異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-13 まずは森へ染料の素材採取

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 小走りで街の外に出て先に行ったのは、染料の素材集めをするために必要な素材が生息している森へと向かった。

私達の後方から聞こえる複数の悲鳴と怒号を振り切って前だけを向いて進んでいく。

この森は私達の国ができて、人が増えてからできたまだ真新しい森のひとつ。
妖精や聖霊が住む森でもある。

資源が豊かで動物や植物も豊富な森でもあり、若手の冒険者の訓練の場としても活用されている。

草原や荒野ばかりだった土地に少しずつだが資源が増えていく。

それは【大聖霊】や【大聖獣】がこの世に復活したのが大きく影響されているのだとか。

でもそれは喜ばしい事で、復活の影響は私達の国だけでなく、少しずつ他の国ねも影響をもたらされている。

枯れた大地に草木が芽生えたり、ひえ上がった泉の跡や川の跡地に水が戻ってきたりしているとそれぞれの国のギルドや王様達の所に報告が上がっているのだとロドじぃーちゃんが前に教えてくれた。

そのおかげで各国は少しずつだが豊かさを取り戻しているとも。

国が豊かになることによってその地に住む人達の暮らしも少しずつ良くなってきている。

なにより、冒険者達の仕事も増えて、人の行き来も増えている。

増えたことによってトラブルも増えたが、その都度みんなで協力して解決にあたっている。

ルールや法律も新しく決めなおして、国々で統一して対応できるように義務付けしていた。
もちろん破ったら罰が課せられる。

この森にもルールがある。
この森のルールはギルドから依頼された品以外は決してとって森から出ない事。

妖精や聖霊の住処を荒らさない。

この二つが今の所のルールなのだ。

ルールさえ守れば問題のない、なんの変哲もない綺麗な森。
しかし...ルールを破ると...。


「綺麗ね、この森。キラキラしている!」

私が目を輝かせてはしゃいでいると、私以外の人達はまだ森にも入っていないのになぜか疲労困憊していた。

「あれ?どうしたの皆?」

私はヘロヘロになっている皆に声をかける。
すると...

「ああ...帰った時のことを考えたら...ねぇー?」

「怖くないか?」

「ヤバイですよ!父上生きてますかね?」

「生きていると信じましょう!」

「陛下はともかく伯父上大丈夫でしょうか?」

「戻りたくないですね。」

そう口々に言いながら、顔が青ざめていくのだ。

私はなんだぁーとほっとする。

私の様子を見て皆はワーワー言い出したが、私は皆に笑顔で告げる。

「クヨクヨ悩んでも無駄よ!ほら!見てご覧よ。あの二人ちゃんと来てるわよ。」

そう言って私は皆の背後を指さすと、お兄ちゃん達はまだ文句を言いながらも背後を見る。

そうなんです。
あのメンバーでドラしゃんとセバしゃんを抑えれるはずがないのよねぇ~。

ムキじぃーちゃん達は私達が無事に目的地に着けるようにの時間稼ぎをしてくれただけなのだ。

私は後ろから追ってくる二人に手を振る。

「やっと追いつきましたね。帰ってから王はお仕置きですね。」

『あ奴らろくなことを考えてないのですからね。仕方がないですよ。
あっ、お嬢様?!ご無事ですか?』

「大丈夫だよ。二人とも皆には優しくね。あと、見守りだけよ?わかった?」

追いついてきた二人に私は注意を促す。

二人は一瞬躊躇したが渋々私の言い分を飲んでくれたようだ。

「ほら、皆行くよ!」

私はまだ固まっているメンバーに声をかけて森へと入って行くよう促す。
アサくん達はともかくお兄ちゃんはいい加減このふたりに慣れていいのにと心の中で私は呟きながら動かぬメンバーの背中を押していく。

