148 / 219
第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-61 両親の意外な才能と
しおりを挟む
我が家にいつメンが集まってきたが...いつもとは違う重苦しい空気が漂っている。
いつも我が家にこのメンバーが集まると大概が笑顔で溢れて、酒盛りとなるのだがこの日に限ってはそうではなかった。
それは他の誰でもないドラしゃんから発せられる空気が原因のようだ。
ルミばぁーちゃん達がロドじぃーちゃん達の話を聞いて、仕事そっちのけで集まってきたのにも関わらず...ドラしゃんは私をずっと抱きしめたまま顔を伏せて沈んでいるからで、それにはいつメンも何も言えない状況だった。
とりあえず両親に促されてそれぞれ席について、用意してあったお茶と茶菓子を頂いているが...てな感じだ。
しかし、いつまでのこの状態でいるわけにもいかず意を決したルミばぁーちゃんが口を開く。
「ちょいと!でかい図体でいつまで凹んでんだい?!あんたがシャキッとせんと、だれがこの街と子の家族を護るんだい?
別にリン達に危害があったわけではないんだから、対策はまだまだ取れるはずさ。そうだろう?
なら、しっかりおしよ!!
あんたがそんなんだと、リンやアキラ達はもっと不安だよ!」
ルミばぁーちゃんのゲキでハッとするドラしゃん。
ずっと伏せていた顔を上げて私達を見つめてきた。
「ドラしゃん...。」
私がかぼそくそう呟くと、ドラしゃんは涙目を細めて微笑。
そんなドラしゃんの反応をみて、ことの深刻さがかなり重大だと悟ったいつメン。
しかしこの世界で今の所、強力な結界がはれたり魔法が使えるのは、凹んでいるドラしゃんしかいない。
まぁ~頑張れば私とお兄ちゃんでできない事はないんだろうけど...後々色々と面倒な事になりそうだから誰もそれについては触れなかったし、私達もあえて言わないでいた。
能力的には私やお兄ちゃん、そして両親もかなり上昇しているらしい。
それは、見る人が見ればわかるとルミばぁーちゃんが教えてくれたが...。
私やお兄ちゃんはさておき、お父さんは来た時に比べて体型がかなり改善されている。
平和な時代で生きていた頃より、今のこの世界の生活に適応して、ほどよく筋肉が付いてきて闘える男の体付きになっている。
魔力も安定しており、普段の生活で違和感なく力を調節して使えているしね。
お母さんに至っては、予想以上に器用な魔力の使い手らしい。
予想を遥かに超えて、一度に複数の魔法を使う事ができる上に、使用する魔力量も微々たるものでいけるのだとか。
そして何より驚くべきところは、2人とも"オリジナル魔法"をいつのまにか編み出して無意識にそれを使用していると言うのだ。
そんな所を考えると私とお兄ちゃんの親だなぁーといつメンは思うらしい。
お父さんはドムじぃーちゃんと一緒にしている鍛治工房での仕事で、そのオリジナル魔法を使っているのだが、それは"換気送風魔法"と"補正強化魔法"、"形態形成魔法"、"物質凝縮魔法"、"多重付与魔法"というものだそうだ。
これらの魔法は、この世界に全くない魔法らしく、以前住んでいた世界での経験や知識によってもたらされた魔法の一つだった。
今の所はお父さんのみが使える魔法だ。
お母さんに至っては、お父さんよりもっと凄かった。
お母さんの魔法は、普段の生活でも普通に使っているし、自分の工房での作業でも無意識に使っているからね。
お母さんが使う"オリジナル魔法"は、"保冷魔法"、"保湿魔法"、"加湿魔法"、"除菌魔法"、"形成保存魔法"、"防臭魔法"、"雑菌繁殖防止魔法"、"腐食防止魔法"、"部分回復魔法"だ。
主婦ならではの魔法から、誰もが使ってみたい魔法まであった。
お母さんいわく、コツさえ掴めば誰でも使えるのでは?と言うが...誰もが使えたら既に使っていると言う話だ。
今の所使えるのは、お母さんのみだった。
何故それが分かったと言うと...。
実は、私達が旅に出ている間お父さん達と一緒に過ごしていのがルミばぁーちゃんだった事が1番大きい。
私達が側にいない事で最初の頃は、お父さんもお母さんも情緒不安定気味になっていたそうだ。
それを見かねたルミばぁーちゃんがこの家でお父さん達と過ごしてくれていたのだった。
その時、ルミばぁーちゃんがお父さん達の意外な実力を目の当たりにしたことがこれらに気付くきっかけとなった。
実はルミばぁーちゃんは商売上手だけにとどまらず、勉強熱心で自ら本を読んで実験したりして魔法を趣味で研究している人物のひとりだ。
そのため、魔法には結構敏感に反応を示すのだが...そうとも知らずに、無意識に魔法を使う両親を見てルミばぁーちゃんは固まってしまった。
何故なら父さん達がルミばぁーちゃんの目の前で使用した魔法は、今の所この世界に存在しない魔法だったからだ。
それなのに、当たり前かの様に使う両親。使い方もそうだが、魔力操作が細かく違和感なく使えていることに1番驚いたらしい。
ちなみに使っている本人達はほ・ん・と・う・に無意識での行動でのことだからさらに驚く要因にもなったのだ。
ルミばぁーちゃんは、目の前で繰り広げられる光景に驚きながらも2人に冷静に質問する。
「あんた達、その魔法はどうやってつかってるんだい?
