異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-9 パーティー組んで初依頼に挑戦して

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 冒険のパーティーメンバー登録のためにギルドへ向かった私達一行は、ギルマスであるロドじぃーちゃんを連れて行ったため、登録はスムーズにできた。

もちろん色んな人の注目は浴びたが気にせずにすごす。

登録時にコイムさんから"リーダーは誰にしますか?""パーティー名はどうされますか?"と聞かれて若干焦るはめに。

それらに関しては全く考えてなかったからだ。

「お兄ちゃんどうするの?」

「えっ?!僕に聞く?アサくん!どうする?」

「えっ?誰でも良いんじゃない?」

「そうそう。私達対してランクは変わらないんだから。」

「そうですね。私も誰でもいいですよ。」

「俺も誰でもいい。」

「僕もです。」

...。
皆の反応に焦る私とお兄ちゃん。
めちゃくちゃ困るなぁ~。

「ランク的にはアサくんの方が一つ上となりますが、かと言ってこのメンバーで誰がリーダーになってもパーティーランクはGランクですね。
ですから、誰がリーダーになっても問題はないです。」

コイムさんが助け舟を出そうとそう話してくれたが、それでも悩む。

すると、見かねたロドじぃーちゃんが勝手にリーダーの欄に私の名前を記入したのだ。

「悩むならお前がしたらいい。このメンツでお前さんの言う事を聞かない奴はおらんだろう?
 補佐はアキラとアサでしろ。いいな?」

ロドじぃーちゃんの言葉にお兄ちゃんとアサくんはすんなり頷く。
他のメンバーも特に意義を申し立てなかった。

こうしてこのパーティーのリーダーは私となった。

「じゃーあとはパーティー名だ。リーダーは後からでも変更がきくが、パーティー名はパーティーを解散させない限り変更は不可だ。解散させるまでずっと使う名前だから、変なのにするなよ。」

ロドじぃーちゃんはそう簡単げに言うが、パーティー名なんて...ねぇー?

そう思い周りを見つめると、これまたなんでもいいですよ?って的な目で皆が私を見るのだ。

困ったぁ~。

「あっ!そうだ!他のパーティーもあるんですよね?どんな名前のパーティーぎあるか教えてもらえますか?
参考にしたいので!」

私がそう言うとコイムさんが幾つかのパーティー名を教えてくれた。

「そうですね、今登録してあるパーティー名ですと...Aランクパーティーだと、《黒炎の騎士》《白光の聖魔師》とかですかね。あとは...。」

幾つかのパーティー名を教えてくれるが、どれも...なんと言うか...。

個性的な名前ばかりで参考にならなかった。

するとバカ王子の一人がとんでもない事を言い出した。

「《姫とその騎士団》とかはどうだ?」

私は周りの返事を聞く前に、王子のボディーに一発入れてしまった。
バカ王子はその場に倒れ込む。

お兄ちゃんとアサくん達は倒れ込んだ王子に生暖かい視線を送り、周囲の人が焦りを見せていた。

ドラしゃんは"よくやりました!"と褒めてくれた。

「そんなダサい名前で登録できるわけがないでしょ?!やめてよ!」

私が鼻息荒くそう叫ぶとコイムさんは苦笑いしていた。

周りにいた他の冒険者達も私達の話を聞いていたのであろう。
苦笑いしていた。

『なら、《希望の星》はどうでしょうか。』

ドライアドが出てきて私にアドバイスをくれた。

「それはいいですね。今のあなた達は、冒険者の"希望の星"ですからね。
どんな事をしてくれるのか、どんな成長をするのか私を含め他の職員や冒険者も気になってますからね。」

コイムさんはそう笑顔で話をしてくれた。
しかしそれは私達にとっては初耳の事だったので普通に驚いた。

「なら、それがいいですね。少し恥ずかしいですが、さっきのよりはいいよね?リン?」

お兄ちゃんは王子に肩を貸しながら私に確認してきた。

確かにバカ王子が考えたのよりは遥かに良かった。

「コイムさん!《希望の星》でお願いします!私達頑張りますね!」

私が元気よく言うと、コイムさんは笑顔で頷いて手続きを進めてくれた。

こうして私達はパーティーメンバーとなって、パーティー名は《希望の星》となったのだった。

「これで登録は完了しました。今日からパーティーとして活動できますし、ソロでも活動出来ます。
 しかし、ソロで活動する際は必ずリーダーに許可を貰ってから行ってくださいね。
パーティー内のトラブル防止のためですから、よろしくお願いしますね。」

