173 / 219
第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜
5-20 匂い対策とお買い物
しおりを挟む
世界中に充満しているらしい私の匂い。でもそれは私達人間や獣人にはわからない匂いなのだ。
その匂いのせいで魔物が活性化したり、本来いない場所に高ランクの魔物を出現させるなどの問題を起こしていることが今回判明した。
どうしたらいいのか悩んでいると。
《解決策あるわよ?》
《ああ。それも凄く簡単な》
そんな事をいう二匹の契約魔獣の言葉に一類の望みができたのは言うまでもない。
「えっ?そうなの?どんな方法??」
思わず私は二匹に身を乗り出して聞いてみると...なんともとんでもないな答えが返ってきた。
《私達の様にあなたと契約できる全ての魔物と契約するのよ。》
《そうすれば匂いは自然と消える。》
「はい??」
あまりの言葉にその場にいる皆が唖然とした。
どう言う意味か分からず詳しく教えてと頼む私。
すると二匹は悩みながらも答えてくれたのだが...その答えもユニークだった。
どうやら私のこの匂いは私の欲求不満によって放たれる匂いなのだとか。
そのためその欲求不満さえ満たされたら問題は全て解決すると言うのだ。
いやいや。そんな...。
《主はもふもふして可愛い生き物が好きなのでしょう?それさえ集まればその匂いも薄れてなくなるわ。》
《欲求がみたされるまで、ずっと匂いは充満しづけるからなぁー。》
二匹の言葉に私は赤面するしかなかった。
大人達は皆呆れ顔。
まさかそんな理由で...。
「おいおいリン...。」
ロドじぃーちゃんが何か言いたげな顔で私の方を見つめる。
それはロドじぃーちゃんだけでなく他の人達も同じ感じだった。
「わ、私は知らない!」
そう。意識してしているわけでない。
それも二匹に言われるまで匂いの存在にも気付かなかったんだから...。
《主人を攻めても無理だよ。あの匂いは無意識下で分泌されているから。》
《そうそう。意識してそんな事していたら主は天才だよ。》
彼らはそう言って私に擦り寄ってきた。
仕草がとても可愛いく、思わず癒される。
私が二匹に癒されている間大人達で話し合いをしていた。
「まさかそんな理由でこんな事が起きるのか?」
「現に起きているのでそうなんでしょう。」
「しかし、あまりにもありえないことばかりですよ?」
「まぁ~リンだからだな。」
「そうだな。リンだからな。」
「リンなら仕方がないだろう。」
「そうだね。リンだからね。」
「リンだからなぁー。」
「リンちゃんですから。」
皆は口々に私の名前を言う。
まるで私だから仕方がないみたいな言い方をしているけど...事実だから文句は言えなかった。
でも恥ずかしかった。
もふもふの欲求不満って...。
穴があったら入りたかった。
それぐらい恥ずかしかったのだ。
「しかし全ての魔獣が仲間になるのか?」
「いやそれはないだろう??」
「でもリンですよ??」
「そうだなぁー。」
するとまた皆の視線を感じた。
するとロドじぃーちゃんが私に質問してきた。
「リン。お前どれだけ魔獣と契約するつもりだ?」
ロドじぃーちゃんの質問に対する回答を他の人達も黙って待っているのだった。
「えっ?分からないよぉー。」
私は少し不貞腐れながら答える。
すると二匹の契約魔獣がロドじぃーちゃん達に私の代わりに色々答えてくれた。
《匂いを感じても全ての魔獣が主人と契約できるわけではないわ。》
《そうだね。あの匂いを不快と感じるものもいる。不快に感じたら主人に攻撃をするだろう。》
《契約ができるのは、主人の匂いを気持ちよく感じるものだけよ。
そして、主人を見るとなんとも言えないものを感じ取るのよ。》
《そうそう。なんとも言えないものを感じるんだよね。》
《気付いたら離れがたくなるんだよ。》
《だからどれだけの魔獣が主人と契約できるかはわからないわ。
