異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-11 依頼の報酬と盗賊団について

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 ドラしゃんが笑顔でとんでもない事を言い出したため、ロドじぃーちゃん達が慌てて止めに入る。

「フレア!ちょっと待て。」

「此奴らでそんな目にあうなら今後出てくるであろう奴らはどうなんだい!」

「そうですよ。あまりキツい仕置きはどうかと思いますよ!」

「そうだぞ!考え直せ!」

必死にドラしゃんを説得しようとするいつメンに対して平然と答えるドラしゃん。

『意味がわかりませんね。こうなると分かっていてこの街のものに手を出したんでしょ?ならいいではないですか。』

てこでも譲る気がないみたい。
捕まっている盗賊団はドラしゃん達の話を聞いて廃人化していた。

もう抵抗するどころか、生きることさえ放棄しているように見えた。

あまりにも彼らが可哀想になり私はドラしゃんにそっとお願いをしてみることにした。

「ドラしゃん。そんな悪い奴なら、この街でこき使うのはどう?」

私の言葉にえっ?となる皆。
そんな彼らの反応を無視して私は話を進める。

「だって、悪い奴なんでしょ?そんな人達を外に放り出すのは危険よね?
かと言って、きつめの罰を与えると後々悪い人達が出た時に大変なんだよね?」

私の言葉に無言で頷く大人達。
お兄ちゃん達もただ黙って私の話を聞いていた。

私の言葉を聞いて廃人化していた盗賊団の人は少し復活して、希望の眼差しを私に向けてきた。

私はその眼差しを少し無視しながら話を続ける。

「なら、この街でドラしゃんやロドじぃーちゃん達の監視の元で頑張って働いてもらったらいいのよ。
この街もだいぶ大きくなったでしょ?
働き手は必要じゃない。
 確か、畑も田んぼもまだ広げるような話をこの前カブさんとお父さんがしていたのよね。
なら、この人達に頑張って貰ったらいいのよ。
もちろんサボったり、逃げ出したりしない様に枷を付けてね。
どうかなぁ?」

私の言葉にかなり不服そうなドラしゃんと、良い案じゃないかと賛同するその他のメンバーと、感激の涙を流す盗賊団。

側から見たらカオスな状況なのだけど、とりあえず何とかしないととんでもないことになりそうだと感じたので、私も必死だった。

そんな私の言葉に不満そうにドラシャンが

『お嬢様。それは甘すぎではないですか?』

不服を申し立てる。が、私も怯まない。
悪いことした彼らを助けるのではなく、彼らのせいでドラしゃんが酷い選択をするのを阻止するためだったからだ。

「そうかなぁ?賃金や仕事内容ははこちらが決めるのよ?彼らには拒否権はなしよ?どこか甘いの?
私だったら嫌だなぁー。
でも、命を取られるよりかはいいと思ったのよ。」

『...。』

必死に訴える私の言葉を聞いて黙り込むドラしゃん。

「さすがリン様ですね。命をとるのは容易いですからね。
かと言ってなんの罰も与えないのでは意味がありませんからね。」

そう言って褒めてくれるセバしゃん。

「そうだな。この街で悪さをして何も罰がないのは舐められるからなあ。
かと言って、直ぐに命をとるのでは意味がない。」

ロドじぃーちゃんもそう言ってドラしゃんの説得にかかる。

「この街の怖さを身をもってコイツらに知ってもらうのもありだね。
そうすれば自然と噂は広まって、この街で馬鹿をする奴はいなくなるだろうね。」

ルミばぁーちゃんもロドじぃーちゃんに続いてドラしゃんの説得にあたってくれた。

「リンちゃんの案は良いですね。ただ許すだけでなく、ちゃんと罰も与えてますからね。
枷をつける時にある程度の条件を付けるのもありですね。行動制限とか。」

ラミィお兄ちゃんもそう言ってドラしゃんの説得に当たってくれた。

「せやったら、死なん程度に電流を流すかはどうでっしゃろか?
電流を流す加減はこちらで決めるですよぉ~。」

モッケしゃんも内容的にはとんでもないが、私の加勢をしてドラしゃんの説得に当たってくれた。

「見張りは俺たちで手の空いている奴らがしたら良いよな。
なんならギルドで冒険者に依頼として出しても良いんじゃないか?
買収されるようなやわな奴がいたら、俺たちで教育さ直したらいいしなぁー。」