コイムさんからの注意事項を皆で聞いて確認した。

「わかりました。」

「では、今日はどうしますか?」

そう。
依頼をどうするかだ。

皆で話し合った結果、一度パーティーで依頼をこなしてみようかという事になった。

「このメンバーで依頼をうけたいのですが、ありますか?」

私がコイムさんに聞くと、コイムさんはロドじぃーちゃんに確認をする。
すると...ロドじぃーちゃんが何枚か紙を持ってくる。

「パーティーで受けられる依頼はいくつかあるぞ。今の所は三種類だな。」

そう言ってロドじぃーちゃんが持って来た依頼書の内容はと言うと...。

依頼内容 回復薬の素材集め 
依頼主 ルミばぁーちゃん

依頼内容 作物荒らしの犯人探しと退治
依頼主 カブさん

依頼内容 街の清掃活動
依頼主 ロドじぃーちゃん

どれも身内からの依頼だったが、内容をよく見ると、どれも人手がいる内容だった。

回復薬の素材集めは量がかなり必要だし、作物荒らしの犯人探しと退治もあの広範囲の畑が対象の様だし、街の清掃活動も広範囲の内容だ。

「どうする?全部受ける?」

「えっ?!全部?」

「大丈夫か?」

「リーダーがいいのなら私は大丈夫ですよ。」

「私もです。」

「俺もだ。」

「僕もです!」

皆からの賛同を得られたので、答えは一択だった。

「という事で、全部受けます!」

私がそう元気に答えるとコイムさんは笑顔で対応してくれた。

「わかりました。期限も特にないので大丈夫でしょう。では、頑張って下さい。」

こうして、初めてのパーティーとしての依頼をこなす事となった。

 パーティー組んで最初の依頼としては、カブさんの依頼を先にする事にした。

あの広い畑での出来事なら早めに解決した方がいいと思ったからだ。

道中メンバーと改めて自己紹介をしながら移動する事にした。

「ねえねぇ。皆さ?初めてさんの人もいるからまずは、自己紹介しましょう!
まず、私から。
私はリン。【大聖霊】、【聖獣】、【大聖】と契約してます!
得意な事は一応魔法になるのかなぁ?
一通りの護身術系はロドじぃーちゃんやルミばぁーちゃんから教わってます。
あっ!料理も得意です。
苦手なものは...(バカ王子二人)です。好きなものは動物にもふもふしたもの、可愛いもの全般好きです!次はお兄ちゃんね!」

私が一通り自分のことを伝えるとお兄ちゃんに話を振る。
お兄ちゃんは一瞬驚いた表情をしたが、直ぐに対応してくれた。

「えっ!僕?いいけど。アキラです。リンの兄です。僕も【大聖霊】、【聖獣】、【大聖】と契約してます!
一応、ムキじぃーちゃんから剣術、体術、槍、弓など一通りは教わってます。でも、得意なのは剣術です。
接近戦の方が得意です。
攻撃魔法も使えます。回復魔法は苦手です。リンの方が得意かなぁ?
苦手な物は、植物かな?見分け方を教わったけどわからないんですよね。
いつもリンに助けられてます。
好きなものは、果物や木のみです。」

私とお兄ちゃんがそれぞれ自己紹介をし終えると、今度はアサくんが自ら進んで自己紹介をしてくれた。

「俺はアサだ。この兄妹にガキの頃に助けられてからの縁だ。妹が二人いる。二人ともあの冒険者ギルドで職員として働いている。俺のランクはFランクだ。
 得意なのは双剣と弓だ。体術も多少はできる。
苦手なのは甘いものだな。好きなものは、前にリンが作ってくれた黒いケーキが好きだな。魔法は土魔法しか使えない。
 一度行った場所の地形はほぼ覚えている。そんなものか? 」

アサくんの自己紹介に異議を申し立てるバカ二人。

「リンから手料理を振る舞って貰っただと!!」

「ずるいです!!」

王子二人がフガフガ言ってアサくんに難癖を付けようとした時だった。

「王子。見苦しいですよ。やめなさい!そんなんですか、いつになってもリン様から好かれないんですよ。」

なんと王子二人の教育係兼王様の教育係兼側近のセバしゃんが!!