結局パーティーメンバーと保護者を二名引き連れて今回の依頼を行う事になった。
最初から分かりきってきたことなので、私は前向きだ。

森へ入って行くと人が歩ける様に道がちゃんと整備されていたのには驚いた。

整備と言うか、人が歩いて踏み固められて道となっている感じの道なんだけどね。

見るものが全て新鮮で私はキョロキョロ周りを見渡しながら歩いていく。

私だけではなかった。
アサくん以外のパーティーメンバーはこの森に初めて来るため私の様にキョロキョロ周りを見て歩いている。

すると後方より保護者の声が。

『お嬢様!ちゃんと前を見て下さい!
あっ!足元危ないです!』

そうドラしゃんが話した瞬間、私は木の根に気づかずに躓いてこけそうになったのだった。

私は視界が歪んだ為、"あっ転ぶなぁ~。痛いだろうなぁー。"と呑気に考え目をつぶって衝撃に備えていると、いつになっても衝撃がこず、それどころか体が宙に浮いていた。

不思議に思い目を開けると目の前に心配そうな顔をしたドラしゃんと目があった。

どうやらドラしゃんが私が地面に倒れる前に私を受け止めてくれたのだった。

『良かったです。だからまだ早いと申し上げたんです。さぁー、もう街に戻りましょう。このままだと大怪我します。』

そう言って私を抱えて来た道を戻ろうとするドラしゃん。

私は我に帰りドラしゃんを説得しにかかる。

「ドラしゃん待って!まだ、森の入口よ?ダメよ!私はちゃんと依頼をこなしたいの。
油断した私が悪いわ。今度は気をつけて歩くから降ろして!お願いドラしゃん!」

私が訴えてもドラしゃんは歩みを止めようとしなかった。

するとなんとドラしゃんの前にセバしゃんが立ちはだかる。

「フレア。お前は約束を破るのか?俺たちは見守るだけだ。手出しはしない話だ。痛い思いをしながらも成長するのが子供の仕事ではないですか。
それをお前が自分の感情で取り上げる資格はない。
リン様を降ろして、依頼の達成を見届けろ。」

セバしゃんの言葉に歩みを止めるドラしゃん。

お兄ちゃん達は何が起きたのか理解できずにその場で呆然していた。

ここは自分が頑張らねばと思い、私はすかさずドラしゃんに再度お願いを続けた。

「お願い。ドラしゃん。冒険をさせて。」

「フレア!」

ドラしゃんはぎゅっと目を瞑り一呼吸置いてゆっくりとため息を吐いた。

そして。

『私は、目の前でお嬢様が傷つくのを見ているだけなのは嫌です。
しかし、私の行為でお嬢様の成長を妨げるのも嫌です。』

「フレア。」

「ドラしゃんって我儘ね。」

私の言葉にドラしゃんは苦笑いを浮かべていた。

『そうですね。自分がこんな風になるとは思ってもいませんでした。
それだけお嬢様は私にとってかけがいのない存在なのです。
お嬢様を失ったら、今度こそ私はこの世界を滅ぼしにかかります。』

「えっ!?マジ!」

『父上だから絶対にしますよ。』

私とドラしゃんが話しているとドラしゃんの娘が割って入って来た。

『父上。あんまりしつこくしてますとリンに嫌われますよ?
実の娘ですらえっ?!と思ってるのに...
リンの口から"ドラしゃんなんで大っ嫌い!!"なんて言われたらどうするの?』

娘の言葉に完全に固まるドラしゃん。
そして...ソローっと私を見つめるドラしゃん。

「うん。言っちゃうかも。」

と、意地悪げに言うとドラしゃんは急いで私を降ろしてくれた。

『お嬢様。頑張って下さいね。』

そう言ってセバしゃんの横へと移動するドラしゃん。

こうしてなんとか依頼を続行できるようになった。

私とドラしゃんの娘はそんなドラしゃんの姿をみて笑ってしまい、お兄ちゃん達は驚いたままだった。


 初めての冒険と初めての場所って事で、私達は油断しすぎていた。
ドラしゃんが心配しても仕方がない。

ドラしゃんが気持ちを切り替えない内に、私達は気持ちを引き締め直して素材集めを再開した。

今回の依頼には【大聖霊】達の力は借りることはできない。
しかし【聖獣】達の力は借りることができる。

お兄ちゃん達と相談して空からも素材を探してもらうことにした。

私はフウちゃんとスカイを呼んで空から探してもらう事に。

「私達は地道に探そう。てか、誰かこれらの素材見たことある?」

そもそも感じていた疑問をパーティーメンバーに投げかけると、何故か皆私から視線を逸らす。

「えっ?」

そう。
誰も今回の素材を見たことないのだった。
なんと誰も染料の素材がどんなものが知らないというのだ。

どうやら皆私か、お兄ちゃんが知っていると思っていたらしい。
(そんなわけあるかい!?)