まず、誰におそわったんだい?!」
ルミばぁーちゃんの言葉にキョトンとす両親。
だって、両親は自分達が魔法を使っている自覚がないからだ。
これにはますます驚くルミばぁーちゃん。
ちなみに両親いわく、こうなればって思いながら動いているだけとの話だったからね。
詳しくそのイメージを確認してルミばぁーちゃんが実際にやってみだが、全く魔法は発動しなかったそうだ。
そんな両親のその才能を受け継がれているであろう私とお兄ちゃんの存在があるため、ルミばぁーちゃんはもしかしたら...と言う考えが頭の隅をよぎった様だった。
ただ、その考えを伝えるべきかどうか悩むルミばぁーちゃん。
ルミばぁーちゃんが何かを考えている事に気づいたロドじぃーちゃんは、じっとルミばぁーちゃんを見つめていた。
すると、そんなロドじぃーちゃんに気づいた他の人達が真似をして、気付けば皆がルミばぁーちゃんを見つめる不思議な光景となっていた。
皆の視線を集めるルミばぁーちゃん。
それに気付き我に返り、辺りを見渡して
「なんなんだい?!!皆して?何か私の顔についているのかい??」
慌ててそう言い放つルミばぁーちゃん。
すると、ロドじぃーちゃんが皆を代表して話し出す。
「今、お前が考えている事を話してみろ。それが、今回の件の解決策になるんだろう?」
その言葉に嫌そうな顔をするルミばぁーちゃん。
なんでわかるんだい?って言葉が一瞬聞こえた気がした。
いや。
言葉にしていないが、全身でそう物語っているのだ。
そんなの当たり前だろう?と言う返事も、ロドじぃーちゃんから聞こえたような...。
聞こえなくても、態度でそう言っていた。
さすが、長年ギルマスやっている人達だ。
阿吽の呼吸の様に、互いの考えがわかるのだろう。
ルミばぁーちゃんは観念したかの様にはぁーっと溜息をついて、自分の考えを話出す。
「これは、あくまでも私の考えであってそうできるかは確証はないからね。」
そう言い放つルミばぁーちゃんに、そんな前置きはいいから本題を話せと、せっつくロドじぃーちゃん。
ルミばぁーちゃんはキッとロドじぃーちゃんを睨んでから続きを話す。
「ユウダイとユイカの能力はこの数日一緒に生活して、目から鱗が何枚も剥がれ落ちるぐらい素晴らしいものだよ。
まぁ~発想や物事の考え方が、私らと違っているからこそできる芸当なんだと思うんだけどね。
魔力量さておき、魔法の発想が凄いのさ。なら、その両親をもつ子供がならどうだいって話さ。
未だアキラとリンの能力は未知数だよね。特にリンに関しては、今まで色んな"トラブル"って形でその能力の一部を見せて貰ってきたけど、これもまた私らにないものだ。
それを生かして、街の結界と防御をどうにかしたらいいんじゃないかいって考えてたんだよ。」
そう話すルミばぁーちゃん。
その話を聞いて、皆の目が大きく見開いたと思ったらドラしゃん以外皆なる程って納得していた。
「そっかぁー!その手があったかぁー!」
「なるほど。それは、一理ありますね。」
などと喜ぶ一同。ただ1人を除いて...だねどね。
私を抱きしめている人物だけ、その意見に納得していなかった。
それに関しては、ルミばぁーちゃんを含めいつメンは承知の上での話だ。
ドラしゃんは基本過保護だ。
特に私に関しては、両親の遥か上をいく過保護ぷりだ。
そんな人物が普通に納得するなんて、初めから誰も思ってい。
そこでだ。
皆の視線が自然と私に集まる。
私はそれを受けながらドラしゃんを見つめると、ドラしゃんからは何も言っていないのに、拒否の返事が返ってきた。
「ドラしゃん。私まだ何も言ってないよ?」
私がそう呟くとドラしゃんは私を抱きしめる力を少し強めながら反論をしてきた。
『言わなくてもわかります。危険ですのでダメです。
お嬢様を危険に晒せるぐらいなら、私が寝ずに番をします。』
ドラしゃんの言葉に呆れる一同。
さすが過保護の鬼...いやドラゴンだ。
有言実行しそうで...周りがこれでは無理か?と諦めた時だった。
「めっ!それはダメ!リン!ドラしゃんとねんねしたい!」
私の言葉にぐっと怯むドラしゃん。
「ドラしゃんがそばにいてくれないと、リンやだ!
