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ダンジョンマスターと魔王
第24話 おじいちゃん、何でお母さんを?
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ダンジョンマスターとして冒険者退治を行う合間に、レナは召喚獣と話をしていた。
ソルのダンジョンには人狼が3匹いて、人間からしたら今一つ見分けがつかない似たような顔や立ち姿をしていた。
「あなた、確かウルフェンさんでしたよね?」
「へぇ、区別がつくのか。大したもんだな」
「声が違うからわかります。先生が子供の頃から関わってるとお聞きしたのですが、お話しできますかね?」
「……その話か。長くなるけどいいか? それとこの話をしたのはソルには内緒だぜ。良いか?」
◇◇◇
話は今から15年ほど昔にさかのぼる。ソルはまだ7歳の子供だった頃だ。
「お父さん、お母さんどこにいるか知ってる?」
「お母さんの事か。多分じいちゃんのダンジョンでお話でもしてるんだろ。一緒に行こうか」
「マスター、どうしたんですか?」
「ああ、ウルフェンか。ちょっとセレナを探してるんだ。多分じいちゃんのダンジョンにいるだろうけど、一緒に来るか?」
「ええ。お供しますよ」
ソルはセレナ、彼の母親を探していた。ダンジョンマスターだった父親、それにその配下のウルフェンと一緒に祖父のダンジョンへと向かった。
「? おかしいな」
祖父のダンジョンに入ると、何かしらの違和感があった。全ての部屋が一切機能していなかったのだ。
「マスター、まさかお義父上が死んだとかじゃないですよね?」
「だといいが。ダンジョンマスターを40年近くやってれば、余程の事が無い限りそんな事にはならないだろうが警戒した方が良いな」
一行は障害らしい障害も無くダンジョンの最深部にあるダンジョンマスターの部屋へとたどり着いた。
中に入るとそこで彼は禁断の儀式をしていた。
特殊な魔法陣の中心で、ソルの母親の胸をナイフで切り裂いて開き、生の心臓を食っている最中だった。
「!? じ、じいちゃん!? 何やってんの!? お母さんを……」
「!! お、お前! 自分が何をやってるのか分かってるのか!?」
孫の悲鳴にも似た驚きの声と、怒りのこもった義理の息子の声に、ソルの祖父は彼らの方向へと視線を移す。
「……耐えられんのだよ。老いに」
「何だと!?」
「私はどんどん老いる。身体も心も衰えて昔は出来たことも出来なくなるし、顔にはシミやシワが出来るし髪も白くなる。
耐えがたい苦痛なのだよ、老いるというのは。私はそんなの嫌だ、永遠に生き続けたい……魔王として、若い姿のまま永遠に生き続けたいのだよ。
そのためなら娘だろうが差し出せるし、それを惜しむことは無い」
そう言いながら実の娘の心臓、その最後のカケラを食う。
その直後だ。
大地から膨大な量のマナエネルギーが彼の身体に吸い上げられる。
身体の構造が根本から変わり、顔や身体からシミやシワが一斉に消え、加齢でやせ衰えた身体に筋肉が戻る。
悩みの種だった目の乱視も無くなり、クリアーな視界が再び戻って来る。
マナエネルギーを摂取することで永遠の若さを維持できるようになる、魔王誕生の瞬間だった。
「おおお……素晴らしい。実に素晴らしい! 力がみなぎって来るぞ!」
「テメェ! セレナを! 実の娘を! もういい! お前は俺の義父じゃない! 魔王だ! 「魔王デイブレイク」だ!」
「ふむ「魔王デイブレイク」か。悪くない名前だな。お前達には死んでもらう。もうオレには家族は要らないからな」
魔王になったばかりだというのに、その剣さばきは並みの猛将を上回る程鋭く切れ味のある物。ソルの父親は防御するだけで精いっぱいだった。
人狼のウルフェンも加勢するが、全く歯が立たない。
「ウルフェン! 俺が時間を稼ぐ! ソルの面倒を見てやってくれ。頼んだ!」