と思わず心の中で突っ込みを入れてしまうぐらいの状況下。

私にいたっては他の誰かが知っている程で依頼をうけたのだから...。
(それもどうなんって言う話よね)

でも皆知らないとなると...話は変わってくる。
このままでは依頼が失敗してしまう。

そこでだ。
【聖獣】達から【大聖霊】に素材の情報を聞いてもらって、それを私経由で皆に情報を回して、採取して行くという手段をとることにした。

この依頼は【大聖霊】達の協力は不可となっている。
そのため直接【大聖霊】を召喚して助けを求める事はできない。

しかしそれはあくまでも表立っての協力だ。

【大聖霊】達の加護を受けている【聖獣】達経由で情報を得るのは駄目とはなっていないのでそこを今回利用することにした。

それに気付いたのは...なんとお兄ちゃんだ。

お兄ちゃんの提案で、私とお兄ちゃんが契約している【聖獣】達を放ちお願いして素材を探して貰うことに。

上空と地上の二手に分かれての素材探しは、想定より早く進んでいく。

【聖獣】達が【大聖霊】にお願いして素材についての情報を聞いて、私達を導いて私達が採取すると、役割をそれぞれ決めて進めていった事もあって豊作だった。

「ヘェ~こんな植物もあるんだ。」

私は見つけた植物を鑑定で情報を取り込んでいく。

私の鑑定の能力は、初回のものを一度見たら情報が勝手に入って保存していく仕組みとなっている。

森に入った瞬間から鑑定モードを発動していたので、だいぶ植物に関しての情報収集ははかどっていた。

皆の依頼の品も大きなトラブルなく回収できていた。

あいだ間で、小型の魔物や精霊や聖霊に遭遇したが、私とお兄ちゃんを見てはすぐさまきえるので戦闘にはならなかった。

思わず罪のないアサくん達に八つ当たりをしてしまうぐらい避けられたのだから...。

なんで?と思いながら森を進んでいると後ろからクックっと笑いを堪える声が聞こえてきた。

そう。
私が...私とお兄ちゃんが小型の魔物や精霊や聖霊に逃げられる原因はドラしゃんの"マーキング"のせいだった。

ドラしゃんは密かに私とお兄ちゃんが子供の頃から"マーキング"をしていたのだった。

ドラしゃんの"マーキング"は自分と同等もしくはそれ以上の存在には効果はないがそれ以外には効果が抜群にある。
ドラしゃんの"マーキング"の効果は、"威嚇"と"断罪"だ。

大概のものは威嚇で怯んで逃げるか失神をするのだが、それでも悪意を持って近くモノに対しては断罪の効果が発動する仕組みなのだとか...。

そんな事は私とお兄ちゃんはドラしゃんから聞かされるまで知らなかった。

せっかく可愛い生き物がたくさんいるのに...もふもふができないのがとても辛かった。

私が落ち込んでいると珍しい華の根元にこちらをじっと見つめる可愛いもふもふがこちらを見つめているのに気づいた。

見つめているからこちらに気があるのはなんとなくわかった。

しかし、少しでも近くと近づいたぶんきちんと離れて行くのがわかっていたので、向こうから近寄ってくれるのを待つ事にした。

素材も依頼分集まったので、少し寄り道してもいいよね?

私はとにかくあのもふもふを触りたくて仕方がなかった。

お兄ちゃん達が集めた素材を素材ごとに仕分けをしている間、私はそのもふもふをどのようにして触ろうかと悩んでいた。

とにかく視線だけは外さずに動きを観察する私。

するとそのもふもふは私が首を傾げたら同じ様に首を傾げるし、瞬きをすれば瞬きをする。
その仕草がとても可愛くて悶絶を我慢するのが辛いぐらいだった。

しばらく睨めっこを続けているとお兄ちゃんから街に戻ると声をかけられた。

結局作業が終わるまでに懐いてもらう事はできなかった。

私は帰る前にもふもふに笑顔を向けて一言発した。

「私達帰るね。また会えたら、その時は触らせてね。」

そう言って背を向けた瞬間だった。

『待ってよ!』

そんな可愛い声が聞こえたかと思ったら、肩に重みともふもふ感がしたのだった。

重みを感じる側の方を見るともふもふの真っ白な毛玉が乗っていた。
よく見ると短い耳と手足もあった。

「ふぁ~ぁ~。」

思わずそんなマヌケな声を出していると、また声がした。

『僕が見ているのに勝手に帰るって酷いね。』

とても可愛い声がもふもふから聞こえてくる。

「わはぁ~。もふもふぅ~。」

思わず私が奇声をあげるとお兄ちゃん達が近寄ってきた。

「リン!どうした?」

「魔物でも出たのか?」

「どうした!」

「大丈夫ですか?!」

「なんだ!」

「何かありました?!」

「リン様!どうしました?!」

『お嬢様?!』

一気に囲まれて慌てる私と驚いて私の肩で固まるもふもふ。

「い、いやぁ~...」

どう説明しようか悩んでいると皆は周りを見回していた。

「うん?何もいないね。」

(えっ?)

「どうせまた、もふもふした生き物見つけて発狂したんだろう。」

(アサくん鋭い?!)

「相変わらず変態だなぁー。」

(失礼ね?!クソ王子!)

「兄上、そうじゃなくて変わり者って言うです!」

(お前も相変わらず失礼な奴ね!)

「魔物ではなかったんですね。良かったです。」

(優しいねぇ~。)

「レディーなんですから、発狂するのは抑えた方がよろしいですよ。」

(そこまで発狂した気はないんですが...以後気をつけます。)

「変ですね。何かの気配はするですが...姿はないですね。」

(...?!えっ?どう言う事?)

『確かに。お嬢様の側から気配はするんだが...姿は見えない...。悪意は感じないから問題はないとは思いますが...釈然としませんね。』

(ドラしゃん...オーラが少し怖いですよ...)

どうやら皆には私の肩に乗っているこのもふもふは見えないようだ。

「問題ないんだったらリン街に戻るよ。」

「依頼の品を渡して次の依頼をこなそう。」

お兄ちゃんとアサくんに言われたので私は頷いた。

しかしこの肩にいる子はどうしたものかと思っていたが、どつやら驚いて固まったまま私の肩に乗ったまま動こうとしないので、そのまま動く事にした。

私が動いてもその子は全く身動きをしない。
それどころか、私の肩の服をしっかり掴んで離さないでいた。

私がチラチラと肩を気にしながら歩いているとそれを後ろから見ていたセバしゃんとドラしゃんが気付いていたようだ。

何やら後ろでボソボソと話しているよう。
私は気づいていないフリをしてお兄ちゃん達の後をついて行く。

行きしは私が先頭になって歩いていたが、魔物が多少なり出てくるので帰りしは、お兄ちゃんとアサくんを先頭にして私を真ん中にして両サイドを王子達、後ろをレビレッド・セゲルとライルネ・セリディルが固める形で歩いている。

その後ろをセバしゃんとドラしゃんが付いて歩く形だった。

これはお兄ちゃんとアサくんの考えだった。
とりあえず私に害がないようにだ。

そうでもしないとこの後ろの保護者が怖いのもあるとアサくんが言ったからだ。

しかし誰もこのもふもふが見えないのが不思議で仕方がなかった。

なんとか皆で無事に森から出る事ができた。

森から出ても私の肩にいるもふもふは消える様子はなく、しっかり私の服を掴んだままだった。











リン:
大変だ。このもふもふどうしよう...。

アキラ:
どうした?リン??

リン:
えっ?!お兄ちゃんわからない?

アキラ:
えっ?なにが?
体重が増えたの?

リン:
しばくよ。

アキラ:
うそうそ。リン、いったい何があったんだ??










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