「「セバしゃん!!」」

「「げっ!セバス!」」

「「伯父さん!!」」

「あっ。偉い人だ。」

私とお兄ちゃんは久しぶりに会うセバしゃんに飛び付いた。

それをいつの間にかずっとついて来ていたドラしゃんに引き剥がされてしまった。

「貴方も相変わらずですね。」

『何しに来た。』

「可愛い甥っ子とこの二人が心配でね。様子を見に来ただけですよ。」

正当な理由を言われて何も言い返せないドラしゃん。

しかし、私を抱き抱えるのはやめなかったのだ。

「セバしゃん!いつまで居るの?」

私がドラしゃんの腕の中から尋ねると、私に視線を移し笑顔で答えるセバしゃん。

「二日程、こちらに滞在させて頂きます。それ以上になると王が泣きますので。」

なんとなくその情景が想像できた。
それは私だけではなかったようで、アサくん以外のメンバー全員がその情景を想像できたみたいで、なんとも言えない表情を浮かべていた。

「二日なの?残念...。もっと居て欲しいけど...王様が泣いたら可哀想だから我慢するね。」

私がそう残念そうに言うと、セバしゃんとドラしゃんが悶絶していた。

「王なんて放置しておきましょうか?でも...この際...少しは成長しないと...。」

真剣に悩み出すセバしゃん。
そして...

『いくつになっても可愛らしい...。やはり閉じ込めておくべきか...』

そうぶつぶつ呟くドラしゃん。

そんな大人ふたりの反応を見てお兄ちゃん達は呆れ顔と尊敬の眼差しを向けながら

「リンは、相変わらずだね。」

「さすが、我が花嫁になる人だ!」

「リン。お前相変わらずだなぁー。」

「これが伯父さんが言っていたヤツだな。」

「これは勝てませんよね。」

私以外の人達がなぜか納得しているこの変な状況。

「ちょっと!皆どう言うことよ!?」

私が頬を膨らませていると、ドラしゃんとセバしゃんが悶絶しながら崩れていった。

しかし、しっかり私は抱えられていた。

結局セバしゃんは私の懇願(した記憶はないが)に負けて宿泊期間を二日程は伸ばしてくれたみたい。

 私達はセバしゃんという保護者を追加して依頼をこなすために畑へと向かった。

すると、いつもなら綺麗に整地されて苗や種が植えられているはずの畑がものの見事に荒らされていたのを見ることに。

至る所に大きな穴が空いていたり、掘り起こされた跡が無数にあった。

「えっ?!どう言う事?」

「完全に荒らされてるね。」

「これは酷いなぁー。」

「最悪だな。」

「これでは作物が植えれませんね。」

「これは、魔物の仕業ですね。」

「しかも群れで行動してそうですね。」

荒らされた畑を見ながらそう話していると、畑の管理主であるカブさん夫婦がやって来た。

「やっぱりリンちゃん達が来てくれたんだね。助かるよ。」

「植えても植えてもこの有様で大変なのよ。」

「これでは次の作物が作れなんでなぁー。依頼を出したんだ。
以前まではここまで酷くなかったんだが、最近一段と酷くなってきたんだ。」

「犯人の姿もわからないしね。本当に困ってるのよ。」

そう言って悔しそうに話すカブさん夫婦。

話を詳しく聞くと、以前より畑荒らしはあったようだ。

以前までは作物のいくつか盗られたり、一部の土が掘り起こされたりしていたレベルだったので、なんとか対応していたという。

それも時々だったのでそこまで気にしてなかったが...。

その畑荒らしの規模が段々と広がってきて、しまいには実る前にも荒らされる始末だというのだ。

このままでは全く作物を育てることが出来なくなる。
この街の畑は大事な街の資産だ。
ほっとくわけにはいかない。

私達は俄然やる気が出てきた。

この畑には私もお兄ちゃん、そしてアサくんも思いれがあるのだ。

だからこのまま荒らされ放題なのは許せなかった。

「お兄ちゃん。絶対犯人見つけようと!!」

「もちろんだ!」

「この畑は俺たちで護るぞ!」

こうして、私達はまず犯人探しをすることにした。

 私達は荒れた畑を見ながら話し合った。

まず、どんな魔物なのか?
そもそも魔物が荒らしたのか?