一層のこと一箇所に魔獣を誘き寄せてみるのもありよね。》
《それはいいね。》
と楽しそうに話す二匹。
しかしその内容は決して面白い話ではなかった。
でもこれからの対応策のヒントにはなったみたいで、二匹の魔獣の話を聞き終えるとまた大人達はまた話し合いを再開した。
私とお兄ちゃんはとりあえず静かに成り行きを見守ることにした。
どれくらいの時間が過ぎただろうか。
私とお兄ちゃんはいつの間にか眠ってしまい、会議室にある仮眠用のベッドに寝かされていた。
目が覚めるとそこにはドラしゃんとロドじぃーちゃんとルミばぁーちゃんとムキじぃーちゃんしかいなかった。
どうやら皆は話し合いを終えてそれぞれ準備に取りかかりにいったらしい。
いったい何の準備??と思っていると全部教えてくれた。
二匹の契約魔獣の話を参考にしたようで、この世界にまだ未開発地があるので、そこへ私とお兄ちゃん、ドラしゃんとムキじぃーちゃんとで向かって私の匂いを使って魔獣達をそこに全て誘き寄せると言うものだった。
どうやって誘き寄せるかは...現地で考えるとなんともアバウトな返事が返ってきたが、他の人達に危害を加えない方法を取るならこれしかないと言う事になったのだった。
それでも匂いは残っているのだから街にも魔物が来るのでは?と疑問を投げかけるとロドじぃーちゃんが平然と答える。
「人が暮らす地域に風魔法が使える奴らを数名ずつ派遣する。もちろん冒険者もだ。
魔物が近寄ってきたら風魔法を使って街から匂いを追い出すんだ。
お前さん達が向かう無人島に向けてな。それで、魔物が無人島に向かってくれたら万々歳だ。
もし行かなかった場合は、冒険者達で魔物を退治するしかないな。」
その言葉に私とお兄ちゃんは唖然とするしかなかった。
会議室で私とお兄ちゃんが寝ている間になんと勝手に決まった今回の作戦。
周りに迷惑をかけない上、最大限の安全確保も行える程での内容となっていた。
本来なら私一人で無人島に置き去りにされても致し方がないはずなのに...。
そう思いつい口にすると。ロドじぃーちゃんが私の肩をポンと叩いて。
「逆にその方が色々とやらかしそうで不安だ。」
「そうそう。あんた一人にすると魔獣全てを仲間にして帰ってきそうだからね。」
「そうなったら街には入れんぞ?」
と、口々に言われたのだった。
「ちょ、さすがに...。」
『しないとはいいきれないでしょう?』
ドラしゃんにまでそう言われて私は何も言えなくなった。
『とりあえず明日に備えて帰りましょうか。お腹もすいたでしょう?』
そうだ。
私もお兄ちゃんも寝ていたから何も食べてないのだ。
自覚したら二人揃ってお腹の虫がアピールしだした。
ドラしゃんに促されて私達は会議室をでて家路についた。
家に帰るとご飯の用意はされていたが両親の姿はなかった。
代わりにメモが残されていて、《まだまだ仕事が残っているから工房に泊まるわ。しっかり食べて休みなさい。》
と書かれていた。
私とお兄ちゃんとドラしゃんとムキじぃーちゃんはそれぞれの席についてご飯を食べる。
ご飯を食べた後は私とお兄ちゃんで洗い物と片付けをして、その間ムキじぃーちゃんとドラしゃんでお風呂の準備をしてくれた。
しっかり食べて、ゆっくり風呂に入りその後は朝までゆっくり眠った。
夜、ある夢を見た。
とても不思議な夢だ。
私は岩の上に座っている。
すると四方よりそれぞれ二体ずつもこもこだったり、ふわふわだったり、もふもふだったり。
とにかく可愛い生き物達が現れるのだ。
敵意もなく可愛い尻尾をふりふりしている。
私が笑うと駆け寄ってくる。
どの子も可愛いのだ。
わたしが撫でてやると凄く喜んでいる。
まるで昔家族で行った動物の触れ合い広場の状態となっていた。
それでふと思ってしまった。
そうだ。
あっちの世界でいたときはこうやって常に動物に囲まれた生活が当たり前だったと。
だからだ。
だから欲求不満なんてなったんだ。
そう感じたら胸の奥で少しつっかえていたものがすっーとのいた感じがしたのだ。