ムキじぃーちゃんもそう言ってドラしゃんの肩に手をやる。

トドメと言わんばかりに私は目を潤ませてドラしゃんにお願いをする。

「ドラしゃん。ダメかなぁ?」

私がそうお願いしたら、後ろで聞いていた馬鹿王子達がとんでもない事を言い出したのだ。

「あっ!それか、セバスの鞭打ちの刑はどうだろうか?
あれは、父上もかなり怯える物ですよ!
俺は見た事ないんだが、父上がかなり怯えて言うのでかなり効果はあるのではないでしょうか?」

「兄上凄いです!確かに、父上だけでなく、近衛隊長達もその話をするとかなり怯えますよね?どうでしょうか?」

馬鹿王子達の発言に嫌な顔をするセバしゃん。

私とお兄ちゃんは驚いて思わずセバしゃんを見ると、首を全力で左右に振るセバしゃん。

馬鹿王子達の言葉になんとも言えない笑みを浮かべたドラしゃん。

そして、また廃人化しかけた盗賊団。

『たまには良い事を言うではないか。
そうだな。その手もあるな。
では、此奴らの罰は私とセバスの鞭打ちの刑と枷を付けてこの街で働いてもらいましょう。命があるだけ良かったですね。』

前半は私達に向けて、最後は廃人化している盗賊団に向けて言い放ったのだ。

巻き込まれたセバしゃん。
しかし、命をとるよりかはまっしだと判断したのだろう。

渋々了承して、ドラしゃんと一緒にギルドの地下にある牢へ盗賊団を連れて行くのだった。

私達はその場に取り残されてどうしたらいいのか分からず、側にいたロドじぃーちゃん達を見つめると

「とりあえず、お前達は今日は帰れ。明日また、ギルドにきてくれるか?」

私達は話し合ってロドじぃーちゃんの指示に従う事にした。

こうして私達は一旦解散となった。

アサくんは家に、馬鹿王子二人とセバしゃんの甥っ子達はラディじぃーちゃんとカシムじぃーちゃんに連れられて兵舎へと向かった。

私とお兄ちゃんはムキじぃーちゃんと一緒に自宅へと戻って行った。

「ドラしゃん達はいいの?」

念のために聞くと

「大丈夫だ。」

ムキじぃーちゃんはそうしか答えてくれなかった。

気になったが、夜も遅いので家に戻るしかなかった。


 翌朝。起きてリビングに行くとそこにはドラしゃんとセバしゃんの姿があった。

いつの間にか戻って来ていたのだ。

私とお兄ちゃんは起き抜けもそうそう二人の側に行きあの後の出来事を質問した。

しかし二人は内緒ですと言って教えてくれなかったのだ。

『お嬢様。アキラ様。今日もギルドへいかないといけないんでしょ?
早く朝ご飯をどうぞ。』

そう言ってドラしゃんはテーブルに私とお兄ちゃんの朝ご飯の準備をしてくれていた。

『私達も朝ご飯はまだなのでご一緒してもよろしいですか?』

ドラしゃんの言葉に私とお兄ちゃんは笑顔で頷いた。

昨晩の出来事は気になるが、セバしゃんやドラしゃんと一緒に食事ができるならとりあえず後回しにしても良かった。

私とお兄ちゃんは急いで顔を洗って着替えてもう一度リビングに戻ってきた。

そして、ドラしゃんやセバしゃんと一緒に朝ご飯を食べる。

「ドラしゃん。いつもありがとう。今日も美味しいよ。」

「本当にありがとう。元気になるよ。」

『それは良かったです。何か食べたいものがありましたらなんなりと言って下さいね。』

「十分だよ。」

「ドラしゃんが作るのはなんでも美味しいから選べないよ。」

私とお兄ちゃんの言葉を聞いて嬉しそうな表情をするドラしゃん。

セバしゃんはそんな私達のやり取りを横目で見ながら微笑していた。

『何がおかしい?』

セバしゃんの微笑に気付いたドラしゃんがセバしゃんに食ってかかる。

「いや。相変わらずの光景だなぁーと思ってな。
この光景がずっと続いてくれると良いなぁーと思ってな。」

セバしゃんの言葉に何を当たり前のことを言ってるんだ?と言う表情をするドラしゃん。

私とお兄ちゃんは互いに顔を見合わせて笑った。

滅多に会えないセバしゃんに変わらない光景だと言ってもらえて、なぜかホッとしたのだった。

「私もずっとセバしゃんやドラしゃんとこうして食事がしたいわ。」

「僕もです。いつでもセバしゃん来てくださいね。」

「ありがとうございます。王を鍛え上げて、毎日でも来られるようにしますね。」

『毎日来れるほどお前の国は暇なのだな。』

「暇ではないさ。でも、ここは時間を無理にでも作ってくる価値は十分あるのだよ。」

『なる程。それはわかるな。』

仲が良いのか悪いのかわからない二人。

しかし、二人のこのやりとりを聞きながら過ごすのは、私とお兄ちゃんにとっては特別な事だ。

だからずっとこの時間が続くように密かに二人で願った。

こんな楽しい時間を堪能した後は、約束通りにギルドへと向かった。

昨日捕まった盗賊団の事が気になるからだ。

無事だと良いなぁーと思いながら、今日も保護者二人を伴ってギルドへと歩みを進めた。

 
  ギルドへ行くと昨日いたメンバー全員が集まっていた。

どうやら私達が最後の登場のようだった。

のんびりし過ぎたかなぁ?と思いもしたが、何時に集合と具体的に時間の指定もされてなかったので誰も咎めはしなかった。

私達が来るとまずコイムさんに呼ばれて受付へと向かう。

一応昨日の依頼は達成されたということで、報酬の処理をしたいので依頼書を渡して欲しいと言われた。

そこで私達はカブさんから依頼達成のサインをもらってない事に気付いた。

「コイムさん、依頼達成のサインを貰ってないんです。」

私がそう言うと、コイムさんは笑顔で大丈夫と言ってくれた。

「こちらの依頼に関しては、畑の持ち主であるカブさんとギルドからの共同依頼ですから私が依頼達成のサインをしますので問題ないです。」

コイムさんの言葉にホッとして私は依頼書をコイムさんに渡した。

コイムさんは"確かに預かりました。"と言って依頼書にサインをして奥へと消えた。

報酬の計算が終わるまでの間、今度はロドじぃーちゃん達に呼ばれた。

昨日捕まえた盗賊団についての話があるとの事だった。

私達が帰ったあと何があったか気になったので、私達は急いでロドじぃーちゃんの元へと駆け寄って行った。

ロドじぃーちゃんからの口から出た言葉は唖然とする内容ばかりだった。

私達が家路についたあと、ドラしゃんとセバしゃんとロドじぃーちゃんとルミばぁーちゃんはギルドの地下にある牢屋の方へ向かったそうだ。

そこで...内容はかなり省かれたのだろうが、セバしゃんとドラしゃんによる鞭打ちの刑と尋問が行われた様だ。

どんな様子だったのかは話をするロドじぃーちゃんの顔色が悪いのと、時折震える動作から想像するしかなかったが、優しい者ではないのだろう。

最初はだんまりを決め込んでいた盗賊団もあの二人の前では蛇に睨まれたカエル状態。

スラスラ、ペラペラと色々話をしてくれたそうだ。

盗賊団のアジトもわかり、その日のうちに駆けつけて残りの盗賊団も全員捕まえてきたそうだ。

アジトはもれなく壊滅状態にして来たとか。

それも全て二人がしたことらしい。

ロドじぃーちゃんとルミばぁーちゃんは、盗賊団が喋った事を記録して各国の王様達に連絡したりしていたそうだ。

その後もセバしゃんとドラしゃんとで教育的指導という名の調教が行われた様だ。

ある程度の仕事を片付けて牢屋へ行くと、見違える様な姿の盗賊団達がいたそうだ。

どんな事をしたのか二人に聞いても、教育的指導をしたとしか言わなかったそうだ。

あまりの内容に私達は開いた口が閉じなかった。

私達の後ろでの例の二人がこれ以上余計な事は言うなと言わんばかりに、ロドじぃーちゃんに圧をかけていたのだ。

「とりあえず、昨日捕まえた奴は更生した様だ。
今はそれぞれ枷をつけて、大人しくしている。
今後どの様に扱うかは捕まえたお前達が決めたらいい。」

そうロドじぃーちゃんは話してくれた。

私達で決めていいと言われても...。
私はお兄ちゃん達を見つめた。

お兄ちゃん達も私と同じ気持ちの様だった。

人一人の人生を考えるなんて...ねぇ?

