全マシ。チートを貰った俺の領地経営勇者伝 -いつかはもふもふの国-

のみかん

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『勇者伝』編

第165話『ノエル・バブーフ』

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 ううん。
 どうすんべ……。
 今、ここには共和国の勇者パーティのフランソワがいる。

 追い出された古巣の相手と鉢合わせしたら彼は気まずいんじゃなかろうか?

 後で出直してくれと返事したほうが……。

「来客があったと聞いたもので……それと他の客も連れて参りました」

 これはもしかしてシルバリオンは誰が来てるか知っている? 

 そういうことなら入ってきてもらったほうがいいのかな。

「入っていいぞ」

「失礼します」

 ガチャリ。
 シルバリオンは実に堂々とした面持ちで部屋に入ってきた。
 懸念してた気まずさの類いは一切感じてなさそうだ。

 さすが熟練の武人。
 タフな精神してるわ。
 むしろフランソワのほうが萎縮しているように見える。

「ええっ? シルバリオン? なんであんたがここにいるの……!?」

「こやつらがヒョロイカ様に会わせろと門の前で騒いでいたからな」

 背後に視線をやりながら淡々と答えるシルバリオン。

 シルバリオンの後ろには黒い鎧を着た青年と聖職者のローブを纏った少女がいた。

「フランソワ! 一人で領主に会いに行くなんて何を考えているんだ!」

「大丈夫だった? 何もされてない?」

「バブーフ、それにノエルも……! 二人ともどうして?」

 二人はどうやらフランソワの知り合いのようだ。
 そういえばこいつら何となく見覚えがあるぞ……。

 あれだ。

 ハスミが率いていた集団の先頭グループにいた連中だ。

「バカヤロウ! ハスミをとっ捕まえた領主に一人で会いに行ったなんて聞いたら心配するに決まってんだろ!」

「そうよ、危険な場所に乗り込んだ仲間を助けに向かうのは当然のことじゃない!」

「ふ、ふたりともぉ……!」

 フランソワは仲間たちの言葉に感極まったのか目元を拭いだした。
 え、その反応は何なの――?
 きっと、彼女たちの体感では感動の救出劇が繰り広げられている真っ最中なのだろう。

 勝手に押しかけてきたのにどうしてそうなるんだ……?

 不思議でしかたないよ。

「フランソワ、領主から鬼畜な交換条件とか出されてない? そんなのには乗っちゃダメよ! あなたは騙されやすいんだから!」

 ノエルと呼ばれていた少女がフランソワに言う。

「まさか、すでに何か不埒な要求をされたんじゃないだろうな!」

 黒い鎧の青年、バブーフ? とかいう彼も憤った様子で言った。
 いやだから、こいつら俺をなんだと思っているんだよ。
 彼女たちの妄想の俺は非道な悪徳領主として君臨しているらしい。

 君たち、誰が用意した家に住んでるかよく思い出して……。

 ちなみに不埒な要求をちらつかせたのはそこにいるヘイスティールという女です。


「いい加減にせぬかッ!」


 元仲間たちの戯れ言オンパレードに堪忍袋の緒が切れたのか、シルバリオンが一喝した。
 俺が怒られたわけでもないのに思わずビクッとなっちゃう声量。
 スチルも驚いて床にニホンシュをこぼしていた。


「ヌシら、ヒョロイカ様から領地に住まう許可を頂き住居まで宛がわれておきながらなぜそのような無礼なことばかり抜かす! 共和国の勇者パーティはいつからそこまで傲慢な恥知らずの集団に成り下がったのだ!」


 鋭い眼光とオーラを飛ばしながら共和国パーティに詰め寄る細マッチョジジイ。

「ううっ、そんな怖い顔しないでよ……」
「た、確かに住む家はもらいましたけどぉ……」
「このジイさん、いつも言い返しにくいことばっか言ってくるから苦手だったんだよ……」


 シルバリオンにすごまれた途端、共和国パーティの面々は小声で言い訳を呟くだけの存在になった。
 いつも言い返しにくいことばかりって……。
 それ、おかしいことばっかやってるから注意されてただけだよな?



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