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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜
5-10 犯人が捕まってそのあとは...
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ドラしゃんとセバしゃんの愛情たっぷりのお世話を受けながらご飯を食べる私達。
野宿も覚悟をしていたのに...はなからそうさせないために、あの時ドラしゃんは素直に引き下がったのだとふと思ったのだが...どうやら当たりのようす。
至れり尽くせりの状況にホッとしながらのんびりする私達。
ご飯を食べ終わるとドラしゃんがお風呂の準備をしだす。
見た目的には小さな家なのにお風呂まで完備してあったのだ。
私とお兄ちゃんはそれが当たり前かのように自然に過ごしていたが、これにはアサくん達も驚いていた。
普通冒険者は野宿が基本なのはもちろんのこと、依頼を受けている最中なのでお風呂に入れることはまずない。
条件が良ければ小屋や馬車などで休めるが、こんな一軒家で過ごす事は基本ありえないのだ。
それも温かい食事に待遇までいいとなると...。
これが冒険者として普通だと思っていたらまずいと思ったアサくん達は、私とお兄ちゃんに何かを伝えようとして声をかけようとしたのをドラしゃんに止められた。
そんな事も知らずに私とお兄ちゃんはそそくさお風呂に入っていく。
『この街で居る間は、無粋な事は辞めてくださいね。
私はあのお二人が冒険者になる事は反対なんですから。
でも、お嬢様もアキラ様も真剣に取り組まれてますので、妥協して影より支えているんです。
それすらも邪魔されるなら...どうなっても知りませんよ?』
悪魔の笑みを浮かべてアサくん達に忠告するドラしゃん。
格が違う相手からの凄みにアサくん達は何も言い返せないでいた。
というより、ドラしゃんに平気で言い返せる人なんて数知れているのだ。
何も言い返さないアサくん達を見てドラしゃんは満足したようだ。
『分かれば宜しいです。いやでもお嬢様達はいずれかはこの街から旅に出るんですよ。
それまでの間ぐらい、私の思うようにさせて貰って何が悪いんですか?
私程お嬢様やアキラ様を完璧に護れる者などいないのですからね。』
そう自慢げに話して、私とお兄ちゃんのあとを追ったドラしゃん。
その後ろ姿を無言で見送るアサくん達。
そんなアサくんたちに同情の眼差しを向けながら
「少しはまっしになったのかと思ったが、まったくだなぁー。
ていうか、より酷くなってますね。
お前達も大変だろうが、頑張て下さいね。
これぐらいの事で根をあげていたら今後はもっと大変ですよ。
街に居る間は目を瞑るのが基本です。
その間に、彼からリン様とアキラ様の扱いの術を学ぶといいでしょう。
でないと今後街の外へ冒険に出た時苦労するのはあなた方ですからね。」
セバしゃんが長年ドラしゃんを見てきた関係者の一人として若者達にアドバイスをする。
アサくん達はパーティー仲間に申請した事を今になって少し後悔しだしたが...ある程度の事は覚悟はしていたがここまでとは...。
アサくん達がセバしゃんからアドバイスを貰っている間に私とお兄ちゃん、そしてドラしゃんの三人でお風呂タイムを満喫した。
さっぱりしてお風呂からでて夜用の動きやすい服に着替えて、アサくん達の元へ行った時だった。
畑に仕掛けた罠が発動したのを感じた。
それに気付いたのは私とお兄ちゃんだけでなかった。
アサくん達やドラしゃん、セバしゃんまでも気付いた。
「反応あったね。どうする?」
「まだ一個目だ。少し様子を見る?」
お兄ちゃんがそう言った瞬間、二個目の罠も反応した。
そして次々と畑に仕掛けた罠が反応していくので私達は思い切って外へと出た。
もちろん明かりは付けずに、【聖獣】のフウちゃんのスキルの一つ、『夜目』を使って暗闇の中でも昼間みたいに視界を良好にして飛び出した。
もちろんのスキルはパーティー仲間全員で共有しているので、真っ暗闇でも皆問題なく動けている。
気配を消して発動した罠の方へ行くとそこには、数十名程引っかかっていた。
何人かは取り逃したようだが、それでも十分な成果だ。
