう?
まぁー。少しは反省する事も必要だからな。」

そう言って、暗い顔をして部屋の隅で丸くなっている私達を横目で確認するドムじぃーちゃん達。

今回ばかりは、私達も素直に反省した。
子供だからといって、やって良い事とダメな事を少しずつ学んでいかないとダメだからだ。

それを私もお兄ちゃんもちゃんと理解していた。

何より、失敗して反省して直さない子は、ろくな大人にはならないと最近両親に注意された事もあるので...尚更落ち込んだ。

この日は、日もくれているので休んで、翌日実際に街を見ながら【大聖霊】達も呼んで考える事にした。


 翌日の朝。腕輪の中で話を聞いていた【大聖霊】達が私やお兄ちゃんが起きる前に既に出てきて、ドムじぃーちゃん達と話をしていた。

話をしているだけでなく、既に街の改装までやっていたのだ。

朝起きてきた私とお兄ちゃんにそう話してくれたのは、ドラしゃん。

『朝早くに、彼らがやって来て使った素材の話をされましてね...。日も明ける前からドムと一緒に街の改装へと出向いてますよ。』

私とお兄ちゃんは、ドラしゃんが用意してくれた朝ごはんを食べながら話を聞いた。

私達が朝ごはんを食べ終わる頃には、ようやく側近の皆さんも目が覚めた様で起きて来た。

数日ぶりに起きて来て、ご飯を食べる側近の皆さん。
なぜが、申し訳なさそうに食事をしていた。

皆が食べ終わる頃には、大量の汗をかいたドムじぃーちゃんと疲れきた【大聖霊】達が戻って来た。

「なんとかなったぞ!」

『主人ごめんさい。』

『ごめんなさい。』

『すまなかった。』

『悪かった。』

『ちゃんと、してきたからね。』

そう口々に謝罪の言葉をいって、【大聖霊】達は腕輪の中に戻って行った。

状況がいまいち掴めず、キョトンとしている私とお兄ちゃん。

すると、ドムじぃーちゃんが勢いよく私とお兄ちゃんの頭を撫でながら話をしてくれた。

「いやぁー、朝も早くから叩き起こされてよぉ~。ギルドと街全部を改装して来たぞ! ほぼ、お前さんらの【大聖霊】達が頑張ってくれたお陰で、俺やフレアが作ったと言っても、疑われない街になったぞ!
 ついでに、細かい所も修繕して来たから、街として稼働はできそうだぞ!」

笑顔で話すドムじぃーちゃん。

その言葉と表情を見て、私とお兄ちゃんは思わず大泣きしてしまった。

急に泣き出す私とお兄ちゃんを見て、大慌てでドラしゃんとセバしゃんがあやしにかかる。

私とお兄ちゃんは、街がどうにかなってくれたのと、ドムじぃーちゃんが喜んでいるのと、【大聖霊】達が頑張ってくれた事の嬉しさ半分と、結局自分達が何も出来なかった悔しさ半分の気持ちがせめぎ合って、おもわず泣き出してしまったのだ。

なかなか泣き止まない私とお兄ちゃん。
ドラしゃんは、とりあえずドムじぃーちゃんには風呂に入ってご飯を食べるように促す。

ドムじぃーちゃんは、後ろ髪引かれるようにしながらもドラしゃんに言われた通りにする。

ドムじぃーちゃんがお風呂から出てくる事には、私とお兄ちゃんは泣き止み、泣き止みついでに疲れて寝てしまった。

それを見てホッとした表情を浮かべるドムじぃーちゃん。

「子供って凄いよなぁー。ちゃんと日々成長してるじゃねぇーかぁ~。
リンとアキラが泣き出したのも、街がどうにかなった嬉しさと、自分達が何もできなかった歯痒さで泣いたんだろうな。」