「カブさん、畑に入ってもいいですか?」

私は管理主であるカブさんに一応確認した。

カブさんは犯人さえ見つけてくれた良いので、好きにしてくれて良いと返事をくれた。

私達は柵を越えて畑の中に入っていく。
もちろん私はドラしゃんにお願いして降ろしてもらった。

畑には一応低級の魔物よけの結界を張っている。

結界はちゃんと反応しているようだ。

という事は、中級の魔物もしくはそれ以上。
あとは、魔物以外の者が侵入して荒らしている事だ。

私達について来たドラしゃんとセバしゃんはあくまでも傍観者としているようだ。

私達と一緒に畑にははいってこなかった。

「どう思う?」

「低級魔物よけの結界は機能しているから、それ以上の魔物の可能性があるね。」

「でも、それならあのドラゴンが黙ってないだろ?」

「どういう事だ?」

「そっか!そもそもドラしゃんの結界が張ってあるから、魔物は侵入できないんだった!」

「えっ?!マジで?!」

「うん。私達が移動しそうな場所は粗方ドラしゃんが結界を張ってあるのよ。」

「「「「すっげー過保護!!!」」」」

私の言葉にお兄ちゃん以外が同じ反応を示す。
そう思われても仕方がないよね...。

土地を広げるたびにドラしゃんは結界の張り直しをしている。
もちろんそれには私やお兄ちゃんも協力している。

結界張りは魔法の練習にもなるしね。

なりより、ドラしゃんだけが結界を張るより三人で張った方がより強力で頑丈な結果になる事がわかったからだ。

しかもその結界には仕掛けがあったようで、魔物はもちろんのこと私やお兄ちゃんに危害を加える者は入れない仕掛けが密かにされていた。

その事は私もお兄ちゃんも知らなかった。
でも、保護者の皆は知っていたのだ。

だからか、私やお兄ちゃんが街中でいる限り行動に制限が掛からなかったという。

「でもよ、土の中の移動だったら結界はかんけいないんじゃないか?」

「えっ?」

「地中を移動する魔物はいるわけだからよ、さすがに地中までは結界は張ってないだろう?」

バカ王子の一人がそう言って来た。

確かにそれはあり得るかも...。

私とお兄ちゃんは不安になりドラしゃんの元へ駆け寄った。

そして、

「ドラしゃん!地中を移動する魔物ってこの街に入れるの?」

私の言葉にドラしゃんは平然とした態度で答えてくれた。

『変な事をお聞きになりますね。私達が張った結界は万能ですよ?魔物全般入れませんよ。
例え地中を移動していても入れません。この街に入れる魔物は、獣魔術師と契約をしている魔物のみですよ。
それ以外が入るとなれば、隠蔽魔法をかけて誰かが持ち込むしかないですね。
そんなバカが存在すればの話ですがね。』