罠に引っかかった人達を回収しながら縛り上げる。
もちろん縛り上げるのは私以外の男手でだけどね。
私もしようとしたが全力で皆に止められた。
縛りあげて魔法で灯りを照らすとそこには人間と獣人とドワーフがいた。
どの人も見た事が無い人達ばかり。
しかしアサくんが彼らを見てある事に気付いたようす。
もちろんだが、保護者で一緒に同行しているドラしゃんやセバしゃんも気付いたようだった。
「その服装...もしかして...。」
アサくんがそう呟いた時だった。
ドラしゃんがしぃーと、喋るのを辞めるように指示を出したので、アサくんは言うのを我慢する。
『では、この人達はこのままギルドへ連れて行きましょう。
大丈夫ですよ。ギルドにはちゃんとギルマスとその他も"待ってますから"。』
と笑顔で意味深な事を話すドラしゃん。
驚きながらもチラッとセバしゃんを見ると苦笑いしていた。
これはドラしゃんの言う事を聞くべきだなと思い、彼らを逃さないよう拘束した上で魔法で浮かせてギルドまで運ぶ。
ギルドへ行くと、入り口に待ってましたと言わんばかりにギルマスのロドじぃーちゃんとルミばぁーちゃんを含めて、ムキじぃーちゃん、カシムさん、ラミィお兄ちゃん、ドムじぃーちゃん達まで勢揃いしていた。
ドラしゃんをチラリと見ると満面の笑顔。
私達はもう覚悟を決めて皆の元へと駆け寄っていく。
「ロドじぃーちゃん、皆なんでいるの?」
分かってはいるがとりあえず聞いてみると...。
「フレアが待っとれと言うから待っとんたんだが...えらい土産を持ってきたもんだ。」
「やはり畑を荒らしていた奴らはコイツらか。」
「一層のこと灰にして畑の肥料にしてはどうですか?」
「そんなことしたら作物が腐るだろう?それよりかは、この前リンが拾ってきた"ワニデリス"の雛の餌にしたらいいじゃないか?」
「腹壊さんか?」
「大丈夫だろう?」
彼らは満面の笑みを浮かべてとんでもない話を次から次へと繰り広げていく。
私達はもちろんだが、拘束されている人達も彼らの話を聞いてだんだんと血の気をなくしていくのは言うまでもない。
ちなみにムキじぃーちゃんが言っていた"ワニデリス"って言うのは"たまたま"家の裏の泉でボッチでいたワニ型の魔獣の雛の事だ。
成長すると全長約15mぐらいになるとか。
水陸両用の生き物で、見た目はナイルワニに似ているが尻尾がリスのようにクルッと丸まっているのが特徴。
色が茶色で背中に緑の縞模様があって雛はとても可愛いのだが、大人になるとその可愛さはなくなり、ゴツいワニ化するのだとか...。
ちなみに【聖獣】契約をうっかりしてしまい魔獣から【聖獣】に進化しているんだけどね...。てへ。
今は成長期でたくさん食べるので、食糧確保が結構大変なんだ。
肉がメインの食料となるが、基本なんでも食べるみたい。
私やお兄ちゃんが食べているものも欲しがり、与えると普通にペロリと食べてしまうのだから、かなりの食いしん坊さんとみた。
しかし人肉を与えるのは契約主として嫌だなぁーと思っていると...私が嫌そうな顔をするのを見たドラしゃんが"大丈夫ですよ"と囁いてくれた。
ムキじぃーちゃん達も冗談で言っているだとわかるが、少し嫌だったのだ。
「とりあえず、コイツらをおろしてくれるか?」
ロドじぃーちゃんに言われて、私は捕まえた人達をロドじぃーちゃん達の前に降ろした。
すると...。
「すみません!!」
「二度とあの畑には手を出しません!!」
「ですから...っ。」
「い、命だけは...。」
顔面蒼白の顔で半泣き状態でロドじぃーちゃん達に訴えだす。
そんな彼らに対してロドじぃーちゃん達は冷たい目線を送っていた。
「ねぇー、この人達はなんなの?」
私はずっと感じていた事を質問してみた。
「あっ!それ僕も知りたいです!」
「俺も!」
「僕も知りたいです!」
「私も知りたいですね。」
「なんか知っているような気もしますが、私も気になります。」
アサくん以外のパーティーメンバーも私に続いて手を上げながらロドじぃーちゃん達に質問した。
「えっ!お前らコイツらのこと知らないのか?!」
ロドじぃーちゃん達は驚いた顔をして私達に問いかける。
私達は逆になんで知っているの?って顔をした。
だってこの人達とは初対面なのだから知ってる方がおかしいでしょう?