セバしゃんに抱かれながら、泣き顔のまま眠る私とお兄ちゃんの顔を見ながら話すドムじぃーちゃん。

そんなドムじぃーちゃんに、朝ごはんの支度をして差し出すドラしゃん。

『しかし、いきなり泣き出すのは困りますよ。心臓に悪い。』

「さすがの、お前さんでもか?確かに、リンとアキラの泣き顔は心臓に悪いわなぁー。」

そう言いながらも、出された朝食を平らげるドムじぃーちゃん。

ドムじぃーちゃんが朝食を食べている間に、移動式のベッドを出してそこに私とお兄ちゃんを寝かせるドラしゃん。

ドムじぃーちゃんが朝食を食べた後、街の確認に皆んなで出る為、部屋に残すよりは...の考えがあっての事だった。

それを感じたドムじぃーちゃんとセバしゃんは特に何も言わなかった。
他の側近さん達は成り行きをただ黙って見ている。

移動式ベッドに寝かし終えると同時に、ドムじぃーちゃんも食べ終わったので、想定通りに皆で街へと行く事に。

さて、どの様に街が仕上がったのか緊張しながら皆で見に行くと...街へ向かうとそこはまるで別世界の様な世界が広がっていた。

最初に創ったギルドは、大元のかまく風の部分のみを残して全く別の建物となっていた。

6つのかまくら風の建物の中心に大きなドーム上の建物が建っているのみに変わっていた。

他の部分は?と、ドムじぃーちゃんに聞くと、地下へと場所を移したと説明する。

ギルドが下手に目立ち過ぎると、どうかと思ったのもあるし、資料や素材保管だけに使うなら地下でも問題ないと思い、地下へと移動したとの事だった。

そして、かまくら風建物に一工夫加えてあるのだとか。

それが...何かと言うと、ドムじぃーちゃんが魔法で一つの建物に水をかけると、青色に。
風を吹かすと、緑へと壁の色が変化する。

それを見て驚く一同。
どうして?と質問すると、意外な答えが返ってきた。

「いやぁー、【大聖霊】に素材を聞きたらよ、この色の変わる石はどうやらロフィード王国にある鉱山の一つから取れる石を元に加工して作ってるって言うもんだからよ。
 それなら、そのまま使っても問題ないと思ってよぉ~。
実は、ギルドだけでなく街全体の建物の壁や屋根、道にもつかってるだぜ。」

と言って笑うドムじぃーちゃん。

ドラしゃん達は呆気に取られてポカンとした表情を浮かべる。

ロフィード王国の国王の側近さんさえ、その情報は知らなかった様で驚いていた。

「我らの国にその様な素材があったのですか?!」

側近さん達の言葉にドムじぃーちゃんが平然と答える。

「あー。そうみたいだぜ?なんか、普通に取れる鉱石らしく、見た目はチンケな白い石にしか見えないから、屑石と思われて結構処分されるらしいぞ。
 しかし、その鉱石なんだが凄い特性があってよ、水をかけたら青に。
強めの風が当たれば緑に。火に当てれば赤に。雷に撃たれたら黄に変わるんだってよ。他にも色が変わるらしいぞ。
そんな特性がある石なんだったら、使わないと損だろう?」

そう言って嬉しそうに語り出すドムじぃーちゃん。

「だからよ、【大聖霊】に頼んでその鉱石を素材として全ての建物を変えたわけさ。ちなみにこの鉱石は、加工の仕方によって水耐性、火耐性、風耐性、雷耐性なんかが付与されるらしくってよ!
重さにも耐えれる上に、素材としては軽いんだ!
こんな良い特性があるのを、職人として見過ごせるわけないだろう?!」

話に花を咲かせて止まらないドムじぃーちゃん。
ドラしゃん達はとりあえず頷くことしか出来なかった。

あんなにら楽しそうに話すドムじぃーちゃんって、いつぶりだろうか...。

そんな事を思いながら、ドムじぃーちゃんの話を聞きながら街を見て回る。

街全体が白一色に近い感じがするが、微妙に灰色がっていたり、黄色み帯びていたり、別の鉱石や木を使った建物も点在していた。

「ふふふっ。一見同じ素材を使っていら様に見えるだろう?甘いなぁー!
実は、どの建物も微妙に違う鉱石を組み合わせて創ってるだぞ!!」

移動中に目覚めた私とお兄ちゃんが不思議そうに建物に触れていると、ドムじぃーちゃんが楽しそうに教えてくれた。

「全部違うんですか?」

「???」

お兄ちゃんと私が首を傾げると、ドムじぃーちゃんはニヤッと笑って説明を始める。

「実は、この街の建物の鉱石はそれぞれ同盟国でとれた物を組み合わせて建ててあるだぜ。」

その言葉に、私とお兄ちゃんだけでなくドラしゃんや側近さん達も驚く。

どれがどの国の?!
私達は建物を一つ一つじぃーーと観察し出す。

すると...?!

