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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-60 前王様の日記とドラしゃんの偽物?!
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ルミばぁーちゃんの言葉より始まった今回の会議の議題はと言うと...。
一つ目、予定していたより早くに東西南北に主要となる街がそれぞれ完成したのはいいが、メインの住人をどう分けていくか。
ちなみに、私達は【大聖霊】の力の影響で、中心の街からそれぞれの街へ。
街から街へと、およそ片道1日ないし半日で行き来をしていた。
しかしだ!
それはあくまでも、【大聖霊】達のおかげ。
普通に行き来をするとなると、中心の街から北側の街まで徒歩で片道約4日。
馬車や早馬を使って片道約2日程かかる。
東側の街へは徒歩で片道約5日、馬車や早馬を使って片道約3日半程。
西側の街へは徒歩で約4日、馬車や早馬を使って片道約2日程。
南側の街へは徒歩で片道約5日半、馬車や早馬を使って片道約3日半ギリギリ程だという。
ちなみになぜそれが分かるかって?
私達が一つの街を作って別の街を作っている間に、街にいる冒険者数名に実際に片道どのくらいかかるのか調べて貰った結果だとルミばぁーちゃんが教えてくれた。
しかし、調べに出た冒険者達は口々に皆同じ事を言っていたのだが...
「今まで色んな街へ行くために、色んな道を通ったけど。
この道が一番安全かつ歩きやすい!!
日数がかかっても苦にならないんだ!」
「疲れたなぁーと感じる区間に、必ず休憩できる場所が設置されてるんだぜ!すげ~よ!」
「景色も飽きないように色々工夫されているし、道幅もかなりゆとりがあるから事故の心配も少ないんですよ!」
などなど好評な意見が多数とどいたそうだ。
それに関しては、私やお兄ちゃん。
ドラしゃんやドムじぃーちゃんは初耳だったので普通に驚いた。
「まぁ~、奴らの話でこの街に住んでいる連中の何人かは、できたての街へ移住を考えている者もいるみたいだね。
それに関しては、私らがどうこう言う問題でないから本人達に任せるつもりだ。
まぁ~、ちゃんと街が完成したと報告があるまで、行き来は禁止にしてあるがね。」
そう話すルミばぁーちゃん。
まぁ~、それぞれの街に関しては、同盟国の王様達も関連するからきちんと話し合っておかないといけないからと言って今回会議を開いたそうだ。
しかし、移住については早々に話が進みそうだから良いとして...問題は...二つ目の議題内容だった。
そうなんです。黒服の人の話ですよ。
まさか、夜にまた現れるとは...。
この話になった途端、会議室の空気は重苦しいものに変わった。
その気持ち私達もわかります。
なにせ、相手は変態さんですからね。
嫌そうな顔をしながら、私が座っているとドラしゃんが心配そうに見つめてくる。
私はそんなドラしゃんに大丈夫だよって微笑みかけると、なぜか周りの人達もにヘェ~って顔が崩れ出す。
「さて、大問題の黒服のやつなんだが。それぞれの国の代表さんらが居るんだ。それぞれ、今の所集めてある情報をよこしてくれるかい?」
皆の顔面が崩壊しきる前に、ルミばぁーちゃんが話を進める。
すると、それぞれの同盟国の王様達から少しだが吉報?を得る事ができた。
「実は、あれから城の書庫を調べてみたんだ。すると、じぃーさん...あー前王様の日記みたいなのが見つかってよ。
その中に、その黒服の人物と思われる奴の事が少しだけだが記載されていたんだ。」
そう話す王様。
セバしゃんはそんな王様に、"やれば出来ではないですか。なんで、普段からやらないんですか?"と冷たい一言を浴びせていた。
王様は少し涙目になっていたが、皆見て見ぬふりをして王様からの話を待った。
「どんな事が書いてあったんだい?」
半泣きになっている王様に、呆れ顔で質問するルミばぁーちゃん。
ルミばぁーちゃんに質問されて、しょんぼりしながらも王様は素直に答える。
「じぃーさんの...前王様の日記の中でも、"あの戦"になる数週間前の出来事を書いてある文章をみつけんだ。その中に記載されていたんだけどよ...。
確か...そうそう、"黒き服を頭からかぶりし、怪しき人物が王都のギルドに現れた。旅の者と名乗る人物で、旅の資金にしたいと言ってある物を売りに来た。
その物と言うのは、"ドラゴン"の腕だった。しかもその者、他にも"ドラゴン"の素材を持っているがそれは隠れ家に置いてあると。今手元にある奴はこれのみ。先に買い取って欲しいと言う。
"ドラゴン"の腕は、まるで今まさに切り取ったかの様な切り口であったと、ギルドより報告あり。見慣れぬ人物のため、各街々のギルドに情報を流し様子を見る事にした。"とかいてあったぞ。」
王様のその言葉に、ドラしゃんより負のオーラが立ち込めだす。
私とお兄ちゃんが居るからか、かなり手加減はしてあるようだが、それでも背筋がゾクっとするし、寒気と鳥肌がおさまらない。
しかし、そんな状況下でも王様は言葉を続ける。
「それからだ。じぃーさんの日記にはあの戦が起こるまで、1日おきにその黒服の奴について記載されているだ。
しかも、必ず奴と"ドラゴン"はセットでてでくるぞ。
しかも、そいつが持ってくるものは全て切断されたものばかりだと記されていた。」
この言葉で、一気に部屋の中のプレッシャは強くなった。
息をするのもしんどいぐらい。
なんとかギリギリのランいで、踏みとどまっているのが丸わかりの状況だった。
居てもたってもいられなくなった私は、崩れそうになる足を踏みしめながらも、ドラしゃんの側に行って声をかける。
「ドラしゃん...。だいじょうぶ?」
弱々しい私の声にハッとするドラしゃん。
そして、一気に部屋の空気が元に戻った。
ドラしゃんに声をかけたあと、体の力がスッと抜けてへたりこみそうになる私。
ドラしゃんは私が床にへたり込む前に抱き上げてくれた。
『すみません。お嬢様。大丈夫ですか?』
さっきまでかなりの圧とオーラを放っていた同一人物とは思えない代わりよう。
王様も自分の発言でこの様な状況をもたらしたのを自覚している為か、複雑そうな表情を浮かべていた。
「だいじょうぶ。ただちゅかれたの。」
私はそうドラしゃんに言うと同時に眠気が襲ってきたので、そのまま眠ってしまった。
幼い私には、ドラしゃんが放ったオーラと圧に耐えられなかったのだ。
ドラしゃんは眠った私に何やら魔法をかけて、鞄からドラしゃんお手製のタオルケットを出して、それにわたしを包み抱き抱え直す。
ドラしゃんにとって、どんな状況下においても優先順位1番は私。
私のことを世話している間のドラしゃんなら大丈夫と判断したのだろう。
私が眠った後も話は続けられた。
次に私が目を覚ました時は、話し合いは終わっており、家に帰ってきていた。
私は起きてから両親に話し合いがどうなったか確認すると、少し表情が暗かった。
両親の反応で、話し合いの内容は悪い話が多かったのでは?と感じた。
本当なら聞かない方が良いと思うのだが、その時の私はどうしても気になって仕方がなかった。
繰り返し両親に、どんな話し合いになったか尋ねる私。
渋々両親は話し合いの内容をかいつまんで話してくれた。
私が眠った後、王様は前国王様が残していた日記の内容の続きを話したそうだ。
はっきりとは書かれてはいなかった様だが、前国王はこの世界で起きた悲惨な戦争のきっかけを振り撒いたのは、その黒服の人物ではないかと予測を立てていたそうだ。
何故なら、その黒服を着た人がドラゴンの素材を持ってくる度に、お金に目が眩んでドラゴン狩りをする人が増えたと書かれていたからだ。
以前よりドラゴン狩りはされていた。
しかしあくまでも狩の対象となるドラゴンは、人里に被害をもたらすもののみが対象だった。
それ以外のドラゴンに対しては、無闇な殺生はしていなかった。
何故ならドラゴンは神様に近き存在であり、世界のバランスを保つものとされていたからだ。
あと、知能高いドラゴンは必要以上人間や他の種族に干渉はしてこなかったのだ。
人々が望めは、鱗の一枚を恵んだりなど力を貸していたという。
それだけ、ドラゴンは存在全てに価値があり、無駄がないのだった。
涙や血は万能薬になり、鱗や皮、骨や牙は素材となる。
肉は美味しく食材となるのだった。
そんな事もあり、死を悟った年老いたドラゴンや病弱なドラゴン自ら人々の前に現れて、自分達の命を差し出す事もあったと記録にも記されているとか。
だから無闇な殺生等は、あの戦争が起こるまで一切なかったのだ。
しかもその内容は、王様の所だけではなかった。
同盟国の国王達の所にも似た様な話が残されていたという。
同盟国の国王達の前の国王。
すなわち前国王の時代が丁度惨劇の時代にあたる。
前国王達もそれぞれ自分の子孫の為に、直筆の記録を残していたのだ。
そこにも黒服の人の事が数カ所書かれていたそうだ。
しかし、同盟国の前国王達はその黒服の人物に対して不信感しか持てず、相手にはしていなかった様子。
相手にはしないが、警戒はしており自分の兵なのどに探りを入れさせていた国王様もいたぐらいだった。
この世界で1番悲惨な戦い。
それは、ドラしゃんが仲間を...。
家族を失う事となった出来事...。
私は両親から話を聞いて、ドラしゃんが心配になった。
私はドラしゃんの姿を探した。
しかし、自分の視界内にドラしゃんはいなかった。
両親にどこに居るのか尋ねると、まだ王様達とギルドで話し合いをしているとの事だった。
ギルドへ...ドラしゃんに会いに行こうかと悩んでいる時だった。
「リン!アキラ!ユイカ!ユウダイ!絶対家から出るな!奴が来た!」
家の外からそう叫ぶムキじぃーちゃんの声が外から聞こえて来たのだ。
"奴が来た"
どうやら、黒服の人が街の外に来たみたい。
お母さんはすぐさま私を抱き抱え、お父さんはお兄ちゃんを抱き抱える。
そして、私達の周りを【聖獣】達が取り囲んだ。
以前あの人は、"自分は街の中に入る事はできない"と言っていたが...。
本当かどうかはわからない。
家の中に嫌な空気が流れる。
「ドラしゃん...。」
私はお母さんに抱き抱えられながらも、その場にいないドラしゃんの事を思った。
するとだ。
『呼びましたか?お嬢様。』
そう言って、ドラしゃんの声がすぐ側から聞こえた。
横を見るとなんとドラしゃんが!
『呼ばれたので、飛んでまいりましたよ。街の外に例のモノが来ています。
どうやら街に入って来れないのは本当の様です。
私の張っている結界に弾かれてます。』
そう言って近寄ってくるドラしゃん。
しかし、何かがおかしかった。
何故なら、【聖獣】達が牙を剥いているからだ。
何よりドラしゃんの雰囲気が、どことなく可笑しい。
すると、目の前のドラしゃんがニヤリと笑った。
"やっぱり【聖獣】はごまかせないのですね。やはり鬱陶しい存在だ。"
そう言って不敵な笑みを浮かべるドラしゃん?
いや、違う。
「ニセモノ!どっかいって!!」
私は思わずそう叫んでいた。
すると目の前ドラしゃんの姿がグニャと揺れた。
そして...本来の姿に。
あの黒服の人が、目の前に現れたのだ。
"可愛くないですね。私の花嫁。
まぁ~でもいいでしょう。
じきに私の素晴らしさがわかるのですから。"
そう言って近寄ってくる黒服の人。
お父さんが私達の側に来て、お兄ちゃんをお母さんに託して盾になる。
その前に【聖獣】達が盾になり黒い服の人物に攻撃を仕掛ける。
"嫌だね。私から花嫁を隠さないで下さいよ。"
そう言って、黒服の人が手を挙げた瞬間だった。
『誰がこの家に入っていいと許可しましたか?』
『本当、野暮な事をするね...。』
なんと黒服の人の前に本物のドラしゃんと後ろには神様が現れたのだった。
『小賢しい真似をしてくれますね。
街の外にいる貴方は影武者か何かですか?いや、こちらが影武者...の様ですね。魔力量が少な過ぎですから。』
『きみきみ。困るよ。いきなり湧き出てきて、この一家に迷惑をかけるなんて。
もう一度、眠った方がいいよ?』
いつになく真剣な表情の2人。
私達家族は2人の姿を見てホッとする。
【聖獣】達も多少の警戒を緩める。
"忌々しい。ようやく分身だけこの街に送り込めたのと思ったら...。
あなた方相手では、こちらの方がぶが悪いですからね...。
大人しく引き下がりますよ。
覚えといて下さいね。本体は街に入ることはできないですが、"影"は入れますから...。油断は禁物ですよ。"
忠告なのか、それとも自信があるっての事なのかそう言い残して、黒服のヒトは霧の様に消えていった。
黒服の人が霧のように消えてから、そこには私達家族と本物のドラしゃんと神様。
そして、【聖獣】達だけが残った。
私達の家にきていた"分身"のような存在が消えたと同時に街の外でいた本体も消えたようで、ロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃんが私達の家に伝えに来た。
私達の家に来たロドじぃーちゃん達は、神様の姿を見てびっくりしていた。
神様はロドじぃーちゃん達と顔を合わせて微笑すると。
『君達ちょっと油断しすぎだよ?
いくら結界を張ってあると言っても、万能ではないんだからね!
私とフレアが異変に気付いて直ぐに駆けつけたから良かったものの...。
しっかりしてよね!』
と言うだけ言って、帰って行った。
呆然とするじぃーちゃん達。
そんな2人と打って変わって、悔しそうな顔をしているドラしゃん。
ドラしゃんは私達の側に来て、とても申し訳なさそうにしていた。
『まさか、ここまで奴が来るとは...。怖い思いをさせました。
お怪我はありませんか?』
ドラしゃんは私達家族から少し距離を置いてそう話しかけて来た。
「あっ、はい!大丈夫です。」
「ドラしゃんと...どこかでお会いしたことがあるような...方のおかげでなんとか大丈夫です。」
と、両親が。
「大丈夫だよ!僕もリンも!」
と、笑顔でお兄ちゃんが。
そして、私はと言うと。
テトテトとドラしゃんの側まで歩いて行って、ドラしゃんの手を握りながら、
「ホンモノのドラしゃんは、やっぱりドラしゃんだね。だいじょうぶだよ。ありがとう。」
私が笑顔でそう答えると、ドラしゃんは私をギュッと抱きしめる。
「おい?いったいなにがあったんだ?」
状況が掴めず、オロオロするロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃん。
そんな2人にフウちゃんがここであった事を伝えてくれた。
『お2人がくる前に、この部屋に偽物のドラゴン殿が現れてのう。
それも見た目はそっくりでのう。纏うオーラに気付かなんだら、騙されるところだったのう。
なにせ、声もそっくりだったのう。
本物のドラゴン殿と神様が来なかったら我々だけでは危なかったのう。』
そう話すと、2人は驚きドラしゃんに詰め寄った。
「お前!結界は?!ちゃんと張ってるんだろう?」
「なんで、入って来れた?!その前に、奴はさっきまで街の外にいたぞ!
この目で見てたから間違いないぞ!」
ムキじぃーちゃんとロドじぃーちゃんの言葉にドラしゃんは、私を抱きしめたまま答える。
『結界は張ってある。それでも、奴は入って来たんだ。"影"は街の中にも入れるとほざいていたがな。』
ドラしゃんの言葉に絶句する2人。
ドラしゃんの結界は、この世界で神様の次に強い結界を張れる。
しかも、張れる結界の種類やランクも幅広いのだとか。
そして、この街に張ってある結界は最高ランクのもの。
結界を張った人物が許可したもの以外は入る事ができない上に、害をなすものと判断したらチリとなる仕組みの結界だ。
それなのに。
それなのに、奴は"影"とはいえ入って来れたのだ。
それには、ドラしゃんもかなりの不安を抱えていた。
でもそれは、ドラしゃんだけではなかった。
この場にいる皆が同じ気持ちだった。
「お前のはった結界をすり抜けれるって...お前が許可はするはずがない...よな?。」
「当たり前だろ?!奴は、リンとアキラを狙ってるだぞ!そんな奴をこいつが許可するはずがない!!」
「じゃーなんで入って来れたんだ!!」
「そんなの知るかぁー!!」
とうとうロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃんは言い合いになってしまった。
焦って仲裁に入ろうとするお父さんとお母さん。
そして、【聖獣】達。
お兄ちゃんは、私を抱きしめたまま動かないドラしゃんの背中を摩っていた。
私はドラしゃんに抱きしめられたままある事を考えていた。
その考えとは...。
あの偽物のドラしゃん。
なぜか、不思議とドラしゃんに"似た気配"を少し感じ取れたのだ。
だから一瞬騙されそうになったが、纏っているモノがドス黒い上に、"ドラゴン"に見えなかったから私は騙されなかった。
そう。
私の目には、"初めて会った時"からドラしゃんは常に"ドラゴンの姿"で見えている。
だからドラゴンに見えないのにドラしゃんの姿をしているから、私には違和感しかなかった。
そんな偽物のドラしゃんから感じた僅かなドラしゃんの気配。
僅かな気配でも、間違うことのない"ドラしゃん"の気配だった。
それが意味することは...?
私はそれをずっと考えていた。
しかし、それを考えていたのは私だけではなかった。
私を抱きしめているドラしゃん自身も同じ事を考えていたのだ。
そんな状況を私とお兄ちゃんの腕輪の中で密かに見ていた【大聖霊】達は、今回の件で瞬時にあの黒服の人物の正体を見破ってしまった。
それを私達に言うべきかどうかを密かに悩んでいた。
そんな事も知らず、私達はとりあえず今回あった事をいつメンのみ集めて話し合う事にした。
仲裁に入ったお父さん達がそうロドじぃーちゃん達に話をして、なだめて決めた。
ギルドで集まるのもどうかと思い、この家で話し合う事にした。
ムキじぃーちゃん達に頼んでいつメンをここに呼んできてもらう様にした。
その間私とドラしゃんとお兄ちゃんは、プレイスペースへ移動。
お父さん達はお茶と茶菓子の準備をする事にした。
そうでもしないと落ち着かない上に、ドラしゃんがいつもと様子が違っていて不安だというのもあったからだ。
リン:
どうなるだろう...。
アキラ:
何があっても、リンは僕が護るからね!
リン:
ありがとう。
でも、お兄ちゃんも無理はだめだよ?
アキラ:
分かってる!
リン:
ドラしゃん、大丈夫かなぁ?
アキラ:
それは、...兄ちゃんにもわからない。
一つ目、予定していたより早くに東西南北に主要となる街がそれぞれ完成したのはいいが、メインの住人をどう分けていくか。
ちなみに、私達は【大聖霊】の力の影響で、中心の街からそれぞれの街へ。
街から街へと、およそ片道1日ないし半日で行き来をしていた。
しかしだ!
それはあくまでも、【大聖霊】達のおかげ。
普通に行き来をするとなると、中心の街から北側の街まで徒歩で片道約4日。
馬車や早馬を使って片道約2日程かかる。
東側の街へは徒歩で片道約5日、馬車や早馬を使って片道約3日半程。
西側の街へは徒歩で約4日、馬車や早馬を使って片道約2日程。
南側の街へは徒歩で片道約5日半、馬車や早馬を使って片道約3日半ギリギリ程だという。
ちなみになぜそれが分かるかって?
私達が一つの街を作って別の街を作っている間に、街にいる冒険者数名に実際に片道どのくらいかかるのか調べて貰った結果だとルミばぁーちゃんが教えてくれた。
しかし、調べに出た冒険者達は口々に皆同じ事を言っていたのだが...
「今まで色んな街へ行くために、色んな道を通ったけど。
この道が一番安全かつ歩きやすい!!
日数がかかっても苦にならないんだ!」
「疲れたなぁーと感じる区間に、必ず休憩できる場所が設置されてるんだぜ!すげ~よ!」
「景色も飽きないように色々工夫されているし、道幅もかなりゆとりがあるから事故の心配も少ないんですよ!」
などなど好評な意見が多数とどいたそうだ。
それに関しては、私やお兄ちゃん。
ドラしゃんやドムじぃーちゃんは初耳だったので普通に驚いた。
「まぁ~、奴らの話でこの街に住んでいる連中の何人かは、できたての街へ移住を考えている者もいるみたいだね。
それに関しては、私らがどうこう言う問題でないから本人達に任せるつもりだ。
まぁ~、ちゃんと街が完成したと報告があるまで、行き来は禁止にしてあるがね。」
そう話すルミばぁーちゃん。
まぁ~、それぞれの街に関しては、同盟国の王様達も関連するからきちんと話し合っておかないといけないからと言って今回会議を開いたそうだ。
しかし、移住については早々に話が進みそうだから良いとして...問題は...二つ目の議題内容だった。
そうなんです。黒服の人の話ですよ。
まさか、夜にまた現れるとは...。
この話になった途端、会議室の空気は重苦しいものに変わった。
その気持ち私達もわかります。
なにせ、相手は変態さんですからね。
嫌そうな顔をしながら、私が座っているとドラしゃんが心配そうに見つめてくる。
私はそんなドラしゃんに大丈夫だよって微笑みかけると、なぜか周りの人達もにヘェ~って顔が崩れ出す。
「さて、大問題の黒服のやつなんだが。それぞれの国の代表さんらが居るんだ。それぞれ、今の所集めてある情報をよこしてくれるかい?」
皆の顔面が崩壊しきる前に、ルミばぁーちゃんが話を進める。
すると、それぞれの同盟国の王様達から少しだが吉報?を得る事ができた。
「実は、あれから城の書庫を調べてみたんだ。すると、じぃーさん...あー前王様の日記みたいなのが見つかってよ。
その中に、その黒服の人物と思われる奴の事が少しだけだが記載されていたんだ。」
そう話す王様。
セバしゃんはそんな王様に、"やれば出来ではないですか。なんで、普段からやらないんですか?"と冷たい一言を浴びせていた。
王様は少し涙目になっていたが、皆見て見ぬふりをして王様からの話を待った。
「どんな事が書いてあったんだい?」
半泣きになっている王様に、呆れ顔で質問するルミばぁーちゃん。
ルミばぁーちゃんに質問されて、しょんぼりしながらも王様は素直に答える。
「じぃーさんの...前王様の日記の中でも、"あの戦"になる数週間前の出来事を書いてある文章をみつけんだ。その中に記載されていたんだけどよ...。
確か...そうそう、"黒き服を頭からかぶりし、怪しき人物が王都のギルドに現れた。旅の者と名乗る人物で、旅の資金にしたいと言ってある物を売りに来た。
その物と言うのは、"ドラゴン"の腕だった。しかもその者、他にも"ドラゴン"の素材を持っているがそれは隠れ家に置いてあると。今手元にある奴はこれのみ。先に買い取って欲しいと言う。
"ドラゴン"の腕は、まるで今まさに切り取ったかの様な切り口であったと、ギルドより報告あり。見慣れぬ人物のため、各街々のギルドに情報を流し様子を見る事にした。"とかいてあったぞ。」
王様のその言葉に、ドラしゃんより負のオーラが立ち込めだす。
私とお兄ちゃんが居るからか、かなり手加減はしてあるようだが、それでも背筋がゾクっとするし、寒気と鳥肌がおさまらない。
しかし、そんな状況下でも王様は言葉を続ける。
「それからだ。じぃーさんの日記にはあの戦が起こるまで、1日おきにその黒服の奴について記載されているだ。
しかも、必ず奴と"ドラゴン"はセットでてでくるぞ。
しかも、そいつが持ってくるものは全て切断されたものばかりだと記されていた。」
この言葉で、一気に部屋の中のプレッシャは強くなった。
息をするのもしんどいぐらい。
なんとかギリギリのランいで、踏みとどまっているのが丸わかりの状況だった。
居てもたってもいられなくなった私は、崩れそうになる足を踏みしめながらも、ドラしゃんの側に行って声をかける。
「ドラしゃん...。だいじょうぶ?」
弱々しい私の声にハッとするドラしゃん。
そして、一気に部屋の空気が元に戻った。
ドラしゃんに声をかけたあと、体の力がスッと抜けてへたりこみそうになる私。
ドラしゃんは私が床にへたり込む前に抱き上げてくれた。
『すみません。お嬢様。大丈夫ですか?』
さっきまでかなりの圧とオーラを放っていた同一人物とは思えない代わりよう。
王様も自分の発言でこの様な状況をもたらしたのを自覚している為か、複雑そうな表情を浮かべていた。
「だいじょうぶ。ただちゅかれたの。」
私はそうドラしゃんに言うと同時に眠気が襲ってきたので、そのまま眠ってしまった。
幼い私には、ドラしゃんが放ったオーラと圧に耐えられなかったのだ。
ドラしゃんは眠った私に何やら魔法をかけて、鞄からドラしゃんお手製のタオルケットを出して、それにわたしを包み抱き抱え直す。
ドラしゃんにとって、どんな状況下においても優先順位1番は私。
私のことを世話している間のドラしゃんなら大丈夫と判断したのだろう。
私が眠った後も話は続けられた。
次に私が目を覚ました時は、話し合いは終わっており、家に帰ってきていた。
私は起きてから両親に話し合いがどうなったか確認すると、少し表情が暗かった。
両親の反応で、話し合いの内容は悪い話が多かったのでは?と感じた。
本当なら聞かない方が良いと思うのだが、その時の私はどうしても気になって仕方がなかった。
繰り返し両親に、どんな話し合いになったか尋ねる私。
渋々両親は話し合いの内容をかいつまんで話してくれた。
私が眠った後、王様は前国王様が残していた日記の内容の続きを話したそうだ。
はっきりとは書かれてはいなかった様だが、前国王はこの世界で起きた悲惨な戦争のきっかけを振り撒いたのは、その黒服の人物ではないかと予測を立てていたそうだ。
何故なら、その黒服を着た人がドラゴンの素材を持ってくる度に、お金に目が眩んでドラゴン狩りをする人が増えたと書かれていたからだ。
以前よりドラゴン狩りはされていた。
しかしあくまでも狩の対象となるドラゴンは、人里に被害をもたらすもののみが対象だった。
それ以外のドラゴンに対しては、無闇な殺生はしていなかった。
何故ならドラゴンは神様に近き存在であり、世界のバランスを保つものとされていたからだ。
あと、知能高いドラゴンは必要以上人間や他の種族に干渉はしてこなかったのだ。
人々が望めは、鱗の一枚を恵んだりなど力を貸していたという。
それだけ、ドラゴンは存在全てに価値があり、無駄がないのだった。
涙や血は万能薬になり、鱗や皮、骨や牙は素材となる。
肉は美味しく食材となるのだった。
そんな事もあり、死を悟った年老いたドラゴンや病弱なドラゴン自ら人々の前に現れて、自分達の命を差し出す事もあったと記録にも記されているとか。
だから無闇な殺生等は、あの戦争が起こるまで一切なかったのだ。
しかもその内容は、王様の所だけではなかった。
同盟国の国王達の所にも似た様な話が残されていたという。
同盟国の国王達の前の国王。
すなわち前国王の時代が丁度惨劇の時代にあたる。
前国王達もそれぞれ自分の子孫の為に、直筆の記録を残していたのだ。
そこにも黒服の人の事が数カ所書かれていたそうだ。
しかし、同盟国の前国王達はその黒服の人物に対して不信感しか持てず、相手にはしていなかった様子。
相手にはしないが、警戒はしており自分の兵なのどに探りを入れさせていた国王様もいたぐらいだった。
この世界で1番悲惨な戦い。
それは、ドラしゃんが仲間を...。
家族を失う事となった出来事...。
私は両親から話を聞いて、ドラしゃんが心配になった。
私はドラしゃんの姿を探した。
しかし、自分の視界内にドラしゃんはいなかった。
両親にどこに居るのか尋ねると、まだ王様達とギルドで話し合いをしているとの事だった。
ギルドへ...ドラしゃんに会いに行こうかと悩んでいる時だった。
「リン!アキラ!ユイカ!ユウダイ!絶対家から出るな!奴が来た!」
家の外からそう叫ぶムキじぃーちゃんの声が外から聞こえて来たのだ。
"奴が来た"
どうやら、黒服の人が街の外に来たみたい。
お母さんはすぐさま私を抱き抱え、お父さんはお兄ちゃんを抱き抱える。
そして、私達の周りを【聖獣】達が取り囲んだ。
以前あの人は、"自分は街の中に入る事はできない"と言っていたが...。
本当かどうかはわからない。
家の中に嫌な空気が流れる。
「ドラしゃん...。」
私はお母さんに抱き抱えられながらも、その場にいないドラしゃんの事を思った。
するとだ。
『呼びましたか?お嬢様。』
そう言って、ドラしゃんの声がすぐ側から聞こえた。
横を見るとなんとドラしゃんが!
『呼ばれたので、飛んでまいりましたよ。街の外に例のモノが来ています。
どうやら街に入って来れないのは本当の様です。
私の張っている結界に弾かれてます。』
そう言って近寄ってくるドラしゃん。
しかし、何かがおかしかった。
何故なら、【聖獣】達が牙を剥いているからだ。
何よりドラしゃんの雰囲気が、どことなく可笑しい。
すると、目の前のドラしゃんがニヤリと笑った。
"やっぱり【聖獣】はごまかせないのですね。やはり鬱陶しい存在だ。"
そう言って不敵な笑みを浮かべるドラしゃん?
いや、違う。
「ニセモノ!どっかいって!!」
私は思わずそう叫んでいた。
すると目の前ドラしゃんの姿がグニャと揺れた。
そして...本来の姿に。
あの黒服の人が、目の前に現れたのだ。
"可愛くないですね。私の花嫁。
まぁ~でもいいでしょう。
じきに私の素晴らしさがわかるのですから。"
そう言って近寄ってくる黒服の人。
お父さんが私達の側に来て、お兄ちゃんをお母さんに託して盾になる。
その前に【聖獣】達が盾になり黒い服の人物に攻撃を仕掛ける。
"嫌だね。私から花嫁を隠さないで下さいよ。"
そう言って、黒服の人が手を挙げた瞬間だった。
『誰がこの家に入っていいと許可しましたか?』
『本当、野暮な事をするね...。』
なんと黒服の人の前に本物のドラしゃんと後ろには神様が現れたのだった。
『小賢しい真似をしてくれますね。
街の外にいる貴方は影武者か何かですか?いや、こちらが影武者...の様ですね。魔力量が少な過ぎですから。』
『きみきみ。困るよ。いきなり湧き出てきて、この一家に迷惑をかけるなんて。
もう一度、眠った方がいいよ?』
いつになく真剣な表情の2人。
私達家族は2人の姿を見てホッとする。
【聖獣】達も多少の警戒を緩める。
"忌々しい。ようやく分身だけこの街に送り込めたのと思ったら...。
あなた方相手では、こちらの方がぶが悪いですからね...。
大人しく引き下がりますよ。
覚えといて下さいね。本体は街に入ることはできないですが、"影"は入れますから...。油断は禁物ですよ。"
忠告なのか、それとも自信があるっての事なのかそう言い残して、黒服のヒトは霧の様に消えていった。
黒服の人が霧のように消えてから、そこには私達家族と本物のドラしゃんと神様。
そして、【聖獣】達だけが残った。
私達の家にきていた"分身"のような存在が消えたと同時に街の外でいた本体も消えたようで、ロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃんが私達の家に伝えに来た。
私達の家に来たロドじぃーちゃん達は、神様の姿を見てびっくりしていた。
神様はロドじぃーちゃん達と顔を合わせて微笑すると。
『君達ちょっと油断しすぎだよ?
いくら結界を張ってあると言っても、万能ではないんだからね!