どうしたものかと思っていると、報酬の計算を終えたコイムさんが受付に戻ってきた。

私達は再びコイムさんに呼ばれ受付へと。

今回の報酬は一人、大金貨一枚ずつ渡される事になった。

「この街だけでなく、他の国や街でも悪さをしていた連中を捕まえたんです。
これが一番妥当な金額かと思いまして。本当はもっとお出ししても良いかとは思ったのですが、ユイカ様に怒られそうなので手頃な金額にさせて頂きました。」

そう言ってコイムさんは金額を書いた紙を私達に見せてくれた。

大金貨って...。

あまりの金額にパーティーメンバー皆で驚いていた。

「凄いなぁー。こんな金額中々稼げないぞ。」

「ふん。こんなの俺の小遣いに比べたら安いものさ。」

「あ、兄上!そんな事を言うからいけないんですよ!」

「凄いね。初依頼で大金貨とは。私達ついてますね。」

「本当に。今後の依頼も楽しみですね。」

「リン。どうしよう...。」

「わからないよぉ~。お兄ちゃん、どうしたらいい?」

私とお兄ちゃん以外はとても喜んでいた。

そりゃそうだろうね。
一回の依頼で大金貨貰えることは滅多とないから。

困り果てた私はそっと後ろを向いた。

後ろではセバしゃんとドラしゃんが不思議そうに私達を見つめていた。

『どうされました?』

私とお兄ちゃんの不安そうな視線を感じたドラしゃんが側までやって来た。

私とお兄ちゃんはドラしゃんに今回の報酬について相談した。

すると...。

『この金額は一番妥当な金額ですよ。もう少しおまけで貰ってもいいぐらいです。安心して受け取って下さい。
自分達で策を考えて対処した結果ですよ。』

ドラしゃんはそう言って微笑んでくれた。

私とお兄ちゃんは少しホッとして、受け取りの書類にサインをした。

こうして私達はそれぞれ報酬を貰ったのだった。

報酬を受け取った後、パーティーメンバーで昨日の盗賊団について話し合うことにした。

処遇は私達に全て任せると言われたからだ。
枷は昨日話し合った内容の条件で付けてあるらしい。

各国の王様達にも処遇に関してはこちらで対応するという事で許可は貰っているそうだ。

「どうする?」

「どうするって言ってもなぁー。」

「全員、リンの奴隷にしまうとか?」

「兄上!良い考えです!」

「はっ?!アホか?何が良い考えですだ!そんなわけにはいかんだろうが!」

「そうですよ。あんなムサイ連中では、リン様の評価が駄々下りです。」

「そうですね。連れて歩くならもっとまっしなのがいいでしょう。」

「えっ?そうなの?てか、リンにはもうたくさん身の回りの世話をしてくれる人が居るから大丈夫だよ?」

「はっ?えっ??」

「そっかぁー。なら、最初の話し合った通りに、この街で働いてもらったらどうなんだ?」

「しかし、大丈夫なのか?」

「そうですよ。枷を付けてると言っても...ねぇ?」

「この街に入った限りはあれ以上の悪さは二度と出来ないでしょう?」

「そうですね。しようものならそれこそ命ありませんよ?」

「えっ?!そこまで??なら、働いてもらう方がいいのかなぁ?」

「ねぇ?ちょっと!」

「監視は街全体でするだろうから大丈夫だろう。」

「それなら大丈夫だな。」

「兄上が言うなら大丈夫でしょう。」

「なら、それでいきましょうか?」

「そうですね。」

「じゃーそれでいこうか?!」

「もーー!!ちょっと、私の意見は?!」

「「「「「「えっ?いる?」」」」」」

皆にそう言われて、私は黙るしかなかった。

おかしい!何かおかしい!

そう思いながら頬を膨らめていると、私達の話を聞いていた周りの人達が笑いを必死に堪えていたのだった。











リン:
おかしいよ!みんなの私の扱いが!

アキラ:
そう?そんな事ないよ!

リン:
絶対おかしいよ!

アキラ:
えっ?そうかなぁ?

ドラしゃん:
まだまだぬるいぐらいですよ?
 



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