そんな私の心の声が聞こえたのだろう。
ロドじぃーちゃん達は呆れ顔をしつつも教えてくれた。
「冒険者ギルドにも貼り出ししてるだがなぁー。」
「まさか知らないとわね。掲示方法変えるかい?」
「まぁ~リン達ですからね。仕方がないでしょう。」
「ある意味コイツらは大物になるかも知れないなぁー。」
ロドじぃーちゃんを筆頭にルミばぁーちゃん達まで呆れ顔で私達を見ながら呟く。
そんないつメンの反応を見ても私もお兄ちゃんも全く分からないので首を傾げていると呆れ顔でロドじぃーちゃん達が教えてくれた。
「コイツらは今、全国で指名手配している盗賊団だ。
以前はそこまで目立った事をしていなかったんだが、国が豊かになってから活動が派手になってきたんだよ。」
「人殺しとかあくどい事はとりあえずしてなかったから、ある程度の事は目を瞑っていたんだがね。」
「最近は売り上げのいい商家や農家荒らしをしだしたんですよ。
流石に国の利益にもかなり影響が出だしたので、行動を見張ってたんですよ。」
「そろそろこの街にも来るだろうなとは思ってたんだが、本当に来るとはなぁー。」
「命知らずにもほどがありますわぁー。」
「本当だぜ。この街のことぐらいは、よほどの馬鹿以外なら知ってると思うがなぁー。」
「馬鹿だったんだろう。」
その言葉を聞いて私達は普通に驚くと、やれやれとした表情を浮かべるアサくん。
「もしかしてアサくんは知っていたの?」
私がそんなアサくんに質問するとアサくんはコクッと頷きながら
「ああ。知っていたぞ。ギルドに来れば掲示板に張ってあるぞ。」
そう答えるのだ。
アサくんの言葉に私とお兄ちゃんは目が点になった。
そんな掲示物あったっけ?
