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ダンジョンマスターと魔王
第2話 あの人の正体
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「!! レナ! こんな大金どこから持ってきたんだ!? まさか……盗んできたとかじゃないだろうな!?」
「お父さん落ち着いて! 順番に話すから……」
彼女は……レナはゆっくりと話を始めた。
まずお金を出してくれるという人についていった事、そこへ現れた青年がレナを助けてくれた上にマナ結晶なる石を渡してくれた事、
そしてそれを売ったお金がこの大金貨だと彼女は父親に説明した。
「緑マナ結晶か……そんな貴重品を見ず知らずのお前に渡すだなんて……」
彼は元勇者としてその謎の人物の正体におぼろげながら心当たりがあった。自分と同じ冒険者か、あるいは……。
「でも良かったじゃない。お父さんの右腕の後遺症もこれで治せるじゃない! また勇者として復帰できるでしょ?」
「あ、ああ。そうだな」
だがそれはカネが手に入った事に対して水を差すようなもの。その時は心の中にしまった。
レナの父親はかつては勇者だった。
だがとある戦いで右腕に深い傷を負ってしまい、その後遺症で右腕に慢性的な痺れが生じて剣を握れなくなってしまったのだ。
幸い簡単な軽作業は出来るので完全に仕事ができないわけではなかったが、冒険者は引退せざるを得なくなってしまった。
「じゃあ明日からお医者様の所へ行って治療を始めてね。あと私、用があるからちょっと酒場に出かけてくるね」
「こんな時間にか? 危なくないか?」
「人が集まってる場所なら助けてくれたあの人を知ってる人がいるかもしれないからね。じゃあ行ってくるわ。すぐ戻るから心配しないでね」
そう言って彼女は自宅から酒場へと向かった。
太陽は沈み、月明かりが夜空を照らす中、レナは仕事が終わった冒険者や旦那たちが押しかけている酒場を訪ねていた。マナ結晶を渡してくれた人の手がかりを探すためだ。
幸い「男なのに頭にリボンをつけている」という分かりやすい見た目だ、これだけの人がいれば誰かは知ってるだろう。
彼女は酒場のマスターへと話を聞き出した。
「ふーん。人探しねぇ」
「ええ。何か知っていませんか? あ、そうそう。確か青色の布を頭に巻いて、同じ色をしたリボンをつけてましたよ」
「嬢ちゃん、ここは酒場だ。何か注文してくれよ。酒が飲めないのなら水でもミルクでもいい」
「じゃあミルクをお願いします」
彼女が注文してしばらく、白い液体が入ったコップが出されると同時に、酒場のマスターはあるものを持ってきた。
「男なのに青いリボンか……だとしたらコイツじゃないのか?」
酒場のマスターが出してくれたのは「手配書」だった。
賞金首:ダンジョンマスター「ソル=デイブレイク」
賞金額:大金貨1枚と金貨4枚
備考:生死問わず
「あ! この人です! え!? しょ、賞金首!?」
「ああそうだ。コイツ自身は魔王を倒す方向で各地を動いているそうだが、何せ魔王にすら届く力の持ち主だ。いつ俺達に牙をむくか分からないから賞金がかかってる」
「そ、そんな……」
見ず知らずの自分なんかのために父親の治療費をポンと出してくれた人が、お尋ね者の賞金首……頭をハンマーで殴られたかのような、目から火花が出そうな衝撃だった。
「……」
彼女はモヤモヤを抱えたまま重い足取りで家への帰り道を歩いていた。
「お父さん。なんでお父さんはダンジョンに潜るの? 危ないのに……」
「ダンジョンマスターや魔王を倒すためさ。あいつらはダンジョンを造って魔物を召喚し、世界征服をたくらんでいるからな」
「ふーん」
父親が魔王やダンジョンマスターを倒す勇者だったのもあって、幼い頃から「ダンジョンマスターは悪い奴」と吹き込まれて育っていたが、その常識はソルの登場で一気に覆されようとしていた。
治療費をポンと出してくれたのもあるし何より実際に会って話をした感触では、彼は首に賞金がかかるような事をするような悪い人だとはどうしても思えなかった。
どこにでもいる日向ですくすくと育った青年みたいに、邪悪な部分は一切感じられなかった。