私とフレアが異変に気付いて直ぐに駆けつけたから良かったものの...。
しっかりしてよね!』
と言うだけ言って、帰って行った。
呆然とするじぃーちゃん達。
そんな2人と打って変わって、悔しそうな顔をしているドラしゃん。
ドラしゃんは私達の側に来て、とても申し訳なさそうにしていた。
『まさか、ここまで奴が来るとは...。怖い思いをさせました。
お怪我はありませんか?』
ドラしゃんは私達家族から少し距離を置いてそう話しかけて来た。
「あっ、はい!大丈夫です。」
「ドラしゃんと...どこかでお会いしたことがあるような...方のおかげでなんとか大丈夫です。」
と、両親が。
「大丈夫だよ!僕もリンも!」
と、笑顔でお兄ちゃんが。
そして、私はと言うと。
テトテトとドラしゃんの側まで歩いて行って、ドラしゃんの手を握りながら、
「ホンモノのドラしゃんは、やっぱりドラしゃんだね。だいじょうぶだよ。ありがとう。」
私が笑顔でそう答えると、ドラしゃんは私をギュッと抱きしめる。
「おい?いったいなにがあったんだ?」
状況が掴めず、オロオロするロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃん。
そんな2人にフウちゃんがここであった事を伝えてくれた。
『お2人がくる前に、この部屋に偽物のドラゴン殿が現れてのう。
それも見た目はそっくりでのう。纏うオーラに気付かなんだら、騙されるところだったのう。
なにせ、声もそっくりだったのう。
本物のドラゴン殿と神様が来なかったら我々だけでは危なかったのう。』
そう話すと、2人は驚きドラしゃんに詰め寄った。
「お前!結界は?!ちゃんと張ってるんだろう?」
「なんで、入って来れた?!その前に、奴はさっきまで街の外にいたぞ!
この目で見てたから間違いないぞ!」
ムキじぃーちゃんとロドじぃーちゃんの言葉にドラしゃんは、私を抱きしめたまま答える。
『結界は張ってある。それでも、奴は入って来たんだ。"影"は街の中にも入れるとほざいていたがな。』
ドラしゃんの言葉に絶句する2人。
ドラしゃんの結界は、この世界で神様の次に強い結界を張れる。
しかも、張れる結界の種類やランクも幅広いのだとか。
そして、この街に張ってある結界は最高ランクのもの。
結界を張った人物が許可したもの以外は入る事ができない上に、害をなすものと判断したらチリとなる仕組みの結界だ。
それなのに。
それなのに、奴は"影"とはいえ入って来れたのだ。
それには、ドラしゃんもかなりの不安を抱えていた。
でもそれは、ドラしゃんだけではなかった。
この場にいる皆が同じ気持ちだった。
「お前のはった結界をすり抜けれるって...お前が許可はするはずがない...よな?。」
「当たり前だろ?!奴は、リンとアキラを狙ってるだぞ!そんな奴をこいつが許可するはずがない!!」
「じゃーなんで入って来れたんだ!!」
「そんなの知るかぁー!!」
とうとうロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃんは言い合いになってしまった。
焦って仲裁に入ろうとするお父さんとお母さん。
そして、【聖獣】達。
お兄ちゃんは、私を抱きしめたまま動かないドラしゃんの背中を摩っていた。
私はドラしゃんに抱きしめられたままある事を考えていた。
その考えとは...。
あの偽物のドラしゃん。
なぜか、不思議とドラしゃんに"似た気配"を少し感じ取れたのだ。
だから一瞬騙されそうになったが、纏っているモノがドス黒い上に、"ドラゴン"に見えなかったから私は騙されなかった。
そう。
私の目には、"初めて会った時"からドラしゃんは常に"ドラゴンの姿"で見えている。
だからドラゴンに見えないのにドラしゃんの姿をしているから、私には違和感しかなかった。
そんな偽物のドラしゃんから感じた僅かなドラしゃんの気配。
僅かな気配でも、間違うことのない"ドラしゃん"の気配だった。
それが意味することは...?
私はそれをずっと考えていた。
しかし、それを考えていたのは私だけではなかった。
私を抱きしめているドラしゃん自身も同じ事を考えていたのだ。
そんな状況を私とお兄ちゃんの腕輪の中で密かに見ていた【大聖霊】達は、今回の件で瞬時にあの黒服の人物の正体を見破ってしまった。
それを私達に言うべきかどうかを密かに悩んでいた。
そんな事も知らず、私達はとりあえず今回あった事をいつメンのみ集めて話し合う事にした。
仲裁に入ったお父さん達がそうロドじぃーちゃん達に話をして、なだめて決めた。
ギルドで集まるのもどうかと思い、この家で話し合う事にした。
ムキじぃーちゃん達に頼んでいつメンをここに呼んできてもらう様にした。
その間私とドラしゃんとお兄ちゃんは、プレイスペースへ移動。
お父さん達はお茶と茶菓子の準備をする事にした。
そうでもしないと落ち着かない上に、ドラしゃんがいつもと様子が違っていて不安だというのもあったからだ。
リン:
どうなるだろう...。
アキラ:
何があっても、リンは僕が護るからね!
リン:
ありがとう。
でも、お兄ちゃんも無理はだめだよ?
アキラ:
分かってる!
リン:
ドラしゃん、大丈夫かなぁ?
アキラ:
それは、...兄ちゃんにもわからない。
20
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