リン!ドラしゃんのやくにたつの!」
私が涙目で訴えると...結果は見えていた。私の圧勝!!!
そこからは行動あるのみだった。
渋々折れたドラしゃんといつメンを引き連れて街の外へ。
そして、ドラしゃんが張ってある結界に私はドラしゃんに抱っこされたまま触れる。
そして、ルミばぁーちゃんに言われるがまま実行することに。
「リン、目を閉じてフレアが張ってある結界に触れて、それをさらに強く包み込むように透明な膜を張るイメージをするんだ。
フレアを。お前さんの大事な人を護るイメージでだ。」
その言葉通りにイメージして力を流していく。するとだ...ルミばぁーちゃんの読みは見事に的中した。
街を覆っていた結界に金色のベールの様な膜が巻き付く様に覆っていく。
それはとても綺麗でなんとも言えない光景だった。
しかし、その結界は見た目に反してかなり強力なものだというのを直ぐ知ることとなる。
結界に補強がすんだときだった。
例の黒服の人が目の前に呼んでもないのに現れたのだ。
「あっ!"ストーカー!"」
お母さんがそう呟くと
「違うよ母さん。"変態"だよ!」
お父さんが訂正を入れる。
そんな両親に何か言いたげないつメン。
そんな私達の状況にらお構いなしに近寄ってくる黒服の人。
するとどうだろう。
私が張り巡らした金色のベールの様な膜が、棘付きの鞭のように変化をして黒服に攻撃を仕掛けていったのだ。
それには、私を含めその場に居る全員が驚く。
もちろん近寄ってきた黒服の人もだ。
しかもその金色の棘付き鞭は黒服が攻撃しても無傷の上に、攻撃範囲が半端なく広くどこまでも追いかけて攻撃をしているのだ。
1本の鞭が、2本、3本...しまいには10数本まで増え多方面から攻撃をしているではないか。
黒服が慌てて影から出した分身体や魔物まで綺麗に駆逐していく。
さすがに黒服もお手上げなのだろう。
現れて攻撃を受けるだけ受けて姿を消したのだった。
「すごい。」
「凄い。」
「凄いですね。」
「凄すぎないか?」
「さすがです!」
「やるなぁ~!」
「リン!凄いよ!」
「ストーカー撃退だね!」
「いや!変態を撃退だよ!」
『お嬢様。...素晴らしいです。』
皆に褒められて嬉しい反面、大丈夫なのかなぁ?と不安になる私。
棘付き鞭は敵がいなくなったと判断したのか、元のベールに姿を戻して街を包んだのだった。
とりあえず...一つ悩みの解決?
と言う事になったのだった。
リン:
凄いね。
アキラ:
どんな仕組みなんだろう?!
リン:
わかんない!
ムキじぃーちゃん:
よし!ワシがいっちょ外に出て確かめてくるわい!
リン:
えっ!!
アキラ:
大丈夫?!
ムキじぃーちゃん:
よいこら..せっと。
うん???
なんも起きんぞ。
普通に出入りできるぞ!!
リン:
どうやって判別してるのかなぁ?