「お父さんに怒られるかもしれないけど、明日ダンジョンに行ってみよう」
わけを聞きたい。その一心で彼女は明日、ダンジョンに行くことを決めた。
「お父さん落ち着いて! 順番に話すから……」
彼女は……レナはゆっくりと話を始めた。
まずお金を出してくれるという人についていった事、そこへ現れた青年がレナを助けてくれた上にマナ結晶なる石を渡してくれた事、
そしてそれを売ったお金がこの大金貨だと彼女は父親に説明した。
「緑マナ結晶か……そんな貴重品を見ず知らずのお前に渡すだなんて……」
彼は元勇者としてその謎の人物の正体におぼろげながら心当たりがあった。自分と同じ冒険者か、あるいは……。
「でも良かったじゃない。お父さんの右腕の後遺症もこれで治せるじゃない! また勇者として復帰できるでしょ?」
「あ、ああ。そうだな」
だがそれはカネが手に入った事に対して水を差すようなもの。その時は心の中にしまった。
レナの父親はかつては勇者だった。
だがとある戦いで右腕に深い傷を負ってしまい、その後遺症で右腕に慢性的な痺れが生じて剣を握れなくなってしまったのだ。
幸い簡単な軽作業は出来るので完全に仕事ができないわけではなかったが、冒険者は引退せざるを得なくなってしまった。
「じゃあ明日からお医者様の所へ行って治療を始めてね。あと私、用があるからちょっと酒場に出かけてくるね」
「こんな時間にか? 危なくないか?」
「人が集まってる場所なら助けてくれたあの人を知ってる人がいるかもしれないからね。じゃあ行ってくるわ。すぐ戻るから心配しないでね」
そう言って彼女は自宅から酒場へと向かった。
太陽は沈み、月明かりが夜空を照らす中、レナは仕事が終わった冒険者や旦那たちが押しかけている酒場を訪ねていた。マナ結晶を渡してくれた人の手がかりを探すためだ。
幸い「男なのに頭にリボンをつけている」という分かりやすい見た目だ、これだけの人がいれば誰かは知ってるだろう。
彼女は酒場のマスターへと話を聞き出した。
「ふーん。人探しねぇ」
「ええ。何か知っていませんか? あ、そうそう。確か青色の布を頭に巻いて、同じ色をしたリボンをつけてましたよ」
「嬢ちゃん、ここは酒場だ。何か注文してくれよ。酒が飲めないのなら水でもミルクでもいい」
「じゃあミルクをお願いします」
彼女が注文してしばらく、白い液体が入ったコップが出されると同時に、酒場のマスターはあるものを持ってきた。
「男なのに青いリボンか……だとしたらコイツじゃないのか?」
酒場のマスターが出してくれたのは「手配書」だった。
賞金首:ダンジョンマスター「ソル=デイブレイク」
賞金額:大金貨1枚と金貨4枚
備考:生死問わず
「あ! この人です! え!? しょ、賞金首!?」
「ああそうだ。コイツ自身は魔王を倒す方向で各地を動いているそうだが、何せ魔王にすら届く力の持ち主だ。いつ俺達に牙をむくか分からないから賞金がかかってる」
「そ、そんな……」
見ず知らずの自分なんかのために父親の治療費をポンと出してくれた人が、お尋ね者の賞金首……頭をハンマーで殴られたかのような、目から火花が出そうな衝撃だった。
「……」
彼女はモヤモヤを抱えたまま重い足取りで家への帰り道を歩いていた。
「お父さん。なんでお父さんはダンジョンに潜るの? 危ないのに……」
「ダンジョンマスターや魔王を倒すためさ。あいつらはダンジョンを造って魔物を召喚し、世界征服をたくらんでいるからな」
「ふーん」
父親が魔王やダンジョンマスターを倒す勇者だったのもあって、幼い頃から「ダンジョンマスターは悪い奴」と吹き込まれて育っていたが、その常識はソルの登場で一気に覆されようとしていた。
治療費をポンと出してくれたのもあるし何より実際に会って話をした感触では、彼は首に賞金がかかるような事をするような悪い人だとはどうしても思えなかった。
どこにでもいる日向ですくすくと育った青年みたいに、邪悪な部分は一切感じられなかった。
「お父さんに怒られるかもしれないけど、明日ダンジョンに行ってみよう」
わけを聞きたい。その一心で彼女は明日、ダンジョンに行くことを決めた。
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