その後はとても幸せな夢を見続けた。
翌朝。お兄ちゃんに起こされて私は目を覚ました。
起きた時にはスッとした感じがした。
今ならなんでもできる感じだ。
着替えて降りていくとドラしゃんとムキじぃーちゃんで朝ご飯の準備をしてくれていた。
私の姿を見ると朝の挨拶と共にロドじぃーちゃん達からの伝言を伝えてくれた。
『おはようございます。お嬢様。ロドムカから伝言で、明日には各街や村などにそれぞれ風魔法が使える者と腕に覚えのある冒険者達を配置が完了するそうだ。』
「おはようさん。リン。それで、今日の昼には無人島に向かって出発する様にとの事だ。飯食ったら準備をするぞ。」
「おはよう。ドラしゃん。ムキじぃーちゃん。わかったわ!お兄ちゃんは?」
「アキラなら今中庭に行って野菜を取りに行ってくれてるぞ。アキラにもちゃんと伝えてあるぞ。」
「ならいいわ。」
私は席について待つことにした。
すると野菜を入れた籠を持ってお兄ちゃんが帰ってきた。
「リンおはよう!野菜たくさんとってきたよ。」
お兄ちゃんがとってきた野菜はどれも熟したものばかりでみずみずしいものばかりだった。
『これは、ありがとうございます。さっそくサラダに使いましょう。』
ドラしゃんはそう言ってお兄ちゃんから野菜を受け取りサラダを作り出した。
お兄ちゃんはドラしゃんに野菜を預けると、シャワーを浴びに行き、お兄ちゃんが戻ってくる頃には全ての料理が出来上がっていた。
皆そろったのでさっそく朝ごはんを食べる事にした。
「お兄ちゃん。これ食べ終わったら準備をするんだって。」
「そうなんだ。わかった。必要なものって何があるのかなぁ?」
「どのくらい時間がかかるかわからんから...そうだな。最低一週間は無人島で生活すると思って準備をしとくのがいいかな。」
「えっ?!そんなに!」
「そりゃそうだろう。どんだけの魔獣が来るかわからんしのう。」
『食料に関しては現地で見繕ってもいいでしょうが、それでもある程度の備蓄はあった方がいいと思われますよ。』
「そうだよね...。」
『あと、回復系の薬品なんかも多めに用意しておく方がいいでしょうね。
下手したら戦闘になるかもしれませんから。』
「相手は魔獣だ。手加減なんてしてくれないからなぁー。」
ドラしゃんとムキじぃーちゃんの話を聞いて、段々と気が重たくなるのは気のせい??
横にいるお兄ちゃんをチラッとみると、どうやらお兄ちゃんもげんなりした表情をしていた。
どうやら私だけでないようなので安心した。
重たい気持ちのままなんとか朝食を食べ終えて、私とお兄ちゃんは街へ買い出しに行った。
必要なものをドラしゃんがメモってくれたので、それを元に買い物をする事にした。
もちろん店に行ってメモにないもので必要だと思ったら購入していいと言われて、多めにお金も預かってきている。
多めって...袋を覗くとかなりの金額が...。
「お兄ちゃん。これって店ごと買えそうじゃない?」
「どれ??あっ!本当だ。えー。」
私とお兄ちゃんはどうしようとお互いの顔を見て見合わせた。
「と、とりあえずメモのものは買わないとね。」
「そ、そうだよ。」
いったん見たことは忘れて、メモに書かれたものを先に購入する事にした。
「まずはどうする?」
「えっと、干し肉から買いに行く?」
「了解。干し肉は...えっ?!六十キロって...どんだけ...。」
私はメモに書かれている数字を見て愕然とした。
干し肉だけで六十キロぶん購入って...。
私の驚きかげんを見てお兄ちゃんも私の手に握られているメモを見た。
そこには干し肉だけでなく、他の食料品も最低で五十キロで最高で百キロを超えているのだ。
「いっ、いったい誰がこの量食べるのよ。」
私が思わずそう言うとお兄ちゃんがチラッと私を見るのだった。
リン:
ちょっと、この買い物の量多くない?!
アキラ:
えっ?どうだろう...。
(まだ少ない方では?なんて、口が裂けても言えないよ。)
リン:
えっ?どうしたの??