「あっ!これは、我が国の!!」

と、セバしゃんが。
そして...。

「こちらは、ファールト王国の?!」

「あっ?!こっちはルファロル王国のでは?!」

と、それぞれの国の側近さん達が声をあげていく。

ドムじぃーちゃんは、嬉しそうに高笑いしながら全て正解じゃー?!と答える。

「それぞれの国の鉱石は、単体でも素晴らしいもんだが、組み合わせ次第ではとても素晴らしい物に変わると【大聖霊】達に教わってなぁー。
知ったら、やってみたくなるのが職人ってもんでなぁー。
イヤー、今回はちと頑張りすぎたわい。」

と、笑いながら話すドムじぃーちゃん。

どの様な組み合わせかは、企業秘密じゃと言って、頑なに教えないドムじぃーちゃん。

しかし、最初に【大聖霊】達と創った街より、遥かに素晴らしい街がそこには広がっていた。

一見岩の塊にしか見えない建物だが、よく見ると色んな素材の組み合わせで造られているため、見る角度や気温、天気なんかで街の雰囲気が変わる仕掛けとなっていたのだ。

街全体がまるで、カラクリ屋敷風となっていたのだのだから驚くしかない。

それには、さすがのドラしゃんも何も言えない状態だった。

何せ、創ったのはこの世界で有名な建築士であるドムじぃーちゃんなのだから。

街の道も、歩くと色が変わる仕組みは一緒だが、摩擦や重みで色を変える鉱石を使っているのだから匠の技としか言えない領域だ。
しかも、ファールト王国で採れる鉱石の一種なんだって。

街の屋根に使われている素材は、雨風に強く雷に撃たれたら、電気を帯電させる仕組みを持っているとか...。

帯電させてた電気は、街の街灯の灯りに還元される様にしてあるんだって。
とてもエコな街と化していたのだ。

「この街の素材はそれぞれの同盟国で手に入れる事ができる。と言うことは、それぞれの国と交易をしないと手に入らないと言う仕組みだ。
それなら、お互いの国同士国交の手助けにもなるだろう?
 せっかくいい国と同盟を結んでいるんだ。なら、それを有効活用しないとなぁー。」

と言ってのけるドムじぃーちゃん。

なんか、いつものドムじぃーちゃんより数段カッコいいのは気のせいかなぁ?

私とお兄ちゃんは、密かにそう思いながら側で誇らしく語るドムじぃーちゃんを見上げる。

「この街なら問題はないだろ?フレア。老骨ながら、頑張っただろう?」

ドムじぃーちゃんが誇らしげにドラしゃんに確認すると

『さすが...としか、言いようがないですね。こんな素敵な街にされたら、文句なんか言えませんね。しかし、よくそんな事を思いつきましたね。』

ドラしゃんはホッとした表情を浮かべつつもしっかり褒める所は褒める。

「そりゃー年の功ってもんよ。てか、この国の全ての街が、それぞれ違う雰囲気の街にしてあるんだからよ、一つぐらい、こんな街があってもいいだろう?
 しかし、朝見た時はよぉ~。一瞬あの世に行きかけたぞ?!なんだ?!あの規格外な街は。お前さんがついていながら、なんて街を創り上げるんだ?!
お前さんは、もう少しあの2人に厳しくならんと...。」

ニヤニヤと笑みを浮かべつつもドラしゃんにしっかりしろとハッパをかけるドムじぃーちゃん。

『ぐっ...。解っては、いるのだが...。無理だ。』

「....。だろうなぁー...。できたら、あんな街にはならねぇーなぁー。」

ドムじぃーちゃんとドラしゃんは、そんな話をこそこそしてた。

兎にも角にも、こうしてようやく全ての街が完成したのは間違いない。

中央の街を中心に東西南北に、国の代表となる街を創り上げる事が出来たのだ。

あとは、この街と南側の街を繋ぎ、それぞれの同盟国の国王達に報告して、人々を迎え入れて国として稼働していく手前までの準備が整った。

「よし。明日、南側の街とここをつなぐ様にするか?」

『そうですね。』

「やった~?!」

「これで、もうだいじょうぶ?」

私とお兄ちゃんが嬉しそうに聞くと、ふたりは頷いてくれた。

側近さん達も嬉しそうにしていた。
このまま順調に事が進むと思っていた。
が、街の外であの黒い影が見ていたのだった。











リン:
やった?!
街が全てできたよ^ ^

アキラ:
やっとだね^ ^

リン:
これで、皆んなの所に帰れるね^ ^

アキラ:
その前に、南の街だね^ ^











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酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

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