私達の反応に皆も驚いていた。
捕まっている連中は何対して泣いているのかわからない状態。
まぁーそんな彼らをしばらく放置して私達は話を進める。
「とりあえず、この人達は悪い人達なんだよね?」
私が改めて言うと皆は頷いていた。
「そうなんだ。なら、罰を受けないといけないのよね?」
「そうだな。」
「どんな罰を受けるの?」
私がそう言うと、私の横にいたドラしゃんが笑顔で答えた。
『お嬢様やアキラ様が大事にしている畑に手を出したんですから、明日はないでしょう。』
ドラしゃんのその言葉に捕まっている人達は完全に魂を飛ばしていた。
私達はギョッとした。
『当たり前ですよ。他のものならそうですね、鉱山でタダ働きぐらいの賃金で一年ぐらいの労働で手を打てますが、手を出したものが悪かったとしか言えませんね。』
ドラしゃんはどこか楽しそうに話すのだった。
さすがにやばいと思ったロドじぃーちゃん達が止めに入ろうとした。
リン:
盗賊団なんていたんだ。
アキラ:
知らなかった。
リン:
初めてみたよ。
アキラ:
僕もだよ。
アサくん:
お前たち、マジでもう少し危機感持てよ
野宿も覚悟をしていたのに...はなからそうさせないために、あの時ドラしゃんは素直に引き下がったのだとふと思ったのだが...どうやら当たりのようす。
至れり尽くせりの状況にホッとしながらのんびりする私達。
ご飯を食べ終わるとドラしゃんがお風呂の準備をしだす。
見た目的には小さな家なのにお風呂まで完備してあったのだ。
私とお兄ちゃんはそれが当たり前かのように自然に過ごしていたが、これにはアサくん達も驚いていた。
普通冒険者は野宿が基本なのはもちろんのこと、依頼を受けている最中なのでお風呂に入れることはまずない。
条件が良ければ小屋や馬車などで休めるが、こんな一軒家で過ごす事は基本ありえないのだ。
それも温かい食事に待遇までいいとなると...。
これが冒険者として普通だと思っていたらまずいと思ったアサくん達は、私とお兄ちゃんに何かを伝えようとして声をかけようとしたのをドラしゃんに止められた。
そんな事も知らずに私とお兄ちゃんはそそくさお風呂に入っていく。
『この街で居る間は、無粋な事は辞めてくださいね。
私はあのお二人が冒険者になる事は反対なんですから。
でも、お嬢様もアキラ様も真剣に取り組まれてますので、妥協して影より支えているんです。
それすらも邪魔されるなら...どうなっても知りませんよ?』
悪魔の笑みを浮かべてアサくん達に忠告するドラしゃん。
格が違う相手からの凄みにアサくん達は何も言い返せないでいた。
というより、ドラしゃんに平気で言い返せる人なんて数知れているのだ。
何も言い返さないアサくん達を見てドラしゃんは満足したようだ。
『分かれば宜しいです。いやでもお嬢様達はいずれかはこの街から旅に出るんですよ。
それまでの間ぐらい、私の思うようにさせて貰って何が悪いんですか?
私程お嬢様やアキラ様を完璧に護れる者などいないのですからね。』
そう自慢げに話して、私とお兄ちゃんのあとを追ったドラしゃん。
その後ろ姿を無言で見送るアサくん達。
そんなアサくんたちに同情の眼差しを向けながら
「少しはまっしになったのかと思ったが、まったくだなぁー。
ていうか、より酷くなってますね。
お前達も大変だろうが、頑張て下さいね。
これぐらいの事で根をあげていたら今後はもっと大変ですよ。
街に居る間は目を瞑るのが基本です。
その間に、彼からリン様とアキラ様の扱いの術を学ぶといいでしょう。
でないと今後街の外へ冒険に出た時苦労するのはあなた方ですからね。」
セバしゃんが長年ドラしゃんを見てきた関係者の一人として若者達にアドバイスをする。
アサくん達はパーティー仲間に申請した事を今になって少し後悔しだしたが...ある程度の事は覚悟はしていたがここまでとは...。
アサくん達がセバしゃんからアドバイスを貰っている間に私とお兄ちゃん、そしてドラしゃんの三人でお風呂タイムを満喫した。
さっぱりしてお風呂からでて夜用の動きやすい服に着替えて、アサくん達の元へ行った時だった。
畑に仕掛けた罠が発動したのを感じた。
それに気付いたのは私とお兄ちゃんだけでなかった。
アサくん達やドラしゃん、セバしゃんまでも気付いた。
「反応あったね。どうする?」
「まだ一個目だ。少し様子を見る?」
お兄ちゃんがそう言った瞬間、二個目の罠も反応した。
そして次々と畑に仕掛けた罠が反応していくので私達は思い切って外へと出た。
もちろん明かりは付けずに、【聖獣】のフウちゃんのスキルの一つ、『夜目』を使って暗闇の中でも昼間みたいに視界を良好にして飛び出した。
もちろんのスキルはパーティー仲間全員で共有しているので、真っ暗闇でも皆問題なく動けている。
気配を消して発動した罠の方へ行くとそこには、数十名程引っかかっていた。
何人かは取り逃したようだが、それでも十分な成果だ。
罠に引っかかった人達を回収しながら縛り上げる。
もちろん縛り上げるのは私以外の男手でだけどね。
私もしようとしたが全力で皆に止められた。
縛りあげて魔法で灯りを照らすとそこには人間と獣人とドワーフがいた。
どの人も見た事が無い人達ばかり。
しかしアサくんが彼らを見てある事に気付いたようす。
もちろんだが、保護者で一緒に同行しているドラしゃんやセバしゃんも気付いたようだった。
「その服装...もしかして...。」
アサくんがそう呟いた時だった。
ドラしゃんがしぃーと、喋るのを辞めるように指示を出したので、アサくんは言うのを我慢する。
『では、この人達はこのままギルドへ連れて行きましょう。
大丈夫ですよ。ギルドにはちゃんとギルマスとその他も"待ってますから"。』
と笑顔で意味深な事を話すドラしゃん。
驚きながらもチラッとセバしゃんを見ると苦笑いしていた。
これはドラしゃんの言う事を聞くべきだなと思い、彼らを逃さないよう拘束した上で魔法で浮かせてギルドまで運ぶ。
ギルドへ行くと、入り口に待ってましたと言わんばかりにギルマスのロドじぃーちゃんとルミばぁーちゃんを含めて、ムキじぃーちゃん、カシムさん、ラミィお兄ちゃん、ドムじぃーちゃん達まで勢揃いしていた。
ドラしゃんをチラリと見ると満面の笑顔。
私達はもう覚悟を決めて皆の元へと駆け寄っていく。
「ロドじぃーちゃん、皆なんでいるの?」
分かってはいるがとりあえず聞いてみると...。
「フレアが待っとれと言うから待っとんたんだが...えらい土産を持ってきたもんだ。」
「やはり畑を荒らしていた奴らはコイツらか。」
「一層のこと灰にして畑の肥料にしてはどうですか?」
「そんなことしたら作物が腐るだろう?それよりかは、この前リンが拾ってきた"ワニデリス"の雛の餌にしたらいいじゃないか?」
「腹壊さんか?」
「大丈夫だろう?」
彼らは満面の笑みを浮かべてとんでもない話を次から次へと繰り広げていく。
私達はもちろんだが、拘束されている人達も彼らの話を聞いてだんだんと血の気をなくしていくのは言うまでもない。
ちなみにムキじぃーちゃんが言っていた"ワニデリス"って言うのは"たまたま"家の裏の泉でボッチでいたワニ型の魔獣の雛の事だ。
成長すると全長約15mぐらいになるとか。
水陸両用の生き物で、見た目はナイルワニに似ているが尻尾がリスのようにクルッと丸まっているのが特徴。
色が茶色で背中に緑の縞模様があって雛はとても可愛いのだが、大人になるとその可愛さはなくなり、ゴツいワニ化するのだとか...。
ちなみに【聖獣】契約をうっかりしてしまい魔獣から【聖獣】に進化しているんだけどね...。てへ。
今は成長期でたくさん食べるので、食糧確保が結構大変なんだ。
肉がメインの食料となるが、基本なんでも食べるみたい。
私やお兄ちゃんが食べているものも欲しがり、与えると普通にペロリと食べてしまうのだから、かなりの食いしん坊さんとみた。
しかし人肉を与えるのは契約主として嫌だなぁーと思っていると...私が嫌そうな顔をするのを見たドラしゃんが"大丈夫ですよ"と囁いてくれた。
ムキじぃーちゃん達も冗談で言っているだとわかるが、少し嫌だったのだ。
「とりあえず、コイツらをおろしてくれるか?」
ロドじぃーちゃんに言われて、私は捕まえた人達をロドじぃーちゃん達の前に降ろした。
すると...。
「すみません!!」
「二度とあの畑には手を出しません!!」
「ですから...っ。」
「い、命だけは...。」
顔面蒼白の顔で半泣き状態でロドじぃーちゃん達に訴えだす。
そんな彼らに対してロドじぃーちゃん達は冷たい目線を送っていた。
「ねぇー、この人達はなんなの?」
私はずっと感じていた事を質問してみた。
「あっ!それ僕も知りたいです!」
「俺も!」
「僕も知りたいです!」
「私も知りたいですね。」
「なんか知っているような気もしますが、私も気になります。」
アサくん以外のパーティーメンバーも私に続いて手を上げながらロドじぃーちゃん達に質問した。
「えっ!お前らコイツらのこと知らないのか?!」
ロドじぃーちゃん達は驚いた顔をして私達に問いかける。
私達は逆になんで知っているの?って顔をした。
だってこの人達とは初対面なのだから知ってる方がおかしいでしょう?
そんな私の心の声が聞こえたのだろう。
ロドじぃーちゃん達は呆れ顔をしつつも教えてくれた。
「冒険者ギルドにも貼り出ししてるだがなぁー。」
「まさか知らないとわね。掲示方法変えるかい?」
「まぁ~リン達ですからね。仕方がないでしょう。」
「ある意味コイツらは大物になるかも知れないなぁー。」
ロドじぃーちゃんを筆頭にルミばぁーちゃん達まで呆れ顔で私達を見ながら呟く。
そんないつメンの反応を見ても私もお兄ちゃんも全く分からないので首を傾げていると呆れ顔でロドじぃーちゃん達が教えてくれた。
「コイツらは今、全国で指名手配している盗賊団だ。
以前はそこまで目立った事をしていなかったんだが、国が豊かになってから活動が派手になってきたんだよ。」
「人殺しとかあくどい事はとりあえずしてなかったから、ある程度の事は目を瞑っていたんだがね。」
「最近は売り上げのいい商家や農家荒らしをしだしたんですよ。
流石に国の利益にもかなり影響が出だしたので、行動を見張ってたんですよ。」
「そろそろこの街にも来るだろうなとは思ってたんだが、本当に来るとはなぁー。」
「命知らずにもほどがありますわぁー。」
「本当だぜ。この街のことぐらいは、よほどの馬鹿以外なら知ってると思うがなぁー。」
「馬鹿だったんだろう。」
その言葉を聞いて私達は普通に驚くと、やれやれとした表情を浮かべるアサくん。
「もしかしてアサくんは知っていたの?」
私がそんなアサくんに質問するとアサくんはコクッと頷きながら
「ああ。知っていたぞ。ギルドに来れば掲示板に張ってあるぞ。」
そう答えるのだ。
アサくんの言葉に私とお兄ちゃんは目が点になった。
そんな掲示物あったっけ?
私達の反応に皆も驚いていた。
捕まっている連中は何対して泣いているのかわからない状態。
まぁーそんな彼らをしばらく放置して私達は話を進める。
「とりあえず、この人達は悪い人達なんだよね?」
私が改めて言うと皆は頷いていた。
「そうなんだ。なら、罰を受けないといけないのよね?」
「そうだな。」
「どんな罰を受けるの?」
私がそう言うと、私の横にいたドラしゃんが笑顔で答えた。
『お嬢様やアキラ様が大事にしている畑に手を出したんですから、明日はないでしょう。』
ドラしゃんのその言葉に捕まっている人達は完全に魂を飛ばしていた。
私達はギョッとした。
『当たり前ですよ。他のものならそうですね、鉱山でタダ働きぐらいの賃金で一年ぐらいの労働で手を打てますが、手を出したものが悪かったとしか言えませんね。』
ドラしゃんはどこか楽しそうに話すのだった。
さすがにやばいと思ったロドじぃーちゃん達が止めに入ろうとした。
リン:
盗賊団なんていたんだ。
アキラ:
知らなかった。
リン:
初めてみたよ。
アキラ:
僕もだよ。
アサくん:
お前たち、マジでもう少し危機感持てよ
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