アキラ:
うん?なんでもないよ!
その匂いのせいで魔物が活性化したり、本来いない場所に高ランクの魔物を出現させるなどの問題を起こしていることが今回判明した。
どうしたらいいのか悩んでいると。
《解決策あるわよ?》
《ああ。それも凄く簡単な》
そんな事をいう二匹の契約魔獣の言葉に一類の望みができたのは言うまでもない。
「えっ?そうなの?どんな方法??」
思わず私は二匹に身を乗り出して聞いてみると...なんともとんでもないな答えが返ってきた。
《私達の様にあなたと契約できる全ての魔物と契約するのよ。》
《そうすれば匂いは自然と消える。》
「はい??」
あまりの言葉にその場にいる皆が唖然とした。
どう言う意味か分からず詳しく教えてと頼む私。
すると二匹は悩みながらも答えてくれたのだが...その答えもユニークだった。
どうやら私のこの匂いは私の欲求不満によって放たれる匂いなのだとか。
そのためその欲求不満さえ満たされたら問題は全て解決すると言うのだ。
いやいや。そんな...。
《主はもふもふして可愛い生き物が好きなのでしょう?それさえ集まればその匂いも薄れてなくなるわ。》
《欲求がみたされるまで、ずっと匂いは充満しづけるからなぁー。》
二匹の言葉に私は赤面するしかなかった。
大人達は皆呆れ顔。
まさかそんな理由で...。
「おいおいリン...。」
ロドじぃーちゃんが何か言いたげな顔で私の方を見つめる。
それはロドじぃーちゃんだけでなく他の人達も同じ感じだった。
「わ、私は知らない!」
そう。意識してしているわけでない。
それも二匹に言われるまで匂いの存在にも気付かなかったんだから...。
《主人を攻めても無理だよ。あの匂いは無意識下で分泌されているから。》
《そうそう。意識してそんな事していたら主は天才だよ。》
彼らはそう言って私に擦り寄ってきた。
仕草がとても可愛いく、思わず癒される。
私が二匹に癒されている間大人達で話し合いをしていた。
「まさかそんな理由でこんな事が起きるのか?」
「現に起きているのでそうなんでしょう。」
「しかし、あまりにもありえないことばかりですよ?」
「まぁ~リンだからだな。」
「そうだな。リンだからな。」
「リンなら仕方がないだろう。」
「そうだね。リンだからね。」
「リンだからなぁー。」
「リンちゃんですから。」
皆は口々に私の名前を言う。
まるで私だから仕方がないみたいな言い方をしているけど...事実だから文句は言えなかった。
でも恥ずかしかった。
もふもふの欲求不満って...。
穴があったら入りたかった。
それぐらい恥ずかしかったのだ。
「しかし全ての魔獣が仲間になるのか?」
「いやそれはないだろう??」
「でもリンですよ??」
「そうだなぁー。」
するとまた皆の視線を感じた。
するとロドじぃーちゃんが私に質問してきた。
「リン。お前どれだけ魔獣と契約するつもりだ?」
ロドじぃーちゃんの質問に対する回答を他の人達も黙って待っているのだった。
「えっ?分からないよぉー。」
私は少し不貞腐れながら答える。
すると二匹の契約魔獣がロドじぃーちゃん達に私の代わりに色々答えてくれた。
《匂いを感じても全ての魔獣が主人と契約できるわけではないわ。》
《そうだね。あの匂いを不快と感じるものもいる。不快に感じたら主人に攻撃をするだろう。》
《契約ができるのは、主人の匂いを気持ちよく感じるものだけよ。
そして、主人を見るとなんとも言えないものを感じ取るのよ。》
《そうそう。なんとも言えないものを感じるんだよね。》
《気付いたら離れがたくなるんだよ。》
《だからどれだけの魔獣が主人と契約できるかはわからないわ。
一層のこと一箇所に魔獣を誘き寄せてみるのもありよね。》
《それはいいね。》
と楽しそうに話す二匹。
しかしその内容は決して面白い話ではなかった。
でもこれからの対応策のヒントにはなったみたいで、二匹の魔獣の話を聞き終えるとまた大人達はまた話し合いを再開した。