「バカ言わないで下さい! 捨て石には俺がなります!」
「ダンジョンマスターの命令だ! お前が行け! ウルフェン!」
「お前達はオレの邪魔をするのか?」
魔王デイブレイクは実の孫を守る息子と人狼を軽蔑の目線で射抜く。
「実の娘を殺すだけでも飽き足らずに、実の孫までも巻き込むつもりか!?」
「オレの血を引いているという事は将来優秀なダンジョンマスターになる可能性が高い。悪の芽は早めに摘まないとな」
魔王デイブレイクは今の自分に勝てる者など無い。そう確信していたが、ほんのわずかでもその牙城を崩せる可能性を持つものは潰しておきたかった。
たとえそれが自分の血を引く実の孫息子であろうとも、いや実の孫息子「だからこそ」だ。
「ウルフェン! 行けと言ってるのが分からないのか!? これはダンジョンマスターから召喚獣への命令だ! 行くんだ!」
「……分かった、分かりましたよ! 行けばいいんでしょマスター!」
ウルフェンは血のにじむ思いで、それこそ断腸の思いそのもので、ソルを連れてダンジョンを脱出した。
◇◇◇
「!! そんな事が……」
「ああ。俺を召喚したマスターの命令でソルを逃がして彼を育てたのさ。拳を交えて戦っても勝てない、って思ったからな。
逃げる事で精一杯で、親の形見は母親のリボンしか残らなかったんだ。ソルがいつもつけてるあの青いリボンだよ」
ウルフェンがレナに語ったソルの過去は、重苦しいものだった。
少なくても両親は自分の事を愛してくれた彼女にとっては、血のつながった者同士で殺し合い。なんていう血生臭い争いは見るに耐えない物だった。
「……先生は、凄く重いものを背負って生きてるんですね」
「ああ。詳しい事を知らない奴からしたら割と明るく生きてるつもりでも、心の中には頭蓋骨の1つや2つは隠し持ってる物さ」
「だから先生には秘密のお話だったんですね。ありがとうございます、今回の話は誰にも言いません」
「ああ。俺たちだけのナイショの話だな」
この話を聞いて、より一層「先生の力になりたい」と思うようになった。
ソルのダンジョンには人狼が3匹いて、人間からしたら今一つ見分けがつかない似たような顔や立ち姿をしていた。
「あなた、確かウルフェンさんでしたよね?」
「へぇ、区別がつくのか。大したもんだな」
「声が違うからわかります。先生が子供の頃から関わってるとお聞きしたのですが、お話しできますかね?」
「……その話か。長くなるけどいいか? それとこの話をしたのはソルには内緒だぜ。良いか?」
◇◇◇
話は今から15年ほど昔にさかのぼる。ソルはまだ7歳の子供だった頃だ。
「お父さん、お母さんどこにいるか知ってる?」
「お母さんの事か。多分じいちゃんのダンジョンでお話でもしてるんだろ。一緒に行こうか」
「マスター、どうしたんですか?」
「ああ、ウルフェンか。ちょっとセレナを探してるんだ。多分じいちゃんのダンジョンにいるだろうけど、一緒に来るか?」
「ええ。お供しますよ」
ソルはセレナ、彼の母親を探していた。ダンジョンマスターだった父親、それにその配下のウルフェンと一緒に祖父のダンジョンへと向かった。
「? おかしいな」
祖父のダンジョンに入ると、何かしらの違和感があった。全ての部屋が一切機能していなかったのだ。
「マスター、まさかお義父上が死んだとかじゃないですよね?」
「だといいが。ダンジョンマスターを40年近くやってれば、余程の事が無い限りそんな事にはならないだろうが警戒した方が良いな」
一行は障害らしい障害も無くダンジョンの最深部にあるダンジョンマスターの部屋へとたどり着いた。
中に入るとそこで彼は禁断の儀式をしていた。
特殊な魔法陣の中心で、ソルの母親の胸をナイフで切り裂いて開き、生の心臓を食っている最中だった。
「!? じ、じいちゃん!? 何やってんの!? お母さんを……」
「!! お、お前! 自分が何をやってるのか分かってるのか!?」
孫の悲鳴にも似た驚きの声と、怒りのこもった義理の息子の声に、ソルの祖父は彼らの方向へと視線を移す。
「……耐えられんのだよ。老いに」
「何だと!?」
「私はどんどん老いる。身体も心も衰えて昔は出来たことも出来なくなるし、顔にはシミやシワが出来るし髪も白くなる。
耐えがたい苦痛なのだよ、老いるというのは。私はそんなの嫌だ、永遠に生き続けたい……魔王として、若い姿のまま永遠に生き続けたいのだよ。
そのためなら娘だろうが差し出せるし、それを惜しむことは無い」
そう言いながら実の娘の心臓、その最後のカケラを食う。
その直後だ。
大地から膨大な量のマナエネルギーが彼の身体に吸い上げられる。
身体の構造が根本から変わり、顔や身体からシミやシワが一斉に消え、加齢でやせ衰えた身体に筋肉が戻る。
悩みの種だった目の乱視も無くなり、クリアーな視界が再び戻って来る。
マナエネルギーを摂取することで永遠の若さを維持できるようになる、魔王誕生の瞬間だった。
「おおお……素晴らしい。実に素晴らしい! 力がみなぎって来るぞ!」
「テメェ! セレナを! 実の娘を! もういい! お前は俺の義父じゃない! 魔王だ! 「魔王デイブレイク」だ!」
「ふむ「魔王デイブレイク」か。悪くない名前だな。お前達には死んでもらう。もうオレには家族は要らないからな」
魔王になったばかりだというのに、その剣さばきは並みの猛将を上回る程鋭く切れ味のある物。ソルの父親は防御するだけで精いっぱいだった。
人狼のウルフェンも加勢するが、全く歯が立たない。
「ウルフェン! 俺が時間を稼ぐ! ソルの面倒を見てやってくれ。頼んだ!」
「バカ言わないで下さい! 捨て石には俺がなります!」
「ダンジョンマスターの命令だ! お前が行け! ウルフェン!」
「お前達はオレの邪魔をするのか?」
魔王デイブレイクは実の孫を守る息子と人狼を軽蔑の目線で射抜く。
「実の娘を殺すだけでも飽き足らずに、実の孫までも巻き込むつもりか!?」
「オレの血を引いているという事は将来優秀なダンジョンマスターになる可能性が高い。悪の芽は早めに摘まないとな」
魔王デイブレイクは今の自分に勝てる者など無い。そう確信していたが、ほんのわずかでもその牙城を崩せる可能性を持つものは潰しておきたかった。
たとえそれが自分の血を引く実の孫息子であろうとも、いや実の孫息子「だからこそ」だ。
「ウルフェン! 行けと言ってるのが分からないのか!? これはダンジョンマスターから召喚獣への命令だ! 行くんだ!」
「……分かった、分かりましたよ! 行けばいいんでしょマスター!」
ウルフェンは血のにじむ思いで、それこそ断腸の思いそのもので、ソルを連れてダンジョンを脱出した。
◇◇◇
「!! そんな事が……」
「ああ。俺を召喚したマスターの命令でソルを逃がして彼を育てたのさ。拳を交えて戦っても勝てない、って思ったからな。
逃げる事で精一杯で、親の形見は母親のリボンしか残らなかったんだ。ソルがいつもつけてるあの青いリボンだよ」
ウルフェンがレナに語ったソルの過去は、重苦しいものだった。
少なくても両親は自分の事を愛してくれた彼女にとっては、血のつながった者同士で殺し合い。なんていう血生臭い争いは見るに耐えない物だった。
「……先生は、凄く重いものを背負って生きてるんですね」
「ああ。詳しい事を知らない奴からしたら割と明るく生きてるつもりでも、心の中には頭蓋骨の1つや2つは隠し持ってる物さ」
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「ああ。俺たちだけのナイショの話だな」
この話を聞いて、より一層「先生の力になりたい」と思うようになった。
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