アキラ:
えっ!リンがしたのに?!
いつも我が家にこのメンバーが集まると大概が笑顔で溢れて、酒盛りとなるのだがこの日に限ってはそうではなかった。
それは他の誰でもないドラしゃんから発せられる空気が原因のようだ。
ルミばぁーちゃん達がロドじぃーちゃん達の話を聞いて、仕事そっちのけで集まってきたのにも関わらず...ドラしゃんは私をずっと抱きしめたまま顔を伏せて沈んでいるからで、それにはいつメンも何も言えない状況だった。
とりあえず両親に促されてそれぞれ席について、用意してあったお茶と茶菓子を頂いているが...てな感じだ。
しかし、いつまでのこの状態でいるわけにもいかず意を決したルミばぁーちゃんが口を開く。
「ちょいと!でかい図体でいつまで凹んでんだい?!あんたがシャキッとせんと、だれがこの街と子の家族を護るんだい?
別にリン達に危害があったわけではないんだから、対策はまだまだ取れるはずさ。そうだろう?
なら、しっかりおしよ!!
あんたがそんなんだと、リンやアキラ達はもっと不安だよ!」
ルミばぁーちゃんのゲキでハッとするドラしゃん。
ずっと伏せていた顔を上げて私達を見つめてきた。
「ドラしゃん...。」
私がかぼそくそう呟くと、ドラしゃんは涙目を細めて微笑。
そんなドラしゃんの反応をみて、ことの深刻さがかなり重大だと悟ったいつメン。
しかしこの世界で今の所、強力な結界がはれたり魔法が使えるのは、凹んでいるドラしゃんしかいない。
まぁ~頑張れば私とお兄ちゃんでできない事はないんだろうけど...後々色々と面倒な事になりそうだから誰もそれについては触れなかったし、私達もあえて言わないでいた。
能力的には私やお兄ちゃん、そして両親もかなり上昇しているらしい。
それは、見る人が見ればわかるとルミばぁーちゃんが教えてくれたが...。
私やお兄ちゃんはさておき、お父さんは来た時に比べて体型がかなり改善されている。
平和な時代で生きていた頃より、今のこの世界の生活に適応して、ほどよく筋肉が付いてきて闘える男の体付きになっている。
魔力も安定しており、普段の生活で違和感なく力を調節して使えているしね。
お母さんに至っては、予想以上に器用な魔力の使い手らしい。
予想を遥かに超えて、一度に複数の魔法を使う事ができる上に、使用する魔力量も微々たるものでいけるのだとか。
そして何より驚くべきところは、2人とも"オリジナル魔法"をいつのまにか編み出して無意識にそれを使用していると言うのだ。
そんな所を考えると私とお兄ちゃんの親だなぁーといつメンは思うらしい。
お父さんはドムじぃーちゃんと一緒にしている鍛治工房での仕事で、そのオリジナル魔法を使っているのだが、それは"換気送風魔法"と"補正強化魔法"、"形態形成魔法"、"物質凝縮魔法"、"多重付与魔法"というものだそうだ。
これらの魔法は、この世界に全くない魔法らしく、以前住んでいた世界での経験や知識によってもたらされた魔法の一つだった。
今の所はお父さんのみが使える魔法だ。
お母さんに至っては、お父さんよりもっと凄かった。
お母さんの魔法は、普段の生活でも普通に使っているし、自分の工房での作業でも無意識に使っているからね。
お母さんが使う"オリジナル魔法"は、"保冷魔法"、"保湿魔法"、"加湿魔法"、"除菌魔法"、"形成保存魔法"、"防臭魔法"、"雑菌繁殖防止魔法"、"腐食防止魔法"、"部分回復魔法"だ。
主婦ならではの魔法から、誰もが使ってみたい魔法まであった。
お母さんいわく、コツさえ掴めば誰でも使えるのでは?と言うが...誰もが使えたら既に使っていると言う話だ。
今の所使えるのは、お母さんのみだった。
何故それが分かったと言うと...。
実は、私達が旅に出ている間お父さん達と一緒に過ごしていのがルミばぁーちゃんだった事が1番大きい。
私達が側にいない事で最初の頃は、お父さんもお母さんも情緒不安定気味になっていたそうだ。
それを見かねたルミばぁーちゃんがこの家でお父さん達と過ごしてくれていたのだった。
その時、ルミばぁーちゃんがお父さん達の意外な実力を目の当たりにしたことがこれらに気付くきっかけとなった。
実はルミばぁーちゃんは商売上手だけにとどまらず、勉強熱心で自ら本を読んで実験したりして魔法を趣味で研究している人物のひとりだ。
そのため、魔法には結構敏感に反応を示すのだが...そうとも知らずに、無意識に魔法を使う両親を見てルミばぁーちゃんは固まってしまった。
何故なら父さん達がルミばぁーちゃんの目の前で使用した魔法は、今の所この世界に存在しない魔法だったからだ。
それなのに、当たり前かの様に使う両親。使い方もそうだが、魔力操作が細かく違和感なく使えていることに1番驚いたらしい。
ちなみに使っている本人達はほ・ん・と・う・に無意識での行動でのことだからさらに驚く要因にもなったのだ。
ルミばぁーちゃんは、目の前で繰り広げられる光景に驚きながらも2人に冷静に質問する。
「あんた達、その魔法はどうやってつかってるんだい?