私とお兄ちゃんはとりあえず静かに成り行きを見守ることにした。
どれくらいの時間が過ぎただろうか。
私とお兄ちゃんはいつの間にか眠ってしまい、会議室にある仮眠用のベッドに寝かされていた。
目が覚めるとそこにはドラしゃんとロドじぃーちゃんとルミばぁーちゃんとムキじぃーちゃんしかいなかった。
どうやら皆は話し合いを終えてそれぞれ準備に取りかかりにいったらしい。
いったい何の準備??と思っていると全部教えてくれた。
二匹の契約魔獣の話を参考にしたようで、この世界にまだ未開発地があるので、そこへ私とお兄ちゃん、ドラしゃんとムキじぃーちゃんとで向かって私の匂いを使って魔獣達をそこに全て誘き寄せると言うものだった。
どうやって誘き寄せるかは...現地で考えるとなんともアバウトな返事が返ってきたが、他の人達に危害を加えない方法を取るならこれしかないと言う事になったのだった。
それでも匂いは残っているのだから街にも魔物が来るのでは?と疑問を投げかけるとロドじぃーちゃんが平然と答える。
「人が暮らす地域に風魔法が使える奴らを数名ずつ派遣する。もちろん冒険者もだ。
魔物が近寄ってきたら風魔法を使って街から匂いを追い出すんだ。
お前さん達が向かう無人島に向けてな。それで、魔物が無人島に向かってくれたら万々歳だ。
もし行かなかった場合は、冒険者達で魔物を退治するしかないな。」
その言葉に私とお兄ちゃんは唖然とするしかなかった。
会議室で私とお兄ちゃんが寝ている間になんと勝手に決まった今回の作戦。
周りに迷惑をかけない上、最大限の安全確保も行える程での内容となっていた。
本来なら私一人で無人島に置き去りにされても致し方がないはずなのに...。
そう思いつい口にすると。ロドじぃーちゃんが私の肩をポンと叩いて。
「逆にその方が色々とやらかしそうで不安だ。」
「そうそう。あんた一人にすると魔獣全てを仲間にして帰ってきそうだからね。」
「そうなったら街には入れんぞ?」
と、口々に言われたのだった。
「ちょ、さすがに...。」
『しないとはいいきれないでしょう?』
ドラしゃんにまでそう言われて私は何も言えなくなった。
『とりあえず明日に備えて帰りましょうか。お腹もすいたでしょう?』
そうだ。
私もお兄ちゃんも寝ていたから何も食べてないのだ。
自覚したら二人揃ってお腹の虫がアピールしだした。
ドラしゃんに促されて私達は会議室をでて家路についた。
家に帰るとご飯の用意はされていたが両親の姿はなかった。
代わりにメモが残されていて、《まだまだ仕事が残っているから工房に泊まるわ。しっかり食べて休みなさい。》
と書かれていた。
私とお兄ちゃんとドラしゃんとムキじぃーちゃんはそれぞれの席についてご飯を食べる。
ご飯を食べた後は私とお兄ちゃんで洗い物と片付けをして、その間ムキじぃーちゃんとドラしゃんでお風呂の準備をしてくれた。
しっかり食べて、ゆっくり風呂に入りその後は朝までゆっくり眠った。
夜、ある夢を見た。
とても不思議な夢だ。
私は岩の上に座っている。
すると四方よりそれぞれ二体ずつもこもこだったり、ふわふわだったり、もふもふだったり。
とにかく可愛い生き物達が現れるのだ。
敵意もなく可愛い尻尾をふりふりしている。
私が笑うと駆け寄ってくる。
どの子も可愛いのだ。
わたしが撫でてやると凄く喜んでいる。
まるで昔家族で行った動物の触れ合い広場の状態となっていた。
それでふと思ってしまった。
そうだ。
あっちの世界でいたときはこうやって常に動物に囲まれた生活が当たり前だったと。
だからだ。
だから欲求不満なんてなったんだ。
そう感じたら胸の奥で少しつっかえていたものがすっーとのいた感じがしたのだ。
その後はとても幸せな夢を見続けた。
翌朝。お兄ちゃんに起こされて私は目を覚ました。
起きた時にはスッとした感じがした。
今ならなんでもできる感じだ。
着替えて降りていくとドラしゃんとムキじぃーちゃんで朝ご飯の準備をしてくれていた。
私の姿を見ると朝の挨拶と共にロドじぃーちゃん達からの伝言を伝えてくれた。
『おはようございます。お嬢様。ロドムカから伝言で、明日には各街や村などにそれぞれ風魔法が使える者と腕に覚えのある冒険者達を配置が完了するそうだ。』
「おはようさん。リン。それで、今日の昼には無人島に向かって出発する様にとの事だ。飯食ったら準備をするぞ。」
「おはよう。ドラしゃん。ムキじぃーちゃん。わかったわ!お兄ちゃんは?」
「アキラなら今中庭に行って野菜を取りに行ってくれてるぞ。アキラにもちゃんと伝えてあるぞ。」
「ならいいわ。」
私は席について待つことにした。
すると野菜を入れた籠を持ってお兄ちゃんが帰ってきた。
「リンおはよう!野菜たくさんとってきたよ。」
お兄ちゃんがとってきた野菜はどれも熟したものばかりでみずみずしいものばかりだった。
『これは、ありがとうございます。さっそくサラダに使いましょう。』
ドラしゃんはそう言ってお兄ちゃんから野菜を受け取りサラダを作り出した。
お兄ちゃんはドラしゃんに野菜を預けると、シャワーを浴びに行き、お兄ちゃんが戻ってくる頃には全ての料理が出来上がっていた。
皆そろったのでさっそく朝ごはんを食べる事にした。
「お兄ちゃん。これ食べ終わったら準備をするんだって。」
「そうなんだ。わかった。必要なものって何があるのかなぁ?」
「どのくらい時間がかかるかわからんから...そうだな。最低一週間は無人島で生活すると思って準備をしとくのがいいかな。」
「えっ?!そんなに!」
「そりゃそうだろう。どんだけの魔獣が来るかわからんしのう。」
『食料に関しては現地で見繕ってもいいでしょうが、それでもある程度の備蓄はあった方がいいと思われますよ。』
「そうだよね...。」
『あと、回復系の薬品なんかも多めに用意しておく方がいいでしょうね。
下手したら戦闘になるかもしれませんから。』
「相手は魔獣だ。手加減なんてしてくれないからなぁー。」
ドラしゃんとムキじぃーちゃんの話を聞いて、段々と気が重たくなるのは気のせい??
横にいるお兄ちゃんをチラッとみると、どうやらお兄ちゃんもげんなりした表情をしていた。
どうやら私だけでないようなので安心した。
重たい気持ちのままなんとか朝食を食べ終えて、私とお兄ちゃんは街へ買い出しに行った。
必要なものをドラしゃんがメモってくれたので、それを元に買い物をする事にした。
もちろん店に行ってメモにないもので必要だと思ったら購入していいと言われて、多めにお金も預かってきている。
多めって...袋を覗くとかなりの金額が...。
「お兄ちゃん。これって店ごと買えそうじゃない?」
「どれ??あっ!本当だ。えー。」
私とお兄ちゃんはどうしようとお互いの顔を見て見合わせた。
「と、とりあえずメモのものは買わないとね。」
「そ、そうだよ。」
いったん見たことは忘れて、メモに書かれたものを先に購入する事にした。
「まずはどうする?」
「えっと、干し肉から買いに行く?」
「了解。干し肉は...えっ?!六十キロって...どんだけ...。」
私はメモに書かれている数字を見て愕然とした。
干し肉だけで六十キロぶん購入って...。
私の驚きかげんを見てお兄ちゃんも私の手に握られているメモを見た。
そこには干し肉だけでなく、他の食料品も最低で五十キロで最高で百キロを超えているのだ。
「いっ、いったい誰がこの量食べるのよ。」
私が思わずそう言うとお兄ちゃんがチラッと私を見るのだった。
リン:
ちょっと、この買い物の量多くない?!
アキラ:
えっ?どうだろう...。
(まだ少ない方では?なんて、口が裂けても言えないよ。)
リン:
えっ?どうしたの??
アキラ:
うん?なんでもないよ!
21
あなたにおすすめの小説
若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました
mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる