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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-57 黒い影が?!
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東側の街も完成して、残すは南側と道を繋いでから中央に戻るという段取りでいこうと話をして、話はそれでまとまり、残りの時間は他にし残しがないか手分けして街中を最終確認して回ろうとしていたときだった。
"凄いね。もう街を全部創り上げたんだね。
と言っても、その2人は今回もあまり何もさせて貰えなかった様だね。"
近くからあの声が聞こえがしてきたのだ。
しかし、姿はどこにもない。
"おや?もしかして、僕を探してくれているのかい?
残念なが、僕はその街には入れないのでね...。
その街に限らず、どの街にも"まだ"入れないんだ。
今は、声だけを君たちの側に飛ばしているだけだけどね。
僕の力もまだ完全には回復していないから...。完全に回復した時こそ、君を迎えに行くから待っててくれよ。
それまで、そこに居る連中に守られていてね。僕は、常に君を見ているからね。"
そう言うだけ言って気配を完全に消した。
ドラしゃんは、セバしゃんに私とお兄ちゃんを預けて、【聖獣】達を引き連れて街の外へ向かう。
しかし、街の外も奴の気配はどこにも残って居なかったようだ。
私とお兄ちゃんは、しっかりセバしゃんの服を掴んで不安な気持ちでいっぱいになりながらドラしゃんの帰りを待った。
セバしゃんは、そんな私達をしっかり抱えてくれ、その周りを他の側近さんとドムじぃーちゃんが囲む様に、辺りを警戒する。
暫くして、街の外へ確認しに行っていたドラしゃん達が戻ってきた。
「どうだった?居たか?」
ドムじぃーちゃんの言葉に、ドラしゃんは首を横に振る。
『残念ながら、姿所が気配すらなかったですね。小賢しい限りです。』
「先程の声の主が、以前話していた奴ですか?」
セバしゃんがそう質問すると、ドムじぃーちゃんとドラしゃんは頷く。
「リンをお嫁さんにするって言うんだ!だから、絶対にやらないんだ!!」
お兄ちゃんが、セバしゃんの腕の中でそう言うと、セバしゃんも何故か同意した。
「それは、勿論ですよ。どこの馬の骨ともわからん奴に、嫁ぐ必要はないですよ。」
「しかし、声だけを飛ばしてくるとは...それなりに実力のある人物なのでは?」
「声だけ聞いても、なんか気味悪いですよね?」
「それ、わかります。なんか、鳥肌がたちました。執念深さを感じる声ですよね?」
セバしゃん、ドムじぃーちゃん、側近さん達がとんでもない事を言い出した為、私はますますセバしゃんの服を掴む手に力を入れた。
それに気付いたセバしゃんは、優しく私の頭を撫でてくれ
「大丈夫ですよ。誰一人として、貴方にあんな変奴を近づけさせませんよ!」
セバしゃんの言葉に、皆は私を元気付けようと笑顔で頷く。
とりあえず、手分けして街を確認するつもりだったが、念のため皆で警戒しながら動くことに変更した。
ドラしゃんは、いつでも攻撃出来る様に、道中はセバしゃんに私とお兄ちゃんを預けて動く。
私とお兄ちゃんを抱えたセバしゃんを中心に、周りを他の人で囲む様にして移動した。
勿論ドラしゃんは、周りに結界を張り巡らせることを忘れなかった。
【聖獣】達も警戒して対応にあたってくれているので、かなり心強い状況下だ。
多少の時間はかかったが、その後は何事もなく無事に過ごせた。
街の方も大きな修繕箇所はなく、翌日には南側の街へ向かって進んでも問題ないとなった。
その日の夜は、念のためにと皆で一部屋に集まって寝る事にした。
勿論結界はしっかり張ってあるが、念には念をと言う事だった。
相手は、"まだ街には入れない"と言っていたが、それが嘘か本当かは確かめる事ができない為だ。
その為、私とお兄ちゃん以外...大人達でその日は交代で見張りをする事になった。
最初こそ外での見張りをしたらとなっていたが、建物内での見張りに変更した。
相手がどんな技を使えるか予測ができないので、外で見張りをして何かあった時建物の中に入れなかったら戦力が分散してしまうからそれを避けるためだという。
その為、今日のお宿は急遽平家に立て直したのだ。
建物の周りに、簡易の罠を何重にも仕掛けており、余程の魔物出ないとこの建物には近づけない様にしていた。
ちなみに、私達が休む宿は何があっても良い様に外壁近くに立て直したのだ。
私とお兄ちゃんがちゃんと寝た事を確認してから、大人達の作戦は開始となった。
交代で見張りと仮眠を取る様にしていたが、仮眠を取る方もいつも以上に気を張っていた。
たとえ、声だけと言っても能力値が未確認の相手だからだ。
どんな方法を使って、接触してくるか分からないため、普通の魔物相手より大変なようす。
それでも、皆は頑張ってくれていた。
最初の見張りは、ドラしゃんとセバしゃんで行うことにしたようで、休んでいる人達は幾分か気持ち的に楽なのだろう。
気持ちゆっくり体を休めることができていた。
奇襲や夜襲をかけるなら、寝入った頃が危ないのだが...この二人が見張りをしていてヘマをする事はないと皆信じているからだと思う。
その事も考慮してか、この二人の見張りの時間は他の人より長めにしていた。
「おい。あの、声の主。お前は知っているのか?」
セバしゃんは、小声でドラしゃんに話しかける。
本来なら、セバしゃんとは必要以上口を聞きたくないドラしゃんだったが、今回はそうもいかないのか、素直に答える。
『いや。初めて見る奴だ。しかし...。』
「しかし、なんだ?」
珍しく言葉を濁すドラしゃんに対して、
驚くセバしゃん。
そんなセバしゃんに対して、特に嫌味を言うわけでもなく、悩みながら言葉を選んで返事を返すドラしゃん。
『初めて見るんだが...。気配は...どことなく...知っているような...いないような...なんとも言えない感じなんだ...。』
歯切れ悪く答えるドラしゃん。
しかし、ドラしゃんの雰囲気から、その回答が嘘ではないと理解したセバしゃんは、それ以上特に何も言わなかった。
何故なら、セバしゃん自身があの声の主のなんとも言えない感じを、昔どこかで感じた記憶が微かにあったからだ。
しかし、それがいつの頃だったかはっきり思い出せないでいたから、あえて何も言わなかった。
ドラしゃんとセバしゃんはそれなりに色んな魔法が使えるので、体力と魔力を温存しながら巧みに魔法を使いながら屋敷の中とついでにと屋敷の外まで見張りを行っていた。
それは"目"と呼ばれる使い魔をつかった見張り方法だ。
ドラしゃんはともかく、セバしゃんは職務を放棄して逃げまう王様を相手にしないといけないので、頑張ってこの技を習得したそうだ。
"目"と呼ばれる使い魔は多少の魔力消費をするが、数を大量に生み出すことができる上に、近くにいなくても動かせて彼らが見た映像や情報を感覚共有できるためより正確な情報を得ることができる使い魔の一種だそうだ。
二人は自分達が見張りを行っている時間帯はこの"目"を使い見張りを行う。
「何もないですね。」
セバしゃんが思わずボソッと呟くとドラしゃんもそれに共感する。
『変に気味が悪い。油断した所を狙ってくるのかと思っていたが...奴の言葉通りまだ相手も力を自由に使えないのかもな...。』
ドラしゃんも"目"を使いながら私達が休んでいる屋敷の周りと言わず、街の中や街の外まで見張っているが、通常の魔物の姿や気配すらないことに違和感を感じていた。
日付が分かり少し経った頃まで二人が見張りをして、他の人達と変わる。
その時に一応自分達が見張りをしていた時の様子を伝えて、二人は私とお兄ちゃんの側で仮眠をとる。
それから、何回か見張りを交代したが、朝まで奴が現れる事はなかったし、代わりに魔物も現れる事もなかったのだった。
罠の解体や除去を行う為、当初の時間より少し遅めに、東側の街から南側へと向かう事になった。
勿論その道中も、警戒は十分にして移動する。
東側の街から南側へ行く道は、今回は【大聖霊】達はあえて腕輪の中に残ってもらうことにしていたが、そうすると戦闘要員がいないのでは?どうことになり、最初の予定通りに【大聖霊】達に道を作ってもらうことにした。
『ワシとスカイ殿とで、見張りをするでのう。』
フウちゃんはそう言うとスカイと一緒に空高く扉辺りを警戒する。
他の【聖獣】達も辺りを警戒しながら移動する。
空から見張りつつ、地上でもドラしゃん達が探知魔法を使いながら警戒をしているので、【大聖霊】達も安心して道作りに専念していた。
丁度陽の光が、空のてっぺんに来る前に道の半分以上が完成していた。
ギリギリ日が暮れる前には、南側の街へ辿りつける段取りで進んでいる。
「今の所、特に気配はありませんね。」
「気配がないと言っても、油断はできません。昨日の今日ですから。」
休息中も、皆は警戒モードの状態だった。
空では、フウちゃんとスカイが辺りを警戒して見てくれているので、いつもよりは異常に早く気付く事ができる。
フウちゃん達も呼んで、休憩をと思った時だった。
『主人?!きたのう!!』
『主人?!奴です!!』
そう2人から声がしたので、皆が戦闘モードに入ろうとした時だ。
黒い幕のような物が、私達めがけてやって来たのだ。
私達から約3メートル程離れた所で、黒い幕のような物がいきなり燃えた。
サンドイッチを食べていた私とお兄ちゃんは、セバしゃんの腕の中へ。
辺りは一気に緊張が高まる。
"あーあー。やっぱりまだまだかぁー。
しかし、いきなり燃やす事はないよね。
僕だったからよかったものの、他のやつならあの世行きだよ?
しかし、本当に警戒心は強いね。
ただ、一眼見てから帰ろうと思ったんだけど...。
そうもいかなさそうだから、帰らせてもらうね。"
燃える黒い幕の一部分から、あの黒服の人の声と顔がチラッと...。
相変わらずなんとも言えない不敵な笑みを浮かべて消えたのだった。
黒い幕のような物は、全て跡形もなく燃え切っていた。
何故、何もない所で火が?
それは、【大聖霊】の仕業だった。
道作りをしながらもちゃんと警戒の糸を張り巡らせていたのだ。
「顔ははっきりとは見えませんでしたが...それにしてもかなり"しつこい"方ですね。どっかのバカ王の様ですね。」
そう話すセバしゃん。
あんな変人と王様を一緒にするなんて...さすがセバしゃん...。
そう感心していると、ドラしゃんが私の腕輪に向かって話しかけて来た。
『もうこれ以上は、奴も現れないでしょ。一気に南側まで道をつないでください。本日中に中央の街へ戻ります。』
このドラしゃんの言葉を合図にと言わんばかりに、【大聖霊】達は気合を入れ直して一気に道を作り上げていった。
『休憩はここまでです。今日中に、街へ戻ります。その方が、安全です。』
ドラしゃんの提案に皆は頷き、早々にランチを片付けて、出来上がっていく道を駆け足で進むのだった。
ドラしゃん:
それにしてもしつこい!!
なんなんですか?あの執念!!
セバしゃん:
あんなの、身内に1人いるだけでもイラっとするのに...。
最悪ですね。
ドムじぃーちゃん:
何より、リンをつけ狙うのが許せねぇー!!!
ドラ・セバしゃん:
同感です!!
"凄いね。もう街を全部創り上げたんだね。
と言っても、その2人は今回もあまり何もさせて貰えなかった様だね。"
近くからあの声が聞こえがしてきたのだ。
しかし、姿はどこにもない。
"おや?もしかして、僕を探してくれているのかい?
残念なが、僕はその街には入れないのでね...。
その街に限らず、どの街にも"まだ"入れないんだ。
今は、声だけを君たちの側に飛ばしているだけだけどね。
僕の力もまだ完全には回復していないから...。完全に回復した時こそ、君を迎えに行くから待っててくれよ。
それまで、そこに居る連中に守られていてね。僕は、常に君を見ているからね。"
そう言うだけ言って気配を完全に消した。
ドラしゃんは、セバしゃんに私とお兄ちゃんを預けて、【聖獣】達を引き連れて街の外へ向かう。
しかし、街の外も奴の気配はどこにも残って居なかったようだ。
私とお兄ちゃんは、しっかりセバしゃんの服を掴んで不安な気持ちでいっぱいになりながらドラしゃんの帰りを待った。
セバしゃんは、そんな私達をしっかり抱えてくれ、その周りを他の側近さんとドムじぃーちゃんが囲む様に、辺りを警戒する。
暫くして、街の外へ確認しに行っていたドラしゃん達が戻ってきた。
「どうだった?居たか?」
ドムじぃーちゃんの言葉に、ドラしゃんは首を横に振る。
『残念ながら、姿所が気配すらなかったですね。小賢しい限りです。』
「先程の声の主が、以前話していた奴ですか?」
セバしゃんがそう質問すると、ドムじぃーちゃんとドラしゃんは頷く。
「リンをお嫁さんにするって言うんだ!だから、絶対にやらないんだ!!」
お兄ちゃんが、セバしゃんの腕の中でそう言うと、セバしゃんも何故か同意した。
「それは、勿論ですよ。どこの馬の骨ともわからん奴に、嫁ぐ必要はないですよ。」
「しかし、声だけを飛ばしてくるとは...それなりに実力のある人物なのでは?」
「声だけ聞いても、なんか気味悪いですよね?」
「それ、わかります。なんか、鳥肌がたちました。執念深さを感じる声ですよね?」
セバしゃん、ドムじぃーちゃん、側近さん達がとんでもない事を言い出した為、私はますますセバしゃんの服を掴む手に力を入れた。
それに気付いたセバしゃんは、優しく私の頭を撫でてくれ
「大丈夫ですよ。誰一人として、貴方にあんな変奴を近づけさせませんよ!」
セバしゃんの言葉に、皆は私を元気付けようと笑顔で頷く。
とりあえず、手分けして街を確認するつもりだったが、念のため皆で警戒しながら動くことに変更した。