まず、誰におそわったんだい?!」
ルミばぁーちゃんの言葉にキョトンとす両親。
だって、両親は自分達が魔法を使っている自覚がないからだ。
これにはますます驚くルミばぁーちゃん。
ちなみに両親いわく、こうなればって思いながら動いているだけとの話だったからね。
詳しくそのイメージを確認してルミばぁーちゃんが実際にやってみだが、全く魔法は発動しなかったそうだ。
そんな両親のその才能を受け継がれているであろう私とお兄ちゃんの存在があるため、ルミばぁーちゃんはもしかしたら...と言う考えが頭の隅をよぎった様だった。
ただ、その考えを伝えるべきかどうか悩むルミばぁーちゃん。
ルミばぁーちゃんが何かを考えている事に気づいたロドじぃーちゃんは、じっとルミばぁーちゃんを見つめていた。
すると、そんなロドじぃーちゃんに気づいた他の人達が真似をして、気付けば皆がルミばぁーちゃんを見つめる不思議な光景となっていた。
皆の視線を集めるルミばぁーちゃん。
それに気付き我に返り、辺りを見渡して
「なんなんだい?!!皆して?何か私の顔についているのかい??」
慌ててそう言い放つルミばぁーちゃん。
すると、ロドじぃーちゃんが皆を代表して話し出す。
「今、お前が考えている事を話してみろ。それが、今回の件の解決策になるんだろう?」
その言葉に嫌そうな顔をするルミばぁーちゃん。
なんでわかるんだい?って言葉が一瞬聞こえた気がした。
いや。
言葉にしていないが、全身でそう物語っているのだ。
そんなの当たり前だろう?と言う返事も、ロドじぃーちゃんから聞こえたような...。
聞こえなくても、態度でそう言っていた。
さすが、長年ギルマスやっている人達だ。
阿吽の呼吸の様に、互いの考えがわかるのだろう。
ルミばぁーちゃんは観念したかの様にはぁーっと溜息をついて、自分の考えを話出す。
「これは、あくまでも私の考えであってそうできるかは確証はないからね。」
そう言い放つルミばぁーちゃんに、そんな前置きはいいから本題を話せと、せっつくロドじぃーちゃん。
ルミばぁーちゃんはキッとロドじぃーちゃんを睨んでから続きを話す。
「ユウダイとユイカの能力はこの数日一緒に生活して、目から鱗が何枚も剥がれ落ちるぐらい素晴らしいものだよ。
まぁ~発想や物事の考え方が、私らと違っているからこそできる芸当なんだと思うんだけどね。
魔力量さておき、魔法の発想が凄いのさ。なら、その両親をもつ子供がならどうだいって話さ。
未だアキラとリンの能力は未知数だよね。特にリンに関しては、今まで色んな"トラブル"って形でその能力の一部を見せて貰ってきたけど、これもまた私らにないものだ。
それを生かして、街の結界と防御をどうにかしたらいいんじゃないかいって考えてたんだよ。」
そう話すルミばぁーちゃん。
その話を聞いて、皆の目が大きく見開いたと思ったらドラしゃん以外皆なる程って納得していた。
「そっかぁー!その手があったかぁー!」
「なるほど。それは、一理ありますね。」
などと喜ぶ一同。ただ1人を除いて...だねどね。
私を抱きしめている人物だけ、その意見に納得していなかった。
それに関しては、ルミばぁーちゃんを含めいつメンは承知の上での話だ。
ドラしゃんは基本過保護だ。
特に私に関しては、両親の遥か上をいく過保護ぷりだ。
そんな人物が普通に納得するなんて、初めから誰も思ってい。
そこでだ。
皆の視線が自然と私に集まる。
私はそれを受けながらドラしゃんを見つめると、ドラしゃんからは何も言っていないのに、拒否の返事が返ってきた。
「ドラしゃん。私まだ何も言ってないよ?」
私がそう呟くとドラしゃんは私を抱きしめる力を少し強めながら反論をしてきた。
『言わなくてもわかります。危険ですのでダメです。
お嬢様を危険に晒せるぐらいなら、私が寝ずに番をします。』
ドラしゃんの言葉に呆れる一同。
さすが過保護の鬼...いやドラゴンだ。
有言実行しそうで...周りがこれでは無理か?と諦めた時だった。
「めっ!それはダメ!リン!ドラしゃんとねんねしたい!」
私の言葉にぐっと怯むドラしゃん。
「ドラしゃんがそばにいてくれないと、リンやだ!