ドラしゃんの返事に私とお兄ちゃんはホッとした。

しかしパーティーメンバーは私やお兄ちゃんとは違ってギョッとした顔をしていた。

「結界の域をこえてるぞ!」

「結界ってそんなに万能なんですか?兄上?」

「そんな万能な結界は存在しないぞ!」

「凄いですね...。」

「仲間で良かったです。」

それぞれ感想を述べる。

ドラしゃんの言葉を聞いて私達の中で魔物の仕業は消えた。

残るは...。

「魔物でなければ簡単だな。」

「そうだね。」

「とりあえず罠を仕掛けないとね。」

「ここ全てにか?」

「当たり前だよ?何言ってんだい?」

「兄上...。」

「カブさん。私達今からここに種と苗を植えてもいいですか?」

「あと、罠も!」

「あー。構わんよ。お前さん達に任せるよ。」

カブさんから許可も下りたのであとは...。

私とお兄ちゃんはドラしゃんを見た。

「と言う事で、今日はここにメンバーと見張りをします!」

「いいよね?」

私とお兄ちゃんがドラしゃんに確認すると笑顔で許可をくれた。

『構いませんよ。頑張って下さい。』

まさかこんなにすんなり許可を貰えるとは思わなかったので、私とお兄ちゃんは素で驚いてしまった。

それは私達だけでなかった。

その場に居る皆が驚いていたからだ。

『なんですか?失礼ですね。
では、お嬢様。アキラ様。私とセバスは屋敷に戻りますね。お仕事頑張って下さいね。』

ドラしゃんはそう私とお兄ちゃんに言うとカブさん夫婦に挨拶をして、セバしゃんを連れて屋敷へと戻っていったのだった。

私達は暫くキョトンとしながらドラしゃんの後ろ姿を見送っていた。

ドラしゃんの姿が見えなくなった頃に、アサくん達に声をかけられた。

とりあえず、荒れた畑を魔法を使用して整地していくことからはじめた。

依頼書を見ると特に制約がなかったので【大聖霊】や【聖獣】の力も借りた。

初めて【大聖霊】や【聖獣】を見るメンバーもいるためか、テンションが上がり張り切ってくれたので整地作業はあっという間に終わった。

次に取り掛かった作業は苗と種の植え付け作業だ。

今回選んだものは、この街で人気の高いトウモ(トウモロコシ)とトミト(トマト)だ。

荒らされた畑を整地している時に、アサくんがあることに気付いたからだ。

そのある事とは、荒らされた畑の中でトウモとトミトの畑が一番酷く荒らされていたということだ。

他の野菜の苗や種が植えられている所も荒らされていたが、トウモやトミトが植えてある所よりはまっしだった。

まっしというより、トウモやトミト畑のカモフラージュの様に荒らされている感がしたと言うのだ。

それを裏付けるかのうように、他の畑は種や苗が剥き出しになっているだけで、ある程度整えたら植え替えができる程度だったのだ。

しかし、トウモやトミトは荒らされているというより、破壊されていると言う方がしっくりくるぐらい酷かったのだ。

それこそノームが怒り狂うぐらいに...。

『何考えてるの!!酷いよ!!絶対犯人見つけて血祭りに上げてやるぅーーー!!』

あんなノームを見たのは初めてだったよ。

私達は苗を植えると同時に罠も張った。
罠は簡単な仕様にしてみた。
土魔法と風魔法を主体とした罠だ。

私達以外の者が畑の作物もしくは畝に触った時点で発動する仕組みにしてあるのだ。

私達はそれぞれの作業を終えると畑から出て近場で待機する事にした。

と言っても広いのでどうしようかと悩んでいると...?!!

『これはこれは皆さん。作業が終わりましたか?では、こちらでいっぷくでもしませんか?』

さっきまで気配すら感じなかった...というか、えっ?!その建物いつの間に?!

帰ったはずのドラしゃんとセバしゃんが見知らぬ建物の前で立っていたのだった。

『ふふふ。こちらは仮設の建物です。
雨風が凌げますよ。暖かいお食事も用意してありますからどうぞ。』

そう言ってドラしゃんは美味しそうな匂いのする鍋を見せて来た。

私達のお腹は素直だった。
匂いにつられて音を鳴らし、涎が...。

私達は本能に従いドラしゃんとセバしゃんが居る建物へと向かった。

私達が建物に近寄ると何かが反応して、私達を覆った。

『大丈夫ですよ。これは私の魔法の一つ。"めくらまし"です。
外からはこの建物も私達も見えてません。もちろん匂いもですよ。
さぁー、建物の中へどうそ。』

そう言って私達を建物へと誘導するドラしゃん。

建物のへ入るとそこには大きなテーブルが一つあり、沢山の美味しそうな料理が並んでいたのだ。

「美味しそう...。」

「あっ、涎が...。」

「やっべぇー、この匂い。」

「兄上。お腹が...。」

「俺もだ。」

「美味しそうです!」

「食べてもいいんですか?」

私達の反応を見て、ドラしゃんとセバしゃんは笑顔で頷いてくれた。

私達は一目散にそれぞれ席へ付き料理を堪能したのだった。








ドラしゃん:
さて、お嬢様とアキラ様のお腹を満たすために買い出しにいきますよ?

セバしゃん:
えっ?素直に帰るのではないのか?

ドラしゃん:
まさか?なにいってるのですか?
これからお嬢様達は作業をするのですよ?すると、お腹を空かせるのは当たり前です!

セバしゃん:
だから素直に引き下がったわけかぁー...。やばいな...お前。



















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