ドラしゃんは、いつでも攻撃出来る様に、道中はセバしゃんに私とお兄ちゃんを預けて動く。
私とお兄ちゃんを抱えたセバしゃんを中心に、周りを他の人で囲む様にして移動した。
勿論ドラしゃんは、周りに結界を張り巡らせることを忘れなかった。
【聖獣】達も警戒して対応にあたってくれているので、かなり心強い状況下だ。
多少の時間はかかったが、その後は何事もなく無事に過ごせた。
街の方も大きな修繕箇所はなく、翌日には南側の街へ向かって進んでも問題ないとなった。
その日の夜は、念のためにと皆で一部屋に集まって寝る事にした。
勿論結界はしっかり張ってあるが、念には念をと言う事だった。
相手は、"まだ街には入れない"と言っていたが、それが嘘か本当かは確かめる事ができない為だ。
その為、私とお兄ちゃん以外...大人達でその日は交代で見張りをする事になった。
最初こそ外での見張りをしたらとなっていたが、建物内での見張りに変更した。
相手がどんな技を使えるか予測ができないので、外で見張りをして何かあった時建物の中に入れなかったら戦力が分散してしまうからそれを避けるためだという。
その為、今日のお宿は急遽平家に立て直したのだ。
建物の周りに、簡易の罠を何重にも仕掛けており、余程の魔物出ないとこの建物には近づけない様にしていた。
ちなみに、私達が休む宿は何があっても良い様に外壁近くに立て直したのだ。
私とお兄ちゃんがちゃんと寝た事を確認してから、大人達の作戦は開始となった。
交代で見張りと仮眠を取る様にしていたが、仮眠を取る方もいつも以上に気を張っていた。
たとえ、声だけと言っても能力値が未確認の相手だからだ。
どんな方法を使って、接触してくるか分からないため、普通の魔物相手より大変なようす。
それでも、皆は頑張ってくれていた。
最初の見張りは、ドラしゃんとセバしゃんで行うことにしたようで、休んでいる人達は幾分か気持ち的に楽なのだろう。
気持ちゆっくり体を休めることができていた。
奇襲や夜襲をかけるなら、寝入った頃が危ないのだが...この二人が見張りをしていてヘマをする事はないと皆信じているからだと思う。
その事も考慮してか、この二人の見張りの時間は他の人より長めにしていた。
「おい。あの、声の主。お前は知っているのか?」
セバしゃんは、小声でドラしゃんに話しかける。
本来なら、セバしゃんとは必要以上口を聞きたくないドラしゃんだったが、今回はそうもいかないのか、素直に答える。
『いや。初めて見る奴だ。しかし...。』
「しかし、なんだ?」
珍しく言葉を濁すドラしゃんに対して、
驚くセバしゃん。
そんなセバしゃんに対して、特に嫌味を言うわけでもなく、悩みながら言葉を選んで返事を返すドラしゃん。
『初めて見るんだが...。気配は...どことなく...知っているような...いないような...なんとも言えない感じなんだ...。』
歯切れ悪く答えるドラしゃん。
しかし、ドラしゃんの雰囲気から、その回答が嘘ではないと理解したセバしゃんは、それ以上特に何も言わなかった。
何故なら、セバしゃん自身があの声の主のなんとも言えない感じを、昔どこかで感じた記憶が微かにあったからだ。
しかし、それがいつの頃だったかはっきり思い出せないでいたから、あえて何も言わなかった。
ドラしゃんとセバしゃんはそれなりに色んな魔法が使えるので、体力と魔力を温存しながら巧みに魔法を使いながら屋敷の中とついでにと屋敷の外まで見張りを行っていた。
それは"目"と呼ばれる使い魔をつかった見張り方法だ。
ドラしゃんはともかく、セバしゃんは職務を放棄して逃げまう王様を相手にしないといけないので、頑張ってこの技を習得したそうだ。
"目"と呼ばれる使い魔は多少の魔力消費をするが、数を大量に生み出すことができる上に、近くにいなくても動かせて彼らが見た映像や情報を感覚共有できるためより正確な情報を得ることができる使い魔の一種だそうだ。
二人は自分達が見張りを行っている時間帯はこの"目"を使い見張りを行う。
「何もないですね。」
セバしゃんが思わずボソッと呟くとドラしゃんもそれに共感する。
『変に気味が悪い。油断した所を狙ってくるのかと思っていたが...奴の言葉通りまだ相手も力を自由に使えないのかもな...。』
ドラしゃんも"目"を使いながら私達が休んでいる屋敷の周りと言わず、街の中や街の外まで見張っているが、通常の魔物の姿や気配すらないことに違和感を感じていた。
日付が分かり少し経った頃まで二人が見張りをして、他の人達と変わる。
その時に一応自分達が見張りをしていた時の様子を伝えて、二人は私とお兄ちゃんの側で仮眠をとる。
それから、何回か見張りを交代したが、朝まで奴が現れる事はなかったし、代わりに魔物も現れる事もなかったのだった。
罠の解体や除去を行う為、当初の時間より少し遅めに、東側の街から南側へと向かう事になった。
勿論その道中も、警戒は十分にして移動する。
東側の街から南側へ行く道は、今回は【大聖霊】達はあえて腕輪の中に残ってもらうことにしていたが、そうすると戦闘要員がいないのでは?どうことになり、最初の予定通りに【大聖霊】達に道を作ってもらうことにした。
『ワシとスカイ殿とで、見張りをするでのう。』
フウちゃんはそう言うとスカイと一緒に空高く扉辺りを警戒する。
他の【聖獣】達も辺りを警戒しながら移動する。
空から見張りつつ、地上でもドラしゃん達が探知魔法を使いながら警戒をしているので、【大聖霊】達も安心して道作りに専念していた。
丁度陽の光が、空のてっぺんに来る前に道の半分以上が完成していた。
ギリギリ日が暮れる前には、南側の街へ辿りつける段取りで進んでいる。
「今の所、特に気配はありませんね。」
「気配がないと言っても、油断はできません。昨日の今日ですから。」
休息中も、皆は警戒モードの状態だった。
空では、フウちゃんとスカイが辺りを警戒して見てくれているので、いつもよりは異常に早く気付く事ができる。
フウちゃん達も呼んで、休憩をと思った時だった。
『主人?!きたのう!!』
『主人?!奴です!!』
そう2人から声がしたので、皆が戦闘モードに入ろうとした時だ。
黒い幕のような物が、私達めがけてやって来たのだ。
私達から約3メートル程離れた所で、黒い幕のような物がいきなり燃えた。
サンドイッチを食べていた私とお兄ちゃんは、セバしゃんの腕の中へ。
辺りは一気に緊張が高まる。
"あーあー。やっぱりまだまだかぁー。
しかし、いきなり燃やす事はないよね。
僕だったからよかったものの、他のやつならあの世行きだよ?
しかし、本当に警戒心は強いね。
ただ、一眼見てから帰ろうと思ったんだけど...。
そうもいかなさそうだから、帰らせてもらうね。"
燃える黒い幕の一部分から、あの黒服の人の声と顔がチラッと...。
相変わらずなんとも言えない不敵な笑みを浮かべて消えたのだった。
黒い幕のような物は、全て跡形もなく燃え切っていた。
何故、何もない所で火が?
それは、【大聖霊】の仕業だった。
道作りをしながらもちゃんと警戒の糸を張り巡らせていたのだ。
「顔ははっきりとは見えませんでしたが...それにしてもかなり"しつこい"方ですね。どっかのバカ王の様ですね。」
そう話すセバしゃん。
あんな変人と王様を一緒にするなんて...さすがセバしゃん...。
そう感心していると、ドラしゃんが私の腕輪に向かって話しかけて来た。
『もうこれ以上は、奴も現れないでしょ。一気に南側まで道をつないでください。本日中に中央の街へ戻ります。』
このドラしゃんの言葉を合図にと言わんばかりに、【大聖霊】達は気合を入れ直して一気に道を作り上げていった。
『休憩はここまでです。今日中に、街へ戻ります。その方が、安全です。』
ドラしゃんの提案に皆は頷き、早々にランチを片付けて、出来上がっていく道を駆け足で進むのだった。
ドラしゃん:
それにしてもしつこい!!
なんなんですか?あの執念!!
セバしゃん:
あんなの、身内に1人いるだけでもイラっとするのに...。
最悪ですね。
ドムじぃーちゃん:
何より、リンをつけ狙うのが許せねぇー!!!
ドラ・セバしゃん:
同感です!!
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