リン!ドラしゃんのやくにたつの!」
私が涙目で訴えると...結果は見えていた。私の圧勝!!!
そこからは行動あるのみだった。
渋々折れたドラしゃんといつメンを引き連れて街の外へ。
そして、ドラしゃんが張ってある結界に私はドラしゃんに抱っこされたまま触れる。
そして、ルミばぁーちゃんに言われるがまま実行することに。
「リン、目を閉じてフレアが張ってある結界に触れて、それをさらに強く包み込むように透明な膜を張るイメージをするんだ。
フレアを。お前さんの大事な人を護るイメージでだ。」
その言葉通りにイメージして力を流していく。するとだ...ルミばぁーちゃんの読みは見事に的中した。
街を覆っていた結界に金色のベールの様な膜が巻き付く様に覆っていく。
それはとても綺麗でなんとも言えない光景だった。
しかし、その結界は見た目に反してかなり強力なものだというのを直ぐ知ることとなる。
結界に補強がすんだときだった。
例の黒服の人が目の前に呼んでもないのに現れたのだ。
「あっ!"ストーカー!"」
お母さんがそう呟くと
「違うよ母さん。"変態"だよ!」
お父さんが訂正を入れる。
そんな両親に何か言いたげないつメン。
そんな私達の状況にらお構いなしに近寄ってくる黒服の人。
するとどうだろう。
私が張り巡らした金色のベールの様な膜が、棘付きの鞭のように変化をして黒服に攻撃を仕掛けていったのだ。
それには、私を含めその場に居る全員が驚く。
もちろん近寄ってきた黒服の人もだ。
しかもその金色の棘付き鞭は黒服が攻撃しても無傷の上に、攻撃範囲が半端なく広くどこまでも追いかけて攻撃をしているのだ。
1本の鞭が、2本、3本...しまいには10数本まで増え多方面から攻撃をしているではないか。
黒服が慌てて影から出した分身体や魔物まで綺麗に駆逐していく。
さすがに黒服もお手上げなのだろう。
現れて攻撃を受けるだけ受けて姿を消したのだった。
「すごい。」
「凄い。」
「凄いですね。」
「凄すぎないか?」
「さすがです!」
「やるなぁ~!」
「リン!凄いよ!」
「ストーカー撃退だね!」
「いや!変態を撃退だよ!」
『お嬢様。...素晴らしいです。』
皆に褒められて嬉しい反面、大丈夫なのかなぁ?と不安になる私。
棘付き鞭は敵がいなくなったと判断したのか、元のベールに姿を戻して街を包んだのだった。
とりあえず...一つ悩みの解決?
と言う事になったのだった。
リン:
凄いね。
アキラ:
どんな仕組みなんだろう?!
リン:
わかんない!
ムキじぃーちゃん:
よし!ワシがいっちょ外に出て確かめてくるわい!
リン:
えっ!!
アキラ:
大丈夫?!
ムキじぃーちゃん:
よいこら..せっと。
うん???
なんも起きんぞ。
普通に出入りできるぞ!!
リン:
どうやって判別してるのかなぁ?
アキラ:
えっ!リンがしたのに?!
20
あなたにおすすめの小説
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました
mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる